JPS6021483Y2 - 気化器の始動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は気化器のスタータにより始動される機関の初完
爆後の混合気濃度が自動的に調整されるようにした気化
器の始動装置に関するもので、初完爆以後、その持続時
間を延長し得られる始動装置の提供を目的としている。

気化器のスタータはその始動系通路に吸入管負圧を取入
れ使用しているのが一般的であるが、従来のスタータで
は機関が初完爆後、回転数が上昇すると吸入管負圧も高
まり、それに伴れて燃料流量も増大するので、始動初期
の濃混合気状態がそのまま持ち越され、そのため混合気
が過濃傾向となり、往々にしてエンストする等、その持
続時間の保持が極めて困難であった。

本考案は上記の点に鑑み、スタータの使用中は吸入管負
圧を浮子室内の油面上部に取入れてインナーエアベント
効果をもたせ、初完爆以後はその吸入管負圧に応じて燃
料流量を抑制し、混合気を薄め傾向に導くことにより初
完爆以後その持続を保持し得られるようにしたものであ
る。

進んで本考案の実施例を図面について説明すると、第１
図は始動系通路に沿って横断した気化器の平面図で、下
部の浮子室は省略されている。

第２図は始動弁付近の縦断拡大側面図で、始動弁全開状
態が示されている。

第１図中、１は気化器吸気筒で、左端（図において、）
にエアクリーナが取付けられ、右端が機関に取付けられ
る。

２は吸気筒１内を昇降するピストン状の摺動絞弁、３は
始動系バイパス通路で、一端は吸気筒１の空気流入口近
くに開口し、他端は絞弁２の下流に開口している。

４はバイパス通路３の途中に設けた始動弁嵌合凹部で、
その底部中心に始動用燃料噴口５が開口している。

噴口５の上部には第２図に示す如く、その中心線上に、
案内筒６内を昇降し、バイパス通路３を開閉するピスト
ン状の始動弁７が設けられ、常時はスプリング８の張力
により下降し、その下端部が凹部４と嵌合してバイパス
通路３を閉じると同時に凹状の底部９により噴口５を閉
塞しており、始動時、操作策条または杆１０により始動
弁７がスプリング８の張力に抗して引上げられるとバイ
パス通路３と噴口５は共に開いて同図に示す状態となる
。

噴口５の下部はエアブリードパイプ１１を介して始動用
燃料ウェル１２内に連通みしている。

このウェル１２はその下部が始動用燃料ジェット１３を
介して浮子室１４の油面下に連通し、上部はブリードエ
アジェツト１５を介して浮子室上部の気室１６内に連通
しており、さらに気室１６はアウタエアベントパイプ１
７により大気に連通されている。

以上は吸入管負圧によって絞弁上流の空気が吸入される
バイパス通路の途中に設けられた始動弁の操作により浮
子室内の燃料を吸出し、混合気の状態となして機関に供
給する気化器のスタータである。

本考案は上記のようなスタータにおいて、バイパス通路
３に、始動弁７の開状態で、バイパス通路３に発生る吸
入管負圧を浮子室上部の気室１６内に導入するエアベン
ト孔またはパイプ１８を設けたもので、図に示す実施例
は始動弁７の下端部が閉止時嵌合する凹部４の周壁に設
けた場合である。

のエアベント孔１８は同図に鎖線で示すエアベント孔１
８′の如く、始動弁上流のバイパス通路３の適所に設け
ても同等の効果を得られるがバイパス通路３はその空気
流入口がエアクリーナの下流に位置する関係上通常運転
時即ち、始動弁閉状態でもその上流のバイパス通路３に
は弱い負圧が発生し、通路３内の気圧が変動するのを免
れないから浮子室への影響を避けるためには該エアベン
ト孔１８′に逆止弁を設け、始動弁閉のときにバイパス
通路に発生する弱い負圧では該エアベント孔１８′が閉
じているようにすればよい。

しかし実線で示すようにエアベント孔１８を凹部４の周
壁に設け、始動弁の閉のときにエアベント孔１８を閉じ
るようにするのが実際的である。

以上は始動弁がピストン状の摺動弁の場合であるが始動
弁がディスクバルブの場合は、一般にディスクの回動に
よってバイパス通路を開閉するからこのディスクを利用
してバイパス通路３および燃料通路を開いたとき上記エ
アベント孔またはパイプ１８を連通させ、バイパス通路
３および燃料通路を閉じたとき孔またはパイプ１８が閉
じるようにすればよい。

上記構成において、始動時、噴口５から流出する燃料流
量は浮子室１４内の油面上に作用する気室１６内の気圧
によって制御できるから始動時、気室１６内に導入され
る気圧即ち機関の初完爆から暖機運転完了までの時間帯
の吸入管負圧とアウタエアベント管１７を通ずる大気圧
との合成圧が上記時間帯の運転に適した空燃比の混合気
を形成する燃料流量に制御でき気圧となるように、アウ
タエアベント管１７との関係において、エアベント孔１
８の径を適当１と選定する。

上記の如く構成した本考案の装置において、スタータの
操作により機関が始動し初完爆すると、吸入管負圧は急
激に高まり、その負圧によって充分な空気と燃料がバイ
パス通路を通じて流入し、始動の初期に適した比較的濃
い混合気が機関に供給され、同時にこの負圧はエアベン
ト孔１８を通じて浮子室１４内に作用するので気室１６
の気圧は低下傾向となる。

このようにして機関が暖機時間帯に入ると次第に回転数
が上昇し、それに伴れて吸入管負圧も強まり、噴口５に
作用する燃料吸出力も強まるがこの負圧は同時に浮子室
１４内にも作用するので、燃料流量は抑えられ、かくし
て機関は暖機運転に適した薄め傾向の空燃比の混合気に
より円滑にその運転を継続するのである。

第３図は本考案と従来のスタータとの空燃比Ａ／Ｆの比
較図で、従来のスタータでは回転が上昇してもＡ／Ｆ線
は実線ａで示す如く立上らず、始動初期の濃混合気とほ
とんど同じであるが本考案では回転数が上昇するに伴れ
て点線すで示すようにＡ／Ｆ線は立上り薄め傾向をたど
っている。

本考案は上述のように吸入管負圧によって絞弁上流の空
気が吸入されるバイパス通路の途中に始動弁を設けた気
化器のスタータにおいて、上記バイパス通路に、始動弁
の開状態でのみ、吸入管負圧に基づく負圧を浮子室上部
の気室に導入するエアベント孔を設け、初完爆以後の燃
料流量をその吸入管負圧に応じて抑制するようにしたの
で、この種スタータにおいて、従来制御困難とされてい
た暖機時間帯における空燃比を、簡単な装置で、最適に
制御でき、暖機完了まで円滑にその運転を継続させ得ら
れる点で、この種スタータに優れた効果をもたらすもの
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案気化器の始動装置の実施例を示すもので、
第１図は気化器の横断平面図、第２図は同上始動弁部の
従断拡大側面図、第３図は空燃比の比較線図である。 １・・・・・・気化器吸気筒、２・・・・・・摺動絞弁
、３・・・・・・バイパス通路、４・・・・・・始動弁
嵌合凹部、５・・・・・・始動用燃料噴口、７・・・・
・・始動弁、１２・・・・・・燃料ウェル、１３・・・
・・・燃料ジェット、１４・・・・・・浮子室、１６・
・・・・・気室、１７・・・・・・アウタエアベントパ
イプ、１８・・・・・・エアベント孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸入管負圧によって絞弁上流の空気が吸入されるバイパ
   ス通路の途中に設けられた、始動弁の操作により浮上室
   内の燃料を吸出し、混合気の状態となして機関に供給す
   る気化器のスタータにおいて、前記バイパス通路に、前
   記始動弁の開状態でのみ、前記バイパス通路に発生する
   吸入管負圧に基づく負圧を浮子室上部の気室に導入する
   エアベント孔が設けられ、吸入室負圧に応じて燃料流量
   を抑制する構成とされていることを特徴とする気化器の
   始動装置。