JP3359455B2 - 圧延機ロールの水切り装置 - Google Patents

圧延機ロールの水切り装置

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JP3359455B2
JP3359455B2 JP02252295A JP2252295A JP3359455B2 JP 3359455 B2 JP3359455 B2 JP 3359455B2 JP 02252295 A JP02252295 A JP 02252295A JP 2252295 A JP2252295 A JP 2252295A JP 3359455 B2 JP3359455 B2 JP 3359455B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延機ロールの水切り
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材等を圧延する圧延機に用いられるワ
ークロール等の圧延機ロール(以下、単にロールとい
う)は、圧延中の加工熱、ロールと圧延材とのスリップ
による発熱または圧延材からの熱伝導などによって温度
が上昇して、ロールクラウンやロール表面に悪影響を与
えるので、水などによるロール冷却が行われている。金
属ストリップを熱間圧延する場合においては、ロール冷
却液が金属ストリップに付着すると金属ストリップの温
度が低下して圧延抵抗が増大し、圧延動力の増大や圧延
ロール面への悪影響が発生する。また、冷間圧延におい
ては、ロール冷却水が金属ストリップに付着すると発錆
したり、次の焼鈍工程で焼きむらが発生する等の問題が
ある。そこで、ロール冷却液をシールし、金属ストリッ
プ上に落下しないようにする水切り装置が設けられてい
る。
【0003】従来の水切り装置としては、(A) 実開昭58
− 13803号公報の第2図(a) や実開昭55− 77503号公報
の第3図に示されるように、水切り板(あるいはワイ
パ)をロール表面にほぼ直角に弾性的に当接せしめるも
のや、(B) 実開昭58− 85403号公報の第1図、実開昭52
− 423号公報の第1図あるいは実開昭53−160432号公報
の第5図に示されるように、先端が鋭角もしくは厚板状
の水切り板(あるいはロールワイパ)の水切り面(ロー
ル回転方向上流側の面)がロール表面と最初に接する線
におけるロール回転方向上流側のロール外周接面と90°
未満の鋭角をなすように弾性的に当接させ(後二者で
は、水切り板をロール外周面と積極的に面接触させてい
る)たものがある。
【0004】上記(A) のものでは、接触面が広くなり、
かつ水切り板(あるいはワイパ)が接触面に直角な方向
には弾性変形しにくいので、硬質の水切り板ではロール
外周面の形状に応じて変形しにくく、ロール軸方向に均
一な水切り効果が得られない。変形し易くするために軟
質にすれば水切り板の磨耗が早く問題がある。上記(B)
のものでは、水切り板(あるいはロールワイパ)の水切
り面(ロール回転方向上流側の面)がロール表面と最初
に接する線におけるロール回転方向上流側のロール外周
面と90°未満の鋭角をなすように当接しているために、
水切り板(あるいはロールワイパ)の水切り面とロール
外周面との間が、丁度くさび形状の空間を形作ることに
なり、この空間にロール外周面から一旦掻き取られた水
が滞留することになり、この部分に、鉄粉、スケール、
磨耗粉等が堆積し易くなる。その上、水切り板とロール
外周面との接触面が広くなるため、堆積した鉄粉やスケ
ール、磨耗粉等がシール部に噛み込み、ロールに疵を付
け、ひいては圧延材に疵が入り易い。また、水切り板表
面にもロール外周方向の疵が付きやすく、局部的に溝が
できて水切り効果が悪くなりやすい。
【0005】また、上記(A) , (B) いずれの場合も、特
に(B) の場合に、高速回転するロール外周面に付着した
冷却水が、くさび打ち込み効果によって水切り板とロー
ル外周面との間に引き込まれやすく、十分な水切り性能
が得られないという欠点があった。さらに、ロールがた
とえば圧延材幅方向両端に対応する位置などで局部的に
磨耗すると、水切り板との間に隙間が生じやすく、シー
ル性能が低下するという問題がある。
【0006】そこで、水切り性能を向上させるという観
点から、実開昭51−101337号公報には、図26(a) , (b)
に示すように、水平ロール101 に対して水切り刃 107
a, 107bを、ロール回転方向下流側のロール外周接面
と水切り刃 107a, 107bとの間の角αが鋭角を持って
弾性的に当接するように複数段設けた冷却水ワイパが開
示されており、水切り刃 107a, 107bを取り付けたワ
イパサポート106 を水切り刃がロールに押しつける方向
にばね111 で付勢するように構成したものが提案されて
いる。
【0007】また、実開昭54−142344号公報には、図27
(a) , (b) に示すように、圧延ロール207 に対向する位
置で、該圧延ロールに平行に配列されたロールガイド20
6 の圧延ロール表面に隣接する位置に伸び出す縁部206
Eに取り付けられたゴムあるいは皮革などの可撓性材料
からなる掻取片201 と該掻取片の背面に重ね合わされた
板ばね202 とを備えており、前記掻取片201 は、ロール
表面との接触線よりロール回転方向下流側のロール外周
接面との間に鋭角をなすように取り付けられている圧延
ロールのワイパが開示されている。
【0008】さらに、実開昭55−111602号公報には、図
28に示すように、板状の弾性材で形成されロール309 に
ロール表面との接触線よりロール回転方向下流側のロー
ル外周接面との間に鋭角をなすように接触してワイピン
グを行うワイパ306 と、先端部にワイパを装着し他端部
を水切り板取り付けアーム301 にピン止めされた水切り
板フレーム302 と、ワイパをロールに圧着せしめる方向
に作用する如く水切り板フレームとロールハンガ307 と
にその両端を取り付けられたスプリング303 と、を有し
てなるスプリング付分塊ロール水切板が開示されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記実開昭51−101337
号、実開昭54−142344号および実開昭55−111602号の各
公報に開示の技術には、以下のような欠点がある。 (1) 図29に示すように、ベークライト、硬質ゴム等で作
られた板状の水切り刃107、あるいはゴム、皮革などの
可撓性材料からなる板状の掻取片201 もしくは合成ゴ
ム、合成樹脂あるいは薄金属板等の弾性材で形成された
板状のワイパ306の先端面Sc とこれらの板面SP のな
す角度γはほぼ90°となっているため、水切り刃等の板
面SP とロール回転方向下流側のロール外周接面TD
Nとのなす角度αを鋭角としても、ロール回転方向上流
側のロール外周接面TU −Nと水切り刃等の前記先端面
C とのなす角度βは鋭角となってしまう。このため、
ロール外周面に付着した冷却液を掬い取る効果は低下す
ることになる。また前記先端面SC とロール外周面SU
−Nとの間には、鉄粉、スケール等が付着、堆積しやす
く、これらが高速回転するロール外周面との摩擦力によ
ってシール部に噛み込み、圧延ロールに疵を付け、ひい
ては圧延材に疵を転写することになる。また、水切り板
表面にもロール外周方向の疵が付きやすく、局部的に溝
ができて、水切り効果をさらに悪くする。
【0010】(2) したがって、水切り効果は、水切り刃
等の板厚が薄いほど良いが、薄くすれば磨耗によって寿
命が短くなり、交換必要回数が増えるため圧延操業に支
障を来す。寿命を延ばすため厚くすると、上記(1) の欠
点が出やすい。 (3) 水切り刃等をロールに弾性的に押し付ける手段とし
ていずれもばねを用いているが、水切り刃等の磨耗とと
もにばねのストロークが変化すると、押し付け力が小さ
くなり水切り性能が低下する。特にロールの低速回転時
において良好な水切り性能が得られない。またロールク
ラウンが付与されている場合は、ロール軸方向に均一な
シール効果が得られない。
【0011】さらに、前記の従来技術に共通した問題点
として次の点が挙げられる。すなわち、水切り板(もし
くはワイパ)の本体(以下、基部という)と先端部とで
は要求される特性が異なる。先端部はロール表面に接触
するので、ロールクラウン等のロール表面の形状に応じ
て変形し易く、ロール軸方向に均一なシール効果が得ら
れるだけの弾性や柔軟性とともに、ある程度の硬度を備
えていて磨耗に強いことが要求される。
【0012】また、中でも熱間圧延の場合は、ロール表
面が高温になるので、これに耐える程度の耐熱性も必要
とされる。これに対して、基部は弾性変形しやすく、先
端部と同じように全体としてロール形状に応じて変形し
易いことが要求されるが、先端部のような耐磨耗性(硬
度)や耐熱性は必ずしも必要でない。しかるに、従来、
このような要求に配慮した水切り板(もしくはワイパ)
の形状や材質についての実際的な提案がなされていなか
った。
【0013】そのため、耐磨耗性に重点を置いて硬度の
高い材質を用いると、一般に弾性が低くなってロール表
面の形状に対して変形しにくいため、水切り性能が犠牲
になり、弾性や柔軟性に重点をおいて、ロール表面の形
状に応じて変形し易い材質を用いると、一般的に硬度、
耐磨耗性が低く、水切り板(もしくはワイパ)の寿命が
短くなって、その取り替えのために圧延操業に支障を来
すというのが実情であった。
【0014】本発明は上記のような従来技術の欠点を解
消し、ロール軸方向に均一なシール効果と安定した高い
水切り効果が持続的に得られるとともに、シール材の寿
命も長く、かつシール材のコストも低い圧延ロールの水
切り装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧延機ロール
外周面に、ロール軸方向に沿って弾性シール材の先端部
を弾性的押し付け手段によって当接させて水切りを行う
圧延機ロールの水切り装置において、前記弾性的押し付
け手段に、押し付け力制御手段とロール軸方向均圧手段
を具備せしめ、かつ前記弾性シール材の先端部を鋭角に
形成して、該鋭角部をロール外周面に当接せしめるとと
もに、該当接部におけるロールの回転方向上流側のロー
ル外周接面と前記弾性シール材の先端部水切り面とのな
す角度θ 1 が90°を超えるように当接せしめるように構
成することを特徴とする圧延機ロールの水切り装置であ
る。
【0016】なお、前記弾性的押し付け手段は、膨張自
在な袋体を圧延機ロールに対向する一面が開口した収納
箱に収納して、該収納箱内の前記袋体の前方に、前記弾
性シール材の前部が前記収納箱より露出するように、前
記弾性シール材の後部を前後方向へ摺動自在となるよう
に収納して、前記袋体の内部圧力を調整する圧力調整手
段を備えるようにしてもよい。
【0017】また、前記弾性シール材の少なくとも先端
部を硬質耐磨耗性ゴムで形成してもよく、さらに、前記
弾性シール材の基部を軟質ゴムで形成し、その先端部を
硬質耐磨耗性ゴムで形成するとともに、これら基部と先
端部の間を接合するようにしてもよく、また、前記硬質
耐磨耗性ゴムはショア硬度80〜100 のものがよい。ま
た、硬質耐磨耗性ゴムとされる先端部と軟質ゴムとされ
る基部との接合面が1面からなり、この接合面を含む平
面が、前記当接部においてロールから前記弾性シール材
の先端部に作用する押し付け力に対する反力と摩擦力と
の合力の作用方向を含む面と直角に交わるように構成し
てもよく、また、硬質耐磨耗性ゴムとされる先端部と軟
質ゴムとされる基部との接合面が相互に交わり合う2面
からなり、これら2面の内で、前記弾性シール材の先端
水切り面と接しない方の面を含む平面が、前記当接部
においてロールから前記弾性シール材の先端部に作用す
る押し付け力に対する反力と摩擦力との合力の作用方向
を含む面と、ロール回転方向上流側から見て90°以上の
角度をなすように交わり、もう一方の接合面を含む平面
が前記合力の作用方向を含む面と平行であるか、もしく
はロール回転方向下流側で交わるように構成してもよ
い。
【0018】
【作用】本発明によれば、押し付け力制御手段とロール
軸方向均圧手段を具備した弾性的押し付け手段によっ
て、ロール軸方向に沿って弾性シール材の先端部をロー
ル外周面に当接させるようにしたので、弾性シール材の
先端部を制御された押し付け力で、しかも、ロール軸方
向に均一な圧力で押し付けることができ、また、弾性シ
ール材全体の弾性変形によって、弾性シール材先端部が
ロール外周面の形状に応じて変形し易い程度に押し付け
ることができる。
【0019】これによって、ロール軸方向全体にほぼ均
一なシール効果を得ることができ、効果的な水切りが可
能となる。また、過大な押し付け力によって、弾性シー
ル材の先端部の磨耗が早くなることも防止できる。ま
た、弾性シール材やロールが磨耗しても、弾性シール材
を常に一定の圧力でロールに押し付けたり、弾性シール
材の磨耗によって、弾性シール材とロールの接触面積が
変化しても、接触面の面圧が一定となるように押し付け
力を調整することもでき、良好な水切り性能を維持する
ことができる。
【0020】本発明では、弾性シール材の先端部を鋭角
に形成して、この鋭角部をロール外周面に当接せしめる
とともに、前記当接部における、前記ロールの回転方向
上流側のロール外周接面と弾性シール材の先端部水切り
面とのなす角度θ1 が90°を超えるように当接せしめる
ので、ロール外周面に付着した水膜を弾性シール材先端
部で効率よく掬い取り、掬い取った水を滞留させること
なく弾性シール材後方へ流し去ることができる。
【0021】また、弾性シール材の先端部を鋭角に形成
しているので、初期には、ロール外周面とほぼ線接触さ
せることができる。したがって先端部とロール外周面と
の間に、鉄粉、スケール等が付着、堆積することもな
く、これらが高速回転するロール外周面との摩擦力によ
ってシール部に噛み込み、ロールに疵を付け、ひいては
圧延材に疵を付けたりすることもない。また、噛み込ん
だ鉄粉、スケール等によって弾性シール材先端部に局部
的に溝ができて、水切り効果が悪くなるということもな
い。
【0022】なお、弾性シール材をロール外周面に押し
付ける押し付け力の作用方向は、弾性シール材先端部を
ロール外周面に安定して当接させておくために、当然の
ことながら、前記接触線におけるロール外周接面よりロ
ール側に向く方向の範囲内でなければならない。さらに
は、この押し付け力によって、弾性シール材先端部の反
水切り面がロール外周面に適度に近づくように弾性変形
を起こし、弾性シール材先端部がロール外周面形状(ロ
ールクラウン等)に倣って、ロール軸方向全体に均一な
シール効果が得られるような作用方向と力の大きさであ
れば良い。このような作用方向と力の大きさは、水切り
装置全体の圧延機内での配置位置、ロール径やロール形
状、圧延材の幅、ロールと弾性シール材の接触位置、弾
性シール材の形状、寸法、材質とこれらから決まってく
る弾性シール材全体の弾性変形能等によって適宜選択、
決定すればよい。
【0023】本発明における弾性的押し付け手段とし
て、膨張自在な袋体をロールに対向する一方の面が開口
した収納箱に収納して、該収納箱内の袋体の前方に、弾
性シール材の前部が収納箱より露出するように、弾性シ
ール材の後部を前後方向への摺動自在に収納して、袋体
の内部圧力を圧力調整手段によって調整するように構成
すれば、袋体を膨張させて、弾性シール材を収納箱の前
方へ押し出すとともに、弾性シール材の先端部を調整さ
れた圧力でロール外周面に当接させ、弾性シール材全体
の弾性変形によって、弾性シール材先端部がロール外周
面形状に応じて変形し易い程度に押し付けることができ
る。これによって、ロール軸方向全体にほぼ均一なシー
ル効果が得られ、効果的な水切りが可能となる。一方、
過大な押し付け圧力によって弾性シール材の先端部の磨
耗が速くなることも防止できる。
【0024】また、弾性シール材やロールが磨耗して
も、弾性シール材は常に一定の圧力でロールに押し付け
られ、良好な水切り性能を維持することができる。すな
わち、袋体内の圧力は圧力調整手段によって一定に保持
されるので、弾性シール材やロールが磨耗して、弾性シ
ール材とロールの間に間隙ができると袋体は膨張する
が、袋体は収納箱によってロールに対向する側以外は膨
張が制限される結果、弾性シール材やロールの磨耗量に
相当する分袋体がロール方向に膨張して弾性シール材を
ロールに押し付けるので良好な水切り性能を維持するこ
とができる。
【0025】本発明に用いられる弾性シール材の先端部
を硬質耐磨耗性ゴムで形成し、基部は軟質ゴムで形成す
るとともに、両者の間を接合するようにすれば、ロール
外周面と当接する先端部の磨耗を少なくし、良い水切り
効果を長期間保つことが可能となり、また弾性シール材
の交換頻度が少なくなって、圧延機操業に支障を来すこ
とが少ない。
【0026】さらに、前記硬質耐磨耗性ゴムとしてショ
ア硬度80〜100 のゴムを用い、前記軟質ゴムとしてショ
ア硬度50〜75程度の安価なゴムを用いれば、弾性シール
材の製造コストを低減することができるほか、弾性シー
ル材先端部の磨耗が少なく、かつ弾性シール材全体とし
てはロール外周面の形状に対して十分に変形し易くさせ
ることができ、弾性シール材の交換無しで良好な水切り
効果を長期間にわたって維持することができる。
【0027】さらにまた、弾性シール材の先端部と基部
との接合面を1面で構成し、この接合面を含む平面が前
記当接部においてロールから前記弾性シール材の先端部
に作用する押し付け力に対する反力と摩擦力との合力の
作用方向を含む面と直角に交わるようにしたことによ
り、先端部に作用する合力を接合面に対して押し付け力
として作用させることができるから、先端部と基部との
間のはく離を抑制することができる。
【0028】また、弾性シール材の先端部と基部との接
合面が相互に交わり合う2面で構成し、これら2面の内
で、前記シール材水切り面と接しない方の面を含む平面
が、前記当接部においてロールから前記弾性シール材の
先端部に作用する押し付け力に対する反力と摩擦力との
合力の作用方向を含む面と、ロール回転方向上流側から
見て90°以上の角度をなすように交わり、もう一方の接
合面を含む平面が前記の先端当接部における前記合力の
作用方向を含む面と平行であるか、もしくはロール回転
方向下流側で交わるようにしたことにより、90°はく離
はもちろんのこと剪断はく離をも抑制することができ
る。
【0029】
【実施例】以下に、本発明の実施例について、図面を参
照して詳しく説明する。図1は本発明の一実施例の全体
構成を示す概要図であり、図2は弾性シール材先端部と
ワークロールとの当接状態の一例を示す要部拡大断面図
である。図において、1は圧延機のワークロール(以
下、単にロールという)、2はロール冷却装置である。
11は水切りヘッドで、その構成は後述する。12はその先
端部に水切りヘッド11を固定する支持フレーム、13はロ
ール1の胴長方向面に平行に設けられて支持フレーム12
を回動自在に軸支する回転軸である。14は支持フレーム
12の後端部にピストンロッド14aを介して連結されて、
水切りヘッド11をロール1に接近・隔離自在に位置決め
するたとえば空気圧式の位置決めシリンダである。
【0030】15は操作用の空気圧を供給する空気圧源
で、16, 17は空気圧供給管路である。18は位置決めシリ
ンダ14を操作するシリンダ操作用電磁弁でP(押し出
し)側に切り換わって伸長用空気圧供給管路19を選択す
ることで位置決めシリンダ14を伸長させ、S (収縮) 側
に切り換わって収縮用空気圧供給管路20を選択すること
で位置決めシリンダ14を収縮させる。21は圧力調整弁で
ある。
【0031】22は袋体膨張用空気圧供給管路23を介して
水切りヘッド11内の空気圧を調整するパイロット操作用
電磁弁であり、パイロット用空気圧供給管路24を介して
位置決めシリンダ14に供給される空気圧が負荷される構
成とされる。水切りヘッド11は、図2の断面図に示すよ
うに、一方の面が開放された収納箱30内に、たとえばゴ
ムなどで作られた袋体31と、その先端部32aがロール1
側に露出した弾性シール材32とが取付けられる。この収
納箱30にはストッパ33aが設けられ、弾性シール材32の
突起部33bが係合自在とされる。また、収納箱30の先端
部には、先端部34aにテーパが設けられた位置決め部材
34が固定される。
【0032】そこで、シリンダ操作用電磁弁18をP側に
操作して位置決めシリンダ14を伸長させ、位置決め部材
34の先端部34aをロール1の面に接触させた位置で停止
する。このとき、その空気圧はパイロット用空気圧供給
管路24を介してパイロット操作用電磁弁22を加圧するか
ら、これによって、パイロット操作用電磁弁22はP側に
切り換わって、空気圧源15の空気圧を袋体膨張用空気圧
供給管路23を介して収納箱30内の袋体31を膨張させる。
そして、弾性シール材32は収納箱30から押し出されるこ
とによってその鋭角とされる先端部32aがロール1の外
周面に接触し、水切りを行うことができる。
【0033】なお、ロール1を停止するときには、シリ
ンダ操作用電磁弁18をS側に操作して位置決めシリンダ
14を収縮させると、伸長用空気圧供給管路19の空気圧は
0になるから、これによってパイロット操作用電磁弁22
もEX側に切り換わり、袋体膨張用空気圧供給管路23内お
よび袋体31内の空気圧を排気して、袋体31を収縮させ
る。
【0034】ところで、前記のように鋭角に形成された
弾性シール材32の先端部32aが磨耗すると、ロール1と
面接触するようになって、弾性シール材32の磨耗ととも
に接触面積は大きくなり、袋体31の内部圧力が一定で押
し付け力が変化しない場合には、弾性シール材32とロー
ル1の接触面圧が低下することになる。接触面圧の低下
は、それ自体が水切り性能の低下の原因の一つになる
が、弾性シール材32の先端面やロール表面の局部的な凹
凸、疵、噛み込み物等に対して先端部32aが変形しにく
くなって局部的な隙間が生じやすくなり、水切り効果の
低下に繋がる。
【0035】そこで、弾性シール材32の使用時間、圧延
トン数等の弾性シール材32の累積磨耗量の目安となる数
値を観測しておき、それによってその累積磨耗量を推定
し、その推定量に応じて袋体31の内部圧力が高くなるよ
うに調整してやれば、弾性シール材32の磨耗進行に伴う
水切り性能の低下速度を低くすることも可能となる。そ
のためには、図1の圧力調整弁21は、圧延機の操作室に
配置するか、遠隔操作によって設定圧力を変更できるタ
イプのものとするか、さらには、圧延機用プロセスコン
ピュータによって自動的に設定圧を変更できるようなも
のにしておけばよい。
【0036】ここで、弾性シール材32について詳しく説
明すると、この実施例では、図3に示すように、弾性シ
ール材32の先端部32aが図面に対して垂直でロール1の
中心軸Oに平行な線A, Cで、図の上方すなわち矢印X
で示すロール1の回転方向とは反対方向へくの字状に屈
曲していて、線ANBで画成される先端部32aがロール
1の外周面SU −SD に図面に対して垂直な線Nで当接
し、先端部32aのA−N面とB−N面とのなす角度αは
90°未満の鋭角に形成されるのがよく、好ましくは30°
以上85°以下がよい。
【0037】すなわち、30°未満になると先端部32aが
薄くなりすぎて、磨耗寿命が短く、弾性シール材32の交
換頻度が増加して圧延機の操業に支障を来す。また、85
°を超えると先端部が厚くなりすぎて、ロール外周面の
形状に対して変形しにくくなり、ロール外周面との間に
局部的な隙間が生じやすく、その結果水切り効果が悪化
する他、角度θ1 が90°に近づき水切り効果が安定しな
くなる。
【0038】また、ロール1の中心軸Oと線Nを含む法
面O−N−Rを基準として、矢印Xで示すロール1の回
転方向の上流側U方向の線Nにおけるロール1の外接面
U−Nと、弾性シール材32の水切り面A−Nとのなす
角度θ1 は90°を超える鈍角、好ましくは95°以上150
°以下にして当接させるのがよい。すなわち、95°未満
であると、ロール外周面に付着した水膜を弾性シール材
32の先端部32aで効率よく掬い取り、弾性シール材32の
後方へ流し去る効果が小さくなって、水切り効果が低下
する。一方、150 °を超えると弾性シール材32の先端部
32aの角度αを30°未満にする必要があり、前記のよう
な弊害が生じる。
【0039】また、弾性シール材32は袋体31の膨張によ
って、図の矢印Yで示す方向に押し付けられている。し
たがって、弾性シール材32の先端部32aは反水切り面B
−N面が法面O−N−Rよりもロール1の回転方向の下
流側D方向のロール1の表面SD −Nに接近し、面B−
Nとロール外接面TD −Nとがなす角度θ2 が小さくな
るように弾性変形を起こし、ロールクラウン等のロール
表面形状に倣って、ロール軸方向にほぼ均一なシールを
形成する。
【0040】上記した角度θ2 は5°以上とすることが
好ましい。これは、弾性シール材32の先端部32aの角度
αが小さく先端部が薄い場合、前記角度θ2 が5°未満
であると、その先端部32aの弾性変形によって、先端部
反水切り面の先端の一部がロール外周面と面接触する可
能性が高くなり、接触面の面圧が低下するため、ロール
外周面との間の局部的な隙間ができやすくなって、水切
り効果が低下する場合があるからである。また、前記角
度θ2 が小さい程、弾性シール材32の磨耗に伴う弾性シ
ール材32とロール1の表面の接触面積が大きくなりやす
く、接触面の面圧が低下するため、ロール外周面との間
の局部的な隙間ができやすくなって水切り効果が低下し
易い。
【0041】このような水切り効果の低下を防止するた
め、弾性シール材32の押し付け力を大きくして面圧をあ
げると、先端部32aの磨耗が早くなるので、前記角度θ
2 は、弾性シール材32の先端部角度α、その弾性や硬
度、押しつけ力等を考慮して、少なくとも弾性シール材
32の使用開始時には、その先端部32aの弾性変形によっ
て、ロールクラウン等のロール表面形状に倣ってロール
軸方向にほぼ均一なシール効果が得られ、かつ、先端部
反水切り面の一部がロール外周面と面接触しない程度
に、かつ磨耗に伴う接触面積の増加速度があまり大きく
ならないような大きさにすることが好ましい。
【0042】本実施例は上記のように構成したので、図
1〜3に示したように、弾性シール材32の先端部32aが
ロール1の外周面に当接しているときは、法面O−N−
Rよりもロール1の回転方向上流側U方向のロール外周
面SU −Nに付着した水膜と該表面を流れ落ちてくる冷
却水は、弾性シール材32の水切り面A−Nによって効果
的に掬い取られて、弾性シール材32の後方へ流れ去り、
弾性シール材32のロール軸方向両端部から図示しない圧
延材の幅方向外側へ流れ落ち、圧延材の上に直接落下す
ることはない。
【0043】図4は、上記した図3で示した弾性シール
材32の先端部32aが時間tの経過とともに少し磨耗した
結果、矢印Yで示した押し付け力の作用方向に少し移動
し、ロール外周面SU −SD と面NUt−NDtで面接触し
ている状態を示す。この状態における接触面NUt−NDt
のロール回転方向の上流側U方向の線NUtにおけるロー
ル外接面TUt−NUtと弾性シール材32の水切り面A−N
Utとのなす角度θ1tは、前出図3に示した初期の状態に
おける角度θ1 よりも小さくなっているが、その初期角
度θ1 を90°よりも充分大きな鈍角としておけば、角度
θ1tは常に90°より大きく保たれる。
【0044】なお、この角度θ1tが常に90°を超える鈍
角に保たれるように、前記の角度θ 1 や弾性シール材32
の押し付け力の作用方向を設計しておけば、磨耗に伴う
水切り効果の低下程度は従来技術に比べて著しく小さ
く、したがって、水切り効果が許容限界を超えて低下す
るまでの時間、すなわち弾性シール材32の寿命を長くす
ることができる。これは、前記角度θ1 が90°に近い
程、弾性シール材32の先端部32aの磨耗にともない先端
部32aのロール1との接触位置が初期の接触位置(線)
よりもロール回転方向下流側D方向へ移り面接触するよ
うになるような場合には、前記接触面のロール回転方向
上流側U方向の端縁におけるロール外接面と弾性シ−ル
材32の水切り面とのなす角度θ1tが90°以下になること
もあり得るからである。
【0045】また、接触面NUt−NDtは、ロール軸方向
に見るとロールクラウン等ロール外周面の形状に倣った
形で形成され、当然ロール表面と密着した状態に保たれ
ているので、ロール軸方向にも均一なシールが形成され
ているといえる。したがって、このように弾性シール材
32の先端部32aが時間tの経過とともに少し磨耗して
も、初期と余り変わらない水切り効果を得ることができ
る。
【0046】ここで、上記のような膨張自在な袋体31の
代わりに圧縮ばねを用いることも考えられるが、この場
合には、押し付け力を操業中自由に制御できないばかり
ではなく、弾性シール材32の磨耗とともに圧縮ばねのス
トロークが変化する(圧縮代が小さくなる)と、弾性シ
ール材32の押し付け力が変化し(小さくなる)水切り性
能の低下が早く、特にロール1の低速回転時において良
好な水切り性能が得られないのである。
【0047】また、他の手段としてエアシリンダを押し
勝手に使用することも考えられる。この場合には、前記
のように膨張自在な袋体31を用いる場合と同様に弾性シ
ール材32のロール1への押し付け力を一定に保持するこ
とができるが、膨張自在な袋体31を用いる場合と比較す
ると、ピストンロッド等の慣性、Oリング等のシールと
ピストンやピストンロッドとの間の摩擦等による応答性
の悪さ、あるいは、冷却水が飛散したり、水蒸気が充満
したり、高温(熱間圧延機の場合)等の悪環境下でシリ
ンダを使用するという点で問題があると考えられる。
【0048】さらに、上記の膨張自在な袋体31を用いる
場合は、上述のような圧縮ばねやエアシリンダとは異な
り、弾性シール材32を他の部品を介することなく、直接
袋体31の前方に置くことができるので、ロール1にクラ
ウンが付与されていても、ロール1の軸方向に均一な接
触圧力を得ることができる。なお、エアシリンダを用い
る場合、ロール軸方向均圧手段を採用すれば、前述の問
題を残しながらも、弾性シール材32をロール1の軸方向
に均一な圧力で押し付けることは不可能ではない。たと
えば、ガスまたは水などの液体を密封した弾性袋体をロ
ール1に対向する一面が開口した収納箱30に収納して、
収納箱30内の弾性袋体の前方に、弾性シール材32の先端
部32aが収納箱30より露出するように、弾性シール材32
の後部を前後方向の摺動が可能なように収納し、かつ、
袋体31の背部に十分な剛性を備え収納箱30内を前後に摺
動自在なピストン部材を収納し、このピストン部材を1
個ないし複数個のエアシリンダで押圧するようにし、こ
のエアシリンダへの供給エア圧力を圧力調整手段によっ
て調整するようにすればよい。この場合、前記のガスま
たは水などの液体を密封した弾性袋体が、弾性シール材
32とともにロールクラウン等ロール外周面の形状に倣っ
て変形するので、ロール1の軸方向に均一な接触圧力を
得ることができる。
【0049】図5は弾性シール材32の先端部32aの形状
とこの先端部32aとロール1との当接状態を示したもの
で、前出図3で示した弾性シール材32の実施例と異なる
別の実施例を示す要部拡大断面図である。この弾性シー
ル材32の先端部32aはくの字状ではなく、真っ直ぐに形
成され、面A−NおよびC−Bに平行な矢印Yの方向に
弾性シール材32が押し付けられるように構成される。な
お、図3の弾性シール材32とは作用・効果において実質
的に変わらない。
【0050】図6は上記図5で示した弾性シール材32の
先端部32aが時間tの経過とともに少し磨耗した結果、
矢印Yで示した押し付け力作用方向に少し移動し、ロー
ル表面SU −SD と接触面NUt−NDtで接触している状
態を示す。この状態における接触面NUt−NDtのロール
回転方向上流側の線NUtにおけるロール外接面TUt−N
Utと弾性シール材32の水切り面A−NUtとのなす角度θ
1tは、前記図5に示す初期の状態における角度θ1 と等
しく、前記初期角度θ1 を90°よりも大きな鈍角として
おけば、角度θ1tは常に90°より大きく保たれる。
【0051】また、接触面NUt−NDtは、ロール軸方向
に見るとロールクラウン等のロール外周面の形状に倣っ
た形で形成され、当然ロール表面と密着した状態に保た
れているので、ロール軸方向にも均一なシールが形成さ
れているといえる。したがって、このように弾性シール
材32の先端部32aが時間tの経過とともに少し磨耗して
も、初期と余り変わらない水切り効果を得ることができ
る。
【0052】ここで、弾性シール材32の材質についてに
ついて説明すると、前述したように、その先端部32aと
先端部32a以外の本体部分(以下、基部という)32bで
は要求される特性が異なる。すなわち先端部32aはロー
ル表面に接触するので、ロール外周面の形状に応じて変
形し易いもので、ロール軸方向に均一なシール効果が得
られるだけの弾性とともに、ある程度の硬度を備えてい
て磨耗に強いことが必要である。また、中でも熱間圧延
の場合は、ロール表面が高温になるので、これに耐える
程度の耐熱性も要求される。一方、基部32bは弾性変形
しやすく、先端部32aと併せて全体としてロール形状に
応じて変形し易いことが要求されるが、先端部32aのよ
うな耐磨耗性や耐熱性は必要としない。しかし、従来の
弾性シール材32は先端部32aに要求される特性を重視
し、比較的硬度を高めた耐磨耗性ゴムが用いられている
のが現状である。
【0053】そこで、弾性シール材32の先端部32aをシ
ョア硬度80〜100 の硬質耐磨耗性ゴムで形成し、基部32
bは軟質ゴムで形成するとともに、両者の間を接合する
ようにすれば、ロール外周面と当接する先端部の磨耗を
少なくし、良い水切り効果を長期間保つことが可能とな
り、また弾性シール材32の交換頻度が少なくなって、圧
延操業に支障を来すことが少ない。さらに、硬質耐磨耗
性ゴムで形成された先端部32aが磨耗した場合は、弾性
シール材32全体を予備品と交換し、磨耗した先端部32a
のみをオフラインで取り換えて再生することによって、
軟質ゴムで形成された基部32bは何度でも使用すること
が可能となる。
【0054】また、高価な硬質耐磨耗性ゴムを先端部32
aのみに使用するので、弾性シール材32の新品製作時の
製造コストを下げ、かつ、前記のような再生使用によっ
て更に弾性シール材32のコストを下げることができる。
また、基部32bを軟質ゴムで形成することによって、弾
性シール材32全体の弾性変形能が大きくなり、ロール外
周面の形状に応じて変形し易く、水切り効果が向上す
る。
【0055】次に、上記の弾性シール材32の硬質耐磨耗
性ゴムとされる先端部32aと軟質ゴムとされる基部32b
とを接合する際に、両者の接合面が備えた方が望ましい
と考えられる幾何学的、力学的な条件について説明す
る。図7(a) ,(b) に示すように、弾性シール材32の先
端部32aを回転するロール1の外周面SU −SD に対し
て押し付け力Pで押し付けたときに、弾性シール材32の
先端部32aとロール1との接触点Nにロールから作用す
る力は、ロールへの押し付け力に対する反力Fr と、ロ
ールの回転方向下流側の外接面N−TD に沿った摩擦力
f である。実際には、これらの作用力と弾性シール材
32の形状や寸法、弾性に応じて、弾性シール材32の先端
部32aは複雑な弾性変形を示すが、ここでは、取扱を簡
単にするためにこの弾性変形を無視し、図7のように、
反力F r と摩擦力Ff との合力Fが弾性シール材32の先
端部32aの接触点Nに作用するものとして考える。
【0056】ところで、弾性シール材32の硬質耐磨耗性
ゴムとされる先端部32aと軟質ゴムとされる基部32bと
を接合する際には、その接合面を1面とする場合と2面
以上とする場合が考えられる。まず、1面の場合につい
て図8を用いて説明する。図8(a) に示す接合手段は、
接合面x−yを含む平面が弾性シール材32の先端部32a
とロール1の外周面との接触点Nにおける前記合力Fの
作用方向を含む面と、ロール回転方向下流D側で鋭角を
なすように交わるような場合であるが、弾性シール材32
の先端部32aの接触点Nに作用する前記合力Fの前記接
合面x−yと平行な方向とこれに直角な方向の分力をF
P ,FC とすると、分力FC は接合面x−yに対して押
し付け力として作用し、分力Fp は接合面に圧縮剪断力
として作用するので、はく離は比較的起こりにくいが、
接合力を大きくしなければ、先端部32aと基部32bとの
間のはく離が生じやすくなる。
【0057】一方、図8(b) に示す接合手段は、接合面
x−yを含む平面が接触点Nにおける前記合力Fの作用
方向を含む面と直角をなすように交わるように接合した
ものであるが、弾性シール材32の先端部32aの接触点N
に作用する合力Fは接合面x−yに対して直角な押し付
け力として作用するので、先端部32aと基部32bとの間
のはく離が生じにくくなる。
【0058】つぎに、互いに交わる2平面からなる接合
面とした接合手段について、以下に以下に説明する。こ
の場合は、図9〜図15に示す9つのケースが考えられ
る。 (イ)図9, 10は、2接合面の内で水切り面A−Nと接
しない方の一面y−zが、接触点Nにおける前記合力F
の作用方向を含む面とロール回転方向上流U側から見て
鋭角をなすように交わるような場合であって、さらに、
もう一つの接合面x−yの方向によって、以下の3つの
ケースに分かれる。
【0059】図9(a) は、接合面x−yを含む面が、
前記接触点Nにおける前記合力Fの作用方向を含む面
と、ロール回転方向上流U側で交わる場合で、合力Fの
接合面x−yに平行な方向とこれに直角な方向の分力
は、図に示すように、それぞれF xy、FxyC となり、分
力Fxyは接合面x−yに圧縮剪断力として作用するがy
−z面がこれを受け止めており剪断はく離が起きにく
い。しかし、分力FxyC は接合面x−yに90°はく離力
として作用するため、はく離が起きやすい。
【0060】図9(b) は、接合面x−yが前記接触点
Nにおける前記合力Fの作用方向を含む面と平行な場合
で、図に示すように、合力Fは接合面x−yに圧縮剪断
力として作用するがy−z面がこれを受け止めており接
合面x−yの剪断はく離が起きにくい。また合力Fの接
合面y−zに平行な方向とこれに直角な方向の分力は、
図に示すように、それぞれ、Fyz、FyzC となり、分力
yzは接合面y−zに圧縮剪断力として作用するが、分
力FyzC は直角方向の押し付け力として作用するので、
はく離は比較的起きにくい。
【0061】図10は、接合面x−yを含む面が、前記
接触点Nにおける前記合力Fの作用方向を含む面と、ロ
ール回転方向下流D側で交わる場合で、合力Fの接合面
x−y,y−zにそれぞれ平行な方向の分力は、図10
(a) に示すように、それぞれF xy、Fzyとなり、分力F
xyは接合面x−yに圧縮剪断力として作用するがy−z
面がこれを受け止めており、また分力Fzyは接合面z−
yに引っ張り剪断力として作用するがx−y面がこれを
受け止めており,剪断はく離が起きにくい。見方を変え
てみると、合力Fの接合面x−yに平行な方向と直角な
方向の分力は、図10(b) に示すように、それぞれFxy
xyC となり、分力Fxyは接合面x−yに圧縮剪断力と
して作用するがy−z面がこれを受け止めており剪断は
く離が起きにくい。また、分力FxyC は接合面x−yに
90°押し付け力として作用するため、やはりはく離が起
きにくい。
【0062】(ロ)図11, 12は、2接合面の内で水切り
面A−Nと接しない方の一面y−zが、接触点Nにおけ
る前記合力Fを含む面と直角をなすように交わるような
場合で、さらに、もう一つの接合面x−yの方向によっ
て、以下の3つのケースに分かれる。 図11(a) は、接合面x−yを含む面が、前記接触点N
における合力Fの作用方向を含む面と、ロール回転方向
上流U側で交わる場合で、合力Fは接合面y−zに90°
押し付け力として作用するので接合面y−zのはく離は
生じにくい。また、合力Fの接合面x−yに平行な方向
とこれに直角な方向の分力は、図に示すように、それぞ
れFxy、FxyC となり、分力Fxyは接合面x−yに圧縮
剪断力として作用するがy−z面がこれを受け止めてお
り剪断はく離が起きにくい。しかし、分力FxyC は接合
面x−yに90°はく離力として作用するため、はく離が
起きやすい。
【0063】図11(b) は、接合面x−yが、前記接触
点Nにおける合力Fの作用方向を含む面と平行な場合
で、合力Fは接合面y−zに90°押し付け力として作用
し、接合面x−yには圧縮剪断力として作用するがy−
z面がこれを受け止めており剪断はく離が起きにくい。 図12は、接合面x−yを含む面が、前記接触点Nにお
ける合力Fの作用方向を含む面と、ロール回転方向下流
D側で交わる場合で、合力Fは接合面y−zに90°押し
付け力として作用し、また、合力Fの接合面x−yに平
行な方向とこれに直角な方向のの分力は、図に示すよう
に、それぞれFxy、FxyC となり、分力Fxyは接合面x
−yに圧縮剪断力として作用するがy−z面がこれを受
け止めており、また分力FxyC は接合面x−yに90°押
し付け力として作用するため、剪断はく離が起きにく
い。
【0064】(ハ)図13, 14は、2接合面の内で水切り
面A−Nと接しない方の一面y−zが、接触点Nにおけ
る合力Fの作用方向を含む面と、ロール回転方向上流U
側から見て鈍角をなすように交わるような場合で、さら
に、もう一つの接合面x−yの方向によって、以下の3
ケースに分かれる。 図13は、接合面x−yを含む面が、前記接触点Nにお
ける合力Fの作用方向を含む面と、ロール回転方向上流
U側で交わる場合で、合力Fの接合面x−y,y−zに
それぞれ平行な方向の分力は、図13(a) に示すように、
それぞれFxy,Fyzとなり、分力Fxyは接合面x−yに
圧縮剪断力として作用するがy−z面がこれを受け止め
ており、剪断はく離が起きにくい。一方、分力Fyzはや
や小さいながらも接合面y−zに引っ張り剪断力として
作用するのでやや剪断はく離が起き易い。見方を変えて
みると、合力Fの接合面x−yに平行な方向とこれに直
角な方向の分力は、図13(b) に示すように、それぞれF
xy、FxyC となり、分力F xyは接合面x−yに圧縮剪断
力として作用するがy−z面がこれを受け止めており剪
断はく離が起きにくい。しかし、分力FxyC は小さいな
がら接合面x−yに90°はく離力として作用するため、
比較的はく離が起きやすい。
【0065】図14は、接合面x−yが、前記接触点N
における合力Fの作用方向を含む面と平行な場合で、合
力Fは接合面x−yに圧縮剪断力として作用するがy−
z面がこれを受け止めており剪断はく離が起きにくい。
また、合力Fの接合面y−zに平行な方向とこれに直角
な方向の分力は、それぞれFzy、Fyzc となり、分力F
zyは接合面y−zに圧縮剪断力として作用するが、x−
y面がこれを受け止め、かつ、分力Fyzc は接合面y−
zに90°押し付け力として作用するため、はく離が起き
にくい。
【0066】図15は、接合面x−yを含む面が、前記
接触点Nにおける合力Fの作用方向を含む面と、ロール
回転方向下流D側で交わる場合で、合力Fの接合面x−
y、y−zにそれぞれ平行な方向の分力は、図15(a) に
示すように、それぞれFxy,Fzyとなり、分力Fxyは接
合面x−yに圧縮剪断力として作用するがy−z面がこ
れを受け止めており、また分力Fzyは接合面z−yに圧
縮剪断力として作用するがx−y面がこれを受け止めて
おり、いずれも剪断はく離が起きにくい。また、見方を
変えてみると、合力Fの接合面x−yに平行な方向と直
角な方向の分力は、図15(b) に示すように、それぞれ
xy、FxyC となり、分力Fxyは接合面X−Yに圧縮剪
断力として作用するがy−z面がこれを受け止めており
剪断はく離が起きにくい。分力FxyC は接合面x−yに
押しつけ力として作用するため、はく離も起きにくい。
【0067】また、あまり実際的とは考えられないが、
接合面が隣接する3面以上(n面)からなる場合は、図
16に示すように、法面N−Rに近いほうのシール材表面
0−A−N面と接する接合面をx−y1 面とし、弾性
シール材32の先端部32aとロール外周面SU −SD との
接触点Nにおけるロール回転方向下流D側の外接面N−
D に近い方の弾性シール材32の表面N−B−C−C0
と接する方の接合面をyn-1 −z面とし、前記の2面の
間に、y1 −y2 ,y2 −y3 ,…yn-2 −y n-1 の各
接合面が連なっているものとするとき、これらy1 −y
2 ,y2 −y3,…yn-2 −yn-1 の各接合面には、剪
断はく離力が働いたとしても、隣接する接合面で受け止
められ、また、90°はく離力は作用することはないの
で、はく離が問題となるのは、前記x−y1 面とyn-1
−z面にどのような力が作用するかである。この場合、
x−y1 面をx−y面に、yn-1 −z面をy−z面に読
み替えて、前記の2接合面からなる場合の9ケースのい
ずれに該当するかによって判断すればよい。
【0068】以上から、本発明において、弾性シール材
32の前記硬質耐磨耗性ゴムでなる先端部32aと軟質ゴム
でなる基部32bとの接合面が、それほど大きな接合力で
なくとも、90°はく離はもちろん剪断はく離も生じない
条件は、以下のとおりである。 (1) 1面で接合する場合は、この接合面を含む平面が、
先端当接部における押しつけ力の反力と摩擦力との合力
の作用方向を含む面と直角に交わること。
【0069】(2) 相互に交差する2面で接合する場合
は、水切り面と接しない接合面を含む平面が、先端当接
部における押しつけ力の反力と摩擦力との合力の作用方
向を含む面と、ロール回転方向上流側から見て90°以上
の角度をなすように交わり、かつ、もう一方の接合面を
含む平面が前記の先端当接部における押し付け力の反力
と摩擦力との合力の作用方向を含む面と、平行である
か、もしくはロール回転方向下流側で交わること。
【0070】なお、上記の条件に該当してはく離の生じ
にくい接合面の接合は、接合の手間や磨耗した先端部32
aを取り外して新品と交換して再生することを考慮し
て、通常のゴム用化学接着剤で耐水性と若干の耐熱性を
備え、ロール表面から受ける反力と摩擦力との合力によ
ってはく離しない程度の接着強度を持ったものを使用す
ればよい。
【0071】ただし、本発明は、接合面が上記の条件を
満たすものに限られるものではなく、接合力がロール表
面から受ける反力Fr と摩擦力Ff との合力Fによって
はく離しない程度の接着強度を持った接着剤を使用した
り、たとえば嵌め込み等の併用によって、接合力を高め
たり、接合面を円弧状断面あるいは波形断面を持つよう
にして、剪断はく離に強くしたりすれば、上記の条件を
備えなくてもよいことはいうまでもない。次に、前出図
1〜3に示した構成で、1本のロールだけが回転駆動さ
れるオフライン試験装置を製作して、オフライン試験を
行った。この試験装置の諸元および試験条件を表1に示
す。また、試験に用いた弾性シール材の仕様を本発明の
適合したものを実施例1,2とし、従来使用していたも
のを比較例1〜5として併せて表2に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】そこで、比較例および実施例の弾性シール
材32の材質として、ショア硬度60,70のアクリロニトリ
ル−ブタジエンゴム(以下、NBRと略称する)、ショ
ア硬度76のフッ素ゴム、ショア硬度86, 96および105 の
耐磨耗性フッ素ゴム(硬度は、MgO , Ca(OH)2 , 炭素系
充填材の配合量で調整したもの)を用い、全体を一体に
成形した。弾性シール材32の断面寸法は、図17に示すよ
うに、全体の長さL;39mm、基部32bの高さH;11mm、
先端部32aの高さh;11mmとされ、ロール表面に当接す
る先端部32aの角度α;75°である。なお、実施例1,
2については角度θ1 (図4参照)が100 °になるよう
に弾性シール材32の先端部32aをロールに押し付けるよ
うにし、また比較例1としてはショア硬度86の耐磨耗性
フッ素ゴムを用いた弾性シール材32を角度θ1 が70°と
なるように、比較例2, 3としては実施例1, 2と同じ
条件でそれぞれ弾性シール材32の先端部32aをロールに
押しつけるようにした。
【0075】弾性シール材32の当接部よりロールの回転
方向下流側直近(すなわち水切り直後の)ロール中央部
と、弾性シール材32のロール軸方向端部相当位置のロー
ル表面の水膜厚さを下記の方法によって測定し、測定水
膜厚さを水切り性能の評価の指標とした。すなわち、乾
燥し、水分吸収性に優れた一定面積のペーパタオルを、
水切り直後のロール中央部と弾性シール材32のロール軸
方向端部相当位置のロール表面に一定時間押しつけてロ
ール表面に残った水を吸収させ、使用前と使用後のペー
パタオルの重量を精密バネ秤で測定し、その重量差すな
わち吸収された水量から下記(1) 式によって水膜厚さを
求めた。
【0076】 h=w/(v×b×t) ………………(1) ここで、h;水膜厚さ(mm)、w;使用前と使用後のペ
ーパタオルの重量差(kgw)、v;ロール周速度 (m/s)、
b;ペーパタオルの幅 (mm) 、t;ペーパタオルの押し
付け時間 (h)である。なお、具体的な測定条件は表3に
示すとおりである。
【0077】
【表3】
【0078】上記のような測定を試験開始時、試験開始
後10, 20, 30, 40時間経過の時点で測定した。また、40
時間試験後の先端部32aの磨耗寸法を測定し、その磨耗
量(cm3)を求め、それらの結果をそれぞれ図15〜17に示
した。図18は比較例1と実施例1とを比較したもので、
同じショア硬度の耐磨耗性フッ素ゴムを用い、角度θ1
が70°の比較例1よりも、角度θ1 が100 °の実施例1
の方がロール中央部、弾性シール材端部を問わず一貫し
て水膜厚さが薄く、水切り性能に優れていることが判
る。比較例1と実施例1のいずれの場合も、ロール中央
部の方が弾性シール材端部よりも水膜厚さが薄いが、そ
の差は試験経過時間とともに小さくなっている。これ
は、弾性シール材がロールクラウンに倣って磨耗し、中
央部と端部のシール性能の差が次第に小さくなって行く
ためと考えられる。
【0079】図19(a) , (b) は、オフライン試験におけ
る水切り時の試験時間と弾性シール材のロール回転方向
下流側におけるロール表面に付着した水膜厚みとの関係
を、ロール中央部と弾性シール材端部とについてそれぞ
れ弾性シール材の材質、硬度別に示したものであり、図
20は所定時間使用後の弾性シール材の磨耗量(cm3)に及
ぼす弾性シール材のショア、硬度の影響を示したもので
ある。
【0080】これらの図から明らかな様に、弾性シール
材に用いるゴムのショア硬度が80未満であると、磨耗が
激しく、かつ10時間経過後の水膜厚みが1μm を超えて
おり、磨耗とともに水切り効果が悪化する。先端部のゴ
ムのショア硬度が100 を超えると、ロール外周面の形状
への変形容易性の度合いが悪いために、水膜厚みが最初
から1μm を超えており、磨耗量は少ないが、ロール軸
方向での水切り効果のバラツキが大きくなるので好まし
くない。なお、図20の場合では、比較例1と実施例1の
間には、弾性シール材の磨耗量の差は余り認められなか
った。
【0081】図19, 20において、前記角度θ1 が100 °
で弾性シール材のショア硬度の異なる比較例2〜5と実
施例1, 2を比較すると下記のことがいえる。 (1) 試験開始時におけるロール中央部での水膜厚さは、
弾性シール材の材質、硬度に関係なく0.4 μm と薄く、
水切り性能は良い。凸クラウンロールの中央部では、弾
性シール材とロール表面が充分に密着してシール効果が
高いためと考えられる。 (2) ロール中央部での水膜厚みは、弾性シール材のショ
ア硬度80未満の比較例2〜4では試験時間の経過ととも
に急激に厚くなり、10時間経過後で1μm を超え、その
後も増加速度はやや緩やかにはなるが水膜厚みは厚くな
っていく。40時間経過後の水膜厚さは1.3 〜2.6 μm に
達している。一方、弾性シール材のショア硬度86, 96の
実施例1, 2およびショア硬度105 の比較例5では、時
間経過に伴う水膜厚さの増加は緩やかで、40時間経過後
でも7〜9μm に留まっている。 (3) 試験開始時における弾性シール材端部での水膜厚み
は、ショア硬度105 の比較例5では1μm を超えている
のに対して、ショア硬度100 以下の比較例2〜4、実施
例1, 2では、0.5 〜0.6 μm に留まっている。この中
でも、僅かな差ではあるがショア硬度が低いほど水膜厚
さは薄い傾向が見られる。
【0082】この結果を前記(1) のロール中央部の結果
と比べてみると、弾性シール材端部になると凸クラウン
ロールの外径がやや小さくなるため、弾性シール材とロ
ール表面との変形容易性がやや悪くなるが、弾性シール
材のショア硬度が100 以下であればそれほど水切り性能
に影響が出ず、弾性シール材のショア硬度が100 以上に
なると柔軟性が不足して端部の水切り性能にかなり影響
が出るものと考えられる。 (4) 弾性シール材端部での水膜厚さは、弾性シール材の
ショア硬度80未満の比較例2〜4では試験時間の経過と
ともに急激に厚くなり、10時間経過後で1μm を超え、
その後も増加速度はやや緩やかにはなるが水膜厚さは厚
くなっていく。
【0083】しかし、中央部との差は次第に小さくな
り、40時間経過後の水膜厚さはロール中央部と同じ1.3
〜2.6 μmに留まっている。一方、弾性シール材のショ
ア硬度86, 96の実施例1, 2では、時間経過に伴う水膜
厚みの増加は緩やかで、40時間経過後でも0.9 〜1μm
に留まっている。しかし、ショア硬度105 の比較例5で
は時間の経過によって、水膜厚さは緩やかに増加してい
き、中央部との厚み差はほぼ一定に保たれている。 (5) 40時間経過後の磨耗量は、当然のことではあるが、
弾性シール材のショア硬度が高くなるに連れて少なくな
っていくが、ショア硬度76〜86の間で磨耗量の低下がや
や急になり、それ以後は緩やかに低下していく。
【0084】上記(5) のショア硬度と磨耗量の関係と、
上記(2) , (4) の試験時間と水膜厚さとの関係とを併せ
て考察すると、以下のことがいえる。すなわち、弾性シ
ール材のショア硬度が低いほど磨耗速度が速く、弾性シ
ール材とロール表面との接触面積が速く大きくなってい
く。ところが、弾性シール材のロールへの押しつけ力は
一定に保持されているので、接触面積が大きくなるに連
れて、接触面における単位面積当たりの圧力つまり面圧
は小さくなるので、回転するロールとの摩擦力によって
ロール表面と弾性シール材先端面との微小な隙間へ引き
ずり込まれるロール表面付着水の量が多くなる。
【0085】このため、ショア硬度が低いほど試験時間
の経過による水膜厚さの上昇速度は大きくなる。しか
し、ショア硬度が80未満と80以上とでは、硬度の磨耗に
与える影響はやや異なり、あたかも2つの別の直線関係
が成り立っているような挙動をするので、試験時間の経
過による水膜厚さの上昇速度は、ショア硬度80未満では
大きく(急激で)、ショア硬度80以上では小さく(緩や
かに)なる。
【0086】また、凸型ロールクラウンに対する弾性シ
ール材先端部の変形容易性は、弾性シール材のショア硬
度が低く柔軟であるほど良いので、試験開始時の弾性シ
ール材磨耗が殆ど生じていない時の弾性シール材端部の
水膜厚さは弾性シール材ショア硬度が低いほど薄いよう
に見える。しかし、ロール中央部の水膜厚さよりはやや
厚い。だが、時間の経過とともに接触圧の大きいロール
中央部から早く磨耗していくので、ロール中央部の水膜
厚さの上昇速度は、弾性シール材端部におけるそれより
もやや大きい。したがって、試験時間の経過とともにロ
ール中央部と弾性シール材端部の水膜厚さの差はほとん
ど無くなっていく。
【0087】次に、連続式熱間圧延機の仕上圧延機の中
で、圧延速度の最も速いスタンドである最終スタンドの
上ワークロールに、本発明の水切り装置を設置し、弾性
シール材の材質、硬度を変えて、オンライン試験を実施
した。その試験条件を表4に示し、試験に用いた弾性シ
ール材の仕様を本発明に適合したものを実施例3,4と
して、従来使用のものを比較例6として表5に示した。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】そして、弾性シール材の材質は、前記オン
ライン試験の比較例4と同じショア硬度76のフッ素ゴム
を比較例6として、前記実施例1, 2と同じショア硬度
86,96の耐磨耗性フッ素ゴムを、それぞれ実施例3, 4
として用いた。このオンライン試験に用いた弾性シール
材32(前出図17参照)の断面形状および寸法は、全体の
長さL;66mm、基部32bの高さH;19mm、先端部32aの
高さh;19mmとされ、ロール表面に当接する先端部32a
の角度α;78°であった。そして、前記角度θ 1 が107
°、角度θ2 が5°となるように取付けた。
【0091】この試験の開始に先立ち、非圧延中のロー
ル冷却水のスプレーを停止した状態で、ワークロール回
転前、ワークロールの回転中、ワークロールを数分間回
転させた後停止してから、それぞれ、弾性シール材先端
部とワークロールとの接触状態を目視で観察したが、い
ずれの場合も、接触状態は良好でロール軸方向にもほぼ
均一に接触していることが確認された。また、前記の回
転接触試験後のロールを抜き取って、ロール表面を観察
したが、弾性シール材と接触していた部分が帯状に黒く
変色したのがみられ、ロール軸方向に均一に接触してい
たことが確かめられた。
【0092】なお、この試験はオンラインでなされたの
で、前記したオフライン試験におけるようなロール付着
水膜厚さの測定は出来なかったが、試験開始直後と、14
日間連続使用した後のロール回転中の水切り状態を目視
で観察した結果、比較例6、実施例3, 4のいずれの場
合もロール軸方向にほぼ均一に効果的に水切りが行われ
ていることが判った。
【0093】14日間の連続使用後に弾性シール材の先端
部磨耗量をロール軸方向に100 mm間隔で合計17箇所で測
定し、ロール軸方向における磨耗量の分布を図21に示し
た。なお、(a) は比較例6のHs76の場合、(b) は実施例
3のHs86の場合、(c) は実施例4のHs86の場合を示した
ものである。また、全磨耗量を図22にそれぞれ示した。
これらの図から以下のことがいえる。 (1) ワークロールのサーマルクラウンの影響で、いずれ
の場合もロール中央相当部の磨耗が大きく両端部の磨耗
量が小さい。この傾向は、弾性シール材のショア硬度が
低いほど顕著である。 (2) 全磨耗量は、ショア硬度76のフッ素ゴムに対して、
耐磨耗性フッ素ゴムのショア硬度86のものは約1/2 、シ
ョア硬度96のものは約1/4 に少なくなっている。いずれ
も、熱間圧延機の定期的保全のための休止サイクルであ
る14日間の連続使用に耐えるものであった。
【0094】しかし、磨耗量から考えると、ショア硬度
が86, 96の耐磨耗性フッ素ゴムを用いるほうが好まし
い。なお、各スタンドの圧延速度の差による弾性シール
材先端部の磨耗負荷の違いを考慮して、各スタンドの弾
性シール材の磨耗速度が等しいか、相互に整数倍の関係
になるように弾性シール材の材質、硬度を選択しスタン
ドによって使い分け、取り替え周期が丁度圧延機の定期
休止のサイクルに一致するようにすることも実際の操業
に適した一つの方法と考えられる。
【0095】次に、弾性シール材32の形状、寸法を図23
に示すように、全体の長さL;66mm、基部32bの高さ
H;19mm、先端部32aの高さh;19mmとされ、ロール表
面に当接する先端部32aの角度α;78°、前記角度θ1
が107 °、角度θ2 が5°となるように取り付けた。こ
のときの先端部32aは前記図15と同じ考え方に基づいた
もので、基部32bとの2つの接合面x−yおよびy−z
の長さはそれぞれ8mm,15mmとした。なお、先端部32a
の材質にショア硬度86の耐磨耗性フッ素ゴムを、基部32
bのにショア硬度70のNBRを用いて、両者の接着には
耐水、耐熱性ゴム接着剤を用いた。
【0096】この弾性シール材32を、前記のオンライン
試験条件と全く同じ条件で、連続14日間使用した。使用
後の弾性シール材を取り外して接着部の剥離の有無を検
査したが、剥離は全く認められず、このように構成した
弾性シール材が実際の使用に耐えることが確認された。
さらに、使用後の弾性シール材先端部32aを剥がし取
り、残った基部32bの接合面を綺麗に処理した後に、新
品の弾性シール材先端部32aを接着剤で接合し再生し
た。再生品について、上記と同様の連続14日間のオンラ
イン使用試験を行ったが、使用中、使用後とも接着面の
剥離は認められず、再生品も実際の使用に耐えることが
確認された。
【0097】なお、前出図17の弾性シール材32を製作す
るに当たり、(A) 全体をショア硬度86の耐磨耗性フッ素
樹脂で製作した場合、(B) 図23に示したように先端部32
aを同じ耐磨耗性フッ素樹脂で、基部32bをNBRで製
作し接着剤で接合した場合、(C) 全体をNBRで製作し
た場合、(D) 前記(B) のものを使用後再生した場合につ
いて、それぞれの製造コストを比較した。その結果につ
いて、(A) の製造コストを1.0 とすると、図24に示すよ
うになる。上記(B) とその再生品(D) は、それぞれ0.2
0, 0.08となり、両者を単純に平均すると0.14となっ
て、(C) の0.12にほとんど近づく。再生が2回行えると
すると、平均して0.12となり(C) に匹敵するまで安くな
る。
【0098】上記の実施例では、軟質ゴムとしてNBR
を用いた例について説明したが、本発明はこれに限るも
のでなく、使用条件に応じて要求される特性、例えば耐
水性、耐油性、耐熱性、弾性、硬度等を考慮して、安価
な材料であればどんな種類のゴムでもよい。また、上記
の実施例では、硬質耐磨耗性ゴムとして耐磨耗性フッ素
ゴムを用いた例について説明したが、本発明はこれに限
るものでなく、使用条件に応じて要求される特性、例え
ば耐水性、耐油生、耐熱性、弾性、硬度等を考慮して比
較的安価に得られる材料であればどんな種類のゴムでも
よい。
【0099】図25は、本発明の水切り装置の第2の実施
例の構成を示す概要図である。この図において、35はそ
の先端部に水切りヘッド11を固定した支持フレームで、
その後端部は一端が固定された位置決めシリンダ14のピ
ストンロッド14aと連結される。また、36は支持フレー
ム35をロール1の胴部方向軸に直角な方向に案内支持す
る案内装置である。なお、位置決めシリンダ14の伸長動
作と収縮動作による作用は第1の実施例とは逆であり、
またパイロット操作用電磁弁22を加圧するパイロット用
空気圧管路24が収縮用空気圧供給管路20に接続されるの
が前記第1の実施例と異なるが、そのほかは第1の実施
例と同じ構成とされる。
【0100】つぎに、このように構成された第2の実施
例の水切り装置の動作について説明すると、シリンダ操
作用電磁弁18をP側に切り換えることにより、伸長用空
気圧供給管路19からの空気圧で位置決めシリンダ14を伸
長させて、支持フレーム35を案内装置36上を上方に移動
させて、水切りヘッド11をロール1から離隔・退避せし
める。
【0101】逆にシリンダ操作用電磁弁18をS側に切り
換えて収縮用空気圧供給管路20からの空気圧で位置決め
シリンダ14を収縮させて、位置決め部材34がロール1の
外周面に当接するまで水切りヘッド11をロール1に接近
させる。同時に、パイロット用空気圧管路24からの空気
圧でパイロット操作用電磁弁22がP側に切り換わって、
圧力調整弁21からの空気圧で袋体31を膨張させて弾性シ
ール材32をロール1に接近させることによって水切りを
行う。
【0102】なお、このような第2の実施例と第1の実
施例との相違点は、第1の実施例においては位置決めシ
リンダ14の伸長によって、水切りヘッド11をロール1に
接近するようにしたのに対して、第2の実施例では、装
置設置のための必要スペースをできるだけ小さくする目
的で、位置決め用シリンダ14の収縮によって、水切りヘ
ッド11をロール1に接近するようにしたためのものであ
って、作用・効果の点では両実施例の間には何らの差異
もなく、単なる設計上の差異であるに過ぎないのであ
る。
【0103】また、上記した2つの水切り装置の実施例
における位置決めシリンダ14には空気圧式を用いるとし
て説明したが、本発明はこれに限るものではなく、たと
えば電動シリンダや回転スクリュー方式の駆動装置を用
いてもよい。なお、この場合、パイロット操作用電磁弁
22の代わりに、電動シリンダや回転スクリューの運動と
連動して動作する電磁弁を用いるようにすればよい。
【0104】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明は以上の実施例に限られるものではなく、本発明
の構成の要旨を変更しない範囲内であればその他の実施
例も包含するものであることはいうまでもない。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱間圧延機や冷間圧延機のロール冷却水の水切りを行う
に当たって、以下のような優れた効果を奏する。 従来例に比して優れた水切り性能が得られ、水切り後
のロールに付着する水膜厚さは最大3μm に留まるこ
と。
【0106】ロール軸方向に均一な水切り効果が得ら
れること。 長期間にわたって良好な水切り効果を維持できるこ
と。 弾性シール材とロール表面の間に鉄粉やスケールが噛
み込みにくく、圧延ロール表面、圧延材表面、弾性シー
ル材先端部に疵を付けることが少ないこと。 弾性シール材の寿命が長く、熱間圧延機の仕上げ圧延
機後段スタンドで長時間連続使用することが十分可能で
あること。
【0107】弾性シール材の先端部と基部の材質を変
え、適正な接合を行うことによって、長時間連続使用に
も、接合部の剥離を生じることもないこと。その結果、
弾性シール材の製造コストの低減と、再生使用によるコ
スト節減が可能となること。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す概要図である。
【図2】本発明に用いられる水切りヘッドの拡大断面図
である。
【図3】弾性シール材の使用時における組み付け状態を
説明する側面図である。
【図4】図3で示した弾性シール材の磨耗状態を説明す
る側面図である。
【図5】本発明の別の弾性シール材の組み付け状態を説
明する側面図である。
【図6】図5で示した弾性シール材の磨耗状態を説明す
る側面図である。
【図7】(a) ,(b) は弾性シール材の先端部にロールか
ら作用する力の説明図である。
【図8】(a) ,(b) は弾性シール材の先端部と基部との
接合面が1面からなる場合の接合面に働くはく離力の作
用の説明図である。
【図9】(a) ,(b) は弾性シール材の先端部と基部との
接合面が2面からなる場合の接合面に働くはく離力の作
用の一例の説明図である。
【図10】(a) ,(b) は弾性シール材の先端部と基部との
接合面が2面からなる場合の接合面に働くはく離力の作
用の他の例の説明図である。
【図11】(a) ,(b) は弾性シール材の先端部と基部との
接合面が2面からなる場合の接合面に働くはく離力の作
用の他の例の説明図である。
【図12】弾性シール材の先端部と基部との接合面が2面
からなる場合の接合面に働くはく離力の作用の他の例の
説明図である。
【図13】(a) ,(b) は弾性シール材の先端部と基部との
接合面が2面からなる場合の接合面に働くはく離力の作
用の他の例の説明図である。
【図14】弾性シール材の先端部と基部との接合面が2面
からなる場合の接合面に働くはく離力の作用の他の例の
説明図である。
【図15】(a) ,(b) は弾性シール材の先端部と基部との
接合面が2面からなる場合の接合面に働くはく離力の作
用の他の例の説明図である。
【図16】弾性シール材の先端部と基部との接合面が3
面以上からなる場合の接合面に働くはく離力の作用の他
の例の説明図である。
【図17】試験装置に用いられる弾性シール材の断面形
状、寸法の説明図である。
【図18】オフライン試験における比較例1と実施例1の
水切り性能を示す特性図である。
【図19】(a) ,(b) はオフライン試験における比較例2
〜5と実施例1,2の水切り性能を示す特性図である。
【図20】オフライン試験装置における比較例1〜5と実
施例1,2の弾性シール材ショア硬度と40時間試験後の
磨耗量との関係を示す特性図である。
【図21】(a) 〜(c) はオンライン試験に用いた弾性シー
ル材の連続14日間使用後のロール軸方向磨耗量分布を示
す特性図である。
【図22】オンライン試験に用いた弾性シール材の連続14
日間使用後全磨耗量を示す特性図である。
【図23】オンライン試験に用いた弾性シール材の先端部
と基部との接合面が2面からなる場合の弾性シール材の
断面形状、寸法の説明図である。
【図24】弾性シール材の材質と製造コスト比の関係を示
す棒グラフである。
【図25】本発明の水切り装置の第2の実施例の構成を示
す概要図である。
【図26】(a) , (b) は冷却水ワイパの従来例の構成を示
す概要図である。
【図27】(a) , (b) は冷却水ワイパの他の従来例の構成
を示す概要図である。
【図28】冷却水ワイパの他の従来例の構成を示す概要図
である。
【図29】従来例の要部拡大側面図である。
【符号の説明】
1 ロール(ワークロール) 2 ロール冷却装置 11 水切りヘッド 12 支持フレーム 13 回転軸 14 位置決めシリンダ 15 空気圧源 16, 17 空気圧供給管路 18 シリンダ操作用電磁弁 19 伸長用空気圧供給管路 20 収縮用空気圧供給管路 21 圧力調整弁 22 パイロット操作用電磁弁(押し付け力制御手段) 23 袋体膨張用空気圧供給管路 24 パイロット用空気圧供給管路 30 収納箱 31 袋体(弾性的押し付け手段、ロール軸方向均圧手
段) 32 弾性シール材 32a 先端部 32b 基部 33a ストッパ 33b 突起部 34 位置決め部材 35 支持フレーム 36 案内装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川島 浩治 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 松本 正次 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 豊永 正一 千葉県習志野市藤崎4丁目1−32番地 (72)発明者 北脇 道夫 兵庫県神戸市長田区若松町9丁目1番30 号 六菱ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−59106(JP,A) 特開 平1−127110(JP,A) 実開 昭58−85403(JP,U) 実開 昭52−423(JP,U) 実開 昭51−101337(JP,U) 実開 昭54−142344(JP,U) 特公 平4−726(JP,B2) 特公 平6−85924(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 27/10 B21B 45/02 320

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延機ロール外周面に、ロール軸方向に
    沿って弾性シール材の先端部を弾性的押し付け手段によ
    って当接させて水切りを行う圧延機ロールの水切り装置
    において、 前記弾性的押し付け手段に、押し付け力制御手段とロー
    ル軸方向均圧手段を具備せしめ、かつ前記弾性シール材
    の先端部を鋭角に形成して、該鋭角部をロール外周面に
    当接せしめるとともに、該当接部におけるロールの回転
    方向上流側のロール外周接面と前記弾性シール材の先端
    部水切り面とのなす角度θ1 が90°を超えるように当接
    せしめるように構成することを特徴とする圧延機ロール
    の水切り装置。
  2. 【請求項2】 前記弾性的押し付け手段は、膨張自在な
    袋体を圧延機ロールに対向する一面が開口した収納箱に
    収納して、該収納箱内の前記袋体の前方に、前記弾性シ
    ール材の前部が前記収納箱より露出するように、前記弾
    性シール材の後部を前後方向へ摺動自在となるように収
    納して、前記袋体の内部圧力を調整する圧力調整手段を
    備えたことを特徴とする請求項1記載の圧延機ロールの
    水切り装置。
  3. 【請求項3】 前記弾性シール材の少なくとも先端部を
    硬質耐磨耗性ゴムで形成したことを特徴とする請求項1
    または2に記載の圧延機ロールの水切り装置。
  4. 【請求項4】 前記弾性シール材の基部を軟質ゴムで形
    成し、その先端部を硬質耐磨耗性ゴムで形成するととも
    に、これら基部と先端部の間を接合したことを特徴とす
    る請求項1または2に記載の圧延機ロールの水切り装
    置。
  5. 【請求項5】 前記硬質耐磨耗性ゴムはショア硬度80〜
    100 のものである請求項3または4に記載の圧延機ロー
    ルの水切り装置。
  6. 【請求項6】 硬質耐磨耗性ゴムとされる先端部と軟質
    ゴムとされる基部との接合面が1面からなり、この接合
    面を含む平面が、前記当接部においてロールから前記弾
    性シール材の先端部に作用する押し付け力に対する反力
    と摩擦力との合力の作用方向を含む面と直角に交わるよ
    うに構成することを特徴とした請求項4または5に記載
    の圧延機ロールの水切り装置。
  7. 【請求項7】 硬質耐磨耗性ゴムとされる先端部と軟質
    ゴムとされる基部との接合面が相互に交わり合う2面か
    らなり、これら2面の内で、前記弾性シール材の先端部
    水切り面と接しない方の面を含む平面が、前記当接部に
    おいてロールから前記弾性シール材の先端部に作用する
    押し付け力に対する反力と摩擦力との合力の作用方向を
    含む面と、ロール回転方向上流側から見て90°以上の角
    度をなすように交わり、もう一方の接合面を含む平面
    記合力の作用方向を含む面と平行であるか、もしくは
    ロール回転方向下流側で交わるように構成することを特
    徴とした請求項4または5に記載の圧延機ロールの水切
    り装置。
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