JPS5951244B2 - 鮮魚類の保存方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、鮮魚類の表皮または肉等の色をそのままの状
態で保持する鮮魚類の保存方法に関するものである。

鮭、鱒等の魚は、新鮮な状態においては、鮮紅色または
橙色を保っているが、鮮度を失うに従って変色、退色が
進むため商品価値が著しく低下してしまっていた。

この現象は、魚の保存温度を１０℃以下の低温にしても
防止できないものであった。

そのため鮮魚類の保存流通期間は、２〜３日と短期間に
限定されてしまい、それ以上の長期保存は不可能であっ
た。

鮭、鱒等の鮮紅色または橙色の魚類は、その殆んどが魚
肉中に含まれるカロチノイドにより呈色されているが、
このカロチノイドは、空気中では不安定なもので貯蔵条
件の如何によっては酸化が進み、変色、退色がおこって
いた。

このカロチノイドの酸化を防止するためには、魚類をガ
ス透過性の低い包装材料により気密状態の包装で、かつ
包装内の酸素を除去し、窒素および／または炭酸ガス等
の不活性ガスを封入するガス置換包装法により包装しな
ければならなかった。

上記包装方法により、酸素濃度を５％以下に保たなけれ
ばならなかった。

この包装方法は、ガスパック装置が必要であるうえ、包
装材料価格が高く、包装作業性が悪いため魚類において
は殆んど実用化されていなかった。

本発明は、従来の欠点を解消し、魚体中のカロチノイド
の酸化を簡便な方法でかつ確実に防止することのできる
鮮魚類の保存方法である。

以下本発明について詳細に説明する。

本発明は、鮭、鱒等の鮮魚と酸素を吸収すると共に炭酸
ガスを発生する薬剤とを酸素透過量２０〜２００ｍ１／
ｍ” ・ａｔｍ ｅ ２４ｈｒｓ、炭酸ガス透過量５
０〜５００ｍ１／ ｍ２− ａｔｍ −２４ｈｒｓであ
る包装材料により包装し、包装後１２時間以内に包装内
の酸素濃度が５％以下、炭酸ガス濃度が１５％以上にし
、かつ冷凍または０〜１５℃で保存することを特徴とす
る鮮魚類の保存方法である。

ここで本発明で用いる包装材料は酸素透過量が２０〜２
００ｍ１／ｍ２・ａｔｍ・２４ｈｒＳ、炭酸ガス透過量
が５０〜５００ｍ１／ｍ２・ａｔｍ・２４ｈｒＳテ゛あ
るツカ適当で゛、この透過量が大きい材料を用いると包
装中に外気が包装内に混入し、十分な保存効果が得られ
ない。

また透過量が小さい材料を用いると包装による保存効果
は優れているが、包装価格が高くなり実際に使用するの
が困難であった。

また従来において魚類を酸素吸収剤と共に包装材料で包
装し、保存する方法があるが、包装内の酸素のみを吸収
した場合、包装内が減圧状態となり、魚類を包装した包
装材料が収縮変形し、魚類と密着し、商品価値が低下す
るうえ、所期の目的を完全に達成できなかった。

本発明において用いる薬剤は、酸素を吸収すると同時に
炭酸ガスを発生するので、包装材料が魚類に密着するお
それがないうえ、炭酸ガスによる静菌効果があり、魚類
の保存により効果がある。

以下本発明の保存に用いる薬剤のいくつかの具体例を示
す。

〔薬剤１〕 ＦｅＳＯ４・７Ｈ２０３０重量部 Ｃａ（ＯＨ） ２ ３ ｎＣ
ａＣＯ３５〜１５！！ Ｎａ２ＳＯ３・７Ｈ２０５〜１５Ｉ！ 活性炭 １〜１０Ｉ！〔薬剤２
〕 ＦｅＳＯ４・７Ｈ２０３０重量部 Ｃａ （ＯＨ） ２６ ｎ ＮａＨＣＯ３１０〜２０ Ｉ！ Ｎａ２ＳＯ３・７Ｈ２０５〜１５１１ 活性炭 １〜１０１！〔薬剤３〕 ＦｅＳＯ４・７Ｈ２０５〜１５ 重量部Ｃａ（ＯＨ）
２ １〜５ １ｌＮａＨＣ０３３０’Ｉ Ｌ−アスコルビン酸ナトリウム３０ＩＩ Ｎａ２ＣＯ３・１０Ｈ２０１０〜３０１！活性炭
１〜１０１ＩＣａＣ１２１〜５！！ 上記の薬剤のそれぞれの特徴は、薬剤１は大気開放性が
優れている包装作業が簡便であり、薬剤２は、反応が速
くまた炭酸ガス発生量が多いうえ、低温においても反応
性が優れている。

また薬剤３は、反応の持続性が優れている。

このように薬剤は組合せによりそれぞれ特徴があるので
、実用に際しては、その使用条件に合せて選択すればよ
い。

この薬剤は、適当な通気性を有する包装材料、例えば紙
／穴のあいたポリエチレンフィルム、通気性を有する不
織布により密封し、使用する。

さらに本発明において包装に用いられる包装材料は、前
記のようなガス透過量を有するもので、例えばポリ塩化
ビニリテ゛ン塗工延伸プロピレンフ１イルム／未延伸プ
ロピレンフィルム、延伸ナイロンフィルム／ポリエチレ
ンフィルム、ポリエステルフィルム／ポリエチレンフィ
ルムがある。

本発明における包装形態は、上記包装材料により袋状に
包装するか、直接包装せず、ポリスチレンまたはポリ塩
化ビニル製のトレーに魚体を収納後上記包装材料で泡装
する他、ガス遮断性の容器に魚体を収納し、上記包装材
料を蓋材に用い密封したものである。

次に本発明の実施例について説明する。

１実施例 １ 酸素を吸収し、炭酸ガスを発生する薬剤の組成は以下の
通りである。

ＦｅＳＯ４＋ ７Ｈ２０５ｇ Ｃａ （ＯＨ） ２ １ｒ
ＮａＨＣＯ３２，５ Ｎａ２ＳＯ３・７Ｈ２０１，２ 活性炭 ０．３ 上記薬剤を上質紙と割布及び穴をあけたポリエチレンフ
ィルムを基本構成とした透気度１０００〜１００００秒
／１００ｃｃの包材に充填・密封する。

この薬剤をポリスチレンシートより成形されたトレー（
サイズ８０ ｘ １６０ ｘ ４０ｍ／ｍ ）に乗せ、
その上に不織布（サイズ６０Ｘ１３０ｍ／ｍ）を敷き、
さらにその上にサケの切身（サイズ６０ Ｘ １３０
Ｘ ３５ｍ ７ｍ ）を乗せる。

次にこの鮭のトレー全体をナイロンフィルム１５μとポ
リエチレンフィルム６０μで貼合された透明なプラスチ
ックフィルム（酸素透過率７０ｃｃ／ｍ２−２４ｈｒｓ
−ａｔｍ、炭酸ガス濃度２５０ｃｃ／ｍ２・２４ｈｒ
ｓ −ａｔｍ）で包装した。

これを５〜１０℃で保存し、血合い肉及び普通肉の肉色
の変化等について観察した。

尚、比較のため、スーパーマーケット等で多く使用され
ている包装方法、すなわち発泡スチロール製のトレーに
不織布を敷き、その上に鮭をのせ、全体をストレッチ包
装したものをコントロールとして比較テストした。

当然のことながら、このコントロールの包装容器内には
上記薬剤は使用しない。

尚、鮭は冷凍状態で保存、流通していたものを解凍後、
直ちに包装した。

以下に本発明の方法とコントロールについて鮭の肉色の
変化、菌の繁殖、及び包装容器内のガス：濃度結果を表
１および表２に示す。

（１）肉色の変化及び菌の繁殖 以上のように従来の包装方法では１〜２日間程度しか、
肉色の保持が出来なかったが本発明によると４日間まで
変色がほとんど見られず以後１０日間程度まで商品価値
を維持することが可能となった。

又、包装容器内の酸素濃度を低下させ、炭酸ガスを発生
させることにより菌の繁殖を防止することが可能である
ことが確認され、従来の包装方法では６日間でコロニー
発生が見られたが本発明によると１０日間コロニーの発
生が認められなかつ（２）包装容器内のガス濃度 た。

以上のように本発明は体内に含まれるカロチノイドによ
り、その鮮色を保っている鮮魚、例えば鮭、鱒、はうぼ
う、鯛等の変色を防止するのに極めて有効であり、しか
も従来の包装方法と較べ、特別な装置や作業が不必要で
、単に酸素を吸収し、炭酸ガスを発生する薬剤を鮮魚類
と共に包装するだけでよく、簡便で、確実に保存できる
鮮魚類の保存方法である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鮭、鱒等の鮮魚と酸素を吸収すると共に炭酸ガスを
   発生する薬剤とを酸素透過量が２０〜２００ｍ１／ｍ２
   − ａｔｍ −２４ｈｒｓ、炭酸ガス透過量が５０〜５
   ００ｍ１／ ｍ２・ａｔｍ・２４ｈｒｓである包装材料
   により包装し、包装後１２時間以内に包装内の酸素濃度
   を５％以下、炭酸ガス濃度を１５％以上にし、冷凍また
   は０〜１５℃で保存する鮮魚類の保存方法。 ２ 酸素を吸収すると共に炭酸ガスを発生する薬剤が、
   ガスを透過する包装材料により密封されている特許請求
   の範囲第１項記載の鮮魚類の保存方法。 ３ 包装材料が容器の蓋材である特許請求の範囲第１項
   または第２項記載の鮮魚類の保存方法。