JPS6016819Y2 - 水噴射式減温装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はボイラ、化学装置等の過熱蒸気の水噴射式減温
装置に係り、特に数列、数段にわたって配備した水噴射
孔から噴射される高速噴射水によって高温過熱蒸気流の
確実かつ安定した減温を可能ならしめる、改良された新
規な構造からなる水噴射式減温装置に関するものである
。

従来、ボイラ、化学装置等における過熱蒸気の水噴射式
減温装置としてはベンチュリー管型のものが多く使用さ
れている。

この種の構造のものは、注水管に水噴射ノズルを溶接、
固定し、当該ノズルを蒸気管内に突出させ、当該ノズル
から氷を噴射させることによって高温過熱蒸気の減温を
行なう構成となっている。

この場合、水の噴出口は蒸気管の中央部でその長手方向
の中心に向って設けられており、従って噴出水流は蒸気
流の中心に向けて集中する傾向がみられ、確実かつ安定
した状態で減温効果を挙げるためには相当の時間を要す
ることになる。

以上の従来技術による構造のものについて図で更に説明
すると、第１図は従来技術になる水噴射式減温装置の一
例を示す断面図である。

図において、防護筒１を内蔵した蒸気配管２には管台３
が溶接、固定されている。

当該管台３、蒸気配管２には、注水管４、スプレーノズ
ル５が挿入されているが、当該注水管４とスプレーノズ
ル５とは周溶接部６で溶接され、一体構造的な注水装置
を構成しているが、更に上記管台３に対しては別の周溶
接部７で溶接され、取付け、固定されている。

上記スプレーノズル５の先端部に設けられた噴出口８は
上記蒸気配管２の中心部に向けて水の噴射を行ない、高
温過熱蒸気の減温作用を行なう。

従って安定した減温蒸気の生成域ｐは相当の長さにわた
る部分となり、また時間を要することも前記に説明した
とおりであり、蒸気配管２の適正な配置という観点から
もいろいろな制約がみられる。

更に上記噴出口８は高温の蒸気流の中心部に位置してお
り、従って、上記スプレーノズル５の周溶接部６の部分
には長期間連続的に動荷重が作用することになる。

しかもこの場合動荷重は粱等の片持支持梁の先端に作用
するのと同様な作用をなし、当該スプレーノズル５の損
傷を招き易く、運転停止に至る場合も考えられる。

更にまた、上記周溶接部６は高低温の不安定蒸気流の流
れる部分にあるため激しい温度変化により常にサーマル
シヨツクを受ける条件にあり、前記に説明した動荷重の
負荷条件とあいまって与えられる悪影響は一段と大きく
なる。

特に前記に説明した従来技術になる構造では、水噴射の
ためにスプレーノズルに設けられる水噴射孔の加工上の
問題から、その上部に設けられた上記注水管４とは接続
する構造をとらざるを得す、接続の方法としては溶接の
方法が最も一般的であり、溶接によって注水管４と接続
し、吊下げた片持梁の状態をとらざるを得ない。

スプレーノズル５の頭部は当然のことながら高速蒸気流
に常時さらされており、片持梁状に繰返し動荷重を受け
る条件下にあることは前記にすでに説明したとおりであ
る。

保守、点検の観点からみても、上記のごとき従来技術に
なる構造のものは、複雑な構造を備えており、点検、整
備の面で多くの時間を要し、またそれに伴って装置の運
転休止時間も長くならざるを得ないという問題点がみら
れた。

本考案になる水噴射式減温装置は前記に詳細に説明した
ような従来技術にみられた問題点を解消することを目的
とするもので、蒸気流中へのノズルからの水の噴射によ
って短時間に確実かつ安定した状態で過熱蒸気流の減温
を可能ならしめる、簡単な構造からなる、改良された新
規な構造の水噴射式減温装置を提供するものである。

本考案になる改良された新規な構造の水噴射式減温装置
は、短管内を貫通する注水管ノズルを含み、かつ当該ノ
ズルに数段、数列にわたり水噴射のための噴射孔を設け
た構造としたことを骨子とするものである。

以下に添付の図面を参照し、本考案になる水噴射式減温
装置の具体的構造について更に詳細に説明する。

なお以下の図面の説明において、前出の第１図の符号と
同一の符号で示すものはいずれも相互に同一の部品、部
材、機構等を示すものである。

第２図は本考案になる水噴射式減温装置の構造を示す断
面図、第３図は第２図Ａ−Ａ線矢視図、第４図は第２図
Ｂ−Ｂ線矢視図、第５図は第２図要部の詳細説明図で、
サーマルスリーブの変形例を示す説明図である。

以上の各図において、スロート短管９は高速で流動する
高低温蒸気流によるサーマルショックの防護筒の役割も
兼ねたもので、その内径は矢印Ｍで示す蒸気入口側部分
から、当該スロート短管９の中央部にかけて滑らかな曲
面を構成するように狭められ、更に矢印Ｎで示す蒸気出
口側に至るまで前記と同様な要領で内径の拡大加工が行
なわれ、ベンチュリー管型となっている。

当該ベンチュリー管型のスロート短管９はその固定側１
０及びそのスライド支持側１１において従来技術による
ものと同一の方法によって上記蒸気配管２内に装着され
ている。

また当該スロート短管９には外側から蓋付き注水管ノズ
ル１２が挿入自在である穴が形成されており、一方挿入
方向の対面の内側には当該蓋付き注水管ノズル１２の伸
縮を自由に吸収出来る隙間１３を構成する穴が設けられ
ている。

当該蓋付き注水管ノズル１２のスロート短管９への挿入
脱着は通常隙間嵌め公差にしたがって実施されている。

蒸気配管２に取付けられた管台３の周溶接部７で取合う
注水ノズル１６にはその頭部内面に座繰り孔が設けられ
ており、フランジ付きスリーブ１４が嵌め込まれ、溶接
固定されている。

当該フランジ付きスリーブ１４には管用ネジ１５が含ま
れている。

上記周溶接部７に近接すル注水ノズル１６の内面にはサ
ーマルスリーブ１７が設けられているが、当該サーマル
スリーブ１７はその下面で上記スロート短管９の外面と
金属間の接触がなされるよう、溶接方法によって固定さ
れている。

またサーマルスリーブ１７のフランジ部分には上記蓋付
き注水管ノズル１２が挿入自在な穴が設けられている。

上記蓋付き注水管ノズル１２はまたその上部でフランジ
付きスリーブ１４に設けた管用ネジ１５と噛み合うネジ
を含むものである。

更に当該蓋付き注水管ノズル１２の下部には内部の穴を
閉鎖する蓋１８を備えており、いわゆる片蓋タイプとな
っている。

更にまた当該蓋付き注水管ノズル１２が上記スロート短
管９の内面を流動する蒸気流を貫通する部位には水噴射
孔１９が複数列にわたって千鳥状に設けられている。

この状況は特に第３図、第４図に明らかであるが、当該
水噴射孔１９は蒸気流の方向、すなわち矢印Ｍの方向に
向けて形成されており、噴射水の噴霧拡散が行なわれ、
減温効率の向上が計られている。

上記蓋付き注水管ノズル１２は、上記注水ノズル１６に
取付けられたサーマルスリーブ１７をガイドとし、前記
スロート短管９の下部に形成された隙間１３によって当
該スロート短管９の貫通部を自由に摺動する構造である
ため、貫通部が変形したり、あるいは損傷することを防
止する役割を果す。

上記蓋付き注水管ノズル１２を高圧で流下する注水は、
複数列にわたって千鳥状に配置された上記水噴射孔１９
から蒸気流に対して放射状に噴霧され、拡散される。

従って、過熱蒸気は短時間に、しも確実かつ安定した状
態で減温されることになる。

従ってまた、減温蒸気の生成域ｐも僅かであり、短かい
。

また、構成部品の数も少なく、単純な形状から構成され
ているので各部品の点検、交換等の作業も極めて容易で
ある。

第５図は本考案になる水噴射式減温装置の別の実施態様
の要部について示すもので、前記サーマルスリーブ１７
の形状を更に改良したものである。

すなわち前出の第２図に示したサーマルスリーブ１７の
大きさをやや改良し、上記管台３の内径と密着するよう
な寸法とし、変化する温度による変形の防止を計ったも
のである。

すなわち、第２図に示した形状、大きさのサーマルスリ
ーブ１７ではその内外を温度の異なる蒸気流にさらされ
、蓋付き注水管ノズル１２の貫通部のフランジが変形し
易い傾向がみられるので上記管台３の内径と密着する大
きさ、形状のサーマルスリーブ１７′を提案したもので
ある。

これは、フランジが変形すると分解点検時等に上記蓋付
き注水管ノズル１２の分解に手間取る傾向のあることが
考えられるので、このような問題点の解消をあらかじめ
計画したものである。

第５図に示すように管台３に密着した形状、寸法のサー
マルスリーブ１７であると前述のような変形がなく、そ
の保守、点検、分解整備等に時間を要することなく、能
率的に作業を進めることが可能となる。

以上に詳細に説明したように、本考案になる水噴射式減
温装置は注水ノズルを蓋付きとすると共に、両端支持方
式とし、かつ水噴射孔を複数列にわたって千鳥状に配偶
した構造としたものである。

従って前記にも説明したように、構造が簡単で構成部品
の数が少なくなるばかりでなく、保守、点検の上でも極
めて便利なものとなった。

また高温過熱蒸気への注水が複数列にわたって千鳥状に
設けられた水噴射孔から行なわれるため、注水が蒸気流
に対して放射状に噴霧、拡散され、高温蒸気を短時間に
、かつ効果的に所定の安定減温蒸気に変化させることが
可能である。

更に、従来のフランジ型式が改められ、注水ノズルが高
速蒸気流に対して片持梁状に突出することがないので運
転中、長期間にわたって連続的に動荷重が作用する状態
が作られることもない。

サーマルショックに対する面でも十分な対策がなされて
いるので長期間の安全運転に十分に耐えるものと期待さ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術になる水噴射式減温装置の構造につい
て示す断面図、第２図は本考案になる水噴射式減温装置
の構造について示す断面図、第３図は第２図Ａ−Ａ線矢
視図、第４図は第２図Ｂ−Ｂ線矢視図で蓋付き注水管ノ
ズルの水噴射孔の配置図、第５図は第２図要部の説明図
で、サーマルスリーブの変形例を示す説明図である。 ２・・・・・・蒸気配管、９・・・・・・スロート短管
、１２・・・・・・蓋付き注水管ノズル、１３・・・・
・・隙間、１４・・・・・・フランジ付きスリーブ、１
６・・・・・・注水ノズル、１７．１７’・・・・・・
サーマルスリーブ、１８・・・・・・蓋、１９・・・・
・・水噴射孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 蒸気管内に配備したスロート状短管と、当該スロート状
   短管内に挿入され、かつ水噴射孔を設けた蒸気流中への
   注水ノズルとを含んでなり、かつ当該注水ノズルの水噴
   射孔が複数列にわたって形成されていると共に、当該注
   水ノズルが上記スロート状短管の上下部で摺動自在に支
   持された蓋付き注水ノズル構造であることを特徴とする
   水噴射式減温装置。