JPS6141681B2

JPS6141681B2 -

Info

Publication number: JPS6141681B2
Application number: JP53102218A
Authority: JP
Inventors: Toshiaki Hosoi
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1978-08-21
Filing date: 1978-08-21
Publication date: 1986-09-17
Also published as: JPS5531536A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、構成刃先を利用して切削できるよう
にしたツイストドリルに関するものである。

一般に、ツイストドリルは、ねじれ溝の回転後
方の側面の先端部とドリル先端逃げ面とを直接交
差させてその交差部に直線状の先端切刃を形成し
ているため、構成刃先が付着し易く、これによつ
て刃先の損耗が早く、かつ、切くずの排出効率が
悪く、非能率的な上に加工穴の内壁が傷付けら
れ、精度の高い穴明け加工は期待できなかつた。

本発明は、上記の点に鑑み刃先の強度を高め、
構成刃先の成長脱落の繰返しによつて起る刃先の
損耗を極力防止し、鏡面のように美麗なかつ高精
度の加工面が得られるようにし、さらに高送り、
高送切削を可能にして切削（穿孔）能率を大巾に
向上できるツイストドリルを提供することを目的
とするものである。

本発明は、ドリルのねじれ溝の回転後方の側面
の先端部に正のすくい角をもつた第２すくい面を
形成すると共に、該第２すくい面とドリルの先端
逃げ面との交差部に巾が0.2〜1.0mmで負のすくい
角で傾斜する第１すくい面を形成し、第２すくい
面とドリル外周面との交差部に第１すくい面と連
続しかつドリル径方向に対して負の外周すくい角
で傾斜した第３すくい面を形成したことを特徴と
するものである。

以下、本発明を図に示す実施例に基づいて説明
する。

このドリルは、ドリル本体１の外周面に設けた
２条のねじれ溝２のドリル回転後方の側面２ｂ下
端部にチツプ取付用凹部３を設け、該凹部３にそ
れぞれ超硬合金製チツプ４をロー付け等にて固着
している。そして、このチツプ４の正面７を第２
すくい面とし、この第２すくい面７とチツプ先端
面５との交差部にそれぞれ第１すくい面６を形成
してこれを先端切刃部とし、第２すくい面７とド
リル外周面ただしこの場合はチツプ外側面９との
交差部にそれぞれ第３すくい面８を形成してこれ
を外周ねじれ刃部としている。

チツプ４の先端面５はドリル先端角θで傾斜さ
せると共に、回転方向に対して逃げ角αで傾斜さ
せる。

第１すくい面６は、被削材の性質に応じてホー
ニング加工等により巾w₁が0.2〜1.0mmで負のすく
い角βで傾斜するように形成する。さらにこの実
施例では、第１すくい面６をドリル回転中心Ｏを
始端として点対称に形成し、底面視において、回
転中心Ｏからほゞ半径方向中間部まで長さl₁の範
囲を回転方向に凸なる曲線状部６ａとなし、該中
間部から外周端部まで長さl₂の範囲を回転後方に
傾斜する直線状部６ｂとなし、該曲線状部６ａと
直線状部６ｂを一連にして第１すくい面６を形成
している。なお、曲線状部６ａは前記中間部から
回転中心Ｏに近づくほど曲率が大きくなるような
渦巻状の曲線に形成するのが望ましい。

第２すくい面７は、チツプ４の正面から内側面
にわたつて正のすくい角γで形成するが、前記第
１すくい面６の直線状部６ｂに対応する外側部分
７ｂは前記ねじれ溝２の回転後方の側面２ｂと連
続するねじれ面もしくはフラツト面となし、従つ
て、この外側部分７ｂのすくい角γはねじれ溝２
のねじれ角とほゞ等しくなる。なお、第１すくい
面６の曲線状部６ａに対応する内側部分７ａは円
弧面もしくはそれに近い曲面に形成する。また、
前記すくい角γは、内側部分７ａ、外側部分７ｂ
ともに同一となるように形成するのが望ましい
が、内側部分７ｂのすくい角γを回転中心に近づ
くほど小さくなるように形成してもよい。

一方、ねじれ溝２の底部先端において、第２す
くい面７の内側部分７ａに対向する部分をカツト
して中心付近に横断面Ｖ状の溝１０を形成する。
該溝１０はその底面の下方部が細巾でドリル先端
から中心線に沿つて適当な高さまで垂直に立上が
つた後、次第に浅くかつ広くなつて前記ねじれ溝
２に連通するように形成する。

第３すくい面８は、通常、前記第１すくい面６
と同様にホーニング加工等によつて巾w₂が0.2〜
1.0mmでドリル回転方向に対して負の外周すくい
角で傾斜するように形成する。なお、第３すくい
面８の下端は第１すくい面６の外周端部に交差連
続し、従つて少なくとも第３すくい面８の下端部
における巾w₂は第１すくい面６と同巾に形成す
るが、この巾_２は必ずしも全長にわたつて均一で
ある必要はなく、先端から上方にいくほど広くな
るように形成してもよく、またその逆でもよい。

而して、上記の如く構成したツイストドリルに
よつて穴明け加工を行なうと、先端切刃部に負の
すくい角βで傾斜する第１すくい面６を設けてあ
るので、この第１すくい面６上に構成刃先１１が
生じ、この構成刃先１１が切刃となつて切削が行
なわれる。構成刃先１１は、被削材の性質に応じ
た巾w₁が0.2〜1.0mmの第１すくい面６をもつた切
刃を使用することによつて常に安定した大きさに
成長しつゝ、その成長くず１１′が糸状となつて
第１すくい面６上を横すべりしながら、切削によ
つて生ずる分力により順次外方に押出される。そ
して、第１すくい面６の外周端部に設けた第３す
くい面８により、この成長くず１１′が加工穴１
３の内壁面に衝突することが防止され、主切くず
１２のカールに追従しながらその外周に一体的に
付着して、第３図矢印イ方向に上昇しつゝねじれ
溝２内に入り、主切くず１２とともに外部に排出
される。

さらにこの実施例のドリルによれば、中心付近
において、先端切刃部つまり第１すくい面６を回
転中心Ｏを始端として回転方向に凸なる曲線状６
ａに形成してあるので、この曲線状部６ａによつ
て中心付近でも前記構成刃先を利用して積極的な
切削が行なわれる。

すなわち、従来のツイストドリルでは、その切
削時において、外周部の切削速度は大きく、中心
部はＯに近いために高送、高速りで穴明けを行な
つた場合、外周部の切くずの発熱量は周速と切削
量に比例して大きく、中心部は小さいために、外
周部の切くずは高温となつて変形し易い。その上
中心部の切くずはチゼルによつて外方に押しひろ
げられて引延ばされるために、外周部の切くずが
中心部の切くずの影響をうけてすくい面上で圧縮
されねじれ溝に沿つて直線的に排出され、このと
きに最も敬遠すべき危険な切くず排出状態とな
り、刃先寿命を短かくすると共に、切くず処理上
からも使用不能となる。

然るに、上記ドリルによれば、このような現象
を避け、中心付近でも積極的な切削を行なわせる
ことにより、切くず生成より排出に至る過程で中
心刃先への圧力を小さくし、かつ、溝１０によつ
て中心部の切くずが径方向外方へ押し出されるこ
となく、垂直に上昇しつゝ生成され、主切くず１
２が排出と折断容易な角度の大きな円錐状とな
り、すくい面７およびねじれ溝２の回転後方の側
面２ｂから回転前方の側面２ａに沿つてカールし
つゝ上昇し、その後、該主切くず１２の大径部が
前記側面２ｂと加工孔１３の内壁面によつて制約
をうけ、ドリル自身の回転運動と相俟つてカール
径を小さくする方向の力をうけ、該主切くず１２
の先端切刃付近が第２すくい面７上で折断され、
せん移折断形切くずとなつて、ねじれ溝２のねじ
れ角の分力によりねじれ溝２に沿つて順次上方に
排出される。

とくに、本発明は、第１すくい面６により構成
刃先１１を利用して切削し、かつこの構成刃先１
１の成長くず１１′を第３すくい面８によつてス
ムーズに外部に排出できる。

なお、この第３すくい面８を設けていないと、
第１すくい面６上を横すべりしようとする構成刃
先の成長くずが外周端部で加工穴１３の内壁面に
衝突して、該内壁面を傷付け、かつ行き止まりと
なるため外部に排出されず、第１すくい面６上に
熔着成長し、過大となつて脱落する際に刃先を持
ち去り損耗させて良好な切削は行なわれない。

然るに、上記の如く、第２すくい面７と外周面
９との交差部に第１すくい面６の外周端部に連続
した第３すくい面８を設けたことにより、この第
３すくい面８が第１すくい面６上を横すべりして
外周端部に到達した構成刃先１１の成長くず１
１′の通路を形成し、主切くず１２に付着方向を
かえて該成長くず１１′を主切くず１２と一体に
スムーズに外部に排出させることができる。これ
によつて、構成刃先１１の成長くず１１′が加工
穴１３の内壁面につきささつたり、同内壁面を傷
付けたりすることが防止され、鏡面のような美麗
なかつ高精度の加工面が得られ、かつ、刃先のチ
ツピングを防止して刃先寿命を大巾に向上させ高
送り、高速切削をすることができるのである。

また、上記実施例のドリルによれば、中心付近
でも第１すくい面６の曲線状部６ａにより、上記
構成刃先１１を利用して積極的な切削が行なわれ
ているので、切くずが中心付近に圧熔着するおそ
れが全くなく、従つて、超硬チツプ４を用いても
刃先にチツピング等が生じることはなく、超硬チ
ツプの性能を充分に発揮させ、一般の鋼材はいう
までもなく、難削材、高硬度材に対する穿孔をも
可能にすると共に、高送り、高速切削を可能に
し、本発明の効果をさらに助長して大巾な能率向
上が可能となる。

ところで、上記実施例では、第１すくい面６の
中心付近を曲線状となし外周付近を直線状に形成
しているが、第５図に示すように、曲線状部を外
周端部まで延長して、第１すくい面６を全体的に
渦巻状に曲線となるように形成してもよく、また
第６図に示すように第１すくい面６を底面への字
状に形成してもよい。

さらに、本発明はツイストドリルにおいて構成
刃先を利用した切削を可能にするもので、上記構
成刃先の利用による切削および作用効果は、主と
して第１すくい面６および第３すくい面８によつ
て得られるものであり、従つて、上記実施例のよ
うな超硬合金製チツプ４を用いたツイストドリル
に限らず、高速度鋼製のツイストドリルに対し
て、前記実施例の主旨と同じ要領で第１すくい面
および第３すくい面を設けることによつても充分
に所期の目的は達成できる。

この場合、第１すくい面６の巾w₁は、被削材
の性質に応じて0.2〜1.0mmの範囲内で選定する必
要がある。なお、第３すくい面８は、前記構成刃
先の成長くず１１′の排出路を形成することを主
目的とするもので、ドリルは再研摩によつて刃先
が移動するので、図例では第３すくい面８を上部
まで形成させているが、実用上は、下端部さえ第
１すくい面６の巾w₁と合致する巾w₂に形成して
おけばよい。

以上説明した如く、本発明によるときは、第２
すくい面の先端逃げ面との交差部の先端切刃部に
第１すくい面を設けたことにより先端切刃部の刃
先強度を高めることができる。また、切削時には
構成刃先を利用して切削し、かつ構成刃先の成長
くずを第３すくい面を介して順次外方へスムーズ
に排出することができ、刃先の摩耗やチツピング
ならびに構成刃先の成長くずによる加工穴内壁の
引掻き等を完全に防止して、鏡面のような美麗な
かつ高精度の加工面を得ることができる。さらに
高送り、高速切削も可能で切削能率を大巾に向上
することができるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るドリルの実施例を示す要
部を拡大した正面図、第２図はその底面図、第３
図はその使用状態を示す説明図、第４図は第３図
の−線断面図、第５図および第６図はそれぞ
れ別の実施例を示す底面図である。１……ドリル本体、２……ねじれ溝、２ｂ……
同溝の回転後方の側面、４……超硬チツプ、５…
…先端逃げ面、６……第１すくい面、７……第２
すくい面、８……第３すくい面、９……外周面。

Claims

【特許請求の範囲】

１ドリルのねじれ溝の回転後方の側面の先端部
に正のすくい角をもつた第２すくい面を形成する
と共に、該第２すくい面とドリルの先端逃げ面と
の交差部に幅が0.2〜1.0で負のすくい角で傾斜す
る第１すくい面を形成し、第２すくい面とドリル
外周面との交差部に第１すくい面と連続し、かつ
ドリル回転方向に対して負の外周すくい角で傾斜
した第３すくい面を形成したことを特徴とするツ
イストドリル。