JPS603709Y2 - コンバインの穀稈案内板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は刈取り搬送された殻稈を脱穀部へ案内するコン
バインの殻稈案内板に関するものである。

従来の技術 一般にコンバインの構造は第１図に示すように刈取部１
と脱穀部２および走行部３とからなり、このうち刈取部
１は圃場の殻稈を掻き分ける分草体４と、その後方にあ
って倒伏殻稈を垂直状態に引起す引起し装置５と、引起
された殻稈を刈取る刈り刃６と、刈取られた殻稈を垂直
状態から水平状態に姿勢変更させながら搬送する搬送装
置７等により構成されている。

したがって、搬送された殻稈は、搬送装置７の終端部に
おいてその根元を脱穀部２のフィードチェーン８に引継
がれ、また穂先は扱き室９の供給口へ導かれる。

脱穀部２にフィードチェーン８に対接する挾扼杆１０が
設けられており、この挾扼杆１０とフィードチェーン８
とによって殻稈を挾持して搬送し脱穀が行なわれる。

このような刈取り脱穀作業においては、殻稈の搬送途中
に殻稈から穀粒が脱落したり、あるいは脱穀時に穀粒が
機外へ飛散してロスとなることが多い。

ことに、搬送装置７の終端部から脱穀部２への殻稈引継
ぎ箇所においては、殻稈の穂先に対する摺動抵抗が大き
いために脱粒し易く、□また脱穀された穀粒が圧風によ
って扱き室９の入口から飛散されることが多いので、こ
の箇所には従来より入口漏斗が設けられており、殻稈の
引継ぎを容易にするとともに、飛散粒を受は止める役目
をしている。

ところが、この入口漏斗と搬送装置７終端部とは、搬送
装置７の終端部が上下動することからこれらを密着させ
ることができず、この隙間からの飛散粒を完全に防止す
ることができなかった。

そこで、このような飛散粒を阻止する装置として実開昭
５２−１２４９６３号公報に示すような殻稈案内板が提
案されている。

この装置は穂先搬送装置の先端と脱穀室の供給口との間
に、上方および後方が開口する塵取状の案内板を掛は渡
たし前後端部を固定したものである。

したがって、穂先搬送装置の上下動に追随して伸縮する
ように、両側板にはひだが設けられている。

考案が解決しようとする問題点 しかし、従来の案内板においては、前方および上方を開
口し両側板にひだを設ける形状であるため、大型製品の
成形加工を行なう必要から製造コストが嵩むばかりか、
殻稈が常時摺接する側縁部が切れやすいという欠点があ
る。

また、殻稈が摺接する側板にひだが設けられ、かつ当該
部分が伸縮するような弾性を有するため、殻稈の摺動が
円滑に行なわれないために殻稈の姿勢が乱れ的確な脱穀
がなされ難くなるという不具合もある。

本考案はこれらの不具合を一挙に解決すべくなされたも
のである。

問題点を解決するための手段 この考案に係るコンバインの殻稈案内板は、上向きコ字
状に形成され穂先搬送装置のチェーンケース終端部下側
に取付けられる取付板と、この取付板に添って断面コ字
状に折曲げ形成されさらに一方の立縁が下方へ折返した
折曲げ部によって二重に形成された可撓性材料からなる
案内板本体とによって構成される。

実施例 第２図ないし第５図は本考案に係る殻稈案内板を示し、
第２図はその斜視図、第３図は一部を破断して示す斜視
図、第４図は立縁の断面図、第５図は縦断面図である。

これらの図において、刈取部の搬送装置７は殻稈１１の
根元を挾持する根元搬送装置１２と、その上方に概ねこ
れと平行して装架されて殻稈１１の穂先を送る穂先搬送
装置１３とによって構成されている。

根元搬送装置１２の終端部は脱穀部２のフィードチェー
ン８始端部に臨んでおり、また穂先搬送装置１３の終端
部は脱穀部２の扱き室９人口に設けられた受皿状の入口
漏斗１４に近接してその斜め上方に臨んでいる。

搬送装置７全体は図示しない刈高さ調整等によって前後
動を伴った上下動をするので、これにより両搬送装置１
２．１３の終端部とフィードチェーン８および入口漏斗
１４との相対位置が変化する。

前記穂先搬送装置１３は、多数のラグ１５を備えて走行
する穂先チェーンとこれを収納するチェーンケース１３
ａとにより構成されており、このチェーンケース１３ａ
の終端部下側に本考案に係る殻稈案内板１６が取付板１
７を介して取着されている。

この殻稈案内板１６は、可撓性材料であるゴムシートか
らなる案内板本体１６ａの両側端に上方へ向って突出す
る立縁１６ｂおよび１６ｃを設けることによって断面概
ねコ字状に折曲げ形成されている。

また取付板１７はその断面形状が殻稈案内板１６と概ね
同形であって、殻稈案内板１６の基部裏面に螺着されて
おり、その片側の立縁は逆Ｕ字状に折返すことによって
形成された殻稈案内板１６の立縁１６ｂに挾持されてい
る。

すなわち、殻稈案内板１６は裁断された１枚のゴムシー
ト１６ａを取付板１７に添って折曲げることによって上
向きコ字状に形成し、さらに一方の側端部を取付板１７
の立上り部に添って下方へ折返すことにより殻稈根元側
の立縁１６ｂを二重にしている。

この立縁１６ｂは、その高さを脱穀部２側に向うに従っ
て低くなるごとく傾斜して形成されている。

そして殻稈案内板１６は、取付板１７により穂先搬送装
置１３のチェーンケース１３ａの先端部下側に取付けら
れ、穂先搬送装置１３の上下動にか）わらずその先端部
が常に入口漏斗１４の上面に弾性的に対接するごとく長
さおよび取付角度が設定されている。

以上のごとく構成されたコンバインにおいて、搬送装置
７によって搬送された殻稈１１は、搬送途中において概
ね水平方向に姿勢変更され、搬送終端部においてその根
元はフィードチェーン８と挾扼杆１０とに引継がれ、ま
た穂先は穂先搬送装置１３から開放される。

モして殻稈１１は、根元を挾持されて搬送され、その中
央部は殻稈案内板１６の立縁１６ｂの折曲げられた上端
縁に沿って滑行するが、この立縁１６ｂは傾斜状に形成
されているので、殻稈１１の穂先は搬送とともに次第に
下り入口漏斗１４の上面に引継がれ、入口漏斗１４上を
滑行して扱き室９へ供給される。

このようにして搬送され脱穀部２に引継がれる殻稈１１
からは、扱き室９人口での摺接抵抗や、殻稈１１相互間
の弾撥によって穀粒が脱落し、また脱穀による風圧によ
って穀粒が扱き室９人口より飛散するが、これらの穀粒
はすべて殻稈案内板１６または入口漏斗１４上に落下す
る。

そして殻稈案内板１６はその保有する可撓性によって常
に入口漏斗の上面に密着しているので、穀粒がその下方
へ落下することがない。

さらに殻稈案内板１６の両側部には立縁１６ｂ、１６ｃ
が設けられているために、殻稈案内板１６上の穀粒は側
方へ向っても落下することがないし、また立縁１６ｂは
その上端縁が傾斜していても、入口漏斗１４と重ならな
い箇所では充分な高さを有しているので、穀粒の落下防
止を妨げるものではない。

そしてまた、殻稈案内板１６を設けることにより、穂先
搬送装置１２を離れた殻稈１１の穂先が従来のように入
口漏斗の始端部に当接して抵抗を受けるということがな
いので、脱粒が減少する。

なお、本実施例においては案内板本体１６ａをゴムシー
トによって形成したが軟質の合成樹脂や繊維製のシート
等を用いてもよいことは云うまでもない。

考案の効果 以上の説明により明らかなように本考案によれば、上向
きコ字状に形成された取付板１７に添って可撓性シート
を折曲げ形成することにより殻稈案内板が構成できるか
ら、成形加工を必要とせずしたがって低コストで製造で
きる。

また殻稈が摺接する案内板の一方の立縁１６ｂが折曲げ
形成され二重構造となっているから、姿勢を乱すことな
く殻稈を円滑に滑動させて脱穀部に送ることができ、ま
た当該部分が強化されているため損傷が生じにくいとい
う利点もある。

またこの殻稈案内板によれば、搬送装置の上下動にか）
わらず常に入口漏斗に密着しているので、脱穀部への引
継時における搬送抵抗を少くして穀粒の脱落を減少させ
るとともに、この脱粒ならびに脱穀による飛散粒をすべ
て殻稈案内板および入口漏斗で受は止め、かつ殻稈案内
板両側の立縁によって下方への落下を係止するので、脱
粒ならびに飛散粒は完全に回収され、穀粒ロスの減少に
対する効果も期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はコンバインの側面図、第２図ないし第５図は本
考案に係るコンバインの殻稈案内板を示し、第２図は斜
視図、第３図は一部を破断して示す斜視図、第４図は立
縁の断面図、第５図は縦断面図である。 ２・・・・・・脱穀部、１１・・・・・・殻稈、１３・
・・・・・穂先搬送装置、１３ａ・・・・・・チェーン
ケース、１４・・・・・・入口漏斗、１６・・・・・・
殻稈案内板、１６ａ・・・・・・案内板本体、１６ｂ、
１６Ｃ・・・・・・立縁、１７・・・・・・取付板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上向きコ字状に形成され穂先搬送装置１３のチェーンケ
   ース１３ａの終端部下側に取付けられる取付板１７と、
   この取付板１７に添って断面コ字状に折曲げ形成され先
   端部が脱穀部入口漏斗１４上に対接する可撓性材料より
   なる案内板本体１６ａとからなり、この案内板本体１６
   ａの両側に形成された上方向へ向う立縁１６ｂ、１６ｃ
   のうち殻稈根元側の立縁１６ｂは、下方へ折返した折曲
   げ部によって二重に形成され、かつその高さが脱穀部２
   側に向うに従って低くなるように傾斜して形成されてい
   ることを特徴とするコンバインの殻稈案内板。