JPS6234571Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は液体を濾過するためのフイルタに係
り、特に自動車等の潤滑油を濾過するために好適
なフイルタに関する。

従来技術による自動車等のためのオイルフイル
タにおいては、濾材として濾紙を使用するものお
よびフエルト状の濾材を使用するものが知られて
いる。後者においては、多数の通油孔を有する円
筒状の内側プロテクタと、多数の通油孔を有して
内側プロテクタと同心に配置された円筒状の外側
プロテクタとの間にフエルト状の層濾材が充填さ
れ、上下に端板を接着或いは加締めて取付けるこ
とによりフイルタ装置が形成されている。

しかしながら、このような従来技術によるフイ
ルタにおいては、内外のプロテクタの間に挿入さ
れたフエルト状の濾材はその密度が均一のため、
液体すなわち潤滑油の流れが均一になる。従つ
て、部分的に効率の高い層を設け、他の部分で流
れ速度を上げるバイパス作用を行わせるためには
異種の濾材の組合せが必要で、そのため接続部か
らの洩れが起る可能性が高く、又信頼性を上げる
ためにはコスト高になる欠点がある。

更に、異種の濾材を組合せる場合、密層と粗層
とのバランスをとり、最適濾材構成を決めるため
には多大の工数を要する。

本考案の目的は前述の欠点を除去し、簡単な構
造でしかも効果的にバイパス層すなわち粗層を形
成することができるフイルタを得ることである。

本考案によるフイルタは、液体が通過する多数
の孔を有する筒状の内側プロテクタと、液体が通
過する多数の孔を有して内側プロテクタの外側に
配置された外側プロテクタと、自由状態ではほぼ
均一な密度と厚さとを有するほぼ円筒状の濾材に
して内側プロテクタと外側プロテクタとの間に挿
入された濾材とを有し、内側プロテクタと外側プ
ロテクタとの少くともいづれか一方には複数個の
凸部が設けられ、前記濾材はこれらの凸部によつ
て極部的に圧縮されて密層部を形成し、他の圧縮
されていない部分が粗層部を形成している。

次に、添付図面を参照して本考案の好適実施例
を説明する。

図示された実施例は本考案を自動車用オイルフ
イルタに適用したものであり、同心に配置された
筒状の内側プロテクタ１および外側プロテクタ２
と、これらの間に挿入された筒状をなした層状の
濾材３とを有する。

内側プロテクタ１は複数個の長手方向の凸部１
Ａと凹部１Ｂとを有する筒状を為し、その側部に
は多数の通油孔９が形成されている。

外側プロテクタ２はほぼ円筒状をなし、その側
部には多数の通油孔８が形成されている。

内側プロテクタ１と外側プロテクタ２との間に
挿入された濾材３は繊維を圧縮して層状となした
ものであり、自由状態ではほぼ均一な密度と厚さ
とを有する円筒状をなし、内側プロテクタ１と外
側プロテクタ２との間に充填されたときには、内
側プロテクタ１の凸部１Ａによつて極部的に圧縮
されて密層部１１を形成し、これらの密層部１１
の間に粗層部１２が形成されている。

外側プロテクタ２の一方の端部には、中央に通
油口が形成された立上り部４Ａを有するエンドプ
レート４が嵌装され、外側プロテクタ２の他方の
端部には中央に円形の凸部５Ａが形成されたエン
ドプレートが嵌装されている。

以上の如く組立てられた内側プロテクタ１と、
濾材３と外側プロテクタ２とは一端が開放された
ケース６内に収容されている。この場合、内側プ
ロテクタ１の端部はエンドプレート５の凸部５Ａ
に第２図に示すように嵌合されて位置決めされて
いる。又、エンドプレート５の凸部５Ａの反対側
の凹部にはばね１５が着座している。

ケース６の開放された端部には、シールリング
１４を支持してケース６の縁部に加締められた環
状部材１６と、エンジン側に取付けられるねじ部
が内側に形成されたアウトレツト１０を形成する
中央のカラー１０Ａを有し且つその周囲にインレ
ツト７が形成されて環状部材１６に液密に溶接さ
れた円板１７とが装着されている。

円板１７の裏側にはゴム製の環状の逆止弁１３
が設けられ、その内周部附近が内側プロテクタ１
の立上り部４Ａと円板１７との間で液密に挟持さ
れている。又、逆止弁１３の下方には第４図に示
す如き板ばね１８が配置されている。

以上の如き構造を有するオイルフイルタにおい
て、潤滑油は複数個のインレツト７からケース６
と外側プロテクタ２との間に入り、通油孔８から
濾材３に達し、ここで濾過されてから通油孔９を
通つて内側プロテクタ１に入り、アウトレツト１
０からエンジン側に供給される。潤滑油が濾材３
を通過するとき、内側プロテクタ１の凸部１Ａと
外側プロテクタ２とによつて圧縮された密層部１
１では油の流速が小さく、内側プロテクタ１の凹
部１Ｂと外側プロテクタ２との間の粗層部１２に
おいては流速が大となり、密層部１１ではスラジ
の捕捉効果が大きく、粗層部１２ではバイパス効
果により寿命を延長する効果をもたらすため、総
合的には単一密度のものよりも効率を高くし且つ
寿命を延ばすことができる。

以上の実施例においては、凸部１Ａと凹部１Ｂ
とが内側プロテクタ１にのみ形成されているが、
このような凹凸部を外側プロテクタ２に形成或い
は両者に形成することも可能である。

又、凸部１Ａは図示実施例では５個の突条とし
て示されているが、その数並びに形状は図示のも
のに限定されることなく５個以下又は５個以上と
することが可能であり、突条に限らず他の形状を
とることも可能である。又、内側プロテクタ１を
外側プロテクタ２に関して偏心することによつて
濾材３に部分的な密度差をもたせることもでき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるオイルフイルタを示す一
部切欠き斜視図、第２図は第１図の線−にお
ける断面図、第３図は第１図および第２図に示さ
れたオイルフイルタに使用される内側プロテクタ
の斜視図、第４図は第１図に示されたオイルフイ
ルタに使用される板ばねの斜視図である。 １……内側プロテクタ、１Ａ……凸部、１Ｂ…
…凹部、２……外側プロテクタ、３……濾材、６
……ケース、７……インレツト、８，９……通油
孔、１０……アウトレツト、１１……密層部、１
２……粗層部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 液体を濾過するためのフイルタにおいて、液体
   が通過する多数の孔を有する筒状の内側プロテク
   タと、液体が通過する多数の孔を有して前記内側
   プロテクタの外側に配置された筒状の外側プロテ
   クタと、自由状態ではほぼ均一な密度と厚さとを
   するほぼ円筒状の濾材にして前記内側プロテクタ
   と外側プロテクタとの間に挿入された濾材とを有
   し、前記内側プロテクタと外側プロテクタとの少
   くとも一方には複数個の凸部が設けられ、前記濾
   材はこれらの凸部によつて極部的に圧縮されてい
   るフイルタ。