JPS6034330Y2 - 濾紙エレメント - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、オイル等の液体を濾過するフィルタの濾紙
エレメントに関し、特に平板状濾紙エレメントを多数枚
積層した組立体を有するフィルタに適する濾紙エレメン
トに関するものである。

従来より、円形あるいは多角形状の平板濾紙エレメント
の中心部に透孔を穿設し、これを多数枚積層し円筒状の
フィルタ組立体とし、この組立体の外周縁より濾過すべ
きオイル等の液体を流入し、濾紙エレメントの透孔を上
下方向に連通させることで形成した外部抽出路に濾過液
を流出せしめる、フィルタ装置が各種提供されている。

通常これらの装置においては、上記フィルタ組立体の外
周縁の１次側と、上記外部抽出路からなる２次側の圧力
差を利用して、濾過すべき液体を濾紙エレメント内を浸
透通過させることで清浄にするものである。

ところで、上述した従来のフィルタ装置に用いられてい
る濾紙エレメントには、円形、多角形あるいは透孔の囲
りに複数の放射状の突片を形成したもの等各種提供され
ている。

しかしながら、このような濾紙エレメントは、上述した
１次側と２次側の圧力差を有効に利用しておらず、この
ため濾紙エレメントが濾過機能を保有しているにもかか
わらず、取替えあるいは破棄されていた。

すなわち、上述の円形あるいは多角形の濾紙エレメント
においては、１次側と２次側の距離が長いため圧力差が
有効に作用しておらず、放射状の突片を形成したものに
おいても、内周部と透孔間については、距離が短いため
比較的圧力等が有効に作用しているが、放射状の突片と
透孔間は前記円形タイプのと同様に圧力差が有効に利用
されていなかった。

また実公昭２８−７３８５号公報や、特公昭４４−２９
３６号公報に示すように多数枚積層した板に内・外周を
連通する放射状溝を設け、この溝をフィルタとして用い
る構造もある。

しかし、この構造を濾紙エレメントに適用した場合には
、濾紙自体の濾過特性を無視した構造となり、微細濾過
には不適当なものとなる。

この考案は以上の背景に基づきなされたもので、濾紙エ
レメントの濾過特性に基づき濾過作用を行なうとともに
、一次側と二次側の距離にかわらず、濾過液を円滑に流
出させることができる濾紙エレメントを提供することに
ある。

以下にこの考案の好適な実施例について、添附図面を参
照し説明する。

第１図から第４図は、この考案に係る濾紙エレメントの
一実施例を示すものである。

同図に示す濾紙エレメントは、第１図に示すようなフィ
ルタ装置に使用される。

このフィルタ装置は、上端の開口したケース１０と、こ
れを蓋するキャップ１２及び後述する濾紙エレメント３
０を積和したフィルタ組立体１４とからなり、前記キャ
ップ１２には濾過すべきオイル等の液体が流入される流
入口１６と、濾過後の液体を外部に流出する流出口１８
が設けられており、前記フィルタ組立体１４は下端のエ
ンドプレート２０を介してコイルバネ２４でもって上方
に付勢されており、外部より前記流入口１６より流入し
た液体は、黒矢印で示すように、ケース１０とフィルタ
組立体１４の外周縁間に導入され、濾紙エレメント３０
を通過する際に濾過された後、フィルタ組立体１４の中
心部に形成された抽出路２４から流出口１８と流れ白矢
印に示すように外部に流出する。

そして、この考案に係る濾紙エレメントは、上述した従
来のものに対し以下に述べるような特徴を有するもので
ある。

すなわち、上記濾紙エレメント３０は、略中心部に円形
の透孔３２が穿設されるとともに、この透孔３２の全周
を取り囲む内周部３４から半径方向に放射状に延長する
４本の細幅な第１の突片３６と該突片３６より幅広で扇
状をなす２本の第２の突片３８が所定間隔でもって形成
されており、これらの突片３６，３Ｂには積層する際に
ボルト等で上記エンドプレート２０に固定するための小
孔４０が穿設されている。

さらにこの濾紙エレメント３０の上面には、上記透孔３
２と一端が連通し且つ濾紙エレメント３０の外周縁に向
かって放射状に延長する２条の平行な凹溝４２が上記第
１の突片３６にはその幅を３分割するように、また上記
第２の突片３８には左右の側端に隣接して形成されてお
り、この凹溝４２の形成は濾紙エレメント３０をプレス
等によって圧縮することでなされたものである。

この場合、注意すべきことは凹溝４２の外端部を濾紙エ
レメント３０の周端縁まで到らしめないことである。

さて、上述のように構成した濾紙エレメント３０を多数
枚積層しフィルタ組立体１４とした場合においては、上
記透孔３２でもって形成される２次側の抽出路２４の圧
力は、上記凹溝４２に伝達され、フィルタ組立体１４の
外周縁の１次側と比較的短い距離を隔てて位置すること
となり、内周部３４における１次−２次の位置的関係は
、内周部３４だけでなく放射状に延長された突片３６゜
３８にも形成され、圧力差を濾紙エレメント３０のほぼ
全面において有効に作用させることができる。

このため濾紙エレメント３０の濾過機能を有効に利用で
きることとなる。

また、プレス等の圧縮により形成された凹溝４２は、そ
の底面において濾紙エレメント３０の密度が大きくなる
ため、凹溝４２を横断する方向の液体の浸透を困難にし
、このため濾紙エレメント３０内を浸透する濾過液は、
凹溝４２の外側に沿って上記透孔３２の方向に流れるこ
とになり、濾過液の通路として機能し、濾過液の浸透通
過はスムーズになされる。

第３図は、この考案に係る濾紙エレメント３０の他の実
施例を示すものであり、その特徴点についてのみ説明す
ると、上記凹溝４２を断面Ｖ字形に切除して形成したと
ころにある。

このように構成した場合においても、上述した１次側と
２次側の圧力差を濾紙エレメント３０のほぼ全面に亘っ
て有効に作用されることができるとともに、このＶ字形
の凹溝４２内が濾過後の通路として機能することになり
、濾過効率を上げることができる。

尚、この考案の実施が上記した濾紙エレメント３０の形
状に限られるものではなく、外形の輪郭が多角形のもの
や同一形状の放射状突片を多数形成したもの等について
も、上述した効果を奏することができる。

以上のようにこの考案は、積層型フィルタの濾紙エレメ
ントにおいて、濾紙エレメント上に一端が中心部の透孔
と連通し且つこの濾紙エレメントの外周縁に向かって放
射状に延長する凹溝を形威し、該凹溝の外端部を濾紙エ
レメントの外周より内側に位置させたことにより１次側
と２次側の圧力差を濾紙エレメントの広範囲に伝達する
ことができ、濾紙エレメントの有する濾過機能を有効に
発揮させるとともに、前記凹溝が濾過液の通路として機
能するため濾過効率をも向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る濾紙エレメントを使用したフィ
ルタ装置の断面図を示すものである。 第２図はこの考案に係る濾紙エレメントの一実施例を示
すもので、第２図ａは斜視図、第２図すは第２図ａにお
けるＡ−Ａ線拡大断面図である。 第３図は、この考案に係る濾紙エレメントの他の実施例
を示すもので、第３図ａは斜視図、第３図すは第３図ａ
におけるＡ−Ａ線拡大断面図である。 １０・・・・・・ケース、１４・・・・・・フィルタ組
立体、２４・・・・・・抽出路、３０・・・・・・濾紙
エレメント、３６・・・・・・第１の突片、３８・・・
・・・第２突片、４２・曲・凹溝。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１） 中心部に透孔を穿設した平板状の濾紙エレメ
   ントを多数枚積層した組立体の外周縁より濾過すべき液
   体を流入し該透孔で形成した外部抽出路から濾過液を流
   出するようにしてなるフィルタにおいて、該濾紙エレメ
   ント上に一端が該透孔と連通しかつ該濾紙エレメントの
   外周縁に向かって放射状に延長する凹溝を形成し、該凹
   溝の外端部を濾紙エレメントの外周より内側に位置させ
   たことを特徴とする濾紙エレメント。
2. （２）前記凹溝を前記濾紙エレメント上に圧縮形成した
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   濾紙エレメント。
3. （３）前記凹溝を前記濾紙エレメント上に断面■字形に
   切除して形成したことを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の濾紙エレメント。