JP2011073949A - ボーンチャイナ製品及びその製造方法 - Google Patents

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恭之 徳永
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Abstract

【課題】人工オパールを密着性よくボーンチャイナ素地に装着した審美性に優れたボーンチャイナ製品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】人工オパール20を用いた装飾部2を設けてなるボーンチャイナ製品1である。装飾部2は、ボーンチャイナ素地3の表面に配された釉薬層4中に人工オパール20を封入してなる。好ましくは、ボーンチャイナ製品1は、ボーンチャイナ素地3と、その表面に配された下地釉薬層41と、これに埋設された人工オパール20と、これらを被覆する表面釉薬層42とからなることが好ましい。ボーンチャイナ製品1は、下地釉薬層形成工程と人工オパール埋設工程と表面釉薬層形成工程とを行って製造する。各工程においては、それぞれ焼成を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、人工オパール用いた装飾部を設けたボーンチャイナ製品に関する。
磁器には、硬質磁器と軟質磁器とがある。中でも、軟質磁器であるボーンチャイナは、優れた白色を有すること、及び透光性、審美性、強度等の点で優れているため、食器、装飾用磁器として汎用されている。
近年、ボーンチャイナの優れた審美性を生かして高級感を向上させるため、自動車の内装品やエンブレム等の外装品にもボーンチャイナ製品を用いることが検討されており、ボーンチャイナ製品の用途はますます広がっている。
ところで、ボーンチャイナ等の磁器製品には、顔料を用いて着色を行うことにより、その審美性を向上させることが行われているが、磁器製品の審美性をさらに高めるために、宝石を装着した磁器が開発されている(特許文献1参照)。具体的には、素焼きした陶磁器に、宝石を接着剤により取り付け、釉薬を塗り、本焼きして製造する方法が開発されている(特許文献1)。
一方、高価で稀少な天然宝石に対して、比較的安価に製造できる人工宝石が開発されている(特許文献2参照)。このような人工宝石を用いることにより、宝石を装着した磁器の低コストが図られ、その用途はさらに拡大しうる。
特開2007−99558号公報 特開昭60−96589号公報
しかしながら、人工宝石の中でも人工ルビー及び人工サファイア等と比べて人工オパールは、ボーンチャイナなどの磁器に焼付けることが困難であった。即ち、磁器に人工オパールを焼付けても、焼付け後に人工オパールが剥がれ落ち易い。
したがって、人工オパールを装着したボーンチャイナ製品の開発は困難であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、人工オパールを密着性よくボーンチャイナ素地に装着した審美性に優れたボーンチャイナ製品及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、人工オパールを用いた装飾部を設けてなるボーンチャイナ製品であって、
上記装飾部は、ボーンチャイナ素地の表面に配された釉薬層中に人工オパールを封入してなることを特徴とするボーンチャイナ製品にある(請求項1)。
第2の発明は、ボーンチャイナ素地に下地釉薬を塗布して焼成することにより、上記ボーンチャイナ素地上に下地釉薬層を形成する下地釉薬層形成工程と、
上記下地釉薬層上に人工オパールを配置して焼成することにより、上記下地釉薬層に上記人工オパールを埋設させる人工オパール埋設工程と、
上記人工オパールを埋設した上記下地釉薬層上に、表面釉薬を塗布して焼成することにより、上記人工オパール及び上記下地釉薬層上に表面釉薬層を形成する表面釉薬層形成工程とを有することを特徴とするボーンチャイナ製品の製造方法にある(請求項7)。
第1の発明のボーンチャイナ製品においては、上記ボーンチャイナ素地の表面に配された上記釉薬層中に上記人工オパールが封入されている。即ち、上記人工オパールは、上記釉薬層中に封入されることにより密着性よく上記ボーンチャイナ素地に装着されている。そのため、上記ボーンチャイナ製品においては上記人工オパールの脱離を防止することができる。
また、上記ボーンチャイナ素地に装着された上記人工オパールは、オパール特有の色感及び遊色効果を示すことができる。それ故、上記ボーンチャイナ製品は、優れた審美性を発揮することができる。
また、上記人工オパールは上記釉薬層中に封入されているため、上記人工オパールが直接外部に露出することはない。そのため、上記人工オパールが傷付くことを防止することができる。また、上記ボーンチャイナ製品において最外層は上記釉薬層となるため、上記ボーンチャイナ製品の表面状態を滑らかにすることができる。
次に、第2の発明の製造方法においては、上記下地釉薬層形成工程と、上記人工オパール埋設工程と、上記表面釉薬層形成工程とを行って上記ボーンチャイナ製品を製造する。
上記下地釉薬層形成工程においては、上記ボーンチャイナ素地に上記下地釉薬を塗布して焼成する。これにより、上記ボーンチャイナ素地上に上記下地釉薬層を形成することができる。
次に、上記人工オパール埋設工程においては、上記下地釉薬層上に人工オパールを配置し、焼成する。上記下地釉薬層形成工程における焼成により硬化した上記下地釉薬層は、上記人工オパール埋設工程における焼成時に軟化する。そのため、上記下地釉薬層上に配された上記人工オパールは焼成中に軟化した上記下地釉薬層中に埋没する。それ故、焼成後には再度硬化した上記下地釉薬層中に上記人工オパールを埋設させることができる。
次に、上記表面釉薬層形成工程においては、上記人工オパールを埋設した上記下地釉薬層上に、表面釉薬を塗布して焼成する。これにより、上記人工オパール及び上記下地釉薬層上に表面釉薬層を形成することができる。
このようにして、ボーンチャイナ素地の表面に配された、上記下地釉薬層及び上記表面釉薬層からなる釉薬層中に人工オパールを封入してなるボーンチャイナ製品を製造することができる。
本発明の製造方法によって得られたボーンチャイナ製品は、上記第1の発明と同様の作用効果を発揮することができる。
また、本発明の製造方法においては、上述のごとく、上記下地釉薬層形成工程において、上記下地釉薬を一旦焼成により硬化させて上記下地釉薬層を形成した後、上記人工オパール埋設工程における焼成時に上記下地釉薬層中に上記人工オパールを埋設させている。
上記下地釉薬を塗布した後焼成することなく上記人工オパールを配置してその後に焼成を行うと、上記下地釉薬の焼成中に発生する気泡によって、上記人工オパールと上記下地釉薬層との密着性が悪くなり、上記人工オパールが剥離するおそれがある。
実施例1にかかる、ボーンチャイナ製品を表面釉薬層側から見た平面図。 実施例1にかかる、ボーンチャイナ製品の断面図。 実施例1にかかる、下地釉薬層を形成したボーンチャイナ素地の断面図。 実施例1にかかる、下地釉薬層上に人工オパールを配設したボーンチャイナ素地の断面図。 実施例1にかかる、下地釉薬層中に人工オパールを埋設したボーンチャイナ素地の断面図。
次に、本発明の実施形態について説明する。
上記ボーンチャイナ製品は、人工オパールを用いた装飾部を設けてなる。
上記装飾部は、上記ボーンチャイナ製品に、一つ又は二つ以上設けることができる。
上記人工オパールとしては、例えば京セラ株式会社等で製造されている市販品を利用することができる。
上記装飾部は、ボーンチャイナ素地の表面に配された釉薬層中に人工オパールを封入してなる。
上記釉薬層は、SiO2を61%(モル%、以下同様)以上、Al23を8〜10%、CaOを0.1〜3%、MgOを0.1〜2%、Li2Oを2〜5%、K2Oを1〜4%、Na2Oを2〜6%、B23を10〜15%含有することが好ましい(請求項2)。
かかる配合割合の上記釉薬層を形成することにより、上記ボーンチャイナ製品から上記人工オパールが脱離することを防止することができる。
各成分が上記配合割合から外れる場合には、上記ボーンチャイナ製品の製造時における焼成において、上記釉薬層にひび割れが発生したり、上記人工オパールが脱離したりするおそれがある。
また、SiO2が61%未満の場合には、上記釉薬層の耐薬品性が悪くなるおそれがある。表面平滑性の観点からはSiO2の含有量は65%以下であることが好ましい。
Al23が8%未満の場合には、上記釉薬層に大きな気泡が発生し易くなるおそれがある。一方、10%を超える場合には、グレーズ溶融時の粘性が高くなり、表面光沢が悪くなるおそれがある。
CaOが0.1%未満の場合には、上記釉薬層に破裂気泡が発生し易くなるおそれがある。3%を超える場合には、上記釉薬層が梨肌になるおそれがある。
MgOが0.1%未満又は2%を超える場合には、上記釉薬層に破裂気泡が発生し易くなるおそれがある。
Li2Oが2%未満の場合には、上記釉薬層が梨肌になるおそれがある。一方、5%を超える場合には、上記釉薬層に破裂気泡が発生し易くなるおそれがある。
2Oが1%未満の場合又は4%を超える場合には、上記釉薬層が梨肌になるおそれがある。
Na2Oが2%未満の場合又は6%を超える場合にも、上記釉薬層が梨肌になるおそれがある。
23が10%未満の場合には、上記釉薬層の表面平滑性及び表面光沢性が悪くなるおそれがある。一方、15%を超える場合には、破裂気泡が発生し易くなるおそれがある。
上記釉薬層は下地釉薬層と表面釉薬層とを有し、上記ボーンチャイナ製品は、上記ボーンチャイナ素地と、該ボーンチャイナ素地の表面に配された上記下地釉薬層と、該下地釉薬層に埋設された上記人工オパールと、該人工オパール及び上記下地釉薬層を被覆する上記表面釉薬層とからなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記人工オパールの少なくとも一部を上記下地釉薬層中に埋設し、さらに上記下地釉薬層から露出する人工オパールを上記表面釉薬層により被覆する構成にすることができる。
そのため、上記人工オパールを完全に上記釉薬層中に封入した上記ボーンチャイナ製品を簡単に製造することができる。また、上記表面釉薬層により上記人工オパールが被覆されているため、上記人工オパールが外部に露出することはなく、該人工オパールが傷付いたり、脱離したりすることを防止することができる。
上記下地釉薬層は、顔料を含有することが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記人工オパールの色感及び遊色効果を強調させることができる。即ち、上記下地釉薬層の色が背景色となって上記人工オパールの色感及び遊色効果を強調することができる。そのため、上記ボーンチャイナ製品の審美性をより向上させることができる。
同様観点から上記下地釉薬層は、黒、ルリ、緑、こげ茶等の濃色を呈することが好ましい。これらの各色を呈する上記下地釉薬層は、各色に対応した顔料を上記下地釉薬層に加えることにより実現することができる。顔料は市販のものを採用することができる。
より好ましくは、上記下地釉薬層は黒色であり、上記表面釉薬層は透明であることがよい(請求項5)。
この場合には、黒色の上記下地釉薬層により上記人工オパールの色感及び遊色効果を強調させることができると共に、上記表面釉薬層により上記人工オパールの色感及び遊色効果を損ねることがない。そのため、上記ボーンチャイナ製品の審美性をより強調することができる。
上記下地釉薬層の厚み及び上記表面釉薬層の厚みは、後述の人工オパールの厚みに応じて適宜決定することができる。
上記人工オパールは厚み0.15〜0.3mmの板状であることが好ましい(請求項6及び請求項10)。
人工オパールの厚みが0.15mm未満の場合には、人工オパール特有の遊色効果が損なわれてしまうおそれがある。一方、0.3mmを超える場合には、上記人工オパールが剥離し易くなるおそれがある。より好ましくは人工オパールの厚みは0.15〜0.2mmがよい。
次に、上記ボーンチャイナ製品は、上記下地釉薬層形成工程と上記人工オパール埋設工程と上記表面釉薬層形成工程とを行うことにより製造することができる。
上記下地釉薬層形成工程及び上記表面釉薬層形成工程において用いる上記下地釉薬及び上記表面釉薬は、SiO2を61%(モル%、以下同様)以上、Al23を8〜10%、CaOを0.1〜3%、MgOを0.1〜2%、Li2Oを2〜5%、K2Oを1〜4%、Na2Oを2〜6%、B23を10〜15%含有することが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記ボーンチャイナ素地に対する密着性に優れた上記下地釉薬層及び上記表面釉薬層を形成することができると共に、脱離なく上記人工オパールを上記ボーンチャイナ素地に装着させることができる。
各成分の臨界意義については上述の下地釉薬層及び表面釉薬層の臨界意義と同様である。
上記下地釉薬及び上記表面釉薬は、例えばガラスフリット及び天然原料を用い、両者を上述の成分配合比になるように調整することにより作製することができる。
ガラスフリットは、カオリン、石灰石、マグネサイト、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、硼酸、珪粉等を用いて調整することができる。これらを適量混合し、焼成し、次いで水中で急冷してガラスを得る。その後、ガラスを乾燥し、粉砕する。これによりガラスフリットを得ることができる。一方、天然原料は、粘土などよりなる。
上記下地釉薬層形成工程及び上記表面釉薬層形成工程において、上記下地釉薬及び上記表面釉薬を塗布する際には、ガラスフリットと天然原料を上記の成分配合比となるように混合し、これに水を添加してスラリー状としたものを用いることができる。
塗布方法としては、例えばスプレーガンによる吹き付け、或いは浸漬等を採用することができる。また、刷毛等を用いて塗布してもよい。
また、上記下地釉薬層は、上記人工オパールよりも小さな厚みで形成することが好ましい。上記下地釉薬層を上記人工オパールよりも大きな厚みで形成した場合には、上記人工オパール埋設工程における焼成時に、上記人工オパールが軟化した上記下地釉薬層中に完全に埋没してしまうおそれがある。その結果、上記人工オパールが傾いて埋設されてしまうおそれがある。また、上記下地釉薬層が顔料を含有する場合には、着色した上記下地釉薬層中に上記人工オパールが完全に埋没し、上記人工オパール特有の色感及び遊色効果が上記下地釉薬層の色で損なわれてしまうおそれがある。
また、上記下地釉薬層は、上記人工オパールの厚みの1/3以上の厚みで形成することが好ましい。より好ましくは1/2以上、さらに好ましくは2/3以上の厚みで形成することがよい。
上記下地釉薬層の厚みが上記人工オパールの厚みの1/3未満の場合には、上記人工オパールの脱離が起こり易くなるおそれがある。
上記下地釉薬は黒系顔料を含有し、上記表面釉薬は顔料を含有していないことが好ましい(請求項9)。
この場合には、黒色の上記下地釉薬層と透明の上記表面釉薬層を形成することができる。そのため、上記下地釉薬層により上記人工オパールの色感及び遊色効果を強調させることができると共に、上記表面釉薬層により上記人工オパールの色感及び遊色効果を損ねることがない。そのため、上記ボーンチャイナ製品の審美性をより強調することができる。
上記下地釉薬層形成工程及び上記表面釉薬層形成工程における焼成は、温度1050〜1200℃で行うことが好ましい。
温度1050℃未満の場合には、上記下地釉薬及び/又は上記表面釉薬中の気泡が焼成中に十分に抜けきらず、上記下地釉薬層及び/又は上記表面釉薬層中に多数の小気泡が残存し、上記ボーンチャイナ製品の外観が損なわれてしまうおそれがある。一方、1200℃を超える場合には、焼成中に上記下地釉薬及び/又は上記表面釉薬中の気泡が発泡し、破裂した気泡が上記下地釉薬層及び/又は上記表面釉薬層中に残存してしまうおそれがある。その結果、上記ボーンチャイナ製品の外観が損なわれてしまうおそれがある。より好ましくは、焼成は温度1180℃以下で行うことがよい。
上記人工オパール埋設工程における焼成は温度1050〜1200℃で行うことが好ましい(請求項11)。
温度1050℃未満の場合には、上記人工オパールが上記下地釉薬層から脱離し易くなるおそれがある。一方、1200℃を超える場合には、上記下地釉薬層中に大きな気泡が発生し易くなり、上記人工オパールと上記下地釉薬層との密着性が悪くなるおそれがある。より好ましくは、温度1180℃以下で行うことがよい。
(実施例1)
次に、本発明の実施例につき図1〜図5を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例のボーンチャイナ製品1は、人工オパール20を用いた装飾部2を設けてなる。装飾部2は、ボーンチャイナ素地3の表面に配された釉薬層4中に人工オパール20を封入してなる。
本例のボーンチャイナ製品1において、釉薬層4は、SiO2を64.3%(モル%、以下同様)、Al23を8.5%、CaOを2.0%、MgOを1.4%、Li2Oを4.2%、K2Oを2.7%、Na2Oを2.9%、B23を14.0%(合計100%)含有する。
本例において、釉薬層4は下地釉薬層41と表面釉薬層42とを有し、ボーンチャイナ製品1は、ボーンチャイナ素地3と、その表面に配された下地釉薬層41と、これに埋設された人工オパール20と、この人工オパール20及び下地釉薬層41を被覆する表面釉薬層42とからなる。
下地釉薬層41は、黒系の顔料を含有し黒色を呈している。一方、表面釉薬層42は顔料を含有しておらず透明である。
本例において、人工オパール20は、厚み0.2mmの板状である。下地釉薬層41の厚みは0.15mmであり、表面釉薬層42の厚みは0.3mmである。表面釉薬層42の厚みは、装飾部2において周囲よりも大きくなりやすく(図2参照)、上述の表面釉薬層42の厚みは、厚みが最も大きくなる部位の厚みとし、これが上述の0.3mmである。人工オパール20は、表面釉薬層42に完全に被覆されており、表面釉薬層42の外部には露出していない。
次に、本例のボーンチャイナ製品の製造方法につき、説明する。
本例においては、下地釉薬層形成工程と人工オパール埋設工程と表面釉薬層形成工程とを行ってボーンチャイナ製品を製造する。
下地釉薬層形成工程においては、ボーンチャイナ素地に下地釉薬を塗布して焼成する。これにより、図3に示すごとく、ボーンチャイナ素地3上に下地釉薬層41を形成する。
人工オパール埋設工程においては、図4に示すごとく、ボーンチャイナ素地3上に形成した下地釉薬層41上に人工オパール20を配置する。次いで、この状態で焼成を行う。これにより、図5に示すごとく、人工オパール20を下地釉薬層41中に埋設させる。
次いで、表面釉薬層形成工程においては、人工オパール20を埋設した下地釉薬層41上に、表面釉薬を塗布して焼成する。これにより、図1及び図2に示すごとく、人工オパール20及び下地釉薬層41上に表面釉薬層42を形成する。
以下、本例のボーンチャイナ製品の製造方法につき、詳細に説明する。
まず、カオリン22.5質量%、石灰石2.6質量%、マグネサイト1.6質量%、炭酸リチウム4.2質量%、炭酸カリウム5.0質量%、炭酸ナトリウム4.2質量%、硼酸23.3質量%、及び珪粉36.6質量%(合計100質量%)を混合した。次いで、粉末混合物を1350℃〜1400℃で焼成し、溶融し、次いで、水中で急冷してガラスを得た。その後、ガラスを乾燥させ、粉砕した。これによりガラスフリットを得た。
次いで、ガラスフリット91質量%と天然原料9質量%とを混合し、さらに固形分100質量部に対して、黒系の顔料(川村化学株式会社製の顔料4590(黒系))10質量部添加した。
次に、固形分に対して水を添加してスラリー状の下地釉薬を得た。水は、固形分と水との合計量100質量部に対して水が36質量部となるように添加した。
また、上述の下地釉薬の作製方法における顔料の添加を省略し、その他は上記下地釉薬と同様にしてスラリー状の表面釉薬を作製した。表面釉薬は、顔料を含有しない点を除いては下地釉薬と同様のものである。
次に、スプレーガンを用いてボーンチャイナ素地に下地釉薬を吹き付けて塗布し、温度1150℃で焼成した(下地釉薬層形成工程)。これにより、ボーンチャイナ素地3上に厚み0.15mmの下地釉薬層41を形成した(図3参照)。
次に、厚み0.2mmの板状の人工オパール20(京セラ株式会社製のクリエイテッドオパール)を下地釉薬層41上に配置した(図4参照)。そして、温度1080℃で焼成を行った(人工オパール埋設工程)。これにより、下地釉薬層41中に人工オパール20を部分的に埋設した(図5参照)。同図に示すごとく、人工オパール20は下地釉薬層41よりも厚みが大きいため、人工オパール20の上部は部分的に下地釉薬層41から露出している。
次に、スプレーガンを用いて、人工オパール20を埋設した下地釉薬層41上にさらに表面釉薬を塗布した。このとき、下地釉薬層41から露出した人工オパール20が表面釉薬により完全に被覆される厚みで表面釉薬の塗布を行った。次いで、温度1150℃で焼成を行った(表面釉薬層形成工程)。
これにより、人工オパール20及び下地釉薬層41を覆う表面釉薬層42を形成した(図2参照)。
このようにして、図1及び図2に示すごとく、ボーンチャイナ素地3の表面に配された釉薬層4中に人工オパール20を封入してなる装飾部2を有するボーンチャイナ製品1を得た。
図1及び図2に示すごとく、本例のボーンチャイナ製品1においては、ボーンチャイナ素地3の表面に配された釉薬層4中に人工オパール20が封入されている。即ち、人工オパール20は、釉薬層4中に封入されることにより密着性よくボーンチャイナ素地3に装着されている。そのため、ボーンチャイナ製品1においては、人工オパール20の脱離を防止することができる。
また、ボーンチャイナ素地3に装着された人工オパール20は、オパール特有の色感・遊色効果を示すことができる。それ故、ボーンチャイナ製品1は、優れた審美性を発揮することができる。
また、人工オパール20は釉薬層4中に封入されているため、人工オパール20が直接外部に露出することはない。そのため、人工オパール20が傷付くことを防止することができる。また、ボーンチャイナ製品1において最外層は釉薬層4となるため、ボーンチャイナ製品1の表面状態を滑らかにすることができる。
また、本例において、釉薬層4は、SiO2:61%(モル%、以下同様)以上、Al23:8〜10%、CaO:0.1〜3%、MgO:0.1〜2%、Li2O:2〜5%、K2O:1〜4%、Na2O:2〜6%、B23:10〜15%という特定組成を有している。かかる組成を有する釉薬層4は人工オパール20をボーンチャイナ素地3に十分に密着させることができる。
また、本例において、釉薬層4は下地釉薬層41と表面釉薬層42とを有し、ボーンチャイナ製品1は、ボーンチャイナ素地3と、その表面に配された下地釉薬層41と、これに埋設された人工オパール20と、この人工オパール20及び下地釉薬層41を被覆する表面釉薬層42とからなる。
人工オパールの少なくとも一部を下地釉薬層41中に埋設し、さらに下地釉薬層41から露出する人工オパール20を表面釉薬層42により被覆する構成にすることができる。そのため、下地釉薬層41と表面釉薬層42とからなる釉薬層4中に人工オパール20を完全に封入したボーンチャイナ製品1を簡単に製造することができる。また、表面釉薬層42により人工オパール20が被覆されているため、人工オパール20が外部に露出することはなく、人工オパール20が傷付いたり、脱離したりすることを防止することができる。
また、下地釉薬層41は黒色であり、表面釉薬層42は透明である。
そのため、黒色の下地釉薬層41が背景色となり人工オパール20の色感及び遊色効果を強調させることができると共に、表面釉薬層42が透明であるため人工オパール20の色感及び遊色効果を損ねることがない。そのため、ボーンチャイナ製品1の審美性をより強調することができる。
また、本例のように、上記下地釉薬層形成工程、上記人工オパール埋設工程、及び上記表面釉薬層形成工程を行って得られたボーンチャイナ製品1は、表面釉薬層42と下地釉薬層41からなる釉薬層4中に人工オパール20が完全に封入されており、釉薬層4はボーンチャイナに十分に密着していた。釉薬層4にひび割れなどもなく、人工オパール20が脱離するおそれもなかった。
このように、本例によれば人工オパールを密着性よくボーンチャイナ素地に装着した審美性に優れたボーンチャイナ製品を製造できた。
(その他の実施例及び比較例)
実施例1においては、人工オパール埋設工程における焼成を温度1080℃で行ったが、この温度を変更したその他の実施例及び比較例について検討した。
具体的には、人工オパール埋設工程における焼成を温度830℃、1000℃、及び1150℃でおこなった。その他は、実施例1と同様にしてボーンチャイナ素地の表面に形成した、下地釉薬層及び表面釉薬層からなる釉薬層中に人工オパールを封入したボーンチャイナ製品を作製した。
その結果、人工オパール埋設工程における焼成温度を1150℃にした場合においては、焼成温度を1080℃にした実施例1と同様に人工オパールの脱離は起こらなかった。これに対し、焼成温度を830℃及び1000℃にした場合には、人工オパールが脱離し易くなった。
また、ボーンチャイナ以外の一般磁器に対して、実施例1と同様に、下地釉薬層及び表面釉薬層からなる釉薬層を形成すると共に、釉薬層中に人工オパールを封入した。その結果、一般磁器に対しては、人工オパールを装着することができずに、人工オパールが脱離した。
また、実施例1の板状の人工オパールの代わりに、粒径1.8mm、2.1mm、又は2.3mmの粒子状の人工オパールを用いた場合にも、釉薬層中に人工オパールを封入することが困難になり、人工オパールをボーンチャイナに装着することが困難であった。
1 ボーンチャイナ製品
2 装飾部
20 人工オパール
3 ボーンチャイナ素地
41 下地釉薬層
42 表面釉薬層

Claims (11)

  1. 人工オパールを用いた装飾部を設けてなるボーンチャイナ製品であって、
    上記装飾部は、ボーンチャイナ素地の表面に配された釉薬層中に人工オパールを封入してなることを特徴とするボーンチャイナ製品。
  2. 請求項1に記載のボーンチャイナ製品において、上記釉薬層は、SiO2を61%(モル%、以下同様)以上、Al23を8〜10%、CaOを0.1〜3%、MgOを0.1〜2%、Li2Oを2〜5%、K2Oを1〜4%、Na2Oを2〜6%、B23を10〜15%含有することを特徴とするボーンチャイナ製品。
  3. 請求項1又は2に記載のボーンチャイナ製品において、上記釉薬層は下地釉薬層と表面釉薬層とを有し、上記ボーンチャイナ製品は、上記ボーンチャイナ素地と、該ボーンチャイナ素地の表面に配された上記下地釉薬層と、該下地釉薬層に埋設された上記人工オパールと、該人工オパール及び上記下地釉薬層を被覆する上記表面釉薬層とからなることを特徴とするボーンチャイナ製品。
  4. 請求項3に記載のボーンチャイナ製品において、上記下地釉薬層は、顔料を含有することを特徴とするボーンチャイナ製品。
  5. 請求項3又は4に記載のボーンチャイナ製品において、上記下地釉薬層は黒色であり、上記表面釉薬層は透明であることを特徴とするボーンチャイナ製品。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のボーンチャイナ製品において、上記人工オパールは厚み0.15〜0.3mmの板状であることを特徴とするボーンチャイナ製品。
  7. ボーンチャイナ素地に下地釉薬を塗布して焼成することにより、上記ボーンチャイナ素地上に下地釉薬層を形成する下地釉薬層形成工程と、
    上記下地釉薬層上に人工オパールを配置して焼成することにより、上記下地釉薬層に上記人工オパールを埋設させる人工オパール埋設工程と、
    上記人工オパールを埋設した上記下地釉薬層上に、表面釉薬を塗布して焼成することにより、上記人工オパール及び上記下地釉薬層上に表面釉薬層を形成する表面釉薬層形成工程とを有することを特徴とするボーンチャイナ製品の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法おいて、上記下地釉薬及び上記表面釉薬は、SiO2を61%(モル%、以下同様)以上、Al23を8〜10%、CaOを0.1〜3%、MgOを0.1〜2%、Li2Oを2〜5%、K2Oを1〜4%、Na2Oを2〜6%、B23を10〜15%含有することを特徴とするボーンチャイナ製品の製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載の製造方法において、上記下地釉薬は黒系顔料を含有し、上記表面釉薬は顔料を含有していないことを特徴とするボーンチャイナ製品の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法において、上記人工オパールは厚み0.15〜0.3mmの板状であることを特徴とするボーンチャイナ製品の製造方法。
  11. 請求項7〜10のいずれか一項に記載の製造方法において、上記人工オパール埋設工程における焼成は温度1050〜1200℃で行うことを特徴とするボーンチャイナ製品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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