JPS6023924B2 - 渦巻き刃ドリル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高送り加工に適する渦巻き刃形ドリルに関す
るものである。

従釆のドリルはチゼル部の矛盾を禾解決のま）にしてい
るために、切味と切屑の排出に重点をおいたドリルは剛
性が不足し、剛性の高いドリルは切味が悪く重切削に不
向きであった。

また、近年被削材中には難削材、高硬度材も多く含まれ
るようになってきており、ドリルにも超硬合金の採用が
必要となってきたが、中心部では切削速度が零に近い上
にチゼル部分のすくい角は極端な負角となるために刃物
としての効果が期待できない上に送り量に相当する圧縮
荷重をうけることになる。さらに従来のドリルのねじれ
溝形状で超強力高送りの穿孔を高速で行なうと、排出さ
れる切屑がねじれ構内面に押しつけられ、のび上った切
屑の先端は孔内壁に突きさ）り落着する。この現象は、
主軸の回転を妨げると共にドリルの折損の原因になる。
本発明はこのような点に鑑み、切屑の加工孔内壁への溶
着を防止し、一定の形状に切屑を分断して排出し、削り
込み速度が速く、高速重切削に耐えるドリルを提供する
ことを目的とするものである。

本発明は、ドリルの底面視において、一対の切刃はその
女台端部が回転中心にあって互いに点対称に配置され、
各功刃は回転方向に対して凸なる曲線をなし、かつ外周
部の切刃曲線より中心部の切刃曲線の方が大きな曲率を
なすように構成し、各切刃のすくい面には凹部または凸
部を形成したものである。

以下、本発明を実施例の図面によって説明する。

１はチップであり、ドリルの頭部は円錐状でその頂部と
なる中心点１１を始端として互いに点対称の切刃１０が
形成されている。

この切刃１０は、底面視において回転方向に凸なる曲線
をなし、かつ外周部から中心に近づくほど曲率が大きく
なるような渦巻き状の曲線にしている。またすくい面１
２はねじれ溝３に連続するが、このすくい面１２には凸
部４を形成してチッププレー力の作用を果させている。
このドリルによって穴明け加工を行なうと、削り速度の
遅い中心部ではすくい面上で切屑が横すべり現象を起す
。

また切屑は外周部に比べて中心部が薄くなるために中心
部の刃先の欠損も防止できる。従来のドリルでは功刃は
中心点のチゼル部分の切削性能があいまいで、工具刃先
として矛盾が多い。このため刃先に切屑が圧熔着されて
スムースな切削を妨げ、超硬合金製ドリルの場合は中心
部が欠損した。このために高速度鋼ドリルは切削性能が
低く超硬合金では鋼材の切削が不能であった。しかるに
上記本願構成では切刃１０はその進行方向に対して傾斜
しているために切屑は横すべり現象を起す。従って切屑
はうすくなり、切削抵抗も小さく、また切屑も切刃に圧
着されることがないためにスムースに排出され、良好な
切削がなされる。さらに切刃の上記渦巻形状においては
中心点附近で大きな曲率となっているために切刃の移動
速度が遅いにも拘らず切込みが確実に行なわれ、従釆品
のように上すべりを生じることなく良好な切込みが行な
われる。またこのような特徴から、一般の工具鋼のみな
らず超硬合金を採用することも可能となった。

即ち、従来の切刃形状では切刃の進行速度の遅い中心部
附近で欠けが生じやすいために超硬合金は採用できなか
ったが、上記本発明では中心部附近で切削抵抗が小さく
、かつ切屑は横すべり現象による切削のためにうすくな
り、超硬合金を採用しても欠けが生じることがない。し
かも超硬合金を採用すると鱗削材や高硬度材の切削も可
能になり、また切削性も良好になるために従来のドリル
加工で行なっていた回転当りの切込み量を５〜６倍にす
ることができ、高速度で加工を行なうことが可能となっ
た。このような高速送りでドリル加工を行なうと、切屑
が厚くなるためにねじれ溝３内を上昇する際に切削孔の
内壁とドリル外周面との間にかみ込まれ、孔の内壁に突
きさ）り落着し、主軸の回転を妨げ、切屑の排出に支障
をきたし、またドリル外周面に傷をつけたりすることに
なる。

しかるに上記構成においては、第３図に示すように切刃
のすくい面１２には凸部４が形成され、この凸部と切刃
１０との間には大きな曲率の凹部５が形成されている。
このため切屑６は大きな曲率でカールしてイから口の状
態になり、ついで切屑６はのび上ってハの状態から二に
示すように先端部が孔の内壁７に衝突することによって
切屑は木に示すように切断される。なお、切屑の先端が
孔の内壁に当つても先端が丸まっているために、溶着す
ることはなく、先端が丸まったもやし状の短かし、切屑
となって順次上方に排出される。一方、かりにこの凸部
４または凹部５を形成していなければ切屑６０は、第３
図仮想線で示すように、ねじれ溝３に沿って送られ、６
０ａに示すように孔の内壁７に衝突して落着し、ついで
６０ｂに示すよにドリルの外周面２と孔の内壁７との間
にかみ込まれ、漆着し、外周面２および内壁７に湯をつ
けると共に主軸の回転を妨げ、以後の切屑の排出を阻害
することになる。また、切屑の先端部が上記のようにか
み込まれない場合でも、ねじれ溝３に沿ってカールした
切屑は連続しているためにねじれ溝３と内壁７とに擦り
つけられるためにその摩擦抵抗が切屑の長さに比例して
増大し、このため切屑がねじれ溝３に沿って上昇しなく
なり、ついには上記のようなかみ込みが生じることにな
る。しかるに、本発明では凸部４、凹部５によって切屑
の先端部をカールさせ、この切屑が成長すると図示のよ
うに断面もやし状となり、この切屑が加工穴の内壁に当
ることによって分断される。

従って、高送り切削による厚みの大きな切屑でも支障な
く排出される。なお、上記実施例においては凸部４と凹
部５の両方を形成した場合について示したが、いずれか
一方のみを形成してもよいことは勿論である。

また、凸部および凹部の形状も切削条件に応じて適宜選
択すればよい。以上説明したように、本発明は切刃の形
状を渦巻き状にして高送り加工を可能にすると共に高送
り加工において問題となる切屑の排出をチッププレー力
を設けることによってスムースに行なうようにしており
、高送り切削用ドリルとしてきわめてすぐれたものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示すドリル先端部の側面図、
第２図はその底面図、第３図は第１図のｍ−ｍ線断面図
であって切削状況を示すものである。 １…・・・チップ、２…・・・ドリル外周面、３・・・
・・・ねじれ溝、４……凸部、６……切屑、１０……切
刃。 第上図 第之図 第ク図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ドリルの底面視において、一対の切刃はその始端部
   が回転中心にあつて互いに点対称に配置され、各切刃は
   回転方向に対して凸なる曲線をなしかつ外周部の切刃曲
   線より中心部の切刃曲線の方が大きな曲率をなすように
   構成し、各切刃のすくい面には凹部または凸部を形成し
   たことを特徴とする渦巻き刃ドリル。