JP3321105B2 - 可逆圧延機補助ロールの異物除去装置 - Google Patents

可逆圧延機補助ロールの異物除去装置

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JP3321105B2 JP36293098A JP36293098A JP3321105B2 JP 3321105 B2 JP3321105 B2 JP 3321105B2 JP 36293098 A JP36293098 A JP 36293098A JP 36293098 A JP36293098 A JP 36293098A JP 3321105 B2 JP3321105 B2 JP 3321105B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可逆圧延機の補助
ロールから異物を除去するのに用いて好適な可逆圧延機
補助ロールの異物除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼、珪素鋼などの難加工性材
料の冷間圧延は、12段圧延機や20段圧延機といった多段
圧延機を用いて行われる。図3は、12段圧延機の一例を
示す側面模式図である。同図に示すように圧延スタンド
1の左右にテンションリール2,2Aが設けられ、圧延
材3は、左右のテンションリール2,2A間を複数回往
復しながら圧延される。なお、4,4Aは補助ロール
(デフレクタロール)、5,5Aは形状検出ロール、
6,6Aはワイパロールである。
【0003】このようないわゆる可逆圧延機によれば、
難加工性材料を1つの圧延ロールスタンドで所望の板厚
まで圧延できる。しかしながら一方において、表面が潤
滑油によって洗浄されない補助ロール4、4Aが正転、
逆転を繰り返すことで、摩耗粉、塵、鉄粉、酸化スケー
ルなどの異物が補助ロール4、4Aまたは圧延材3に付
着し、そのまま圧延が繰り返されるとこれらの異物が圧
延材3の表面に噛み込み、ロール疵が発生する。また、
圧延材に付着しワイパロール6または6Aで除去しきれ
なかった潤滑油が補助ロール4、4Aに付着し、異物の
付着を助長すると共にスリップ疵の原因にもなる。
【0004】この問題に対し、補助ロール表面にショッ
トブラストを施したのちクロムメッキを施して耐摩耗
性、耐ピックアップ性を改善することにより、ロール疵
およびスリップ疵を防止する方法が知られている。しか
しながら、この方法では、圧延量が増加するほどロール
粗度が低下するために、圧延を開始してから短時間のう
ちにその効果が失われる。
【0005】一方、可逆圧延機の補助ロールから異物を
除去する手段として、特開平9−1212号公報、特開平10
−58016 号公報に記載されているように、回転中の補助
ロール表面に2つのワイピング部材を交互に押し当てて
ロール表面に付着した異物を掻き取る方法が知られてい
る。いずれも、補助ロールの正転、逆転に応じて、2つ
のワイピング部材のうちロール回転方向に対応する方を
ロールに接触させ、そうでない方をロールから離反させ
るように構成されており、正転時、逆転時ともロール表
面に付着する異物を有効に除去することができる。ま
た、ワイピング部材を交互に接触させることによる効果
として、特開平9−1212号公報にはワイピング部材の寿
命を延長できることが、また、特開平10−58016 号公報
には回転方向の変更時にワイピング部材で掻き取った異
物がロールに再付着するのを防止できることが、それぞ
れ記載されている。
【0006】なお、特開平9−1212号公報では、ワイピ
ング部材はブレードであり、これは金属製の矩形状薄板
であり、例えばアルミニウム合金、ステンレス鋼などで
ある。また、特開平10−58016 号公報では、特に限定さ
れてないが、好ましいワイピング部材は、ゴム、樹脂、
スポンジ、フェルト等であり、その形状は角状でもブレ
ード状でもよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開平9
−1212号公報の装置はロール面との接触片が金属製のブ
レードであるため異物の掻き取りには好適であるが潤滑
油の拭き取りには不適であり、また、前記特開平10−58
016 号公報の装置は同接触片がゴム、樹脂、スポンジ、
フェルト等であるため潤滑油の拭き取りには好適である
が異物の掻き取りには不適である。また、両者とも、圧
延の向きの変更毎に、2つのワイピング部材の一方をロ
ール面に接触させ、同時に他方をロール面から離反させ
る動作を交互に繰り返す必要がある。そのため、この接
触・離反を行わせるための機構や制御装置が必要とな
り、設備コストが嵩むうえ、メンテナンス負荷も大きい
という問題がある。
【0008】そこで、本発明は、可逆圧延機の補助ロー
ルに対して異物掻き取り、潤滑油拭き取りの両方を行う
ことができ、しかもワイピング部材をロールに接触・離
反させずとも異物の再巻き込みを防止できる可逆圧延機
補助ロールの異物除去装置を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、可逆圧延機の
補助ロールのロール面にワイパ先端部を常時接触させて
該ロール面に付着した異物をワイピング除去する装置で
あって、ワイパ先端部で異物および潤滑油を拭き取る第
1のワイパと、ワイパ先端部で異物を掻き取る第2のワ
イパとを有することを特徴とする可逆圧延機補助ロール
の異物除去装置である。
【0010】本発明では、第1のワイパのワイパ先端部
がフェルト板からなり、第2のワイパのワイパ先端部が
樹脂ブレードからなることが好ましい。また、本発明で
は、圧延材と補助ロールとの接点から順方向に沿って第
1のワイパ、対順姿勢の第2のワイパがこの順に補助ロ
ールと接するように配置されることが好ましい。
【0011】また、本発明では、圧延材と補助ロールと
の接点から順方向に沿って対逆姿勢の第2のワイパ、第
1のワイパ、対順姿勢の第2のワイパがこの順に補助ロ
ールと接するように配置されることが好ましい。本発明
において、「順方向」とは、圧延材が圧延スタンドに向
かうときの補助ロールの回転方向を意味する。なお、逆
の場合は「逆方向」という。
【0012】また、「対順姿勢」とは、順方向で近づく
異物に対しその前方から刃先を向けた姿勢をいう。な
お、逆の場合は「対逆姿勢」という。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、第1、第2のワイパを1
台ずつ設けた本発明実施形態を示す側面模式図である。
図1において、補助ロール4の左方にはテンションリー
ル2(図3参照)が、形状検出ロール5の右方には圧延
スタンド1(図3参照)が配置されている。
【0014】10は第1のワイパで、ワイパ先端部をなす
フェルト板11をホルダ12に着脱可能に取り付けて構成さ
れている。ホルダ12はフレーム13に取り付けられており
フェルト板11の端面を補助ロール4のロール面に常時
(メンテナンス時は除く)押しつけている。また、20は
第2のワイパで、ワイパ先端部をなす樹脂ブレード21を
ホルダ22に着脱可能に取り付けて構成されている。ホル
ダ22はフレーム23に取り付けられており樹脂ブレード21
の刃先をロール面に所定の角度で常時(メンテナンス時
は除く)押しつけている。
【0015】ワイパ先端部の取り付け方法はピン止め、
回転軸による軸支、その他公知の方法のいずれでもよ
く、要は、補助ロールとワイパ先端部とが接触できるよ
うに取り付けできるものであれば、その支持方法を限定
しない。第1のワイパ10は、摩耗粉、塵、鉄粉、酸化ス
ケール等の異物および余剰の潤滑油をロール面から拭き
取るものであり、ワイパ先端部の材質は、ロール面に擦
過疵を発生させず、かつ潤滑油の含浸が十分行えるとい
う観点から、フェルトが好ましい。形状はこの例の角板
状でもよいが、先の尖ったブレード状でもよい。
【0016】第2のワイパ20は、前記異物をロール面か
ら掻き取るものであり、その目的に照らして、ワイパ先
端部は先の尖った形状を有する部材、すなわちブレード
であることが好ましい。材質は、ロール面に擦過疵を発
生させず、異物をロール面から引き剥がすに十分な弾性
率を有するという観点から、樹脂が好ましい。なお、樹
脂のなかでは、ロール面との擦れによりカスを発生せ
ず、かつ150 ℃程度までの耐熱性を備えたものがさらに
好ましく、かかる観点から、エポキシ樹脂、ベークライ
ト、ナイロン、ポリカーボネートなど、および、これら
の樹脂を繊維または充填材で強化したものが好適であ
る。また、樹脂以外では銅が好ましい。
【0017】本発明の装置は、潤滑油および異物を拭き
取る第1のワイパと、異物を掻き取る第2のワイパを備
えたので、拭き取りと掻き取りを同時に行うことがで
き、潤滑油および異物の除去性能に優れた装置である。
これに対し、前記特開平9−1212号公報の装置はロール
面との接触片が金属製のブレードであるため掻き取りに
は好適であるが拭き取りには不適であり、また、前記特
開平10−58016 号公報の装置は同接触片がゴム、樹脂、
スポンジ、フェルト等であるため拭き取りには好適であ
るが掻き取りには不適である。
【0018】第1、第2のワイパの配置は、図1に示す
ように、ロール面内で圧延材3と補助ロール4の接点O
から順方向(図1では右回り)に順次第1、第2のワイ
パ10、20の接点A、Bが位置するような配置とするのが
よい。また、第2のワイパ20は対順姿勢で配置するのが
好ましい。対逆姿勢であると順方向での異物掻き取りが
困難である。
【0019】このような配置とすることにより、補助ロ
ール4の逆方向(図1では左回り)回転時に第1のワイ
パ10のフェルト板11で拭き取られてフェルト板11の接点
B側に溜まった異物30が、順方向回転時にロール面に再
付着することがあっても、それが接点Oまで運ばれる途
上で樹脂ブレード21により掻き取られて捕捉されるの
で、この異物が接点Oに達して圧延材3に乗り移り圧延
スタンドまで運ばれてロールバイトに侵入しロール疵を
発生させることを効果的に防止することができる。
【0020】そして、本発明は、ワイパ先端部を常時補
助ロールに接触させるものであるから、簡単な押しつけ
機構(スプリング、シリンダ等)があれば足り、従来の
ような交番的接触・離反のための機構や制御装置は必要
なく、設備コスト面、メンテナンス面で有利である。と
ころで、図1の装置では、補助ロール4の順方向回転時
にフェルト板11の接点O側に異物31が溜まり、これが逆
方向回転時にロール面に再付着して接点Oに戻り圧延後
テンションリールでコイル状に巻き取られつつある圧延
材3に乗り移ってコイル層間に侵入することは阻止され
ない。このコイル層間に侵入する異物が製品表面疵の原
因になることは少ないのであるが、皆無というわけでは
ない。
【0021】しかしながら、本発明によれば、例えば図
2に示すように、第2のワイパ20を2台設け、その間に
第1のワイパ10を配置し、第2のワイパ20うち接点Oか
ら順方向に沿って上流側のものは対逆姿勢、下流側のも
のは対順姿勢で配置することにより、異物の圧延スタン
ド側への持ち込まれとテンションリール側への持ち込ま
れとを両方とも有効に防止することができる。なお、第
2のワイパは図2に例示した2台に限らず必要に応じて
何台設置してもよい。
【0022】また、第1のワイパも図1に例示した1台
に限らず、異物の発生量、潤滑油の塗布量が多い場合、
必要に応じて何台設置してもよい。その場合には、例え
ば2台の第2のワイパを1台は対順姿勢、もう1台は対
逆姿勢で設置し、それらの間に第1のワイパを複数配置
すればよい。
【0023】
【実施例】図3に示した12段圧延機(可逆圧延機)を用
いて、オーステナイト系ステンレス鋼板SUS304とフェラ
イト系ステンレス鋼板SUS430に対し、鋼板を左右のテン
ションリール2、2A間で往復させる可逆方式にて冷間
圧延を行った。圧延は、左右の補助ロール4,4Aに第
1、第2のワイパを、それぞれ1〜2台設置した実施
例、いずれか一方を省略した比較例の各々について行
い、圧延後の鋼板の表面疵発生による不良率を比較し
た。第1のワイパのワイパ先端部はフェルト板、第2の
ワイパのワイパ先端部は樹脂ブレードで構成し、樹脂は
ガラス繊維強化エポキシ樹脂を用いた。
【0024】結果を表1に示す。第1、第2のワイパの
いずれか一方を省略した比較例では不良率が3%以上で
あったに対し、第1、第2のワイパを両方とも設置した
実施例では不良率が1%以下であった。とくに、第2の
ワイパを2台設けた実施例では不良率が0%であり、鋼
板の表面疵を完全に防止することができた。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】かくして本発明によれば、可逆圧延機の
補助ロールに対して異物掻き取り、潤滑油拭き取りの両
方を行うことができ、しかもワイピング部材をロールに
接触・離反させずとも異物の再巻き込みを防止できると
いう優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1、第2のワイパを1台ずつ設けた本発明実
施形態を示す側面模式図である。
【図2】第1のワイパを1台、第2のワイパを2台設け
た本発明実施形態を示す側面模式図である。
【図3】12段圧延機を一例を示す側面模式図である。
【符号の説明】 1 圧延スタンド 2,2A テンションリール 3 圧延材 4,4A 補助ロール(デフレクタロール) 5,5A 形状検出ロール 6,6A ワイパロール 10 第1のワイパ 11 フェルト板 12,22 ホルダ 13,23 フレーム 20 第2のワイパ 21 樹脂ブレード 30,31 異物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠井 聡 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 平4−309406(JP,A) 特開 平10−58016(JP,A) 特開 平9−1212(JP,A) 実開 昭60−136804(JP,U) 実開 平4−78270(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 28/04 B21B 28/02 B21B 27/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可逆圧延機の補助ロールのロール面にワ
    イパ先端部を常時接触させて該ロール面に付着した異物
    をワイピング除去する装置であって、ワイパ先端部で異
    物および潤滑油を拭き取る第1のワイパと、ワイパ先端
    部で異物を掻き取る第2のワイパとを有することを特徴
    とする可逆圧延機補助ロールの異物除去装置。
  2. 【請求項2】 第1のワイパのワイパ先端部がフェルト
    板からなり、第2のワイパのワイパ先端部が樹脂ブレー
    ドからなることを特徴とする請求項1記載の可逆圧延機
    補助ロールの異物除去装置。
  3. 【請求項3】 圧延材と補助ロールとの接点から順方向
    に沿って第1のワイパ、対順姿勢の第2のワイパがこの
    順に補助ロールと接するように配置されたことを特徴と
    する請求項1又は2に記載の可逆圧延機補助ロールの異
    物除去装置。
  4. 【請求項4】 圧延材と補助ロールとの接点から順方向
    に沿って対逆姿勢の第2のワイパ、第1のワイパ、対順
    姿勢の第2のワイパがこの順に補助ロールと接するよう
    に配置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の可逆圧延機補助ロールの異物除去装置。
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