JPS60503Y2 - 同期噛合式歯車変速装置のシンクロナイザリング - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、周面に多数の突条または溝を設けたシンクロ
ナイザリングのコーン面をシンクロナイザコーンまたは
ギヤのコーン面に摩擦係合させて同期作用を行なう同期
噛合式歯車変速装置のシンクロナイザリングに関する。

このようなシンクロナイザリングを使用する同期噛合式
変速装置には、イナーシャロック型ピン式およびキ一式
（ワーナータイプ）があるが、第１図は、このうちのピ
ン式の装置を示す部分断面図である。

シンクロナイザハブ１の内周は、メーンシャフト２にス
プライン係合しており、その外周は、シフトフォーク３
により軸方向に移動させられるスリーブ４にスプライン
係合されている。

スリーブ４には両端にテーパー面を有する穴４ａが軸方
向に設けられ、この穴４ａにシンクロナイザピン５が挿
入されている。

シンクロナイザピン５には、その中央部に段部をテーパ
ー面５ａとした前記穴の長さより少し長い幅の凹段部が
形成されており、その両端部はそれぞれシンクロナイザ
リング６．７にリベット８，９で結合されている。

シンクロナイザリング６．７の外周部には、多数の突条
を有するコーン面６ａ、７ａが形成されている。

一方、シンクロナイザハブ１の図面において左側には、
クラッチシャフトと連結しているドライブギヤ１０が、
メーンシャフト２に緩く嵌合しており、このギヤにシン
クロナイザコーン１１がスプライン係合している。

シンクロナイザコーン１１の外周部内側には、シンクロ
ナイザリング６のコーン部６ａと対応するコーン面１１
ａが形成されている。

シンクロナイザハブ１の図面において右側には、セカン
ドギヤ１２が、メーンシャフト２に緩く嵌合されており
、このギヤに前記と同様なシンクロナイザコーン１３が
スプライン係合されている。

いま、シフトフォーク３によりスリーブ４をＡ方向に移
動させると、スリーブ４に挿入されたガイドピン（図示
されず）の作用で、シンクロナイザリング７が、シンク
ロナイザコーン１３に押しつけられ、この両者のコーン
面７ａと１３ａが接触して、シンクロナイザリング７に
シンクロナイザコーン１３の回転が伝えられる。

さらにスリーブ４をＡ方向に移動させると、スリーブ４
のテーパー面４ａとガイドピン５のテーパー面５ａが接
触して、シンクロナイザリング７をさらに強くシンクロ
ナイザコーン１３に押しつける。

これにより、シンクロナイザリング７とシンクロナイザ
コーン１３との回転速度が同じになると、テーパー面４
ａと５ａとの係合が外れて、スリーブ４はＡ方向に自由
に移動し、セカンドギヤ１２のスプラインと噛合い、同
期作用が終了する。

このような形式におけるシンクロナイザリングのコーン
面には、第２図に示すような突条が多数設けられている
。

この突条を通常トップランドというが、これは、最適な
摩擦係数を得ることと、潤滑油の油切れをよくするため
に設けられたものである。

しかしながら、従来のトップランドは、その断面形状が
台形をなしており、このため、トップランドが、摩擦係
合のため摩耗すると、相手側のコーン面との接触面積が
増加し、トップランドに付着する潤滑油の割合も多くな
る。

その結果、同期作用に必要な最適な摩擦係数が得られな
いことになり、同期作用が円滑に行ない得ないとともに
ギヤ鳴りが発生し、ひいては、シンクロナイザリングの
寿命が低下するおそれがある。

したがって、本考案の目的は、周面に多数の突条または
溝を設けたシンクロナイザリングのコーン面を相手側の
コーン面に摩擦係合させて同期作用を行なう同期噛合式
歯車変速装置において、常に最適な摩擦係数が得られる
ような、シンクロナイザリングを提供することにある。

上記目的に従って、コーン面の突条または溝を、突条ま
たは溝の幅を構成する面が互いに平行になるように形成
したシンクロナイザリングが提供される。

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明する。

第３図において、シンクロナイザリング２１は、それぞ
れが一様な厚さを有するフリクションプレート２２とプ
レート２３とを、接着剤またはリベット締めで積層とし
た積層板でコーン面を形成するように構成される。

フリクションプレート２２は、厚さちが０．１ｍｍから
０．３ｍ位の金属または有機摩擦材で形成され、プレー
ト２３は、厚さ糧が同様に０．１７Ｆｌ１７１から０．
３ｍｍ位の鉄系金属または銅合金で形成される。

シンクロナイザリング２１のコーン面は、第４図に示す
ように、突条を構成するフリクションプレート２２の周
縁部２２ａを高く、溝の底を構成するプレート２３の周
面２３ａを低く、その段差を０．５ｍ＋ｙ＋から１ｒｌ
ｒ！Ｉｔ位になるように成形され、フリクションプレー
ト２２のコーン面は研摩仕上げされる。

プレート２３の周面２３ａとプレート２２の周縁部２２
ａとで形成する溝は、同期作用時における潤滑油の油逃
げ溝の役目をする。

第３図に示すシンクロナイザリング２１は、イナーシャ
ロック型ピン式の装置に使用されるものであるが、イナ
ーシャロック型キ一式の装置に使用されるシンクロナイ
ザリングの場合は、第５図に示すようにスプライン部２
４の母材を合金鋼または他の鉄系材料で形成し、これに
、前記と同様にフリクションプレート２２とプレート２
３を積層して構成したコーン部材２５を嵌合せしめて構
成することができる。

これらの実施例においては、シンクロナイザリングのコ
ーン面を、それぞれが一様な厚さを有するフリクション
プレートとプレートとを段差を設けて交互に積層して形
成したので、この段差によって形成される突状または溝
の形状は、その幅を構成する面がそれぞれ平行になり、
コーン面がいくら摩耗してもその幅の寸法が変ることが
ない。

したがって、最適な摩擦係数を常に一定に保つことがで
き、摩擦係数の変化に起因する同期不良を防止できると
ともにシンクロナイザリングの寿命を長くすることがで
きる。

その他、本考案によるシンクロナイザリングは、本考案
の精神を逸脱しない範囲において、種々の実施例が考え
られ、歯車変速装置に限らず、円錐クラッチを使用する
種々の装置に適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案が適用される同期噛合式歯車変速装置
の一例を示す部分断面図、第２図は、従来のシンクロナ
イザリングのコーン面を示す部分断面図、第３図は、本
考案によるシンクロナイザリングの一例を示す部分断面
図、第４図は第３図の部分拡大断面図、第５図は、本考
案の別の実施例を示す部分断面図である。 １・・・・・・シンクロナイザハブ、２・・・・・・メ
ーンシャフト、３・・・・・・シフトフォーク、４・・
・・・・スリーブ、５・・・・・・シンクロナイザピン
、６，７・・・・・・シンクロナイザリング、１０・・
・・・・ドライブギヤ、１１，１３・・・・・・シンク
ロナイザコーン、１２・・・・・・セカンドギヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 周面に多数の突条または溝を設けたシンクロナイザリン
   グのコーン面をシンクロナイザコーンまたはギヤのコー
   ン面に摩擦係合させて同期作用を行なう同期噛合式歯車
   変速装置において、前記突条または溝を、周縁部で突条
   を構成する一様な厚さのフリクションプレートと、周面
   で上記突条間の溝の底を構成する一様な厚さのプレート
   を軸方向に、かつコーン面を形成するように順次積層し
   て形成したことを特徴とする同期噛合歯車変速装置のシ
   ンクロナイザリング。