JPS5943245B2 - １枚刃穴明け工具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は穴明は工具に関するもので、特に深穴加工用の
１枚方穴明げ工具に関するものである。

従来、深穴加工用の工具の一例として第１図および第２
図に示すように構成されたガンドリルが知られているが
、このガンドリルは回転中心軸線から直径の１／４だげ
外周方向に偏心した位置にアペックスポイント（刃先頂
部）１を有し、このアペックスポイント１から半径線に
沿い且つ各々所定の先端角をもってインナーエツジ２と
アウターエツジ３とが形成され、さらに各エッジ２，３
０回転方向側の所定部分は軸線方向に沿ってＶ字状に切
欠されてここに切屑排出用のＶ溝４が形成されており、
この■溝４を構成する２壁面のうち前記各エツジ２，３
に対応する壁面がすくい面５となっている。

なお、図中６は軸線方向に貫通する油孔である。

しかるに、上記構成のガンドリルにおいてはアペックス
ポイント１が欠損し易いという欠点があった。

すなわち、上記のガンドリルによって穴明は加工を行っ
た場合には、インナーエツジ２とアウターエツジ３とに
よってそれぞれ生成された切屑がアペックスポイント１
の近傍において干渉する。

このため、アペックスポイント１部分における切屑のス
ムースな流れが阻害され、その部分の切削抵抗の増大、
切削熱の蓄積が生じ、この結果アペックスポイント１０
部分が欠損し易（なっていたのである。

また切屑の処理を、インナーエツジ２で生じたものとア
ウターエツジ３で生じたものとを相互に干渉させること
によりインナーエツジ２で生じた切屑に亀裂を生じさせ
、さらにこれに伴う切欠き効果により弱（なった切屑に
高圧の切削油を作用させて一定長さの切屑に分断して行
なうのであるが、高送り加工を行なう場合、切屑強度が
犬になって前記切欠き効果と高圧切削油の作用とでは切
屑を分断し得す、切削不能になるおそれがあり、いずれ
にしても高速重切削を行なうことが困難であった。

また従来、深穴加工用の工具としてＢＴＡ方式のドリル
が知られているが、このドリルは第３図および第４図に
示すように本体７の先端部で回転中心軸から外周方向へ
幾分偏心した箇所にブレード８を取り付け、穴明は加工
を行なう場合本体７の外周側に切削油を供給しこの切削
油と共に切屑をポケット９に導いて切屑を排出するよう
に構成されたものである。

しかしながらこのドリルにあっても、前記ブレード８０
頂部１０は回転中心から外周方向へ偏心した位置にあり
、またインナーエツジ１１とアウターエツジ１２とは前
記ガンドリルのそれと同様に頂部１０から半径線に沿い
かつ各々所定の先端角をもってグレード８の先端縁部に
形成されており、その結果高送り加工を行なう場合前記
ガンドリルと同様に頂部１０あるいは各エツジ１１．１
２０強度上の問題があるうえ、ステップ形の掘込みブレ
ーカにより切屑を分断する方式である関係上、中心部と
外周部との切削速度の大きな違いにより、ブレーカの形
状あるいは位置が必ずしも最適とは言い得す、切屑の処
理、排出性に難点があり、いずれにしても前記ガンドリ
ルと同様に高速重切削は困難であった。

さらに、前記ガンドリルあるいはＢＴＡ方式のドリルの
切刃部に超硬合金を使用した場合、回転中心部側のエツ
ジ２，１１はその切削速度が遅いために切屑との溶着が
激しく、その欠損が避けられず、また外周部側のエツジ
３，１２においても構成刃先が生成、脱落するから、仕
上面にスクラッチが入って良好な仕上面を得ることがで
きず、さらには再研摩する場合、前記ガンドリルにあっ
てはインナーエツジ２とアウターエツジ３との両者のフ
ランク面を再研摩する必要があり、ＢＴＡ方式゛のドリ
ルにあってはフランク面の研摩以外にブレーカを精度良
く新らたに掘込む必要があり、その再研摩作業が極めて
面倒であった。

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高速重切削
を行ない得るとともに再研摩を容易に行ない得る１枚方
穴明げ工具を提供することを目的とするものである。

以下本発明の実施例を図面を参照して説明する。

第５図乃至第１図は１枚方ガンドリルを示すもので、こ
れらの図中２０は回転中心Ｏから外周部に至る切刃であ
って、回転中心Ｏ側から外周部側へ向かうにしたがって
後端側へ向かうように形成されている。

この切刃２０に対応するすくい面２１は回転中心軸線を
中心にして所定の開き角度をもち且つ当該軸線の方向に
沿って形成された切屑排出用のＶ溝２２の一方の壁面を
構成しており、したがってこのすくい面２１は当該ドリ
ルの回転面に対しほぼ垂直となっている。

また前記すくい面２１は回転中心軸線から半径方向に延
びる幅の狭い面２１ａと、該面２１ａに対し回転方向（
図中矢印Ａで示す）後側へ所定角度をなす幅の狭い面２
１ｂと、半径方向と平行となる面２１ｃとから構成され
、したがってすくい面２１はその回転中心側で２段に屈
曲して回転方向Ａへ凸となっている。

一方、前記す（い面２１とで前記切刃２０を構成する先
端面は切刃２０が所定角度の先端角をなすように傾斜し
ていてここに逃げ面２３が形成されている。

なお、図中２４はノツチ面であって、油孔２５はこのノ
ツチ面２４に開口している。

しかして上記構成のガンドリルにあっては、従来のガン
ドリルの如きアペックスポイントがないから切刃２０の
欠損が起きるおそれは殆どないうえ、すくい面２１をそ
の回転中心側で回転方向Ａへ凸となしたことに伴って切
刃２０の長さが長くなって単位長さ当りの負荷が減少し
、その結果切刃２００強度が相対的に高くなっているか
ら高送り加工を行なうことができる。

また、このガンドリルにおいては、従来のガンドリルに
おけるアペックスポイントの欠損という問題を解消する
ために、切刃２０を回転中心Ｏ側から外周側へ向かうに
したがって後端側へ向かうように形成している。

つまり、切刃２００回転中心０に存する部分を他の部分
より先端側へ突出させ、アペックスポイントを無くする
と共に、その部分から喰い付かせるようにしている。

しかし、単にそのような構成にすると、切屑を分断する
ことができない。

そこで、すくい面２１を回転中心０側で複数段に屈曲さ
せて回転方向へ凸となるように形成している。

切刃２０およびすくい面２１を上記のように構成すると
、穴明は加工を行なった場合、切刃２０による切削が回
転中心０側から外周部側へ向かって行なわれ、回転中心
０側で曲率が太き（外周部側で曲率が小さく巻き、かつ
長さが切刃２０の長さにほぼ対応した長さの細かい切屑
が生成される。

しかもこの切屑は回転中心Ｏ側から外周部側へ向かって
すべるようにして流出する。

したがって、切屑が切刃２０の一部に滞ることなくスム
ースに排出され、切刃２０の一部が欠損するのを防止す
ることができる。

しかも、切屑が切刃２０の長さとほぼ同じ長さの極く細
かなものとなっているから、切屑排出性が大幅に向上す
る。

これら切刃２０の欠損防止と切屑排出性の向上とが相俟
って、高速重切削を行なうことができる。

しかも、切屑が外周部へ向ってすべることによりすくい
面２１への溶着が極めて少なくなり、その結果切刃２０
０回転回転中心０側分では溶着物の低速圧着分離が起こ
らないから、切刃２０のチッピングが発生せず、また切
刃２０の外周側の部分では構成刃先が生成しにく（なり
スクラッチのない仕上面を得ることができる。

なお、前記逃げ面２３は平坦面である必要は特にはな（
、例えば第８図に示すように球面としてもよく、これに
伴って側面視で切刃２０が当該ドリルの先端側に凸とな
る円弧状になるようにしてもよい。

第９図および第１０図は本発明をＢＴＡ式ドリルに適用
した例を示すもので、切刃ブレード３０は単一の切刃３
１を有するとともに該切刃３１の始端部が回転中心Ｏに
一致するように取り付けられている。

そして、切刃３１のすくい面３２は全体として回転面に
対してほぼ垂直となっているとともに、回転中心軸線か
ら半径方向に延びる幅の狭い面３２ａと、該面３２ａに
対し回転方向Ａ後側へ所定角度をなす幅の狭い面３２ｂ
と、半径方向と平行となる面３２ｃとから構成され、し
たがってすくい面３２は前記ガンドリルにおけるすくい
面２１と同様にその回転中心側で２段に屈曲して回転方
向Ａへ凸となっている。

なお、第９図、第１０図中３３は切屑排出用のポケット
であり、３４はガイドパッドである。

しかして上記構成のＢＴＡ式ドリルにあっては、従来の
ＢＴＡ式ドリルの如きアペックスポイントがないこと、
すくい面３２はその回転中心側で凸となっていること、
これに伴って切刃３１の長さが長（なっていることから
、前記ガンドリルの場合と同様に高送り加工が加能とな
り、また穴精度が良く、さらには切屑の処理、排出を良
好に行ない得てドリルの折損を防止できる。

以上説明したように本発明によれば、回転中心側から外
周部側へ向かうにしたがって後端側へ向かう単一切刃を
有し、そのすくい面が回転中心側で複数段に屈曲して回
転方向へ凸となっているから、アペックスポイントを解
消するとともに切刃の長さを長（して単位長さ当りの負
荷を軽減し得、その結果切刃の欠損、異常な摩耗などを
生じることな（高送り加工をすることができ、またすく
い面が複数段に屈曲して回転方向へ凸となっていること
により穴精度を良好なものとなすことができるうえ、切
屑の処理、排出を極めて良好に行なうことができ、した
がって本発明に係る穴明は工具によれば何ら支障なく高
速重切削を行なうことができる。

また、すくい面は回転方向へ凸となっているものの平面
を複数段に屈曲させて連続させたものであるから、その
再研摩を極めて容易に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のガンドリルの先端部を示す正面図、第２
図はその側面図、第３図は従来のＢＴＡ式ドリルの先端
部を示す正面図、第４図はその側面図、第５図は本発明
に係る１枚方ガンドリルの先端部を示す斜視図、第６図
はその正面図、第７図はその側面図、第８図は本発明に
係る他の１枚方ガンドリルの先端部を示す側面図、第９
図は本発明に係るＢＴＡ式ドリルの先端部を示す正面図
、第１０図はその側面図である。 ２０．３１・・・・・・切刃、２１，３２・・・・・・
す（い面、２１ａ、２１ｂ、２１ ｃ、３２ａ、３２ｂ
。 ３２ｃ・・・・・・（すくい面を構成する）各面、Ａ・
・・・・・回転方向、０・・・・・・回転中心。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 刃先先端部における回転中心から外周部に至り且つ
   回転中心側から外周部側へ向かうにしたがって後端部側
   へ向かう単一の切刃を有し、該切刃のす（い面は回転中
   心側で複数段に屈曲して回転方向へ凸となっていること
   を特徴とする１枚方穴明は工具。