JPH017872Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、機械式作動機構を備えた車両用デイ
スクブレーキ装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の機械式作動機構を備えたデイスクブレー
キ装置としては、例えば、ブレーキデイスクの両
側に配設した摩擦パツドをキヤリパの軸方向移動
可能に支持するキヤリパの軸受部に、回動軸であ
るカム溝を形成したカムシヤフトを回動可能に支
承し、このカムシヤフトを該カムシヤフトに取着
したブレーキレバーを回動することにより、前記
カム溝に係合させた従動ロツドを駆動して前記摩
擦パツドを機械的に押動することによつて制動作
用を行なうものが知られており、このデイスクブ
レーキ装置においては、前記カムシヤフトに取着
したブレーキレバーおよび該ブレーキレバーを反
制動作動方向へ付勢するようにカムシヤフトの外
周に巻装したコイルスプリングが露出しており、
また、前記コイルスプリングはその一端において
キヤリパ側に固定されているのみであつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

したがつて、前記ブレーキレバーおよびコイル
スプリングが露出していることから、これらブレ
ーキレバーおよびコイルスプリングの部分に土砂
等が侵入して付着したり、錆の発生する原因とな
る惧れがあり、またコイルスプリングは、制動作
動時にブレーキレバーが制動作動方向へ回動する
と、巻装したカムシヤフトから抜け出そうとする
傾向があり、該コイルスプリングが抜け出す方向
に移動するとコイルスプリング全体が傾動し、円
滑な作動が阻害される惧れがある等の問題点があ
つた。

本考案は上記の点に鑑みなされたもので、デイ
スクブレーキ装置の機械式作動機構に設けたブレ
ーキレバーと該ブレーキレバーを反制動作動方向
に付勢するコイルスプリングの部分への土砂等の
侵入を防止すると共に、コイルスプリングの抜け
方向の移動を規制した車両用デイスクブレーキ装
置の提供を目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するための手段として本考
案は、ブレーキデイスクに圧接して制動を行う摩
擦パツドをキヤリパの軸受部に嵌挿した回動軸を
回動させることにより機械的に押動して制動作用
を行なう車両用デイスクブレーキ装置において、
前記回動軸に取着したブレーキレバーを、前記回
動軸の外周に巻装すると共に一端を前記ブレーキ
レバーに係止し他端をキヤリパ側固定部に係止し
たコイルスプリングの捩り方向の弾発力により反
制動作動方向に付勢して設け、前記コイルスプリ
ングの反キヤリパ側には前記コイルスプリングの
回動軸よりの抜け出しを規制すると共にこれらコ
イルスプリングとブレーキレバーとを覆うカバー
部材を、前記回動軸に取着してブレーキレバーと
一体回動可能に配設したことを特徴としている。

〔作用〕

このようにブレーキレバーおよびコイルスプリ
ングをカバー部材で覆つた構成とすることによ
り、該ブレーキレバーとコイルスプリングの部分
へ土砂等が侵入せず、また、ブレーキレバーの回
動時にコイルスプリングが抜け方向へ移動しよう
とするのが有効に防止される。

〔実施例〕

以下、本考案に係る車両用デイスクブレーキ装
置を、オートアジヤスト機構を備えた液圧式デイ
スクブレーキ装置のパーキングブレーキ機構に適
用した一実施例を第１図乃至第４図に基づき説明
する。

液圧式デイスクブレーキのキヤリパ１０は、作
用部１０ａと反作用部１０ｂとこれらを結ぶブリ
ツジ部１０ｃとからなり、ブリツジ部１０ｃによ
りデイスク１１を跨ぎ、ブラケツト１２に摺動ピ
ン１３によりデイスク軸方向移動可能に設けられ
ている。

また、作動部１０ａには前記デイスク１１側を
開口したシリンダ１４が形成されており、このシ
リンダ１４内にはコツプ状のピストン１５が液密
かつ移動可能に嵌挿され、該ピストン１５により
シリンダ１４内に液圧室１６が画成され、マスタ
シリンダ（図示せず）からの圧液を導入する導入
孔１７がこの液圧室１６に開口している。

前記デイスク１１の両側には摩擦パツド１８，
１９がデイスク軸方向移動可能に設けられ、前記
ピストン１５側の一方の摩擦パツド１８がピスト
ン１５に押動されてデイスク１１の一側に圧接す
ると共に、ピストン１５に働く反力でキヤリパ１
０全体が作用部１０ａ側に移動し、該キヤリパ１
０の反作用部１０ｂが他方の摩擦パツド１９を押
動してデイスク１１の他側に圧接させ、両摩擦パ
ツド１８，１９間でデイスク１１を挾圧して液圧
操作による制動を行う。

前記液圧室１６内には、アジヤストボルト２０
と該アジヤストボルト２０に多状ねじ螺合したア
ジヤストナツト２１とからなるアジヤスタ２２が
内蔵されており、該アジヤスタ２２はスプリング
によりアジヤストナツト２１をデイスク１１側へ
アジヤストボルト２０をベアリングを介して反デ
イスク側へそれぞれ付勢してある。

また、アジヤストナツト２１は前記ピストン１
５のデイスク１１側と係合して回転を規制される
と共に、アジヤストボルト２０はその頭部に形成
したクラツチ部２０ａを、シリンダ１４の後部に
軸方向移動可能に嵌挿したスリーブピストン２３
に摩擦係合し、前記摩擦パツド１８，１９の摩耗
によりピストン１５の移動距離が所定以上に大き
くなつた際に、前記アジヤストボルト２０のクラ
ツチ部２０ａの摩擦係合が解除されて回動し、ア
ジヤスタ２２の全長を伸長させることによりピス
トン１５の復帰位置をデイスク１１寄りに変更さ
せて、適切な制動間隙に自動調整する。

一方、前記スリーブピストン２３は、その後部
に形成したピストン小径部２３ａを前記シリンダ
１４の小径部１４ａ内に液密に嵌挿し、該ピスト
ン小径部２３ａの後端面には従動ロツド２４の一
端を係合させる球面状の凹部２３ｂが形成されて
いる。

また、前記シリンダ１４の小径部１４ａの反液
圧室側には、シリンダ軸に直交する方向に円筒状
のカムシヤフト嵌挿用の軸受部２５が前記小径部
１４ａと連通させて形成してあり、このカムシヤ
フト嵌挿用の軸受部２５には回動軸である円柱状
のカムシヤフト２６がベアリング２７を介して回
動可能に嵌挿してあり、該カムシヤフト２６の嵌
挿部側面に形成したカム溝２６ａには前記従動ロ
ツド２４の他端が係合させてある。

更に、前記カムシヤフト２６の軸受部２５から
延出させた部分にはレバー取付部２６ｂが形成し
てあり、このレバー取付部２６ｂに該カムシヤフ
ト２６を回動させるブレーキレバー２８が長ナツ
ト２９により締結してあり、この長ナツト２９の
外周に、コイルスプリング３０が緩く外嵌する状
態で巻装してある。

このコイルスプリング３０は、一方の端部３０
ａを前記ブレーキレバー２８の先端に係止すると
共に他方の端部３０ｂをＵ字状に折曲形成し、キ
ヤリパ１０のカムシヤフト２６の近傍に該カムシ
ヤフト２６に平行するように立設したストツパピ
ン３１に形成した係合溝３１ａに、この端部３０
ｂのコイル半径方向の移動を許容するようにを係
止させて、コイルの捩り方向の弾発力を利用して
ブレーキレバー２８を反制動作動方向（矢印Ａ方
向）へ付勢している。

そして、ブレーキレバー２８をカムシヤフト２
６に締着している前記長ナツト２９の先端側に
は、周縁部に補強リブ３２ａを形成した平板状の
カバー部材３２が、フランジ付ボルト３３により
前記長ナツト２９の雌ねじを利用して取付けてあ
り、このカバー部材３２は、コイルスプリング３
０とブレーキレバー２８の反キヤリパ側およびそ
の周辺部を大きく覆う形状をしており、該カバー
部材は、ブレーキレバー２８がブレーキワイヤ
（図示せず）に引張されて制動作動方向（矢印Ｂ
方向）に回動した際に、該ブレーキレバー２８と
一体に回動するようになつている。

また、このカバー部材３２は、該カバー部材３
２で覆つた前記ブレーキレバー２８に連結した前
記ブレーキワイヤと干渉しないように、該ブレー
キワイヤの張設方向およびブレーキレバー２８の
回動に伴う該ブレーキワイヤの移動範囲に該当す
る部分には前記補強リブ３２ａを形成していな
い。

尚、３４はキヤリパ１０にボルト３４ａ，３４
ａにより取付けたブレーキワイヤガイド、３５は
防塵ブーツ、３６はブリユーダプラグである。

以上のように構成される本実施例は、カバー部
材３２に覆われた機械式作動機構のブレーキレバ
ー２８およびコイルスプリング３０の部分への土
砂等の侵入を防ぎ、錆の発生も防止すると共に、
このカバー部材３２はブレーキレバー２８が回動
する際には該ブレーキレバー２８の回動を阻害す
ることなくブレーキレバーと一体に回動して、ブ
レーキレバー２８およびコイルスプリング３０の
反キヤリパ側を常時覆つて土砂等の侵入を有効に
防止する。

また、第５図は本考案の別の実施例を示すもの
で、前記実施例において使用した周縁部に補強リ
ブを備え平板状に形成したカバー部材の代りにボ
ツクス状に形成されたカバー部材を採用したもの
で、前記実施例と同一の構成部分には同一の符号
を付して説明する。

カムシヤフト２６にブレーキレバー２８を締着
している前記長ナツト２９の先端側には、平板部
３７ａの周縁部を直角方向に折曲して周縁壁３７
ｂを形成し、キヤリパ１０側の一面を開放したボ
ツクス状のカバー部材３７が、前記平板部３７ａ
の所定の位置に穿設した取付孔３７ｃに配設した
ダンパ３８を介してフランジ付ボルト３９により
前記長ナツト２９の雌ねじを利用して取付けてあ
る。

そして、前記ダンパ３８は、外周側に周溝が形
成された断面Ｕ字形で剛性を有するダンパ保持リ
ング３８ａと、このダンパ保持リング３８ａの前
記周溝に嵌挿したリング状の弾性部材３８ｂとか
ら構成されており、この弾性部材３８ｂの外周側
から半径方向に周設された切込みに前記カバー部
材３７の取付孔３７ｃの口縁部を嵌挿して支持す
ると共に、前記ダンパ保持リング３８ａを長ナツ
ト２９の先端面とフランジ付ボルト３９のフラン
ジ部下面間に挾持されて、前記弾性部材３８ｂに
よりカバー部材３７を弾持するように配設されて
いる。

このカバー部材３７は、その平板部３７ａによ
りコイルスプリング３０とブレーキレバー２８お
よびその周辺部の反キヤリパ側を覆うと共に、そ
の周縁壁３７ｂにより前記ブレーキレバー２８お
よびコイルスプリング３０の側方を囲むように覆
う形状をしており、このカバー部材３７は、ブレ
ーキレバー２８がブレーキワイヤ（図示せず）に
引張されて制動作動方向（矢印Ｂ方向）に回動し
た際に、該ブレーキレバー２８と一体に回動する
ようになつていると共に、万が一このカバー部材
３７の内側に雪等が舞込んで凍結し、該カバー部
材３７の回動が阻害された場合には、前記ダンパ
３８の弾性部材３８ｂの弾性変形の範囲において
前記ブレーキレバー２８のみの回動が許容できる
ようになつている。

また、前記カバー部材３７の前記周縁壁３７ｂ
は、該カバー部材３７で覆つた前記ブレーキレバ
ー２８に連結した前記ブレーキワイヤと干渉しな
いように、該ブレーキワイヤの張設方向およびび
ブレーキレバー２８の回動に伴う該ブレーキワイ
ヤの移動範囲に該当する部分の周縁壁３７ｂを切
欠くと共に、該カバー部材２７が凍結等により回
動を阻害され、ダンパ３８の作用でブレーキレバ
ー２８のみが回動した際に、このブレーキレバー
２８と干渉しないように、ブレーキレバー２８の
回動範囲に該当する部分の前記周縁壁３７ｂが切
欠いてある。

以上のように構成される本実施例は、カバー部
材３７によりその反キヤリパ側およびその側方を
覆つているため、機械式作動機構のブレーキレバ
ー２８およびコイルスプリング３０の部分への土
砂等の侵入を防ぎ、錆の発生も防止すると共に、
このカバー部材３７はブレーキレバー２８が回動
する際には該ブレーキレバー２８の回動を阻害す
ることなくブレーキレバーと一体に回動して、ブ
レーキレバー２８およびコイルスプリング３０の
反キヤリパ側を常時覆つて土砂等の侵入を有効に
防止し、またこのカバー部材３７が、もし凍結等
によつて回動しなくなつた場合には、該カバー部
材３７を弾持しているダンパ３８の弾性変形によ
つてブレーキレバー２８のみが回動し、機械式作
動機構による制動作用が行なわれる。

尚、上記両実施例は液圧作動式デイスクブレー
キ装置のパーキングブレーキ機構に適用した例で
説明したが、本考案は機械式作動機構のみにより
制動作用を行なう等の他の型式のデイスクブレー
キ装置にも好適に実施することができる。

〔考案の効果〕 以上説明したように本考案に係る車両用デイス
クブレーキ装置は、機械式作動機構の回動軸に取
着したブレーキレバーおよび該回動軸の外周に巻
装し、その捩り方向の弾発力により前記ブレーキ
レバーを反制動作方向に付勢するコイルスプリン
グの反キヤリパ側にカバー部材を前記回動軸に取
着してブレーキレバーと一体回動可能に配設した
ので、前記コイルスプリングの回動軸よりの抜け
出しを防止できると共に、これらコイルスプリン
グおよびブレーキレバーの部分への土砂等の侵入
が防止でき、また、これら部分の錆の発生を防止
して機械式作動機構による円滑な制動作用が確保
できる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本考案の一実施例を示すも
ので、第１図は機械式作動機構のブレーキレバー
取付部を示す要部正面図、第２図はデイスクブレ
ーキ装置全体を示す一部断面側面図、第３図は同
じく平面図、第４図は第３図の−断面図、第
５図は本考案の別の実施例に係るデイスクブレー
キ装置を示す一部断面側面図である。 １０……キヤリパ、１１……デイスク、１４…
…シリンダ、１５……ピストン、１８，１９……
摩擦パツド、２２……アジヤスタ、２４……従動
ロツド、２５……軸受部、２６……カムシヤフ
ト、２６ａ……カム溝、２８……ブレーキレバ
ー、２９……長ナツト、３０……コイルスプリン
グ、３１……ストツパピン、３２……カバー部
材、３２ａ……補強リブ、３７……カバー部材、
３７ａ……平板部、３７ｂ……周縁壁、３７ｃ…
…取付孔、３８……ダンパ、３８ａ……ダンパ保
持リング、３８ｂ……弾性部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブレーキデイスクに圧接して制動を行う摩擦パ
   ツドをキヤリパの軸受部に嵌挿した回動軸を回動
   させることにより機械的に押動して制動作用を行
   なう車両用デイスクブレーキ装置において、前記
   回動軸に取着したブレーキレバーを、前記回動軸
   の外周に巻装すると共に一端を前記ブレーキレバ
   ーに係止し他端をキヤリパ側固定部に係止したコ
   イルスプリングの捩り方向の弾発力により反制動
   作動方向に付勢して設け、前記コイルスプリング
   の反キヤリパ側には前記コイルスプリングの回動
   軸よりの抜け出しを規制すると共にこれらコイル
   スプリングとブレーキレバーとを覆うカバー部材
   を、前記回動軸に取着してブレーキレバーと一体
   回動可能に配設したことを特徴とする車両用デイ
   スクブレーキ装置。