JPS6010196Y2 - エンジンの防塵装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、コンバイン等の塵埃の多い雰囲気で使用され
るエンジンの防塵装置に関する。

一般に、コンバイン・ハーベスタ等は、エンジンを冷却
するために強制的に送風しているが、藁くず等の塵埃の
多い雰囲気中で使用する関係上、金網或いはフィルター
による除塵装置では塵埃補集容量が小さく、使用途中に
おいて何度も金網等から藁くず等を取除く作業を必要と
し、これを怠るとエンジンを過熱させる等の欠点を生じ
ていた。

また、ラジェータの前面に除塵室を設けて、室内の下部
に塵埃の溜り場所を設けたものも提案されているが、こ
れら装置は吸入空気が渦巻き状になるため、塵埃と空気
との分離が不充分で、結局塵埃が金網に付着してしまっ
たり、また吸気抵抗が大きくなって、エンジン過熱を生
じていた。

そこで、本考案は、除塵室では吸気が直線状に整流され
、更に該除塵室の奥部で塵埃室に導かれ、また該塵埃室
ではサイクロン流となるように構威し、もって前述欠点
を解消したエンジンの防塵装置を提供することを目的と
するものである。

以下、図面に沿って、本考案による実施例を説明する。

コンバイン１は、第１図に示すように、クローラ２によ
り支持されている機体３を有しており、機体３の中央側
部には水冷エンジン５が搭載され、また脱穀機６及びカ
ッター８等が配設されている。

エンジン５はその前面を防塵装置７により覆われており
、また第４図に示すように、その上方にラジェータ９を
有している。

ラジェータ９は前後に吸入ダクト１０及び排出ダクト１
１が固定されており、吸入ダクト１０の入口部には除塵
フィルター１２が固定され、また排出ダクト１１の出口
部には冷却ファン１３が配設され、更にラジェータ９の
コア前面には除塵フィン１５が回転自在に支持されてい
る。

また、該ラジェータ９の機体後方側にはエアークリーナ
１６が配設され、クリーナ１６は吸気筒１７を有してお
り、更に該吸気筒１７の吸気口部分に分散ガイド１８が
設けられている。

（第５図参照）。そして、これらエンジン５、ラジェー
タ９及びエアークリーナ１６は機体３に支点ピン１９で
回動自在に支持されているエンジンカバー２０により覆
われており、カバー２０のフィルター１２に対向する部
分即ち前面には金網２１が張られていると共に、金網の
周囲は緩衝材２２により囲われ、該緩衝材２２はフィル
ター１２の周囲に密接し、空気洩れを防いでいる。

更に、カバー２０の前面には本考案による防塵装置７を
構成する防塵カバー２３が固定されている。

防塵カバー２３は、第２図及び第３図に詳示するように
、所定厚さを有すると共に、機体前方側面を開口２３ａ
して、前面及び他側面を閉塞して構成されており、その
後方側面即ち奥部は大きな曲率の曲面２３ｂ、２３ｃに
より構成されている。

更に、底側面は機体後方が高く、前方が低くなる斜面２
３ｄ１即ち開口部２３ａから離れて奥に行くに従ってそ
の幅が狭くなるように構成されており、また該底側面２
３ｄの前部は透明の排塵カバー２５が蝶番により開放自
在に固定されている。

また、防塵カバー２３の開口部２３ａの下側のＡ程度を
塞ぐようにガイド板２６が固定されており、該ガイド板
２６の上部２６ａはカバー２３の内方に向かって曲げら
れている。

更に、ガイド板２６の上部から所定間隔Ｃを隔てて、か
つカバー２３の斜面２３ｄに略々平行に所定長さの中仕
切板２７が設けられてわり、該中仕切板２７は防塵カバ
ー２３の長さ方向の半分以上に渡って延び、その上方を
除塵室２９に、その下方を塵埃室３０に仕切っている。

なお、カバー２３は開口部２３ａから金網２１の端部分
までの距離Ａが所定長さとなっており、中仕切板２７と
相俟って除塵室２９の風を直線状に整流し、また除塵室
２９の開口部２３ａに近い部分にラジェータ９が、奥部
分にエアクリーナ１６の吸気筒１７が位置するように配
置されている。

本実施例は以上のような構成を有するので、第５図及び
第６図に示すように、エンジン５の回転により、冷却フ
ァン１３が回転し、同時にエアクリーナ１６の吸気筒１
７が吸気すると、防塵カバー２３の開口部２３ａから藁
くず等の塵埃を含んだ空気が除塵室２９に吸込まれる。

この際、開口部２３ａから金網２１の吸気位置まで所定
距離Ａがあり、かつガイド板２６の湾曲上部２６ａ及び
中仕切板２７により案内されることと相俟って、空気は
直線状に整流され、更に除塵室２９の奥部に集中して吸
気するエアークリーナ１６の吸気筒１７が位置する関係
で、除塵室２９への空気は一層直進方向性が与えられる
。

これにより、吸気された空気は金網２１の表面をはきな
がら、一部はラジェータ９部分に吸入され、また奥部で
エアークリーナ１６の吸気筒１７に吸入される。

そして、空気の直進方向性で除塵室２９の奥部に押込ま
れた残りの空気は、大きな曲率の曲面２３ｂ。

２３ｃにより案内されて塵埃室３０に導かれ、更に底側
面の前下りの斜面２３ｄに沿って前下方に流れる。

この際、空気に含まれている塵埃は塵埃室３０の前方下
部、即ち排塵カバー２５部分に溜り、残りの空気はサイ
クロン状に中仕切板２７の下面に沿って後方に流れる。

また、残りの空気の一部は間隙Ｃからガイド板２６の湾
曲上部２６ａに案内されて再び除塵室２９に導かれ、開
口部２３ａからの吸入空気と合流して直線状に流れるが
、同時に、塵埃室３０でのサイクロン流の速度を増加し
、これにより大きな塵埃や多量の塵埃を前方下部に一部
圧縮して溜めることができる。

そして、透明な排塵カバー２５により塵埃が多く溜まっ
たことを知ると、カバー２５を開けて塵埃を取出すこと
ができる。

一方、金網２１を通過した小さな塵埃を含む空気は除塵
フィルター１２により除塵され、更にラジェータ９のコ
ア前面の竹トンボ状の除塵フィン１５が吸入風に基づき
空転していることにより、ラジェータコア面に吸着した
塵埃をコア面から一旦離し、縦状態にしてラジェータコ
ア面を通過させる。

また、エアークリーナ１６の吸気筒１７にもフィルター
１２を通過した清浄空気が給気されるが、この際、吸気
口近傍に位置する分散ガイド１８により吸気口部分に集
中して吸気されることを防止し、フィルター１２の部分
目詰りを防止している。

以上説明したように、本考案によれば、開口部２３ａか
ら吸入される空気は直線状の方向性が与えられるので、
空気が金網２１をはくようににして除塵室２９の奥へ直
線的に流れ、これにより金網２１に塵埃が付着すること
なく空気を吸入することができる。

また、直線状に流れた空気は曲面２３ｂ、２３ｃにより
下方に案内されて塵埃室３０に導かれ、該塵埃室３０で
の空気のサイクロン流により塵埃は分離されて端部に溜
めることができる。

更に、本防塵装置７は構造簡単でコンパクトに構成する
ことができ、従って少ない設置スペースで、清浄なエン
ジン給気、冷却風を得ることができ、塵埃の多い雰囲気
で使用するコンバイン等を、塵埃除去作業を必要とせず
、連続運転を行なうことができる。

また、中仕切板２７の開口部２３ａ側に、ガイド板２６
との間に間隙Ｃを形成すると、サイクロン流の速度を増
加することができ、大きな塵埃をより多量に溜めること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用し得るコンバインを示す側面図、
第２図は防塵カバーを示す一部切欠いた斜視図、第３図
は前面部分を切欠いた防塵カバーの側面図、第４図はそ
の断面図、第５図及び第６図は空気の流れを示す図で、
第５図は平断面図、第６図は側断面図である。 ５・・・・・・エンジン、７・・・・・・防塵装置、２
ｏ・・・・・・エンジンカバー、２１・・・・・・金網
、２３・・・・・・防塵カバー、２３ａ・・・・・・開
口部、２３ｂ、２３ｃ・・・・・・曲面、２７・・・・
・・中仕切板、２９・・・・・・除塵室、３０・・・・
・・塵埃室、Ａ・・・・・・所定距離、Ｃ・・・・・・
間隙。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）前面にエンジン吸気金網を張設したエンジンカバ
   ーの前面に、所定厚みを有しかつ一側部のみを開口した
   防塵カバーを設けたエンジンの防塵装置において、防塵
   カバーの開口部を、該防塵カバーの開口部から吸い込ま
   れる風に対して平行する向きに張設されたエンジン吸気
   金網より所定距離隔てて設け、また開口部からの直進状
   の風が突き当たる防塵カバーの奥部を曲面により構威し
   、更に該防塵カバー内を、開口部からの風の流れに対し
   て下方に位置しかつ防塵カバー奥部から所定距離隔てて
   配設された所定長さの中仕切板により、上方が除塵室に
   、また下方が塵埃室になるように仕切り、除塵室では開
   口部よりの吸気が直線状に整流され、更に奥部で塵埃室
   に導かれ、また塵埃室ではサイクロン流となるように構
   威したエンジンの防塵装置。
2. （２）前記中仕切板を、開口部側に間隙を有して配設し
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載のエンジンの防塵
   装置。