JPS6017955B2 - スクロ−ル型圧縮機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はスクロール型圧縮機に係り、特に回転阻止機構
の改良に関するものである。

この種の圧縮機は、一枚の坂上にうず巻体を固定したス
クロール部材の二つを両うず巻体の角度をずらせて互い
にかみ合い重ね合せ、一方のスクロール部材を固定し他
方を可動にして該可動スクロール部材の円軌道運動によ
って両スクロール部材間に形成されている流体ポケット
を中心方向へ移動させるとともに容積の減少を生ぜしめ
て流体の圧縮を行なうものであり、可動スクロール部材
の円軌道運動に際しては、それ自体が回転しないように
阻止する必要がある。

ここで、可動スクロール部村の板体上と、この板体に対
向する固定部材上に各々複数の凹部を形成し、この凹部
間にボール素子を数持することにより、可動スクロール
部村の回転運動阻止と、スラスト支持を行なう構成の回
転阻止機構が、特関昭５５−１５５９１６により知られ
ており、また凹部の形成を容易とするために、リング状
レースと、複数のポケットを穿設したりングとにより、
凹部を形成する部分を構成することも知られている。

しかし上記のようなレースとＩＪングとによりボール素
子を球持する部分を構成する場合、レースはかしめある
いはピン等により可動スクロール部材とケーシング内壁
に固定される構造となっていたため、レースへのスラス
ト荷重がボール素子の転送軌道上、即ち、可動スクロー
ル部材の軌道半径を直径とする円内のみに加わることと
なり、この部分のレース表面に剥離を生じやすいという
欠点を有するものであった。本発明はこのような回転阻
止機構を構成するレースの耐久性を向上させることを目
的とするものである。

すなわち、本願発明はフロントエンドプレート部を有す
る圧縮機ハウジングと、第１の板体の一３面上に固定さ
れた第１のうず巻体を有し、上記ハウジング内に固定配
置された固定スクロール部材と、第２の板体の一面上に
固定された第２のうず巻体を有し、該第２のうず巻体が
上記第１のうず巻体と角度をずらされてかみ合い、それ
らの間に３閉塞された流体ポケットを形成するように上
記固定スクロール部材と重ね合された勤スクロール部材
と、該可動スクロール部材に円軌道運動を与えるために
該可動スクロール部材と結合された駆動機構と、該可動
スクロール部材の上記円軌道運動４の間談可動スクロー
ル部材の回転を阻止する回転阻止機構とを有し上記可動
スクロール部材の円軌道運動によって上記流体ポケット
が容積を減少しながら上記両うず巻体の中心方向へ移動
し、これによって流体の圧糠が行なわれるスクロール型
圧縮機において、上記回転阻止機構を上記可動スクロー
ル部材の第２の板体のうず巻体を設けた面とは反対の面
に回転摺動可能に配設されたりング状の第１のレースと
該第１のレースより上記フロン：・エンドプレート側の
位置に配され、該第２の板体に固定された第１のリング
と、上記第１のし−スと対向する上記ハウジング内壁に
回転摺動可能に配設されたりング状の第２のレースと、
上記可動スクロール部材側の位置に配され、且つ上記第
１のリングとの間にわずかの隙間ができるように上記ハ
ウジング内壁に固定された第２のリングとを含み、しか
も上記第１のリングと第２のリングはそれぞれ軸方向に
穿設された同座の複数のポケットを各リングの中心を一
致させた時重なり合うことが可能な周万向の各位贋に有
し、複数のボール素子を該第１のリングのポケットと第
２のリングのポケットとで常時狭特できるように配設す
る構成とすることにより上記目的を達成するものである
。

以下に本発明の実施例を説明する。

第１図は本発明を適用したスクロール型圧縮機の断面構
造図である。

図において、この圧縮機１は、フロントエンドプレート
１１とこれに設置されたカップ状部分１２から成る圧縮
機ハウジング１０を有している。フロントエンドプレー
ト１１１‘まハウジング１０の中心軸線上に中心を有す
る貫通孔１１１を有しその中にポールベアリング１３を
介して主軸１４を回転自在に支承している。

このため、主軸１４の軸心は、ハウジング１０の中心軸
線と一致することとなる。またフロントエンドプレート
１１は主軸１４の外周を取り巻くように前方に突出した
スリーブ部１５を有し、該スリーブ部１５内にはシャフ
トシール１６を配置している。またスリーブ部１５の外
周上には電磁クラッチ装置１７を配設しており、外部駆
動源よりの回転運動をＶベルト（図示せず）を介して電
磁クラッチ装置１７のプーリ１７１に伝達し、励磁コイ
ル１７２への通電制御によって主軸１４への回転運動の
伝達を制御している。なお、フロントエンドプレート１
１はカップ状部分１２の前端関口を閉塞するように数個
のボルト等によって固定されており、０−リング１８に
よって両者の接合面をシールしている。またスリーブ部
１５もフロントエンドプレート１１の端面上にボルト等
によって固定され、接合面を○−リング１９によってシ
ールしている。フロントエンドプレート１１によって開
口部を閉塞されたカップ状部分１２内には固定スクロー
ル部村２０、可動スクロール部材２１、可動スクロール
部材駆動機構及び回転阻止機構２２が配設されている。
ここで、固定スクロール部材２０は側板２０１とその一
面上に固定したうずまき体２０２及び該うずまき体２０
２とは反対側の側板２０１上に設けた脚部２０３とより
構成され、該脚部２０３をカップ状部分１２の外方より
該カップ状部分１２の底部１２１を貫通して螺合するボ
ルト２３によって該底部１２１内壁上に固定している。

またカップ状部分１２内に固定された固定スクロール部
材２０の側板２０１はその外周面とカップ状部分＊２０
の内壁面間を○−リング２４でシールすることによって
カップ状部分１２内の空間を吸入室２５と吐出室２６と
に仕切っている。さらに、側板２０１の中央部にはスク
ロール部材間に形成された密閉空間と吐出室２６を蓮適
する蓮通孔２０４を穿設している。可動スクロール部材
２１は側板２１１とその一面上に固定されたうずまき体
２１２とにより構成され、該うずまき体２１２は前記固
定スクロール部材２０のうずまき体２０１と１８０ｏの
角度ずれをもってかみ合されている。

また可動スクロール部材２１は後述する駆動機構及び回
転阻止機構と連結されていて、主軸１４の回転によって
半径Ｒｏｒの円軌道上を公転運動し、前述した流体の圧
縮動作を行なう。ここで、円軌道の半径Ｒｏｒは一般に （うずまき体のピッチ）−２×（うずまき体の辞１目）
２で与えられる。

また、可動スクロール部村２１はそのうずまき体２１２
のうずまき中心が固定スクロール部材２０のうずまき体
２０２のうずまき中心より距離Ｒｏｒだけ離れるように
配置されており、主軸１４の回転によって可動スクロー
ル部材２１が半径Ｒｏｒの円軌道上を公転運動すること
となる。これによって両うずまき体間に線接触部が形成
され、この線接触部がうずまき体表面に沿って中心方向
へ移動し、この結果流体ポケットが容積を減少しながら
うずまき体の中心方向へ移動する。従って、外部流体回
路からハウジング１０の外周上に設けた吸入ボートを通
ってハウジング１０内の吸入室２５に流入した流体は、
両うずまき体の外終織部から流体ポケット中に取り込ま
れ、圧縮された流体は両うずまき体の中心部の流体ポケ
ットから蓮通孔２０４を通って吐出室２６へ送り出され
、そこからハウジング１０上に設けた吐出ボートを介し
て外部流体回路へ流出することとなる。

次に可動スクロール部材の駆動機構を第１図の外に第２
図をも参照して説明する。

フロントエンドプレート１１の貫通孔１１１を貫通する
主軸１４の内端部には大径部１４１を形成しており、該
大蚤部１４１をフロント工ンドプレート１１の貫通孔１
１１に配設したボールベアリング１３によって支承して
いる。

また大径部１４１の先端面には中心から胴○した位置に
駆動ピン１４２が軸万向へ突出するように設けられてい
る。一方、可動スクロール部材２１のうずまき体２１２
を固定した面とは反対側の側板２１１上には、円環状の
ボス２１３を形成している。

また、該ボス２１３中には肉厚の厚い円板状あるいは短
軸状のブッシュ２７が鉄合され、ニードルベアリング２
８を介して回転自在に支承されている。該プッシュ２７
はこれと一体で半径方向に伸びた円板状のバランスウェ
イト２７１を有しているとともに、主軸１４の大蓬部１
４１と対向する面上に軸方向の穴２７２を有し、該穴２
７２中にニードルベアリング２９を介して前述した駆動
ピン１４２を鉄合している。このため、可動スクロール
部村２１は駆動ピン１４２上に回動自在に支承されるこ
ととなる。なお、該可動スクロール部材２１は第１図中
２２で示す回転阻止機構によって回転方向の運動は阻止
されている。ここで、この回転阻止機構を第１図の他に
分解図である第３図をも参照して説明する。

回転阻止機構２２は可動部、ボール素子、固定部より成
り可動スクロール部材２１のボス２１３の外周上に配置
される。

まず固定部について説明すると、該固定部はフロントエ
ンドプレート１１の内側端面に回転摺動自在に配設した
りング状固定レース２２１とこの固定レース２２１を被
うようにその端面に当綾された固定リング２２２とを有
し、該固定リング２２２はスプリングピン２２３により
フロントエンドプレート１１の内側端面に固定されてい
る。

−方、可動部については可動スクロール部材２１の側板
２１１上でうずまき体２１２を設けた端面と反対側の端
面に回転情動自在に配設したりング状可動レース２１４
と固定リング２２２の端面との間にわずかな間隙をおい
て可動レース２１４を被うようにその端面に当俵された
可動リング２１５とを有し、可動リング２１５はスプリ
ングピン２１６により側板２１１に固定されている。第
３図に示されているように、可動リング２１５と固定リ
ング２２２にはそれぞれ、直径、ピッチ、ピッチ円の等
しい複数のポケット２１５ａ，２２２ａが軸万向に穿孔
されている。

さて可動リングと固定リングとの関係を可動スクロール
部村側から見た第４図をも参照して回転阻止作用につい
て説明する。

回転阻止は、固定リング２２２のポケット２２２ａの緑
部と可動リング２１５のポケット２１５ａの縁部とでボ
ール素子２２４を挟むことにより行なわれる。

すなわち可動スクロール部材が図中時計方向へ駆動され
ると可動ＩＪング２１５もその中心が半径Ｒｏｒの円を
描くように円軌道運動するが、可動スクロール部材には
圧縮力の反力作用点と駆動力作用点とのずれにより図中
時計方向への回転力すなわちモーメントが生ずるため、
可動リング２１５の中心を中心として時計方向へ回転し
ようとする。しかし図中上方の９個のボール素子２２４
が固定リング２２２のポケット２２２ａの縁部と可動リ
ング２１５のポケット２１５ａの縁部とで挟まれるため
、可動リング２１５は回転することができる、これによ
って可動スクロ−ル部材の回転が阻止される。なお図示
の状態では、可動リング２１５の中心が図中最も右方に
あって回転阻止力分布はナｃ，〜〆ｃ５のようになり、
図中最上部のボール素子が最も大きく寄与しており、こ
れから離れるにしたがって小さくなって図中下半分の９
個のポール素子２２４は、回転阻止の用はなしていない
。しかし圧縮力の反力により可動スク。ール部材の軸方
向に加わる圧力は、可動レース２１４、すべてのボール
素子２２４を介して固定レース２２１にスラスト支持さ
れる。ここでさらに第４図ｂを参照して、可動スクロー
ル部材とポール素子に加わる力の分布を説明する。

両スクロール部村で流体を圧縮する時に発生する力は鱗
方向のガス圧力により生ずる力Ｆａと圧縮方向のガス反
力Ｆｇである。

ここでガス反力Ｆｇの発生する点に可動スクロール部材
の駆動点を一致させれば、モーメントが生ずることはな
いが、機構上この二つの力は１なる距離を持つ。したが
って可動スクロール部材２１を時計回りに回転させるモ
ーメントが生じ、その結果可動スクロール部材２１をス
ラスト支持するボール素子２２４に加わる荷重は偏在し
、図に示す如く個々のボールの抗力Ｆｂが異なることと
なる。従って、可動スクロール部材２１をスラスト支持
する全てのボール素子２２４には均一にスラスト力が加
わらず、可動スクロール部材２１の公転に伴ってこの偏
在荷重も移動することとなる。この偏在荷重の移動が推
進力となり固定レース２２１及び可動レース２１４はリ
ング２２２，２１５に沿って回転する。ここで、可動レ
ース２１４と固定レース２２１の内径及び外径はボール
素子２２４の転送領域を確保するに足る大きさであれば
よく、また固定レース２２１と可動レースの内怪あるし
、は外径を滑らかに仕上げることにより回転を滑らかに
行なわせることが可能となる。なお、レースとりングの
間に隙間を設ける構成とすれば、レースの回転摺動が更
に容易となる。以上述べたように、従釆用いられていた
回転阻止機構のレースをかしめ等により固定する構成に
あっては、可動スクロール部材のスラスト荷重が常に一
定の半径Ｒｏｒ／２なるボール素子の転送領域上にのみ
加わることとなる。

このため、レースのボール転送領域上に剥離を生じやす
くなり、またこのような現象を解消するため、ボール素
子の径を大きくし、ヘルツ応力を充分小さくするととも
に、レースの材質に充分な考慮を払えばある程度の耐久
性を得ることは可能となる。しかし、特に吐出圧力の高
い状態、例えば冷嬢として蒸発及び凝縮圧力の比較的高
い袷煤Ｒ−２２を使用したり、特殊な高負荷応力製品に
用いる場合には、スラスト荷重が大きくなるため、レー
ス面に剥離が生じ、やはり耐久性に限界があった。本発
明は、レースを回転情動可能となるように配設している
ので、レース全体をボール素子の転送面とすることがで
きる。このため上述のようなレース面の剥離という問題
を解消することが可能となるので、レースの耐久性を向
上することができる。なお、第５図乃至第７図は、本発
明の別の実施例を示すもので、第１図乃至第４図で説明
したような構成、両レースを回転摺動可能とする構成に
おいては、レース面の剥離については解消できるが、レ
ースを受ける可動スクロール部材とハウジングにレース
の回転によって摩耗が生ずる虜れがあるため、この摩耗
を防ごうとするものである。

即ち、第５図に示すように、レース２１４，２２１を受
けて、このレース２１４，２２１の端面及び内律面と接
触する可動スクロール部材２１の側板２１１とフロント
エンドプレート１１の内壁面とに硬質皮膜処理あるいは
自己潤滑性皮膜処理等の表面処理を施こし、レースと接
触する部分を表面処理部２１９，２２５とする。あるい
は、第６図及び第７図に示すようにレース２１４，２２
１と接触する部分に高硬度のガイドレール２１９ａ，２
２５ａを配設し、ピン２１６，２１９ｂあるし、は圧入
筆により固着する。上記のような構成とすれば、可動ス
クロール部材あるいはハウジングの材料としてアルミニ
ウム等耐塵性に劣るものを用いた場合にあっても、レー
スの回転によって生ずる摩耗は防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示すスクロール型圧縮機の縦
断面図、第２図は第１図のスクロール型圧縮機に用いら
れた駆動機構の分解斜視図、第３図は第１図のスクロー
ル型圧縮機に用いられたスラストベアリングを兼ねた回
転阻止機構の分解斜視図、第４図ａは回転阻止の原理を
説明するために可動リング及び固定リングとボール素子
との関係を示した図、第４図ｂは、可動スクロール部材
とボール素子に加わる力を説明するための図、第５図は
本発明の別の実施例を示す回転阻止機構の部分拡大断面
図、第６図は本発明の更に別の実施例を示す回転阻止機
構の部分拡大断面図「第７図は第６図に示した回転阻止
機構の分解斜視図である。 １０・・・・・・圧縮機ハウジング、１１・・・・・・
フロントエンドプレート、１２…・・・カップ状部分、
１４・・・・・・主軸、２０・・・・・・固定スクロー
ル部材、２１・・・・・・可動スクロール部材、２２…
・・・回転阻止機構、２１４・・・・・・可動レース、
２２１・・・・・・固定レース、２２４・・・・・・ボ
ール素子、２１９ａ，２２５ａ・・・・・・ガイドレー
ル、２１６，２１９ｂ……ピン。 第２図 第１図 第３図 第５図 第６図 第４図 第７図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フロントエンドプレート部を有する圧縮機ハウジン
   グと、第１の板体の一面上に固定された第１のうず巻体
   を有し、上記ハウジング内に固定配置された固定スクロ
   ール部材と、第２の板体の一面上に固定された第２のう
   ず巻体を有し、該第２のうず巻体が上記第１のうず巻体
   と角度をずらされてかみ合い、それらの間に閉塞された
   流体ポケツトを形成するように上記固定スクロール部材
   と重ね合された可動スクロール部材と、該可動スクロー
   ル部材に円軌道運動を与えるために該可動スクロール部
   材と結合された駆動機構と、該可動スクロール部材の上
   記円軌道運動の間該可動スクロール部材の回転を阻止す
   る回転阻止機構とを有し上記可動スクロール部材の円軌
   道運動によつて上記流体ポケツトが容積を減少しながら
   上記両うず巻体の中心方向へ移動し、これによつて流体
   の圧縮が行なわれるスクロール型圧縮機において、上記
   回転阻止機構を上記可動スクロール部材の第２の板体の
   うず巻体を設けた面とは反対の面に回転摺動可能に配設
   されたリング状の第１のレースと、該第１のレースより
   上記フロントエンドプレート側の位置に配され、該第２
   の板体に固定された第１のリングと、上記第１のレース
   と対向する上記ハウジング内壁に回転摺動可能に配設さ
   れたリング状の第２のレースと、上記可動スクロール部
   材の側の位置に配され、且つ上記第１のリングとの間に
   わずかな隙間ができるように上記ハウジング内壁に固定
   された第２のリングとを含み、しかも上記第１のリグと
   第２のリングはそれぞれ軸方向に穿設された同径の複数
   のポケツトを各リングの中心を一致させた時重なり合う
   ことが可能な周方向の各位置に有し、複数のボール素子
   を該第１のポケツトと第２のリングのポケツトとで常時
   挟特できるように配設する構成としたことを特徴とする
   スクロール型圧縮機。 ２ 特許請求の範囲第１項記載のスクロール型圧縮機に
   おいて、前記第２の板体の第１のレースとの接触面と前
   記ハウジング内壁の第２のレースとの接触面とに表面処
   理を施したことを特徴とするスクロール型圧縮機。 ３ 特許請求の範囲第１項記載のスクロール型圧縮機に
   おいて、前記第２の板体の第１のレースとの接触面と前
   記ハウジング内壁の第２のレースとの接触面とに断面Ｌ
   字状のガイドレールを配設したことを特徴とするスクロ
   ール型圧縮機。