JPS5930839B2 - 抄紙機ドライヤ−表面のクリ−ニング方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は抄紙機ドライヤー表面のクリーニング方法に関
するものである。

従来の抄紙機ドライヤー表面をクリーニングするための
クリーニングドクター装置においては、ドライヤー表面
に対してドクターブレードを常時一定圧力で押付けてド
ライヤー表面に対するドクターブレードの押付力及び接
触角（す（い角）を一定に保持するようにしていた。

ところが、ドライヤー表面に付着した垢等は、その種類
あるいは形状等によってそれぞれの除去に適した特有の
すくい角を有しており、従来方法のようにドクターブレ
ードの押付力及びすくい角を一定とすると、特定の種類
あるいは形状の垢しか取除（ことができないため、ドラ
イヤー表面のクリーニング作用を十分に行うことができ
ないという問題があった。

また、従来からこの種のクリーニングドクター装置にお
いて使用されているドクターブレードは、一般に鋼材又
は非鉄金属製の薄板に刃をつけて形成しているが、この
従来のドクターブレードを使用してドライヤー表面をク
リーニングする場合には、該ドクターブレードがドライ
ヤー表面に圧接せしめられることによってその刃先が短
期間のうちに摩耗し、ときにはその刃先がめくれて刃先
とドライヤー表面との間に石粉等が嵌まり込み、そのブ
レード刃先によってドライヤー表面を傷つけるおそれが
あった。

本発明は、上記の如き従来の抄紙機ドライヤー表面のク
リーニング方法の問題点に鑑み、刃先部分に硬質層を付
設したドクターブレードを使用し且つ該ドクターブレー
ドをドライヤー表面に対してそのすくい角を適宜周期で
変化させるようにして圧接せしめ、以ってブレード刃先
の耐摩耗性及び耐用期間を向上させるとともに、ドクタ
ーブレードによるドライヤー表面の垢等の取除き作用を
促進させることができるようにした抄紙機ドライヤー表
面のクリーニング方法を提案することを目的としてなさ
れたものである。

以下、図示の実施例に基づいて本発明の抄紙機ドライヤ
ー表面のクリーニング方法を説明すると、第１図および
第２図には本発明を実施するのに適したクリーニングド
クター装置２が示されている。

このクリーニングドクター装置２は、円筒状のドクター
ボデー３のドクター軸４を軸受５，５で回動自在に支承
するとともに、ドクターボデー３の外面に固定したブレ
ードホルダー７に薄板帯状のドクターブレード６を装着
させ、さらにドクターボデー３の両端部にドクターブレ
ード６をドライヤー１の表面１ａに圧接せしめる作用を
する一対のドクター駆動装置１０を取付けて構成してい
る。

また、このクリーニングドクター装置２は、そのドクタ
ーブレード６が抄紙乾燥用のドライヤー１の軸心と平行
になるとともに、該ドクターブレード６がドライヤー表
面１ａに対して適宜のすくい角θをもって接触するよう
にして配置されている。

一対のドクター駆動装置１０，１０は、それぞれエアー
シリンダ８，８をアーム９，９を介してドクターボデー
３の両端部に連結して構成している。

また、このドクター駆動装置１０は、エアーシリンダ８
の伸縮（矢印Ａ−Ｂ方向）作動によってドクターボテ−
３を矢印Ｃ−Ｄ方向に回動させてドクターブレード６を
矢印Ｅ−Ｆ方向に傾動させるとともに、エアシリンダ８
の伸張時の押圧力の強さを所定周期で変化させることに
よりドクターブレード６のドライヤー表面１ａに対する
押付力を強弱変化せしめるように作用するものである。

エアーシリンダ８，８は、第２図に示すようにエアーコ
ンプレッサー等の圧縮空気源１９に対して手動式の４ポ
一ト３位置切換弁２０を介してエアー管路３０，３１に
よって並列接続されており、該切換弁２０の切換操作に
よって各エアーシリンダ８，８は同時に伸縮作用を行う
ようになっている。

なお、第２図において、符号２１はエアーシリンダ８の
テール側に流入する圧縮空気圧力を調整するためのレギ
ュレータ、２２は絞り弁、２３はレギュレータ２１及び
絞り弁２２のバイパス管路に設けた逆止弁、２４は圧力
計、２５はメーターアウト方式のスピードコントロール
バルブ、２６は電磁式２ポート２位置切換弁（以下、単
に電磁弁という）である。

この電磁弁２６は絞り弁２７を介してエアー管路３０の
前記絞り弁２２とスピードコントロールバルブ２５との
中間位置に接続されている。

また、電磁弁２６，２６のソレノイド２６ａ 、２６ａ
は電気回路２９によって並列接続されており、圧力スイ
ッチあるいはタイマー等によって同時に同一周期で且つ
同一時間だけ励磁されるようになっている。

ドクターブレード６は、第３図に示すように金属製薄板
で帯状に形成されたブレード主体１１の刃先１２に該ブ
レード主体１１より高硬度の硬質層１３を付設して構成
している。

ブレード主体１１にはドライヤー表面１ａの方向に適宜
強さの弾発力をもたせている。

このブレード主体１１の材料は、リン青銅等の比較的軟
質で適度の弾発力をもつ金属板が採用されており、また
、該ブレード主体１１の厚さは約０．８〜１．５朋の範
囲で形成されている。

ブレード刃先１２に付設される硬質層１３としては硬質
クロムメッキが採用されている。

このようにブレード主体１１の刃先１２部分に硬質層１
３を付設するとその刃先１２部分が摩耗し難くなるとと
もに、刃先１２がめくれ難（なるという作用がある。

なお、他の実施例ではドクターブレード６として第４図
に示すような形状のものを採用することもできる。

即ち、第４図に示すドクターブレード６では、ブレード
主体１１の刃先１２側を適宜幅だけその全長に亘って適
宜角度で屈曲させて屈曲片１５を形成するとともに、そ
の屈曲片１５の表面に硬質層１３を付設している。

なお、屈曲片１５の幅（屈曲部１４から刃先１２までの
長さ）はブレード主体１１の厚さく ０．８〜１．５ｍ
ｍ）の５〜１０倍程度でよい。

このようにすると硬質層１３の付設部分を長くすること
ができるのでドクターブレード６の使用可能範囲を長く
でき、しかも刃先１２部分が順次摩耗していっても硬質
層１３付設部分の全範囲に亘って、該刃先１２がドライ
ヤー表面１ａに対して接触する角度（すくい角）がほぼ
同じに維持されるという作用がある。

次にこの実施例のクリーニングドクター装置の作用を説
明すると、このクリーニングドクター装置２のドクター
ブレード６は、切換弁２０の切換操作によってドライヤ
ー表面１ａに対して圧接又は離間させることができるよ
うになっている。

先ず、切換弁２０を正接続２０ａ側に切換えると、エア
ーシリンダ８のシリンダテール側に接続されたエアー管
路３０が圧縮空気源１９と連通せしめられ、圧縮空気は
該エアー管路３０を通ってエアーシリンダ８のシリンダ
テール側に流入する。

すると、エアーシリンダ８が伸張（矢印Ａ方向）してド
クターボデー３を矢印Ｃ方向に回動させ、さらにドクタ
ーブレード６が矢印Ｅ方向に傾動して該ドクターブレー
ド６の刃先１２がドライヤー表面１ａに圧接せしめられ
るようになる。

なお、ドクターブレード６のドライヤー表面１ａに対す
る押付力の強さはエアーシリンダ８のテール側に流入す
る圧縮空気圧力の高さに比例するようになつている。

そして、そのシリンダテール側に流入する圧縮空気圧力
が高くなるとドクターブレード６はブレードホルダー７
に強く押圧されて鎖線６′（第５図）で示すように曲面
状に撓み、逆にその圧縮空気圧力が低くなるとドクター
ブレード６は実線（第５図）で示すように平面状に復帰
するようになっている。

電磁弁２６が閉弁状態のときには、エアーシリンダ８の
テール側に流入する圧縮空気圧力は高圧となっているた
め、ドクターブレード６はその押付力が強（なって曲面
状（鎖線６′の状態）に撓んでおり、従ってブレード刃
先１２はドライヤー表面１ａに対して小さいす（い角θ
１（θ１＝約１５°）をもって圧接せしめられている。

この状態から電磁弁２６のソレノイド２６ａが励磁され
ると絞り弁２７が外気と連通し、エアーシリンダ８内に
流入する圧縮空気の一部が絞り弁２７を介して電磁弁２
６から徐々に外気へ逃げるため、エアーシリンダ８に作
用する圧縮空気圧力が低下し、それに伴ってドライヤー
表面１ａに対するドクターブレード６の押付力が低下す
る。

すると、ドクターブレード６は鎖線６′で示す曲面状態
から実線で示す平面状態に徐々に復帰し、その刃先１２
のすくい角θ２が太き（（θ２−約３０°）なる。

そして、一定時間電磁弁２６を開弁じて絞り弁２２から
エアーシリンダ８に至るエアー管路３０中の圧縮空気圧
力を一定値まで下げると電磁弁２６のソレノイド２６ａ
の励磁を解除して電磁弁２６を閉弁する。

そうするとエアーシリンダ８に作用する圧縮空気圧力は
再び上昇し、ドライヤー表面１ａに対するドクターブレ
ード６の押付力が増大（すくい角θが減少）する。

このように、このクリーニングドクター装置２は、電磁
弁２６の開閉弁動作を一定周期で繰り返して行うことに
よってドライヤー表面１ａに対するドクターブレード６
の押付力を連続的に一定周期で大きくしたり小さくした
りすることができるようになっており、それによってド
ライヤー表面１ａに対するドクターブレード６のすくい
角θを適宜角度範囲内（θ１から０２の範囲）で変化さ
せることができるようにしている。

また、このドクターブレード６の押付力の上昇及び下降
特性は絞り弁２２と絞り弁２７との絞り比率によって適
宜に設定することができるようになっているが、この実
施例ではドクターブレード６の押付力の上昇及び下降は
それぞれゆっくりと変化するようにしている。

また、ドクターブレード６の刃先１２がドライヤー表面
１ａに接触している間はその両者間に摩擦が発生するが
、ブレード刃先１２には硬質層１３が付設されているの
で該ブレード刃先１２が容易に摩耗することはない。

一方、切換弁２０を逆接続２０ｂ側に切換えると、エア
ーシリンダ８のヘッド側に接続されたエアー管路３１と
圧縮空気源１９とが連通ずるためエアーシリンダ８が収
縮（矢印Ｂ方向）してドクターボデー３が矢印り方向に
回動し、それによってドクターブレード６が矢印Ｆ方向
に傾動してドライヤー表面１ａから離間せしめられる。

なお、上記実施例ではドライヤー表面１ａに対するドク
ターブレード６のすくい角θを変化させる手段として、
ドクターブレード６の圧接力を変化させる方式を採用し
ているが、他の実施例ではこの圧接力可変方式にかえて
、又はとの圧接力可変方式と併用してドクターボデー３
を前後に進退させる（たとえば第６図および第７図に示
すようなラックピニオン機構により軸受５を前後に摺動
進退自在にする）方式を採用し、それによってすくい角
θ（θ１〜θ２）を可変ならしめることもできる。

即ち、第６図及び第７図に示すドクターボデー進退方式
のクリーニングドクター装置２は、ドライヤー表面１ａ
に対してドクターボデー３を前後方向に進退させるため
のドクター進退装置４０と該ドクターボデー３を回動さ
せるためのドクター回動装置５０とをそれぞれドクター
ボデー３の左右に一対ずつ備えている。

ドクター進退装置４０は、ドクター軸４の両端部付近を
支承する軸受５をガイド部材４１でドライヤー表面１ａ
に対”して前後に摺動進退自在に支持し、さらに該軸受
５の下面にラックギヤ４５を形成する一方、前記ガイド
部材４１によって支承した回転軸４２に前記ラックギヤ
４５と噛合するピニオンギヤ４６を取付けるとともに、
前記回転軸４２の端部に該回転軸４２を回動させるため
のエアーシリンダ４３をアーム４４を介して連結して構
成している。

ドクター回動装置５０は、エアーシリンダ５１をアーム
５２を介してドクター軸４の端部に取付けて構成してい
る。

なお、このエアーシリンダ５１は常時一定圧力で伸張さ
せるようにしており、それによってドクターブレード６
を常にドライヤー表面１ａに圧接させるようにしている
。

そしてこの実施例（第６図、第７図）のクリーニングド
クター装置２では、ドクター進退装置４０のエアーシリ
ンダ４３が収縮（矢印Ｈ方向）しているときには第６図
に示すようにピニオンギヤ４６が矢印に方向に回動して
軸受５をドライヤー表面１ａに近接する方向（矢印Ｍ方
向）にスライドせしめ、以ってドクターブレード６のす
くい角θ１（θ１−約１５°）を小さくするように作用
し、逆に該エアーシリンダ４３が伸張（矢印Ｇ方向）し
ているときには第７図に示すようにピニオンギヤ４６が
矢印Ｊ方向に回動して軸受５をドライヤー表面１ａから
離間する方向（矢印り方向）にスライドせしめ、以って
ドクターブレード６のすくい角θ２（θ２−約３０°）
を大きくするように作用する。

なお、このクリーニングドクター装置２では、ドクター
進退装置４０のエアーシリンダ４３は適宜周期で連続的
に伸縮し、前記すくい角θが無段階的に変化するように
している。

続いて本発明の詳細な説明すると、本発明の抄紙機ドラ
イヤー表面のクリーニング方法は次のような効果がある
。

（１） ドライヤー表面に対するドクターブレードの
す（い角を一定範囲内で変化させるようにしているので
、ドライヤー表面に付着した好適すくい角の異なる各種
の垢等を容易に且つ確実に取り除くことができ、ドライ
ヤー表面のクリーニング効果を向上させることができる
。

（２） ドライヤー表面に付着した垢等が従来よりき
れいに取り除かれるため、抄造される紙の表面の状態が
均一化され、製品の品質にばらつきがなくなって製品の
商品価値を高めることができる。

（３）このドライヤー表面クリーニング方法で使用され
るドクターブレードは、その刃先部分に硬質層を付設し
たものを採用しているので、ドクターブレードが摩耗し
難く、しかも刃先部分がめくれ難くなっているため、該
刃先部分とドライヤー表面との間に石粉等が嵌まり込み
難く、ブレード刃先によってドライヤー表面を傷つける
という問題を未然に防止することができる。

（４） ドライヤー表面に垢の付着がなくなることに
より該ドライヤー表面から湿紙への熱伝導がよくなり乾
燥効率が改善される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例で使用される抄紙機ドライヤー用
クリーニングドクター装置の一部側面図、第２図は第１
図のクリーニングドクター装置の制御用エアー管路図、
第３図は第１図のクリーニングドクター装置で使用され
るドクターブレードの斜視図、第４図は本発明の他の実
施例で使用可能なドクターブレードの斜視図、第５図は
第１図のクリーニングドクター装置のドクターブレード
部分の作用説明図、第６図及び第７図は本発明の他の実
施例におけるクリーニングドクター装置の説明図である
。 １・・・・・・ドライヤー、１ａ・・・・・・ドライヤ
ー表面、２・・・・・・クリーニングドクター装置、６
・・・・・・ドクターブレード、１１・・・・・・ブレ
ード主体、１２・・・・・・刃先、１３・・・・・・硬
質層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一定方向に回転する抄紙機ドライヤー１の表面１ａ
   に対して、該ドライヤー表面１ａの方向に適宜強さの弾
   発力をもたせた帯状のブレード主体１１の刃先１２部分
   に該ブレード主体１１より高硬度の材料からなる硬質層
   １３を付設してなるドクターブレード６を、そのすくい
   角θが適宜周期で変化するようにして圧接せしめたこと
   を特徴とする抄紙機ドライヤー表面のクリーニング方法
   。