JPS6017409Y2 - ストラツト型懸架装置におけるキヤンバ−調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両のストラット型懸架装置におけるキャンバ
−調整装置に関するものである。

一般に、車両における懸架装置としては様々な形式のも
のが使用されているが、その一つとしてマクファーソン
タイプの懸架装置が用いられている。

このマクファーソンタイプの懸架装置はアブソーバ−軸
角のストラットを使用したストラット型の懸架装置であ
り、従来からさかんに使用されているものである。

ところが、このストラット型の懸架装置は事実上従来キ
ャンバ−調整機構を有しておらず、そのため懸架装置の
組付は上のばらつきやボデーの変形等により所定のキャ
ンバ−角が狂ってしまったようなときには、車両のタイ
ヤの偏摩耗等の有害な現象を生じる場合があった。

キャンバ−角を調整するために提案されている従来技術
として、特開昭５３−５５８１８号公報、米国特許第３
９１７３０８号明細書に開示されたものである。

これらはいずれもストラットとナックルとの連結ブラケ
ットにキャンバ−角調整方向の長穴を設け、調整後の位
置保持を確実にしなければならず、ボルト緩みが生じた
場合には長大方向が自由であるためにナックルが他方の
ボルトを中心に容易に回動してしまう欠点があった。

本考案は前記従来技術の欠点を解消するためになされた
もので、ストラット型の懸架装置において何らかの原因
により所定のキャンバ−角が狂ってしまったような場合
に、そのキャンバ−角を極めて簡単な調整機構により容
易に可変調整することができるとともに、ボルト緩みが
生じた場合等であってもキャンバ−角の調整位置が拘速
され安定的に保持できるキャンバ−調整装置を提供する
ことを目的とするものである。

この目的を遠戚するため、本考案によるストラット型懸
架装置におけるキャンバ−調整装置は、ストラットとス
テアリングナックルをサポートブラケットを介して連結
したストラット型懸架装置において、ステアリングナッ
クルの貫通孔とサポートブラケットのガイド孔にボルト
を挿通ずると共に、前記貫通孔内における前記ボルトに
回動用レバ一部を持つとともに偏心されたボルト挿通孔
を形成した調整ピースを設け、かつ前記ガイド孔を前記
ストラットの軸方向以外のボルト移動を規制する長円状
に形成したことを特徴とする。

以下、本考案を図面に示す実施例に従ってさらに説明す
る。

第１図は本考案によるキャンバ−調整装置を組み込んだ
ストラット型懸架装置の一例を車両の前方側から見た状
態を示す図である。

この図から明らかなように、ストラット型懸架装置はア
ブソーバ軸を構成するストラット１をその下端部付近に
おいて、タイヤ４から延設されたステアリングナックル
３の先端部に対してサポートブラケット２を介して連結
されている。

なお、第１図において、符号５はサスペンションスプリ
ング、符号６はサスペンションロアアームを示すもので
ある。

本考案によるキャンバ−調整装置は第１図に示すような
ストラット型懸架装置のＡ部に組み込まれるものであり
、次に、本考案によるキャンバ−調整装置の一実施例を
図面の第２図〜第４図に関して説明する。

第２図に示されるように、ストラット１の下端部にはサ
ポートブラケット２が該ストラット１の下端部を取り囲
んではさみつけるような状態で設けられる。

また、第３図にも示されるように、ステアリングナック
ル３はストラット１の下端部の軸方向に沿った位置にお
いて前記サポートブラケット２のフランジ状部の間には
さみつけられるようにして取り付けられ、これによりス
トラット１とステアリングナックル３はサポートブラケ
ット２を介して互いに連結されることになる。

前記ステアリングナックル３の上端部付近にはボルト挿
通用の貫通孔７が横方向に形成されている。

また、サポートブラケット２のフランジ状部の上端部付
近にもボルトガイド用のガイド孔８が取付時において前
記ステアリングナックル３の貫通孔７と整合するような
位置に形成されている。

このガイド孔８は第２図からも明らかなように、ストラ
ット１の軸方向に長円状に形成されている。

そして、前記サポートブラケット２のガイド孔８とステ
アリングナックル３の貫通孔７にはボルト９が水平方向
に挿通されている。

このボルト９は第２図から明らかなようにワッシャ１１
と１２を介してナツト１０を締めつけることにより、ス
テアリングナックル３の両側からサポートブラケット２
のフランジ状部をはさみつけるようにして固定するもの
である。

第３図に示されるように、前記ボルト９の軸部の周囲に
は前記ステアリングナックル３の貫通孔７内において回
動可能なキャンバ−調整用の偏心状の調整ピース１３が
設けられている。

この調整ピース１３の構造の詳細は第４図ＡとＢにも示
されており、該調整ピース１３はステアリングナックル
３の貫通孔７内でボルト９の回りを偏心回動できるよう
に、該ステアリングナックル３の上端部よりも上方に突
出する工具嵌合用の回動用レバ一部１３Ａを有している
。

したがって、調整ピース１３はこの回動用レバ一部１３
Ａに適宜の工具（図示せず）を嵌合させて第４図Ｂに
実線位置とその両側の二点鎖線位置との間でボルト９の
回りを自由に回動させることができる。

第４図ＡとＢに示すように、調整ピース１３の本体部に
形成されたボルト挿通孔１３Ｂの中心線Ｃ１が該調整ピ
ース１３自体の中心線Ｃ８よりも寸法１だけ上方にオフ
セットした状態となっているので、該調整ピース１３が
ステアリングナックル３の貫通孔７内でボルト９の回り
を回動するにつれて、ボルト９はサポートブラケット２
の長円状のガイド孔８によりガイドされて偏心距離１だ
けストラット１の軸方向（上下方向）に動作することに
なる。

なお、本実施例においては、前記サポートブラケット２
のガイド孔８は前記に説明したようにストラット１の軸
方向にのみ長円状であり、ボルト９の横方向への動きは
規制するように構成されているので、調整ピース１３が
偏心回転しても、その偏心回転による偏心作用は単にボ
ルト９を該ガイド孔８に沿って上下方向に動作させるだ
けで、ボルト９が横方向に動作することは該ガイド孔８
により防止される。

また、前記サポートブラケット２のフランジ状部の下端
付近には前記ボルト９とは別個のボルト１４が設けられ
ており、このボルト１４は前記サポートブラケット２と
ステアリングナックル３を貫通し、両側のワッシャ１６
と１７を介してナツト１５を締めつけることによりサポ
ートブラケット２のフランジ状部をステアリングナック
ル３に対してはさみつけるようにして固定することがで
きる。

つぎに、本実施例によりキャンバ−角の調整を行う作用
について説明する。

まず、キャンバ−角の調整に際しては、下側のボルト１
４のナツト１５をゆるめることにより、サポートブラケ
ット２とステアリングナックル３が該ボルト１４の回り
で互いに相対的に枢軸運動できる状態にしておく。

この状態においてステアリングナックル３の上端部の上
方に突出する調整ピース１３の回動用レバ一部１３Ａに
適宜の工具（図示せず）を嵌合させて該回動用レバ一部
１３Ａを第４図に矢印で示す方向に所望量だけ回動させ
る。

それにより調整ピース１３はステアリングナックル３の
貫通孔７内においてボルト９の軸部の回りを回動し、そ
の場合該調整ピース１３は第４図ＡとＢに示すような偏
心距離１分だけ偏心回転動作を行い、それによりボルト
９はサポートブラケット２のガイド孔８により横方向へ
の動きを規制されながら前記偏心距離１分だけストラッ
ト１の軸方向（上下方向）に動作する。

そして、その場合において、前記のようにボルト９のス
トラット１に対する上下方向の位置は偏心距離１だけ変
化する訳であるが、他方のボルト１４のストラット１に
対する相対位置はなんら変化しないことになる。

その結果、ストラット１とステアリングナックル３との
相対的角度が変化し、それにより車両のキャンバ−角を
可変調整することができる訳である。

例えば、調整ピース１３の回動用レバ一部１３Ａを第２
図および第４図Ｂに矢印ａで示す方向に回動させたとす
ると、それによりボルト９が調整ピース１３の偏心作用
で下方に動作すると共に、ストラット１およびサポート
ブラケット２はボルト１４の回りでステアリングナック
ル３に対して枢軸運動し、それによりストラット１とサ
ポートブラケット２は第２図に矢印鳥で示す方向に移動
することになり、この矢印ａの方向への移動量だけスト
ラット１とステアリングナックル３の相対的角度が変化
することになり、それにより車両のキャンバ−角が変化
することになる。

なお、前記実施例においては、ボルト９をキャンバ−調
整用のボルトとして使用し、他方のボルト１４はストラ
ット１に対する相対位置が不変であるものとして説明し
たが、これらのボルト９と１４は互いに逆の機能を果た
すようにしてもよい。

すなわち、前記実施例におけるボルト１４をキャンバ−
角の調整用のボルトとして使用し、調整ピース１３は該
ボルト１４に設け、一方ボルト９のストラット１に対す
る相対的位置は不変なものとしてキャンバ−調整装置を
構成することも可能である。

以上説明したように、本考案によれば、ストラット型懸
架装置におけるキャンバ−角は単に調整ピースの回動用
レバ一部を回動させるだけで極めて容易にかつ自由に可
変調整することかでき、なんらかの原因で車両のキャン
バ−角が狂ったような場合でも、それによりタイヤの偏
摩耗等の有害な現象が生じることを阻止することができ
、しかも本考案によるキャンバ−調整装置はその操作は
もちろん構成も極めて簡単であり、さらにスペースも非
常に狭いもので足り、加えて、ボルトが調整プレートに
よる拘束と同時にガイド孔によっても拘束されているの
でボルト緩みが生じても調整角を安定的に保持できる等
の極めて有用な作用効果を相乗的に奏することができる
。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるキャンパー調整装置を組み込んだ
ストラット型懸架装置の一例を車両の前方から見た状態
を示す図、第２図は本考案によるキャンバ−調整装置の
一実施例を示す側面図、第３図は第２図の■−■線断面
図、第４図ＡとＢはそれぞれ本考案に使用されるキャン
バ−調整用の調整ピースを示す正面図とその側面図であ
る。 １・・・・・・ストラット、２・・・・・・サポートブ
ラケット、３・・・・・・ステアリングナックル、４・
・・・・・タイヤ、７・・・・・・貫通孔、８・・・・
・・ガイド孔、９・・・・・・ボルト、１０・・・・・
・ナツト、１３・・・調整ピース、１３Ａ・・・・・・
回動用レバ一部、１４・・・・・・ボルト、１５・・・
・・・ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ストラットとステアリングナックルをサポートブラケッ
   トを介して連結したストラット型懸架装置において、ス
   テアリングナックルの貫通孔とサポートブラケットのガ
   イド孔にボルトを挿通すると共に、前記貫通孔内におけ
   る前記ボルトに回動用レバ一部を持つとともに偏心され
   たボルト挿通孔を形成した調整ピースを設け、かつ前記
   ガイド孔を前記ストラットの軸方向以外のボルト移動を
   規制する長円状に形成したことを特徴とするストラット
   型懸架装置におけるキャンバ−調整装置。