JPS5946308B2 - ホ−ロ−引き浴槽の施釉方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はホーロー引き浴槽の施釉方法に関するものであ
る。

ホーロー引き鋳物浴槽を製造する方法として、鋳物浴槽
基材を８５０〜１０００℃に加熱し、この加熱した浴槽
基材に乾式のホーローフリットを吹付け、この吹付けフ
リットを浴槽基材に、その基材の高温度によつて焼付け
る乾式法が広く用いられている。

而して、浴槽の着色化粧のために、上記ホーローフリッ
トには、顔料を配合した着色フリットが用いられている
。

しかしながら、着色顔料による化粧は、単一色の化粧で
あり、単調である。

ところで、造岩鉱物の一つであるマイカにおいては、Ｓ
ｉ−Ａｌ−Ｏの層、Ａｌ−Ｍｇ−Ｆｅの層、にまたはＮ
ａの層等の積層構造物から成り、にまたはＮａの層が、
その上下のＳｉ−Ａｌ−Ｏの層をつなぎ合せているが、
そのつなぎ合せ力が弱いので、薄い層にはがれ易い性質
を備えている。

而るに、この剥離された薄い層の表面に現われる結晶は
、単斜晶系以外に、三方晶系や三斜晶系も含まれ、その
光学的性質は特異である。従つて、マイカは鋳物ホーロ
ー引き浴槽の化粧剤として有用であると考えられる。

しかしながら、マイカをホーロー釉薬に混入し、焼成し
た場合、既述のごとく、はがれ易い性質により、ホーロ
ー層の下地層に対する密着性が損なわれ易くなるといつ
た問題があつた。そこで、本願出願人は、ホーロー層に
マイカを混入するにあたり、マイカ粉末をガラス粉内に
混入せしめ、これをフリットとして、下地面上に散布融
着し、この層上にホーロー層を設けることによつて、マ
イカ混入のホーロー引き浴槽を製造する手段を別途出願
した。

しかし、当該手段により、マイカ混入のホーロー層の密
着性は、マイカを包むガラスにより相当向上するものの
マイカが直接浴槽基面に接触することは完全に防止し得
ることが出来ず、著るしく低い確率ではあるが剥離の危
険性は完全に除去できないといつた懸念が生じた。

本発明に係るホーロー引き浴槽の施釉方法は、上述の点
に鑑みて発明されたものであり、ガラスをマイカ粉末の
混入下で加熱融解し、この融解物を冷却後、粉砕してフ
リットを得、このフリットを、ホーロー溶着直後の浴槽
基材の高温ホーロー溶着層上に吹付け、而るのち、浴槽
基材を再加熱し、上記フリット吹付層上に透明なホーロ
ーフリツトを吹付け、溶着したことを特徴とするもので
ある。

以下、本発明を実施例に基づいて説明する。

本発明を実施するには、マイカ入りのガラスフリツトを
造る必要がある。このため、マイカを粉砕し、７０〜１
００メツシユのマイカ粉末をふるい撰別により得、これ
を１０００〜１２００ふに加熱して付着水分を除去する
。

次いでこの加熱処理マイカを透明ガラス粉末に、混合し
（必要に応じ着色顔料も混入できる入ガラス粉末を融解
し、この融解物を冷却後粉砕し、約１００メツシユのふ
るい選別によつてフリットＡを得る。ガラス粉末：マイ
カ粉末の割合は、体積比で１：１〜４：１である。上記
において、マイカ粉末として７０〜１００メツシユのも
のを使用する理由は、これよりも細かいマイカ粉末にお
いては、マイカの扁平形状に基づく光学的特徴が失なわ
れ、にごつた色感となつて、マイカの特異な光学的性質
を有効に利用できないからであり、一方、上記メッシユ
よりも大きいマイカ粉末においては、同一混入量下での
マイカのガラスとの接触衷面積が小さくなり、マイカと
ガラスとの熱膨脹係数の差異のために、融解ガラスの冷
却時、マイカとガラスとの界面に剥離が生じて、上記砕
粉時にマイカとガラスとが物理的に分離してしまうから
である。

上記のようにして得られたフリツトＡの一単位は、マイ
カ粉末がガラスで一体的に包まれた構造である。

本発明の鋳物ホーロー引浴槽を製造するには、まず鋳物
浴槽基材に、鋳鉄との密着性に秀れ、かつ後述する着色
ホーローフリットＢとの融着性に秀れた下グスリを塗布
する。

この下グスリには、例えば酸化コバルト、二酸化マンガ
ン、酸化ニッケル等を、気化性の、のりに混入したもの
を使用できる。下グスリを塗布した後は、浴槽基材を加
熱炉中に投入して、約１０００℃に加熱し、これを炉か
ら取出すと同時に、着色顔料配合の通常の着色ホーロー
フリツトＢを吹付け、これを浴槽基材に溶着させる。

着色ホーローフリットＢの吹付け後、このフリツト溶着
層が高温度にある間に、そのフリツト溶着層上に上記し
たフリツトＡを吹付ける。

このフリツトＡの一単位は、前記した通り、マイカ粉末
がガラスで一体に包まれた構造であるから、吹付けられ
たフリツトＡは、ガラスの溶融により、上記フリットＢ
の溶着層に付着する。

このフリツトＡの吹付け後は、浴槽基材を再度加熱炉に
投入して、上記着色フリツトＢの溶融温度よりもや匁低
い温度にまで浴槽基材を加熱し、この加熱後、浴槽基材
を加熱炉から取出すと同時に、上記した７リツトＡの溶
着層上に透明ホーローのフリットＣを吹付け、これを浴
槽基材の温度で、フリツトＢの溶着層上に溶着させる。
透明ホーローのフリツトＣには、融点８００〜８５０℃
程度のものが使用され、ガラス包囲マイ力粉末のフリッ
トＡのガラスには、この融点よりもやｋ高い８５０〜９
５０℃の融点のものが使用される。

着色ホーローフリツトには融点９５０℃〜１０００℃の
ものが使用される。図面は本発明により得られた鋳物ホ
ーロー引き浴槽を示し、１は鋳物素地を、２は下グスリ
層を、Ｂは着色ホーロー層を、Ａはマイカ混入ガラス層
を、Ｃは透明ホーロー層をそれぞれ示している。

マイカ混入ガラス層Ａにおいて、マイカ粉末とガラスと
が強固に一体化されていることは既述した通りであり、
また、この層Ａのガラスと着色ホーカー層Ｂ並びに透明
ホーロー層Ｃとの間も強固に溶着されている。しかも着
色ホーロー層Ｂは下グスリを介して鋳物浴槽基材に強固
に溶着されているから、積層体全体が基材から剥れてし
まうことも全く無い。従つて、溶着層の強靭性を、マイ
カ粉末の混存にもかｋわらず保証できる。

また、マイカ粉末が既述した特異な光学的性質のために
、意匠的に特徴のある外観を呈し、しかも、この効果が
、着色ホーロー層での光反射と透明ホーロー層での透光
とのために、一層にひき立てられる。

上述したように、本発明によれば、光学的に特徴のある
マイカ粉末を、鋳物ホーロー引き浴槽の化粧剤として使
用でき、鋳物ホーロー引き浴槽における化粧の種類を拡
張できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の方法により製造されたホーロー引き浴槽
を示す説明図である。 図において、１は浴槽基材、２は下グスリ、Ａはマイカ
粉末を混入したガラス層、Ｂは着色ホー ロー層、 Ｃは透明ホーロー層である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ガラスをマイカ粉末の混入下で加熱融解し、この融
   解物を冷却後、粉砕してフリットを得、このフリットを
   、ホーロー溶着直後の浴槽基材の高温ホーロー溶着層上
   に吹付け、而るのち、浴槽基材を再加熱し、上記フリッ
   ト吹付層上に透明なホーローフリットを吹付け溶着する
   ことを特徴とするホーロー引き浴槽の施釉方法。