JPH04116025U - シンクロナイザ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 変速終了後におけるシフティングキーの正規
位置への係止手段を設け、以てその寿命を増大させたシ
ンクロナイザ装置を提供する。 【構成】 本シンクロナイザ装置ではシフティングキー
５の上面中央に凹部５ｂが形成されている。そのため、
変速終了時にはこの凹部５ｂがシンクロナイザスリーブ
４端部の凸部４ａと嵌合し、シフティングキー５がシン
クロナイザスリーブ４により係止される。その結果、ス
プリング６による付勢力や遠心力が作用しても、シフテ
ィングキー５は図中左方向にずれなくなり、１速ギヤ９
側のシンクロナイザリング７とシンクロナイザコーン８
との接触による寿命低下が起こらなくなった。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車用変速機等に内蔵されるシンクロナイザ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車用変速機には、一般に、円滑な変速作動を行なわしめるためのシンクロ ナイザ装置が設けられている。 図２中、１は変速機内の動力伝達軸（インプットシャフトやアウトプットシャ フト等）であり、シンクロナイザ装置２の構成部材たるシンクロナイザハブ３が この動力伝達軸１にスプライン嵌合している。シンクロナイザハブ３の外周には シンクロナイザスリーブ４が摺動自在にスプライン嵌合しており、これらの間に 複数個（通常は３個）のシフティングキー５が摺動自在に介装されている。シフ ティングキー５は、その上面前後端にシンクロナイザスリーブ４下面前後端の凸 部４ａに嵌合する凹部５ａが形成される一方、前後２本のリング状のスプリング ６により外周方向に付勢されている。シンクロナイザスリーブ４の前後側面には 、内側にテーパ摩擦面７ａが形成されると共に外周にシンクロナイザスリーブ４ と嵌合するスプライン７ｂが形成されたシンクロナイザリング７が回転方向に多 少の遊びをもって嵌合している。

【０００３】 一方、動力伝達軸１のシンクロナイザハブ３の前後には、シンクロナイザコー ン８が嵌合・一体化された１速ギヤ９および２速ギヤ１０がそれぞれニードルベ アリング１１を介して回動自在に取付けられている。シンクロナイザコーン８の 外側にはシンクロナイザリング７のテーパ摩擦面７ａと嵌合するテーパ摩擦面８ ａが形成される一方、外周にはシンクロナイザスリーブ４とスプライン嵌合する クラッチスプライン８ｂが一体に形成されている。

【０００４】 図示例のシンクロナイザ装置では、２速への変速時に図示しないシフトフォー クによりシンクロナイザスリーブ４を図中右方向に付勢する。すると、シフティ ングキー５もこれと一体に移動してシンクロナイザリング７をシンクロナイザコ ーン８に押圧する。シンクロナイザリング７とシンクロナイザコーン８との嵌合 面はそれぞれテーパ摩擦面７ａ，８ａが形成されているために円錐クラッチとし て作用して摩擦トルクを発生する。この摩擦トルクにより、シンクロナイザリン グ７は前述した遊びの分だけ回転し、シンクロナイザスリーブ４とスプライン４ ａ，７ａのピッチにして１／４だけずれた状態となる。

【０００５】 シンクロナイザスリーブ４が更に右方向に進むと、シフティングキー５はシン クロナイザリング７に当接することにより進行を阻止される。この状態ではシン クロナイザスリーブ４とシンクロナイザリング７とのスプライン４ａ，７ａが１ ／４ピッチずれているため、両者は面取り部で押し合い、力の伝達が行なわれる 。その結果、前述した円錐クラッチの作用によって、シンクロナイザスリーブ４ とシンクロナイザリング７、すなわち動力伝達軸１と２速ギヤ１０の相対速度差 がなくなり、同期が行なわれるのである。そして、シンクロナイザスリーブ４と シンクロナイザリング７とが等速になると、シンクロナイザスリーブ４がシンク ロナイザリング７のスプライン７ａを通過し、図３に示すようにクラッチスプラ イン８ｂに嵌合して変速が終了するのである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上述した従来のシンクロナイザ装置には次の不具合があった。 変速終了後において、シフティングキー５にはスプリング６による外周方向へ の付勢力と、動力伝達軸１と一体に回転することによる遠心力とが作用する。そ のため、時として図４（図３中、Ａ部拡大視）に示すように、シフティングキー ５が破線で示す正規の位置から実線で示すように左上方にずれ、１速側のシンク ロナイザリング７を押圧してしまうことがあった。その結果、シンクロナイザリ ング７が相対回転するシンクロナイザコーン８に接触し、長時間の運転により互 いのテーパ摩擦面７ａ，８ａが磨耗してしまうことがあった。 本考案は上記状況に鑑みなされたもので、変速終了後におけるシフティングキ ーの正規位置への係止手段を設け、以てその寿命を増大させたシンクロナイザ装 置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

そこで本考案ではこの課題を解決するために、シンクロナイザスリーブの下面 前後端に設けられた凸部に嵌合する凹部がシフティングキーの上面中央に形成さ れたことを特徴とするシンクロナイザ装置を提案するものである。

【０００８】

【作用】

変速終了時に、シフティングキーの凹部にシンクロナイザスリーブの凸部が嵌 合し、シフティングキーの正規位置への係止が行われる。

【０００９】

【実施例】

図１には本考案に係るシンクロナイザ装置の一実施例を要部拡大縦断面により 示してある。 同図に示すように、本実施例のシンクロナイザ装置ではシフティングキー５の 上面中央に凹部５ｂが形成されている。そのため、変速終了時にはこの凹部５ｂ がシンクロナイザスリーブ４端部の凸部４ａと嵌合し、シフティングキー５がシ ンクロナイザスリーブ４により係止されるようになった。その結果、スプリング ６による付勢力や遠心力が作用しても、シフティングキー５は図中左方向にずれ なくなり、１速ギヤ９側のシンクロナイザリング７とシンクロナイザコーン８と の接触による寿命低下が起こらなくなった。尚、この実施例は１速ギヤ９と２速 ギヤ１０間のシンクロナイザ装置についてのものであるが、他の部位に設けられ るシンクロナイザ装置にも当然に適用可能である。

【００１０】

【考案の効果】

本考案に係るシンクロナイザ装置によれば、シンクロナイザスリーブによって 変速終了後のシフティングキーを係止するようにしたため、シフティングキーが 正規の位置からずれることに起因するシンクロナイザリングやシンクロナイザコ ーンの磨耗が防止されるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す要部拡大縦断面図であ
る。

【図２】従来のシンクロナイザ装置を示す半裁縦断面図
である。

【図３】従来装置の変速終了後の状態を示す半裁縦断面
図である。

【図４】図３中、Ａ部拡大図である。

【符号の説明】

１ 動力伝達軸 ２ シンクロナイザ装置 ３ シンクロナイザハブ ４ シンクロナイザスリーブ ４ａ 凸部 ５ シフティングキー ５ｂ 凹部 ７ シンクロナイザリング ８ シンクロンナイザコーン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シンクロナイザスリーブの下面前後端に
   設けられた凸部に嵌合する凹部がシフティングキーの上
   面中央に形成されていることを特徴とするシンクロナイ
   ザ装置。