JPS5947584B2 - 大豆蛋白質飲料の製造法 - Google Patents

大豆蛋白質飲料の製造法

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JPS5947584B2
JPS5947584B2 JP156078A JP156078A JPS5947584B2 JP S5947584 B2 JPS5947584 B2 JP S5947584B2 JP 156078 A JP156078 A JP 156078A JP 156078 A JP156078 A JP 156078A JP S5947584 B2 JPS5947584 B2 JP S5947584B2
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英雄 千葉
隆造 佐々木
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【発明の詳細な説明】 本発明は大豆蛋白質飲料の製造法、特にカルシウム塩を
添加しかつ大豆蛋白質の沈澱を防止した大豆蛋白質飲料
の製造法に関する。
豆乳に代表される大豆蛋白質飲料は優れた蛋白質飲料と
して重視され、研究開発が進められているが、まだ解決
されるべき問題点が少なくない。
例えば栄養価に関しての弱点としては乳幼児、発育期の
子供、妊産婦に必要なカルシウムが不足していること、
大豆蛋白質のアミノ酸組成中でメチオニンの少ないこと
等が挙げられる。
このうち前者のカルシウム不足を補うために大豆蛋白質
水溶液にカルシウム塩を添加すると、゛大豆蛋白質が沈
澱してしまい飲料としては不向きとなってしまうという
問題がある。
本発明者等はこの問題を解決すべく研究を進めた結果、
大豆蛋白質水溶液に牛乳のカゼイン成分のうちに一カゼ
イン、に−カゼインに富むカゼイン、脱リン酸β−カゼ
インの1つまたは2つ以上を添加することによりカルシ
ウム塩を添加しても大豆蛋白質の沈澱が防止されて大豆
蛋白質を牛乳のカゼインミセルに類似した安定な状態に
保ち得ることを見出した。
すなわち、牛乳のカゼインには主成分としてα5−1β
「に−カゼインが含まれ、α3−およびβ−カゼインは
カルシウムの存在下で沈澱する成分であるが、そこにに
−カゼインが存在すると、α、−およびβ−カゼインは
沈澱せずに安定なミセル状態が保たれる。
これをに−カゼインのミセル安定化能と称している。
ところでこのに−カゼインは従来α5−およびβ−カゼ
イン等のカゼイン成分のみをミセル状態で安定化する能
力しかないものと考えられてきたが、本発明者等はに一
カゼインが異種蛋白質特に大豆蛋白質のカルシウムによ
る沈澱をも防止し安定化することを見出したのである。
更に、本発明者等の研究により、β−カゼインはそれ自
身はカルシウムによって沈澱する成分であるが、β−カ
ゼインにホスホプロティンホスファターゼを作用させて
得た脱リン酸β−カゼインはカルシウムによる沈澱性を
失い、逆にに一カゼインのミセル安定化能に類似した能
力を発現し、α8−カゼインのみならず、大豆蛋白質を
も安定化する能力を有するようになることも判明したの
である。
本発明はこれらの知見にもとづいて完成されたものであ
る。
すなわち本発明は大豆蛋白質水溶液にに一カゼイン、に
−カゼインに富むカゼイン、脱リン酸β−カゼインの1
つまたは2つ以上を添加し、かつカルシウム塩溶液を添
加することにより大豆蛋白質の沈澱を防止することを特
徴とする大豆蛋白質飲料の製造法であって、その目的と
するところはカルシウム塩を添加し、かつ大豆蛋白質の
沈澱を防止して大豆蛋白質を牛乳のカゼインミセルに類
似した安定な状態に保ったすぐれた大豆蛋白質飲料を提
供することにある。
本発明で用いる大豆蛋白質としては、例えば脱脂大豆あ
るいは丸大豆より水抽出あるいはアルカリ抽出したもの
、または市販の分離大豆蛋白質が挙げられる。
大豆蛋白質水溶液としでは、変性しない大豆蛋白質の水
溶液を用いることができるが、加熱変性あるいはアルカ
リ変性させた大豆蛋白質の水溶液を用いるのが好ましい
加熱変性させた大豆蛋白質の水溶液は例えば大豆蛋白質
水溶液を90〜100℃で5〜10分位加熱処理するこ
とにより、またアルカリ変性させた大豆蛋白質の水溶液
は例えば大豆蛋白質水溶液に水酸化ナトリウム溶液を0
、INの濃度になるように加えることにより得ることが
できる。
このように加熱変性あるいはアルカリ変性させた大豆蛋
白質の水溶液は、変性しないものよりもに一カゼイン、
脱リン酸β−カゼインなどと大豆蛋白質との相互作用が
強くなり、大豆蛋白質がこれらのカゼインの安定化能を
受けやすくなるため好ましいことである。
大豆蛋白質水、溶液、または必要に応じて加熱変性ある
いはアルカリ変性させた大豆蛋白質の水溶液は中性付近
、例えばpH6〜8に調整するのが好ましい。
これは、pHが酸性側に片寄ると大豆蛋白質は沈澱しで
くるし、アルカリ側に片寄ると風味の点で飲みづらくな
ってしまうからである。
本発明において用いるカゼインのうちに一カゼインは従
来法に従って単離されたものを用いることができる。
またに−カゼインに富むカゼインは例えば次のようにし
て得ることができる。
蛋白質濃度0.5〜6%、pH7〜10に調整した牛乳
カゼインのアルカリ金属塩溶液を0〜15℃に冷却した
後、これに2価カチオンを添加し、生じたα8−カゼイ
ンを主成分とする沈澱を除去した液よりカゼインを分離
することによりに一カゼインに富むカゼインを得ること
ができる。
脱リン酸β−カゼインは従来法により単離されたβ−カ
ゼインに牛牌臓、馬鈴薯、小麦胚芽等から精製されたホ
スホプロティンホスファターゼ(酸性ホスファターゼと
同一視されている)を作用せしめて脱リン酸したものを
用いる。
脱リン酸β−カゼインとしては60%以上脱リン酸した
標品が大豆蛋白質に対して有効な安定化能を発現するの
で好ましい。
なお脱リン酸β−カゼインの調製に用いるホスホプロテ
ィンホスファターゼはプロテアーゼの混入がないよう充
分精製したものを用いる必要があり、プロテアーゼが混
入しているとβ−カゼインは脱リン酸と同時に加水分解
され、大豆蛋白質に対する安定化能も失なわれてしまう
恐れがある。
次にに一カゼインおよび脱リン酸β−カゼインによる大
豆蛋白質の安定化について実、験結果を示して説明する
熱変性大豆蛋白質最終濃度0.25%の大豆蛋白質水溶
液のpHを7.1に保ち、に−カゼイン、脱リン酸β−
カゼイン、両者の等景況合物を、大豆蛋白質の量に対し
O〜2.0倍量まで段階的に加えた後、37℃に10分
間保持してから塩化カルシウム溶液を濃度20mMにな
るように加える。
更に37℃で10分間保持した後、2000 r、 p
、 m、で1分間遠心分離し、上清に残る蛋白質を測定
した。
この結果を図面に示す。
なお図面では、縦軸には」1消蛋白質(%)、すなわち
初めの蛋白質量(大豆蛋白質量カゼイン)に対する上清
中の蛋白質量(大豆蛋白質+カゼイン)(%)をとり、
横軸には大豆蛋白質量に対する添加カゼイン量の比率を
とった。
そして縦軸のパーセンテイジの値の高いほど大豆蛋白質
の安定化のよいことを示す。
図面から、大豆蛋白質水溶液に加えるに一カゼインの量
は大豆蛋白質に対し1〜等量、脱リン酸β−カゼインの
量は↓〜4耀f好ましいことがわかる。
本発明において、に−カゼイン、に−カゼインに富むカ
ゼイン、脱リン酸β−カゼインはそれぞれ単独で大豆蛋
白質水溶液に添加してもよく、またこれらの2つ以上の
混合物を大豆蛋白質水溶液に添加してもよい。
大豆蛋白質水溶液にに一カゼイン、に−カゼインに富む
カゼイン、脱リン酸β−カゼインアルいはこれらの2つ
以上を添加した後、好ましくは25〜40℃に保持し、
大豆蛋白質と上記カゼインの相互作用を行なわせる。
そしてこれにカルシウム塩溶液を添加する。
使用するカルシウム塩としては、塩化カルシウム、酢酸
カルシウム、硫酸カルシウムなどが用いられるが、塩化
カルシウムが好適である。
その添加量はカルシウム塩濃度10〜50mMが適当で
ある。
なおこの場合、大豆蛋白質水溶液に食塩が存在していて
も100 mM程度までは影響がない。
上記のようにカルシウム塩を添加した後、25〜40℃
で10分間以上保持するのがよい。
かくして、カルシウム塩を添加しても大豆蛋白質の沈澱
が防止され、大豆蛋白質が牛乳のカゼインミセルに類似
した安定な状態に保たれた大豆蛋白質水溶液が得られる
なお、大豆蛋白質水溶液にに一カゼイン、に−カゼイン
に富むカゼイン、脱リン酸β−カゼインあるいはこれら
の2つ以上を添加する時において、大豆蛋白質水溶液の
蛋白質濃度が高い場合、例えば1%以」二の場合には、
大豆蛋白質水溶液に上記カゼインを混合したのち、90
〜100℃で5〜10分間加熱し、ついで25〜40℃
まで冷却するか、あるいは大豆蛋白質水溶液に上記カゼ
インを混合したものに水酸化すトリウムを加えてpH1
0以上にして適当時間、例えば数分保持した後、酸で中
性pH付近例えばpH6〜8に戻してから、カルシウム
塩を添加すると特に良い結果が得られる。
上述したようにしてつくられた大豆蛋白質が安定な状態
に保たれた水溶液は、この後必要に応じて常法にしたが
い適当な甘味料、油脂、フレーバー等を加えて蛋白質飲
料とする。
かくして本発明によれば、今までカルシウム不足という
欠点を有していた大豆蛋白質飲料にカルシウムの補充が
でき、しかも大豆蛋白質の沈澱を防止でき、栄養面でよ
り優れた大豆蛋白質飲料が得られるので、本発明は有用
な方法である。
次に本発明の実施例を示す。
実施例 1 低温脱脂大豆より水抽出によって得た大豆蛋白質の水溶
液を蛋白質濃度0.3%、pH7,0に調整した後、1
00℃で8分間加熱して大豆蛋白質を熱変性させ、つい
で37℃に冷却する。
一方、牛乳より従来法にしたがって単離したに一カゼイ
ンを水に溶解し、蛋白質濃度3%、pH7,0に調整し
、これを上記大豆蛋白質水溶液の↓量刑える(大豆0 蛋白質とに一カゼインの比は1:0.2になる)。
ついてこれを37℃に保持した状態で、別に調製した2
M塩化カルシウム溶液を上記蛋白質混合溶液の100量
強く攪拌した状態で添加しく塩化カルシウム塩度は20
mM)、37℃で10分間攪拌を続ける。
このようにして得た大豆蛋白質水溶液1部に大豆白絞油
0.003部、蔗糖0.02部、さらに牛乳フ1/−バ
ーを加え、ホモゲナイザーで乳化して大豆蛋白質飲料を
得た。
実施例 2 低温脱脂大豆より0.IN水酸化ナトリウム溶液による
抽出によって得た大豆蛋白質の水溶液を蛋白質濃度0.
3%、pH7,0に調整した後、37℃に保持する。
一方牛乳より従来法にしたがって単離したβ−カゼイン
を前記した如くにして脱リン酸した脱リン酸β−カゼイ
ン (脱リン酸率90%)を水に溶解し、濃度3%、p
H7,0に調整し、これを上■ 記大豆蛋白質水溶液の勿量刑える(大豆蛋白質と脱リン
酸β−カゼインの比は1:0.5)。
ついでこれを37℃に保持した状態で、別に調製した2
M塩化カルシウム溶液を上記蛋白質混合溶液の上00 量強く攪拌した状態で添加しく塩化カルシウム濃度は2
0mM)、37℃で10分間攪拌を続ける。
このようにして得た大豆蛋白質水溶液1部に大豆白絞油
0.003部、蔗糖0.02部さらに牛乳フレーバーを
加え、ホモゲナイザーで乳化して大豆蛋白質飲料を得た
実施例 3 低温脱脂大豆より水抽出によって得た大豆蛋白質の水溶
液を蛋白質濃度1%、pH7,0に調整する。
一方、実施例1に記載のに一カゼインを水に溶解し、濃
度1%、pH7,0に調製した後、これを上記大豆蛋白
質水溶液に対し等景況合する(大豆蛋白質とに一カゼイ
ンの比は1:1)。
この溶液を100℃で8分間加熱後、40℃に冷却する
別に調製した2M塩化カルシウム溶液を上記蛋白質混合
液の100量強く攪拌した状態で添加しく塩化カルシウ
ム濃度は20mM)、40℃で10分間攪拌を続ける。
このようにして得た大豆蛋白質水溶液1部に大豆白絞油
0.01部、蔗糖0.02部さらに牛乳フレーバーを加
えた後、ホモゲナイザーで乳化して大豆蛋白質飲料を得
た。
実施例 4 低温脱脂大豆より水抽出によって得た大豆蛋白質の水溶
液を蛋白質濃度3%に調整し、37℃に保持する。
一方実施例1に記載のに一カゼインを水に溶解し、濃度
3%に調整した後、これを上記大■ 豆蛋白質水溶液の図量刑える(大豆蛋白質とに−カゼイ
ンの比は1:0.5)。
これを37℃に保持した状態で水酸化ナトリウム溶液を
加えてpH12に調整し、10分間保持する。
ついでこれに塩酸を加えてpH7,0に戻した後、別に
調製した2M塩化カルシウム溶液を上記蛋白質混合溶液
の上世00 強く攪拌した状態で添加しく塩化カルシウム濃度は20
mM)、37℃で10分間攪拌を続ける。
このようにして得た大豆蛋白質水溶液1部に大豆臼絞油
領02部、蔗糖0.02部、さらに牛乳フレーバーを加
えた後、ホモゲナイザーで乳化して大豆蛋白質飲料を得
た。
実施例 5 低温脱脂大豆より水抽出によって得た大豆蛋白質の水溶
液を蛋白質濃度1.0%、pH7,0に調整する。
一方、前記したようにして調製したに一カゼインに富む
カゼイン(に−カゼイン含量は25%)を水に溶解し、
濃度1%、pH7,0に調整した後、これを」1記大豆
蛋白質水溶液に対し等景況合する(大豆蛋白質とに一カ
ゼインに富むカゼインの比は1:1)。
以下、実施例3に記載したと同様に実施して大豆蛋白質
飲料を得た。
【図面の簡単な説明】
図面はに一カゼインおよび脱リン酸β−カゼインによる
大豆蛋白質の安定化を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 大豆蛋白質水溶液にに一カゼイン、に−カゼインに
    富むカゼイン、脱リン酸β−カゼインの1つまたは2つ
    以」−を添加し、かつカルシウム塩溶液を添加すること
    により大豆蛋白質の沈澱を防止することを特徴とする大
    豆蛋白質飲料の製造法。
JP156078A 1978-01-12 1978-01-12 大豆蛋白質飲料の製造法 Expired JPS5947584B2 (ja)

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JPS5495771A JPS5495771A (en) 1979-07-28
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