JPS5937020B2 - 耐衝撃性の優れた樹脂組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、耐衝撃性の優れた樹脂組成物に関する。

塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性を改良する方法として、Ｍ
ＢＳ樹脂をブレンドする方法が良く知られており、高耐
衝撃性で難燃件の熱可塑性樹脂組成物として、主に金属
の代替分野で良く使用されるようになつてきている。

しかし、この組成物はＭＢＳ樹脂が紫外線により劣化し
易いため耐候性が悪く、屋外で長期間使用していると、
その最大の特長である耐衝撃性が低下くてしまうため、
屋外用途には制約を受けていた。本発明の目的は、この
ような耐候性を改良し、屋外での長期使用に耐える高耐
衝撃性の樹脂組成物に関する。このような問題点を解決
すべく、本発明者らは、耐候性と耐衝撃性を兼ね備えた
樹脂組成物を得るために種々検討した結果、〔Ａ〕塩化
ビニル系樹脂に、〔Ｂ〕アクリル酸エステル重合体に芳
香族ビニル化合物およびビニルシアン化合物をグラフト
重合させて得られた重合体組成物（以下、ＡＡＳ樹脂と
いう）と〔Ｃ〕塩素化ポリエチレンを併用して添加した
場合に驚くべきことにＡＡＳ樹脂又は塩素化ポリエチレ
ンをそれぞれ単独で塩化ビニル系樹脂に添加した場合に
比べて相乗的に耐衝撃性が向上し、かつ耐候件のすぐれ
た樹脂組成物ｔ）Ｓ得られること、おたびこれらの効果
が該樹脂組成物に無機難燃剤を含んでいても同様である
ことを見出し、本発明に到達した。

すなわち、塩化ビニル系樹脂にＡＡＳ樹脂単独を混合し
た樹脂組成物は耐候性はすぐれているが、耐衝撃性は充
分、向上しない。

又、塩化ビニル系樹脂に〔Ｃ〕成分単独を混合した樹脂
組成物は、配合部数を多くすれば、常温での耐衝撃性は
向上するｔ）５、代温における落球衝撃強さはあまり向
上せず、熱変形幅度や機械強度の低下が大きい。ところ
が、ＡＡＳ樹脂と塩素化ポリエチレンを併用混合すると
耐衝撃性が相乗的に向上し、少量の〔Ｃ〕成分の添加で
高い衝撃強さを得ることＢ５できるので、熱変形温度や
機械強度の低下の少ない、バランスのとれた物性の高耐
衝撃性の樹脂組成物を得ることができる。該樹脂組成物
に無機難燃剤を含んでいてもこれらの効果は同様である
。すなわち、本発明は、〔Ａ〕 塩化ビニル系樹脂（以
下、「〔Ａ〕成分」という）７８〜７重量？、〔Ｂ〕
アクリル酸エステル重合体に芳香族ビニル化合物および
ビニルシアン化合物をグラフト重合させて得られた重合
体組成物（以下、「〔Ｂ〕成分」という）１８〜７２重
量％および〔Ｃ〕塩素化ポリエチレン（以下、（〔Ｃ〕
成分」という）３〜２１重量？を含有してなる樹脂組成
物に関する。

該樹脂組成物には、必要に応じて、さらに無機難燃剤を
含有させること／）３できる。

〔Ａ〕成分、〔Ｂ〕成分および〔Ｃ〕成分は、各々、７
９〜７重量？、１８〜７２重量％および３〜２１重量？
の割合で〔Ａ〕成分、〔Ｂ〕成分および〔Ｃ〕成分全体
Ｂ３ｌＯＯ重量％になるように配合される。

ＣＢ〕成分が１８重量？未満で〔Ｃ〕成分が３重量？未
満では耐衝撃性の相乗的な向上効果は認られず、また、
〔Ｂ〕成分子）５７２重量％を國えると耐衝撃件／）３
少し低下する。また、〔Ｃ〕成分Ｂ３２ｌ重量？を越え
ると耐衝撃性の大幅な向上が認められないのに対し、熱
変形温度、機械強度の低下Ｂ５大きくなる。より優れた
耐衝撃性と共に、より優れた他の機械特性を満足するた
めに、〔〔Ａ〕成分、〔Ｂ〕成分および〔Ｃ〕成分は、
〔Ａ〕成分が７８〜１１重量？、〔Ｂ〕成分が１８〜７
２重量？、〔Ｃ〕成分Ｂ３４〜１７重量？の割合で配合
される。本発明において、上記のとおり、優れた耐衝撃
性と共に優れた難燃性を付与するためには、〔Ａ〕成分
、〔Ｂ〕成分および〔Ｃ〕成分を〔Ａ〕成分ｔ）３７８
〜２１重量？、〔Ｂ〕成分が１８〜６２重量％および〔
Ｃ〕成分Ｂ５４〜１７重量ｅの割｝になるように、配合
される。

このような配合にすると無機難燃剤を配合するまでもな
く、本発明に係る樹脂組成物は優れた耐衝撃性および難
撚性を示す。しかし、必要に応じて無機難燃剤を配合し
てもよい。一般に無機難燃剤を含有させると、無機難撚
剤を含有させないときに比し、耐衝撃性は低下するが、
上記したように、〔Ｂ〕成分と〔Ｃ〕成分を併用するこ
とによる耐衝撃性向上の相乗効果は達成される。本発明
において、〔Ｂ〕成分を６２重量？を越えて使用する場
合、難燃性ｔ）５低下する。

ゆえに、この場合は、難燃性を付与するためには、無機
難燃剤（以下、［［１．Ｄ〕成分」という）を加える必
要かある。このときの〔Ｄ〕成分の使用量は、〔Ａ〕成
分、〔Ｂ〕成分および〔Ｃ〕成分の総量に対してｌ〜６
重量％が好ましい。１重量？未満では難燃性不与の効果
が充分でなく、６重量％を越えると耐衝撃性の低下ｔ）
Ｓ大きくなる。

ただし、〔Ａ〕成分、〔Ｂ〕成分および〔Ｃ〕成分は、
〔Ａ〕成分を３５〜７重量％、〔Ｂ〕成分を６２〜７２
重量？および〔Ｃ〕成分を３〜２１重量？の割合で使用
される。なお、この場合にも、上記したように〔Ｂ〕成
分および〔Ｃ〕成分の併用による耐衝撃性向上の相乗効
果ＢＳ達成される。この場合に、より優れた耐衝撃性お
よび他の機械特性を得るためには、〔Ａ〕成分を３４〜
１１重量ｅ１〔Ｂ〕成分を６２〜７２重殴％および〔Ｃ
〕成分を４〜１７重量％使用し、〔Ｄ〕成分は〔Ａ〕成
分、〔Ｂ〕成分および〔Ｃ〕成分の総量に対してｌ〜６
重量？使用される。上記〔Ａ〕成分である塩化ビニル系
樹脂は、塩化ビニルの単独重合体および塩化ビニルとエ
チレン等の他のビニル単量体との共重合体であり、共重
合体の場合、塩化ビニルの含有量は９０重量？以上であ
るが、難撚性、流動性の面で好ましい。

本発明の〔Ｂ〕成分は、ゴム成分となるアクリル酸アル
キルエステル重合体に芳香族ビニル化合物およびシアン
化ビニル化合物をグラフト重合させて得られる。上記ゴ
ム成分となるアクリル酸アルキルエステル重合体の製造
に使用される単量体としては、アクリル酸−ｎ−ブチル
が特に適しているＢ５アクリル酸エチル、アクリル酸プ
ロピル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸２−エチルヘ
キシル等の炭素数１−１３個のアルキル基を有するもの
はすべて単独あるいは組み合わせて使用できる。又、こ
のアクリル酸アルキルエステル重合体は、交叉結合した
重合体であることＨ５必要であり、交．叉結合していな
いものを使用すると、耐衝撃性が低く外観の悪い成形品
しか得られない。このアクリル酸アルキルエステル重合
体に交叉結合を導入する為にアクリル酸アルキルエステ
ルと共重合可能な２個以上の官能基を有する多官能性モ
ノマーを共重合させる。これによりゴム弾性のすぐれた
アクリルゴムが得られる。この多官能性モノマーとして
はトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレー
ト、ジビニルベンゼン、トリアクリルホルマール、エチ
レングリコールジメタクリレート等の多価ビニル化合物
や多価アリル化合物が有効であるが、この中でも特に、
トリアリルイソシアヌレートとトリアリルシアヌレート
が最もすぐれている この多官能性モノマーの添加量は
、０．５〜５重量％が適当であり、０．５重量？未満で
は充分な架橋度Ｂｊ得られず５重量？を越えると架橋度
Ｂ３過剰で、いずれも充分な耐衝撃性を付与することが
できない傾向にある。このアクリル酸アルキルエステル
重合体にグラフト重合させる単量体としては、芳香族ビ
ニル化合物としてスチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン等ｔ）ｊあり、シアン化ビニル化合物として
、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等がある。

特に、芳香族ビニル化合物としてスチレンおよびシアン
化ビニル化合物としてアクリロニトリルが有効である。
グラフトさせる単量体の組成としては、芳香族ビニル化
合物７０〜８０歌量？およびシアン化ビニル化合物３０
〜２０重量？使用するのが特に好ましい。芳香族ビニル
化合物が７０重量％未満になると流動性（成形加工性０
ｔ）Ｓ低下し、８０重量？を越えると耐熱変形性、耐衝
撃性が低下する傾向ｔ）ｓある。〔Ｂ〕成分のＡＡＳ樹
脂を製造するとき、上記アクリル酸アルキルエステル重
合体は２０〜５０重量？使用されるのが好ましい。

２０歌量？未満では充分な耐衝撃性ｔ）５得られず、ま
た５０重量？を越えると塩化ビニル系樹脂と均一に分散
可能な重合体粉末がえられにくい。

上記アクリル酸アルキルエステル重合体および〔Ｂ〕成
分の重合体組成物を製造するための歌合法としては、特
に制限されることなく、公知の方法で製造される。

例えば、乳化重合によりアクリル酸アルキルエステル歌
合体を製造し、得られたラテツクスにグラフトモノマー
を添加して、乳化一懸濁歌合により製造することＢ３で
きる。本発明の〔Ｃ〕成分の塩素化ポリエチレンは、塩
素含有率が３０〜４０重量％のものが使用される。

本発明の〔Ｄ〕成分の無機難燃剤としては、三酸化アン
チモン等Ｂ５ある。が使用される。なお、本発明に係る
樹脂組成物は、滑剤、可塑剤、顔料等の添加剤を加する
ことｔ）ｊでき、また、炭酸カルシウム、タルク等の無
機充填剤を添加することができる。

次の本発明の実施例を示す。

実施例 １−１２ 重合度８００の塩化ビニル樹脂（ニカビニールＳＧ−８
００、菱日掬商品名）〔Ａ〕成分７５〜２５重量部、ト
リアリルイソシアヌレートｌ重量％およびアクリル酸ｎ
−ブチル９９重量？を乳化重合して得られる交叉結合し
たアクリル酸アルキルエステル重合体２８重量部にスチ
レン７５重量％とアクリロニトリル２５重量ｅとからな
るモノマー組成物７２重量部を乳化一懸濁重合によりグ
ラフト重合させて得られた重合体組成物〔Ｂ〕成分２０
〜６５Ｉ量部および、塩素含有率３０％の塩素化ポリス
チレン（エラスレン３０１Ａ１昭和油化掬商品名）〔Ｃ
〕成分３〜２０重量部を表１に示すとおり種々配合比を
変えて検討した結果を表１に示した。

試験方法は、これらの配合物を先ず、ペンシェルミキサ
ーで均一に混合したのち、この混合物を押出機を通して
ペレツト化し、しかるのち、射出成形により試験片を作
成し、特性試験を行なつた。

比較例 １〜３塩化ビニル樹脂〔Ａ〕成分に塩素化ポリ
エチレン〔Ｃ〕成分単独を表１に示すとおり配合し、そ
の他は実施例１−１２に準じて行なつた。

その結果を表１に示した。比較例 ４〜６ 塩化ビニル樹脂〔Ａ〕成分に実施例１〜９に示した〔Ｂ
〕成分単独を表１に示すとおり配合し、その他は実施例
１〜９に準じて行なつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 〔Ａ〕塩化ビニル系樹脂７９〜７重量％、〔Ｂ〕ア
   クリル酸エステル重合体に芳香族ビニル化合物およびビ
   ニルシアン化合物をグラフト重合させて得られた重合体
   組成物１８〜７２重量％および 〔Ｃ〕塩素化ポリエチレン３〜２１重量％を含有してな
   る樹脂組成物。 ２ 〔Ａ〕塩化ビニル系樹脂７８〜１１重量％〔Ｂ〕ア
   クリル酸エステル重合体に芳香族ビニル化合物およびビ
   ニルシアン化合物をグラフト重合させて得られた重合体
   組成物１８〜７２重量％および 〔Ｃ〕塩素化ポリエチレン４〜１７重量％を含有してな
   る特許請求の範囲第１項記載の樹脂組成物。 ３ 〔Ａ〕塩化ビニル系樹脂７８〜２１重量％、〔Ｂ〕
   アクリル酸エステル重合体に芳香族ビニル化合物および
   ビニルシアン化合物をグラフト重合させて得られた重合
   体組成物１８〜６２重量％および 〔Ｃ〕塩素化ポリエチレン４〜１７重量％を含有してな
   る特許請求の範囲第１項または第２項記載の樹脂組成物
   。 ４ 〔Ａ〕塩化ビニル系樹脂３５〜７重量％、〔Ｂ〕ア
   クリル酸エステル重合体に芳香族ビニル化合物およびビ
   ニルシアン化合物をグラフト重合させて得られた重合体
   組成物６２〜７２重量％および 〔Ｃ〕塩素化ポリエチレン３〜２１重量％に、さらに、
   これらの総量に対して、 〔Ｄ〕無機難燃剤１〜６重量％ を含有してなる特許請求の範囲第１項記載の樹脂組成物
   。 ５ 〔Ａ〕塩化ビニル系樹脂３４〜１１重量％、〔Ｂ〕
   アクリル酸エステル重合体に芳香族ビニル化合物および
   ビニルシアン化合物をグラフト重合させて得られた重合
   体組成物６２〜７２重量％および 〔Ｃ〕塩素化ポリエチレン４〜１７重量％にさらに、こ
   れらの総量に対して、 〔Ｄ〕無機難燃剤１〜６重量％ を含有してなる特許請求の範囲第１項、第２項または第
   ４項記載の樹脂組成物。