JPS6040372Y2 - ベルト巻取り装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、シートベルトを自動的に巻き取るためのベル
ト巻取り装置に関するもので、シートベルト装着時のベ
ルト巻取り力を減少せしめて乗員に加わる圧迫感を軽減
するようにしたものである。

この種の装置は例えば特開昭５４−１０００２３号公報
によって知られている。

この装置の場合には、装着のためにベルトを引出してト
ングとバックルを結合すると、ソレノイド装置と遊星歯
車装置によって巻取り軸がベルト巻取り方向には回転で
きなくなる。

従って、ベルト巻取り方向の張力が全く無くなり、不快
な圧迫感が回避される。

しかし、バックルとトングを結合したときのベルト引出
し量が概して長すぎ、かつその状態でベルトの巻取りが
阻止されるので、ベルトがたるんで乗員に密着しない。

従って、この公知のテレジョンレス型装置は、ベルトに
よる圧迫感は無いが、ベルトの装着性が悪く、乗員を確
実に拘束保護することができない。

更に、ベルト装着状態において、ベルト引出し方向のベ
ルト張力は減少せずにそのままであるので、乗員は動き
にくい。

本考案の目的は、上記欠点のないベルト巻取り装置を提
供することである。

以下、図を参照して本考案の実施例を詳説する。

１はベルト巻取り装置のコ字状のフレームで、その側板
１ａ、ｌｂにはシャフト２が回転可能に支承されている
。

この側板の一方１ａには、周知の緊急時ベルトロック機
構を収納するためのケース３が取付けられている。

４は、図示していないシートベルトの一端を固着してい
る巻取リリールであり、これは両側板１ａ、ｌｂ間のシ
ャフト部分に固定されている。

５は、側板１ｂとケース６の間に挟持された保持板で、
後述の爪レバー７を回転可能に支承するためのピン８を
備えている。

９は前記シャフト２に遊嵌されているラチェットで、そ
の側壁９′の一方の側には、遊星歯車１０．１１を回転
可能に支承するピン１２．１３が取付けられている。

このピン１２．１３は反対側でキャリア１４によって保
持されている。

１５は太陽歯車であって、前記シャフト２の切取り部２
′に嵌着されたシャフト２と共に回転する。

この太陽歯車１５は前記の内側の遊星歯車１０とかみあ
う。

１６は弱いばねであって、その内端はキャリア１４の中
央突起１４′に取付れられ、外端は内歯歯車１７に設け
たピン１８（第２図参照）に取付けられている。

内歯歯車１７は前記の外側の遊星歯車１１とかみ合って
いる。

１９は内歯歯車１７をシートベルト巻取り方向に付勢す
るベルト巻取りばねで、その内端は内歯歯車１７の中央
部分１７′に、そして外端はケース６に取付けられてい
る。

このケース６は前記部材７〜１９とソレノイド装置２０
を覆っている。

２１はプランジャーであって、ソレノイド装置２０の消
磁時にばね２２の作用により吐出し、励磁時にばね２２
に抗して引込む。

プランジャー２１が引込むと、爪レバー７がピン８を中
心に上方へ回転してラチェット９に係合する。

前記ソレノイド装置２０の励磁は、例えばバックル、ド
ア、シート等に取付けられたスイッチによって制御され
る。

このスイッチはバックル、ドア、シート等の操作、運動
、負荷等に応じて切換えられる。

次に、上記構造のベルト巻取り装置の作動について説明
する。

シートベルトが全量巻取られた状態では、爪レバー７が
ラチェット９から離脱し、補助はね１６が完全に巻取ら
れている。

この場合、ベルト巻取り用ばね１９のばね力が内歯歯車
１７、遊星歯車１１．１０および太陽歯車１５を介して
シャフトに作用している。

この状態から、シートベルト装着のためにシートベルト
２３を矢印２４の方向へ引き出すと、シャフト２と太陽
歯車１５が第３図において時計回りに回転する。

その際、補助ばね１６が完全に巻取られているので、遊
星歯車１０．１１と内歯歯車１７は相対的に回転するこ
とができない。

従って、太陽歯車１５と遊星歯車１０，１１と内歯歯車
１７は第３図のかみ合い状態を維持したまま一体的に回
転する。

シートベルト２３を必要量引き出してシートベルト自由
端のトングをバックルに挿着すると、バックルに取付け
られたスイッチが閉じ、前記ソレノイド装置２０が励磁
される。

これにより、プランジャー２１が引込んで爪レバー７が
ラチェット９に係合するので、このラチェットの反時計
回りの回転およびこのラチェットにピン１２．１３を介
して支承されている遊星歯車１０．１１の反時計回りの
公転が阻止される。

この状態から、シートベルト２３は乗員に接触するまで
巻取られる。

すなわち、ばね１９の作用により、内歯歯車１７が反時
計回りに回転し、遊星歯車１１と１０が公転せずにそれ
ぞれ反時計回りと時計回りに自転し、そして太陽歯車１
５およびシャフト２が速い速度で反時計回りに回転して
、シートベルト２３を巻取る。

この太陽歯車の増速により、ばね１９に依るシャフト２
のトルクが減少し、シートベルト２３の巻取り力が弱ま
るので、シートベルトによる圧迫感が軽減される。

なお、この圧迫感軽減時に補助ばね１６もばね１９と同
様に減張する。

この状態で乗員が前方へ動いてシートベルト２３を矢印
２４の方向へ引き出すと、シャフト２と太陽歯車１５が
時計回りに、遊星歯車１０．１１それぞれ反時計回りと
時計回りに、モして内歯歯車１７が時計回りに回転する
。

この場合もシャフト２が内歯歯車１７よりも速く回転す
るので、ばね１９に依るシャフト２のトルクが小さい。

従ってシートベルト装着時において乗員は容易に働くこ
とができる。

なお、このとき補助ばね１６は巻締められる。

次に、シートベルト２３の装着を解除するために、トン
グをバックルからはずすと、バックルに取付けたスイッ
チが開放し、ソレノイド装置２０が消磁される。

これにより、プランジャー２１がばね２２の作用で吐出
し、爪レバー７を回転させてラチェット９との係合を解
除する。

それによって、キャリア１４とラチェット９がばね１９
の作用で反時計方向に高速で回転し、減張していた補助
ばね１６を巻締める。

補助ばね１６が最後まで巻締められると、内歯歯車１７
と遊星歯車１０゜１１が相対的に回転することができな
いので、内歯歯車１７．遊星歯車１０，１１、キャリア
１４、ラチェット９および太陽歯車１５がばね１９の作
用により反時計回りに一体的に回転してシートベルト２
３を巻取り、シートベルト装着前の前記状態に戻る。

以上のように本考案では、遊星歯車装置の変速機能を利
用してシートベルトの巻取り力を変えるようにしたので
、シートベルト装着時の圧迫感が軽減され、ベルトが適
正に装着され、そしてベルト引き出し方向のベルト張力
も減少するので乗員が容易に動くことができ、更に巻取
り装置を非常に簡単にかつコンパクトに構成することが
できるというすぐれた効果がある。

更に、補助ばねの長さを変更するだけで、シートベルト
巻取り力軽減範囲を任意に設定することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の分解図、第２図は、緊急時ベ
ルトロック機構およびそのケースを省略した第１図に依
る実施例の縦断面図、第３図は第２図の■−■線に沿っ
た断面図である。 図中符号、１・・・・・・フレーム、２・・・・・・シ
ャフト、７・・・・・・爪レバー ９・・・・・・ラチ
ェット、１０，１１・・・・・・遊星歯車、１４・・・
・・・キャリア、１５・・・・・・太陽歯車、１６・・
・・・・ばね、１７・・・・・・内歯歯車、１９・・・
・・・巻取りばね、２０・・・・・・ソレノイド装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フレーム１に回転可能に支承されたベルト巻取り用シャ
   フト２、 このシャフトに固着された太陽歯車１５、キャリア１４
   に回転可能に支承された前記太陽歯車に噛み合う遊星歯
   車１０、 同様にキャリアに回転可能に支承された前記遊星歯車に
   噛み合う他の遊星歯車１１゜ 前記遊星歯車１１に噛み合う回転自在の内歯歯車１７、 一端がフレーム１に固定されたケース６にモして他端が
   前記内歯歯車１７に取りつけられ、内歯歯車をベルト巻
   取り方向に付勢するベルト巻取りは゛ね１９、 一端が内歯歯車にモして他端が前記キャリア１４に固定
   されたばね１６、および、ベルト装着のためのバックル
   とトングを結合したときに、キャリア１４の回転ひいて
   は遊星歯車１０．１１の公転を阻止する手段２０，７．
   ９を備えたことを特徴とするベルト巻取り装置。