JPS6018623Y2 - 燃料噴射ポンプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は燃料噴射ポンプの改善に関する。

従来の燃料噴射ポンプの第１例として吸戻しカラー付吐
出弁を用いたものを第１図に示す。

図において、０１はポンプ本体、０２はプランジャで、
図示されていない燃料カムによってプランジャバレル０
４内を往復動する。

０３はプランジャリードで、プランジャ０２に設けられ
た切欠きであり、０５はプランジャバレル０４に設けら
れた給油孔、０６は同じくプランジャバレル０４に設け
られた排油孔、０７はプランジャ室で、プランジャ０２
の上面とプランジャバレル０４で囲まれ空間である。

０８は吐出弁で、プランジャ室０７と吐出弁室０１２と
を連通ずる吐出弁ガイド０１０内を摺動する。

０９は吐出弁０８に設けられた吸戻しカラー、０１１は
吐出弁ばねである。

燃料カム（図示されていない）の回転によってプランジ
ャ０２が上昇すれば、プランジャ０２の側面で給油孔０
５及び排油孔０６が徐々に閉じられ、プランジャ室０７
の油圧が上昇する。

この油圧が吐出弁ばね０１１のばね力と吐出弁室０１２
内の残留圧力との和より大きくなれば、吐出弁０８を押
し上げて燃料の吐出を開始する。

給油孔０５及び排油孔０６が完全に閉じられた後、さら
にプランジャ０２が上昇し、プランジャリード０３が排
油孔にかかると排油作用がおこり、プランジャ室０７の
油圧は低下する。

さらに、排油孔が開口すると燃料の吐出速度はＯとなり
、これにより吐出弁０８が降下すれば吐出速度は負にな
り、燃料の吸戻し作用をする。

このため、噴射管（図示されていない）内の圧力は降下
する。

この型のポンプでは、一定の吸戻し量で低速回転から高
速回転まで広範囲にわたって正常な噴射を実現すること
は難かしい。

即ち、機関出力を増大するため、高噴射圧力、高噴射率
の噴射系を設計すると、吐出終了時の圧力もかなり高く
なり、吸戻し量が少なければ二次噴射を発生し、機関の
燃焼不良を起こし機関性能の悪化を招くことがある。

そこで、吸戻し量を多くして、吐出終了後の圧力の降下
を急にし、燃料弁の啓開圧力以下に下げ二次噴射を防止
しようとしているが、吸戻し量を増加した場合、 （１）低速回転域で不斉噴射や間欠噴射を起こすことが
あること、 （２）主噴射後に噴射管内に空洞を発生し、キャビテー
ションエロージョンの危険性があること等の欠点がある
。

また、上記の例を改善した従来例のものとしては、吸戻
しカラー付吐出弁とダンピング弁との組合せを用いたも
のがあり、第２図はその断面図、第３図は第２図のＡ部
を拡大して示す断面図、第４図は第３図のＩＶ−ＩＶ線
に沿う断面図である。

図において、符号０１より０１２までは第１図と同一部
材を示す。

０１３はダンピング弁で、ダンピング弁室０１８内に収
容され、軸方向の絞り孔０１４が設けられている。

０１５はダンピング弁座金物で、吐出弁室０１２とダン
ピング弁室０１８とを連通し、ダンピング弁室０１８側
にダンピング弁の着座面を形成している。

０１６はダンピング弁ストッパ金具で、第３図、第４図
に示すように、頭部より周方向に間隔をとって分岐した
脚部を形成し、同脚部の下部側はダンピング弁０１３を
囲み、上部側は向弁０１３の外周より内方へ突出して向
弁０１３のストッパ部を形成している。

０１７は弁ばねである。吐出終了までの作用は前述した
第１の例とほぼ同じである。

プランジャリード０３が排油孔０６にかかり、プランジ
ャ室０７の油圧が低下し、ダンピング弁０１３はダンピ
ング弁座金物０１５に着座腰燃料の吐出を終了する。

これ以後、吐出弁０８は絞り孔０１４から吐出弁室０１
２へ流出する燃料量に応じた速度で降下し、噴射管内の
圧力を下げ、噴射を終了させる。

しかし、この型のポンプでは、吐出弁の吸戻し速度を適
当に制御することによって二次噴射を防止しているが、
吐出終了後の圧力降下がゆるやかになるため、噴射期間
がやや長くなり二次噴射防止の効果が充分に発揮されな
いうらみがある。

本考案の目的は上記の点に着目し、吸戻しカラー付吐出
弁とダンピング弁とを併設した燃料噴射ポンプにおいて
、噴射の切れを良好にし、しかも二次噴射を防止できる
燃料噴射ポンプを提供することであり、その特徴とする
ところは、ダンピング弁ストッパ金具に、ガイド部を設
け、さらにガイド部とダンピング弁座金物との間に円筒
状の嵌合部を設けたことである。

この場合は、吐出終了後の初期においては、吐出弁はダ
ンピング弁の降下と共に降下し、吸戻し速度は、ダンピ
ング弁の絞り孔に影響されないので、吸戻し速度はすみ
やかになり、吐出終了後の初期の圧力降下を急にし、引
き続いて吐出弁吸戻し速度をダンピング弁の絞り孔によ
って適当に制御することができ、問題点を解決すること
ができる。

以下図面を参照して本考案による実施例につき説明する
。

第５図は本考案による１実施例の燃料噴射ポンプを示す
断面図、第６図は第５図のＡ部を拡大して示す断面図、
第７図は第６図の■−■線に沿う断面図、第８図は第６
図の■−■線に沿う断面図である。

図において、１はポンプ本体、２はプランジャで、図示
されない燃料カムによってプランジャバレル４内を往復
動する。

３はプランジャリードで、プランジャ２に設けられた切
欠きであり、５はプランジャバレルに設けられた給油孔
、６はプランジャバレルに設けられた排油孔、７はプラ
ンジャ室で、プランジャ２の上面とプランジャバレル４
で囲まれた空間である。

８は吐出弁で、プランジャ室７と吐出弁室１２とを連通
ずる吐出弁ガイド１０内を摺動する。

９は吐出弁８に設けられた吸戻しカラー、１１は吐出弁
ばねである。

１３はダンピング弁で、ダンピング弁室１８内に収容さ
れ、軸方向の絞り孔１４が設けられている。

１５はダンピング弁座金物で、吐出弁室１２とダンピン
グ弁室１８とを連通し、ダンピング弁室側にダンピング
弁１３の着座面を形成している。

なお、１７はダンピング弁ばねである。

１６はダンピング弁ストッパ兼ガイド部で、従来のもの
のダンピング弁ストッパ金具０１６（３３図、第４図参
照）の脚部のダンピング弁を囲む部分の内方端縁をダン
ピング弁外周面に当接するまで延伸させて、同ダンピン
グ弁を摺動可能に案内する（第６図、第８図参照）。

１９はダンピング弁嵌合部で、上記ダンピング弁ストッ
パ兼ガイド部１６に続いて先端面をダンピング弁座金物
１５に当接させ、内周面をダンピング弁外周面に嵌合す
る円筒状に形成されている（第６図、第７図参照）。

上記構成の場合の作用について述べる。

燃料カム（図示されていない）の回転によって、プラン
ジャ２が上昇すれば、プランジャ２の側面で給油孔５及
び排油孔６が徐々に閉じられ、プランジャ室７の油圧が
上昇する。

この油圧が吐出弁ばね１１のばね力と吐出弁室１２内の
残留圧力との和より大きくなれば、吐出弁８を押し上げ
て燃料の吐出が開始され、この燃料はダンピング弁１３
を押し上げて燃料噴射弁（図示されていない）の方へ送
出される。

給油孔５及び排油孔６が完全に閉じられた後、さらにプ
ランジャ２が上昇腰プランジャリード３が排油孔６にか
かると、排油作用が起こり、プランジャ室７の油圧は低
下し、燃料の吐出を終了し、ダンピング弁１３及び吐出
弁８が降下する。

吐出終了後吐出弁８の吸戻し作用は、ダンピング弁１３
の下端が嵌合部１９の上端にかかつて後の降下量、即ち
嵌合部１９の厚さ分と絞り孔１４からの流出量の和の分
だけ吸戻すこととなる。

ここで、絞り孔１４の孔径が小さいので、実質的には吐
出弁８の降下量とダンピング弁１３の降下量はほぼ一致
する。

即ち、吐出終了後の初期（上記嵌合部１９にかかった後
）にはダンピング弁１３の降下量に応じて吐出弁の吸戻
し速度が早くなり、ダンピング弁１３の降下が終了して
ダンピング弁座金物１５に着座する。

この着座した後においては、第５図の吐出弁の吸戻しカ
ラー９の径をｄｌ、カラー長さをｌｃｌとし、ダンピン
グ弁１３の外径を山、嵌合部１９の長さを１ｃ２とする
と、はぼ、 （ｄｔ”１ｏｔ ｄ２２１ｏ２）相当の
吸戻し量は絞り孔１４によって制御される吸戻し速度を
とることとなる。

以上のように本考案においては、ダンピング弁の嵌合部
相当厚さの降下量を吐出弁の吸戻し量よりも小さくとる
ことにより、吐出終了後の初期ではダンピング弁の降下
と共に吐出弁も降下し、吸戻し速度がすみやかになり、
ダンピング弁の着座後は絞り孔によって制御される吸戻
し速度で、吐出弁は吸戻し作用を行う。

上述のような本考案による場合は次の効果がある。

第９図は噴射圧力及び針弁リフトの作動状態を示す線図
であり、図において、ｈは針弁リフト、ＰＮはノズル側
圧力、ＰＰはポンプ側圧力を、また、破線Ａは本考案に
よるもの、実線Ｂは従来型で吸戻しカラー付吐出弁だけ
のもの、一点鎖線Ｃは従来型の吸戻しカラー付吐出弁と
ダンピング弁との組合せのものを示す。

本考案による場合は、吐出終了後の吸戻し作用が初期に
おいては、ダンピング弁の絞り孔に影響されず、ダンピ
ング弁着座後は絞り孔によって制御される速度で吸戻さ
れるために、第９図の破線で示すような特性となり、 （η 噴射終了時の圧力降下が早く、噴射の切れが良く
なる。

（イ）噴射終了するような状態がポンプ側に遠戚される
と、絞り孔の絞りがきいて、吐出弁の吸戻し速度を抑え
、二次噴射防止に適用な速度を保つ。

（つ）この結果、高圧噴射系においても二次噴射を防止
し、噴射期間の伸びも短かく抑えられるので、高出力、
高性能機関用として極めて有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の吸戻しカラー付吐出弁を設けた燃料噴射
ポンプを示す断面図、第２図は従来の吸戻しカラー付吐
出弁とダンピング弁とを併設した燃料ポンプを示す断面
図、第３図は第２図のＡ部を拡大して示す断面図、第４
図は第３図のＩＶ−ＩＶ線に沿う断面図、第５図は本考
案による１実施例の燃料噴射ポンプを示す断面図、第６
図は第５図のＡ部を拡大して示す断面図、第７図は第６
図の■−■線に沿う断面図、第８図は第６図の■−■線
に沿う断面図、第９図は噴射圧力及び針弁リフトの作動
状態を示す線図である。 １・・・・・・ポンプ本体、２・・・・・・プランジャ
、４・・・・・・プランジャバレル、７・・・・・・プ
ランジャ室、８・・・・・・吐出弁、９・・・・・・吸
戻しカラー、１０・・・・・・吐出弁ガイド、１２・・
・・・・吐出弁室、１３・・・・・・ダンピング弁、１
４・・・・・・絞り孔、１５・・曲ダンピング弁座金物
、１６・・・・・・ダンピング弁ストッパ兼ガイド部、
１８・・・・・・ダンピング弁室、１９・・・・・・ダ
ンピング弁嵌合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プランジャバレルに形成されるプランジャ室と吐出弁ガ
   イドを介して連通ずる吐出弁室、上記吐出弁ガイド内を
   摺動する吸戻しカラー付吐出弁、上記吐出弁室とダンピ
   ング弁室とを連通し同ダンピング弁室側にダンピング弁
   着座面を形成したダンピング弁座金物、上記ダンピング
   弁室に収容され軸方向に絞り孔を貫設したダンピング弁
   、上記ダンピング弁室に装着され脚部により上記ダンピ
   ング弁のリフトを制限するダンピング弁ストッパ兼ガイ
   ド部を有する燃料噴射ポンプにおいて、上記ダンピング
   弁ストッパ兼ガイド部に、同ダンピング弁ストッパ兼ガ
   イド部の脚部の内方端縁を上記ダンピング弁の外周面に
   当接させ同ダンピング弁を摺動可能に案内するダンピン
   グ弁ストッパ兼ガイド部と、同ダンピング弁ストッパ兼
   ガイド部と上記ダンピング弁座金物との間に上記ダンピ
   ング弁に嵌合する円筒状のダンピング弁嵌合部とを設け
   たことを特徴とする燃料噴射ポンプ。