JPS6053270B2 - 炉壁体の建造法およびその炉壁体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、灼熱炉、加熱炉、熱処理炉などの工業炉
の炉壁体の建造法ならびにその炉壁体の改良に関するも
のである。

従来、上記の如き工業炉の炉壁体建造法として、セラ
ミックファイバー、アルミナファイバー、シリカファイ
バーのような耐熱性無機繊維を所要厚さの板体に成形し
たブランケットを、炉壁本体である鉄皮の内張り断熱材
に用い、前記鉄皮の内側面には支持金具を溶接で固定し
ておき、それに支持させたロッドに前記繊維ブランケッ
トを、その厚み方向の端面が鉄皮面に向く状態にして串
刺し状に突き通して保持する施工法が提案されているが
、この施工法では、繊維ブランケットを施工現場で所定
寸法に裁断したり、組み合わせたりする作業を伴うので
、施工が非常に煩雑となる欠点がある。

また他の施工法として、予め多数の繊維ブランケット
を、断熱材料で成形した基板に起立状に並べて固定して
ブランケットのブロックを形成し、その基板を鉄皮に固
定する施工法が提案されている。

この施工法によれば、作業現場での繊維ブランケットの
裁断、突き通しなどの煩雑な作業は省けるが、繊維ブラ
ンケットのブロックは基板があるので、全体重量がそれ
だけ重くなり、ブロックの取付け作業がやりにく）なる
と共に炉壁の重量も重くなるなどの欠点がある。この発
明は、上記のように、鉄皮に繊維ブランケットを内張り
して炉壁を建造する方法において、繊維ブランケットの
内張り施工が簡単容易にでき、炉壁を軽量に構成するこ
とのできる炉壁体建造法ならびにその炉壁体を提供する
ことを目的としているものである。

この発明による炉壁体建造法は、ボルト孔を有する受座
部材と、ボルト孔の軸線と交叉する方向に突出するよう
に受座部材に結合されている串部材と、前記受座部材の
ボルト孔に通すためのボルト部材と、このボルト部材を
遠隔部位から回動操作するための工具を挿通案内する筒
部材とからなる支持金具を使用し、前記受座部材のボル
ト孔にボルト部材およびそれを囲む筒部材を位置づけさ
せた状態に保持し、その状態で串部材に、板状に成形さ
れた多数の無機繊維ブランケットを順次に突き通して積
層圧縮し、これを縛り材で結束保持してブランケット積
層ブロックとなし、一方、炉の鉄皮には、ソケット金具
を溶接固定し、前記ブランケット積層ブロックを、その
ブランケット積層面が鉄皮に直角に向く状態で、ブロッ
ク側の受座部材のボルト孔が鉄皮側のソケット金具に合
致するように位置づけし、次にブロックの外に開口する
筒部材の筒口から工具を挿入し、その工具の回動操作に
より、ボルト部材を受座部材のボルト孔を通してソケッ
ト金具に螺合させ、それにより繊維ブランケット積層ブ
ロックを支持金具を介して鉄皮側ソケット金具に保持さ
せ、次に筒部材の空洞またはこれに引き抜いたあとに残
る空洞に無機質充填材を充填することを特徴とするもの
である。

また、この発明による炉壁体は、ボルト孔を有する受座
部材に結合された串部材に、板状に成形された多数の無
機繊維ブランケットを突き通して積層圧縮してある繊維
ブランケット積層ブロックが炉の鉄皮の内側に、そのブ
ランケット積層面が鉄皮に直角に向く状態に位置づけさ
れ、ブロックの外に出されている受座部材のボルト孔を
通して鉄皮側に溶接固定されているソケット金具にボル
ト部材が螺合され、それにより繊維ブランケット積層ブ
ロックが鉄皮に保持されている構成に特徴を有するもの
である。

以下、この発明を、その実施例を示す図面に基づいて具
体的に説明する。

第１図および第２図において、Ａは炉壁の建造Ｌに用い
られる繊維ブランケット積層ブロックであつて、これは
セラミックファイバー、アルミナファイバー、シリカフ
ァイバーのような耐熱性無機繊維を板状に成形してなる
多数の無機繊維ブランケット１が積層圧縮された状態で
支持金具Ｂで支持されたものである。

すなわち、前記支持金具Ｂは、ボルト孔２を有するＬ字
形の受座部材３と、そのボルト孔の軸線と直交する方向
に突出するように前記受座部材３に溶接で固定された串
部材４と、ボルト孔２に通”すためのボルト部材５と、
このボルト部材を遠隔部位から回動操作するためのレン
チ６を挿通案内する筒部材７とで構成され、前記筒部材
７の筒口内に入れたボルト部材５を、たとえば筒口内面
に設けた突起（図示してない）で支持させ、そのボルト
部材５を受座部材３のボルト孔２に挿通するように筒部
材を位置づけさせた状態に保持し、その状態で串部材４
に前記繊維ブランケット１を、受座部材３のボルト孔２
の板部分が外に突出する位置で順次に突き通し、その積
層体に、段ボール板、プラスチック板などの材料でコ字
形に形成した当て板８を当てつけ、全体を紙あるいはプ
ラスチックのようなＪ−プ９で強く緊縛して均一に圧縮
した構成になつている。

前記の繊維ブランケット積層ブロックＡを使用して炉壁
を建造するには、第３図および第４図に示すように、ま
ず、炉の鉄皮１０にネジソケット金具Ｃを溶接で固定し
、次にセラミックファイバー、ガラスファイバー、岩綿
などの無機繊維を板状に成形してあるブランケット１１
をバックアップ断熱材として張り合わせ、次に前記ブラ
ンケット積層ブロックＡを、そのブランケット積層面が
鉄皮に直角に向く方向に位置づけし、受座部材３のボル
ト孔２から突出しているボルト部材５を前記ソケット金
具Ｃに合致させ、次に筒部材７がブロックの外に開口し
ている筒口からレンチ６を挿入し、ボルト５の頭部にあ
けてある凹部（図示してない）に入れて回わして螺合さ
せると、繊維ブランケット積層ブロックを串差状に支持
している支持金具Ｂは鉄皮側のソケット金具Ｃに強固に
保持される。

したがつて、このような施工により、ブロックＡを順次
に並べて取付ければ、鉄皮の内側に繊維ブランケットの
内張り壁を形成することができる。前記ブロックの取付
けが完了したあと、テープ９を切断して取除き、さらに
当て板８を取外すと、圧縮されていた繊維ブランケット
１の復元力で、ブロック相互間の目地は完全にふさがれ
、隙間のないブロック内張り壁が形成される。

また上記ブランケット積層ブロックＡを隣り合わせに取
り付けてゆく場合、第５図に示すように、隣接するブロ
ックＡのブランケット積層面が互に直交する向きにブロ
ックを配設すれば繊維ブランケットの加熱収縮によるブ
ロック間の目地の拡開阻止に効果がある。

なお、前記施工例では、ブロックの取り付け後、テープ
を切断して取除き、当て板を取外すようにしているが、
これらの部材を紙材あるいは合成樹脂材のような可燃性
材料にしてあれば、炉の運転時の高熱で焼失除去するこ
とができるから、取外しておかなくてもよい。

前記繊維ブランケット積層ブロックＡに埋設状におかれ
ている工具挿入用筒部材７は、施工後は不要とされるも
のであるから、これを引き抜き、そのあとの空洞には、
熱の侵入を阻止するため、適宜の無機繊維材を充填して
おく。

筒部材を残しておく場合でも、同様にその空洞に無機繊
維材を充填しておく。また、筒部材は、施工後に引き抜
いてもよいものであるから、金属材でなく、紙またはプ
ラスチックのような材料で形成したものであつてもよい
。さらに、前記実施例では、ボルト部材５は筒部材７の
筒口内に設けた突起で支持するようにしてあるが、これ
は受座部材３のネジ孔２に螺着支持させておいてもよい
。

しかして、前述した炉壁体の建造にあつては、鉄皮の内
張り材は耐火断熱性繊維ブランケット積層ブロックで形
成されているので、内張り施工はブロックを積みあげる
か、あるいは嵌め込んでボルト止めするだけでよく、繊
維ブランケットを作業現場で所定寸法に裁断したり、組
み合わせたりする従来の内張り施工に比べ、施工は極め
て簡単である。また、ブランケット積層ブロックを保持
するための支持金具はブロック内に埋設され、表面側に
露出しないから、熱による高温腐蝕のおそれはなく、し
たがつて支持金具は耐熱性にすぐれた高価な金属材料で
なくてもよく、普通の金属材料の使用が可能となるので
、支持金具の材料費を大巾に節減することができる。

また、熱面側に位置する前記ブランケット積層ブロック
はブランケット積層面が鉄皮に直角に向く方向に位置づ
けされているため、ブロック表面の機械的強度が強く、
耐風速、耐振動性に優れている。

とくに繊維にセラミックファイバーが使用されても、高
温におけるセラミックファイバーの結晶化の影響は表面
近くに止まり、亀裂や剥離などは起こりにくい。また、
ブランケット積層ブロックは縛り材や筒部材を取り除く
と、圧縮されていたブランケットの復元力でブロック相
互間の目地やブロック内の隙間は完全にふさがれ、隙間
のないブロック内張り壁を簡単に形成することができる
。

その場合ブロック間またはブロック内の隙間に適当な目
地材または充填材を施したものによれば、熱ガスの漏洩
防止をさらに強化できる。また、多数のブランケットを
固定しておくための基板は用いず、ブランケットに挿通
させた串部材とそれに結合された受座部材とで、ブロッ
クを固定するので、鉄皮内側のバックアップ断熱材のう
えからブロックを容易に取付けることができるとともに
炉壁を軽量にできる。

また建造後においても、ブロック単位の取替えができる
ので、補修が簡単である。以上に述べたように、この発
明によれば、板状に形成された無機繊維ブランケットを
炉の鉄皮に内張りして炉壁を建造する方法において、ボ
ルト孔を有する受座部材と、ボルト孔の軸線と交叉する
方向に突出するように受座部材に結合されている串部材
と、前記受座部材のボルト孔に通すためのボルト部材と
、このボルト部材を遠隔部位から回動操作するための工
具を挿通案内する筒部材とからなる支持金具を使用し、
前記受座部材のボル卜孔にボルト部材およびそれを囲む
筒部材を位置づけさせた状態に保持し、その状態で串部
材に、板状に成形された多数の無機繊維ブランケットを
順次に突き通して積層圧縮し、これを縛り材で結束保持
してブランケット積層ブロックとなし、一方、炉の鉄皮
には、ソケット金具を溶接固定し、前記ブランケット積
層ブロックを、そのブランケット積層面が鉄皮に直角に
向く状態で、ブロック側の受座部材のボルト孔が鉄皮側
のソケット金具に合致するように位置づけし、次にブロ
ックの外に開口する筒部材の筒口から工具を挿入し、そ
の工具の回動操作によりボルト部材を受座部材のボルト
孔を通してソケット金具に螺合せ、それにより繊維ブラ
ンケット積層ブロックを支持金具を介して鉄皮側ソケッ
ト金具に保持させ、次に筒部材の空洞またはこれを引き
抜いたあとに残る空洞に無機質充填材を充填するもので
あるから、従来の施工法に比べ、炉壁建造作業の大巾な
歩進改善が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の炉壁体建造方法に用いる繊維ブラン
ケット積層ブロックの一部切断斜視図、第２図は支持金
具の分解斜視図、第３図はネジソケット金具の斜視図、
第４図は繊維ブランケット積層ブロックで内張り施工さ
れた炉壁の断面図、第５図はブロックの配列状態を示す
説明図である。 Ａ・・・・・・繊維ブランケット積層ブロック、１・・
・繊維ブランケット、Ｂ・・・・・・支持金具、２・・
・・・・ボルト孔、３・・・・・・受座部材、４・・・
・・・串部材、５・・・・・・ボルト部材、６・・・・
・ルンチ、７・・・・・・筒部材、Ｃ・・・・ネジソケ
ット金具、８・・・・・・当て板、９・・・・・・テー
プ、１０・・・・・・鉄皮、１１・・・・・・バックア
ップ断熱材用繊維ブランケット。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ボルト孔を有する受座部材と、ボルト孔の軸線と交
   叉する方向に突出するように受座部材に結合されている
   串部材と、前記受座部材のボルト孔に通すためのボルト
   部材と、このボルト部材を遠隔部位から回動操作するた
   めの工具を挿通案内する筒部材とからなる支持金具を使
   用し、前記受座部材のボルト孔にボルト部材およびそれ
   を囲む筒部材を位置づけさせた状態に保持し、その状態
   で串部材に、板状に成形された多数の無機繊維ブランケ
   ットを順次に突き通して積層圧縮し、これを縛り材で結
   束保持してブランケット積層ブロックとなし、一方、炉
   の鉄皮には、ソケット金具を溶接固定し、前記ブランケ
   ット積層ブロックを、そのブランケット積層面が鉄皮に
   直角に向く状態で、ブロック側の受座部材のボルト孔が
   鉄皮側のソケット金具に合致するように位置づけし、次
   にブロックの外に開口する筒部材の筒口から工具を挿入
   し、その工具の回動操作により、ボルト部材を受座部材
   のボルト孔を通してソケット金具に螺合させ、それによ
   り繊維ブランケット積層ブロックを支持金具を介して鉄
   皮側ソケット金具に保持させ、次に筒部材の空洞または
   これに引き抜いたあとに残る空洞に無機質充填材を充填
   することを特徴とする炉壁体の建造法。 ２ ボルト孔を有する受座部材に結合された串部材に、
   板状に成形された多数の無機繊維ブランケットを突き通
   して積層圧縮してなる繊維ブランケット積層ブロックが
   炉の鉄皮の内側に、そのブランケット積層面が鉄皮に直
   角に向く状態に位置づけされ、ブロックの外に出されて
   いる受座部材のボルト孔を通して鉄皮側に溶接固定され
   ているソケット金具にボルト部材が螺合され、それによ
   り繊維ブランケット積層ブロックが鉄皮に保持されてい
   ることを特徴とする炉壁体。