JPS5922123B2 - 不燃物を含む廃棄物の流動床式焼却装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、たとえば都市ゴミ等の不燃物を含む廃棄物を
焼却するために用いれば特に好適なもので、不燃物の排
出性能に優れる上に可燃物の焼却性能に優れた流動床式
焼却装置に関する。

流動床式焼却装置の重要課題は、燃焼により経時的に蓄
積されようとする不燃物を確実に排出するということと
、可燃物を燃焼させる前に炉外に排出したり、あるいは
燃え残りを生じさせたりしないで、可燃物を炉内で確実
に燃焼させるということである。

このような課題を解決するためには、流動床を形成する
珪砂等の流動媒体の排出口への流動を強めて、不燃物の
排出性能を向上せしめ、かつ、流動媒体の流動経路が炉
内全体に渡るようにして、可燃物を確実に燃焼させる必
要がある。

そこで、本発明者等は、最近、上記排出性と燃焼性とい
う相反した要請を比較的充足するものとして、炉本体の
下端に風箱を連設し、該炉本体と風箱との間に整流板を
取り付け、該整流板に多数の散気管を突出させると共に
、該散気管の空気噴出口を円周方向から炉心に偏倚する
螺旋状に配置して、炉本体内の空気および流動媒体に向
心旋回流を生せしめて、炉心に設けた不燃物排出孔に不
燃物を集中させるようにした装置を提供した。

しかしながら、本発明者らは、上記装置においても、炉
本体の側壁の内周部に不燃物が残留して、上記排出口へ
の不燃物の集中性に未だ不十分な点があることを発見し
た。

本発明の目的は、上記装置を改善することであって、不
燃物の排出口への集中性つまり排出性能をさらに向上せ
しめ得る上に、可燃物の焼却性能を損なわないようにし
た流動床式燃焼装置を新規に提供することである。

本発明の構成・作用の特徴は、側壁に廃棄物投入口を有
する炉本体の下端と風箱との間に、ろうと状に中心側を
下方に傾斜させて取り付けた整流板の中心に、不燃物排
出孔を設けると共に、該整流板に多数の散気管を突設し
て、該散気管の空気噴出口を略螺旋状に配列して、燃焼
用空気に略水平面に沿う向心旋回流を生せしめるように
した流動床式焼却装置において、上記廃棄物投入口の真
下から炉心に向って延在する流動床の廃棄物投入域の多
数の散気管の口径を炉心から外周部に向けて１ｍ的に小
さくして、廃棄物投入域の空塔速度を、炉心から外周部
に向かう方向に段階的に小さくするようにすることによ
り、流動床における廃棄物投入域の中心側の上昇流を強
く、外周側における上昇流を弱くして、流動床の下部に
半径方向に疎密を生じさせて、流動媒体を半径方向かつ
不燃物排出孔へ向けて強制的に移動させて、不燃物の排
出口への集中性を極めて確実ならしめると共に、上記流
動床の廃棄物非投入域の空塔速度を、上記廃棄物投入域
の空塔速度の範囲内の略一定値にすることにより、廃棄
物非投入域における略水平方向に沿う略一様な旋回流を
維持せしめて、廃棄物の炉本体内における滞留時間を一
定に保ち、可燃物を確実に焼却せしめ、未燃物の排出を
防止し得るようにした点にある。

以下、本発明を図示の実施例について詳細に説明する。

第１図において、１は縦型の略円筒形状をした炉本体、
２は該炉本体１の下端に連設した風箱、３は上記炉本体
１と風箱２との間に設けた整流板、４は該整流板３の中
央部に一端を接続した中央排出管、５は該中央排出管４
の内側に形成され、炉心に位置する不燃物排出孔、６は
上記中央排出管４の他端に接続した媒体搬出機としての
スクリュコンベヤ、γは上記風箱２に設けた燃焼用空気
吹込口である。

上記炉本体１の一側壁１ａＫは、廃棄物投入口１０を設
け、該廃棄物投入口１０に都市ゴミ等の廃棄物用定量供
給機１１を設置する一方、上記炉本体１の他側壁１ａに
は、砕砂等の流動媒体用供給口１２を設け、該供給口１
２に流動媒体供給機１３を設ける。

さらに、上記炉本体１には、バーナ１４，２次空気供給
口１５、汚水噴出口１６、および排ガス排出口１７を設
ける。

上記炉本体１の下部には、砕砂からなる流動媒体２０を
充填して流動床３０を形成する。

上記整流板３は、第２図に示すように、ろうと状に中心
側を下方へ傾斜させる。

上記整流板３の中央部からは、上記中央排出管４の一部
を突出させて、不燃物排出孔５を上記整流板３よりも一
定寸法上方において開口させる。

上記整流板３には、第２，３図に示すように、多数の逆
り字形状の散気管２２を突設する。

上記散気管２２の上端部は、第４図に示すように、ロン
グパイプ２２ａの上端にそれと同一径のショートパイプ
２２ｂの一端を垂直に連結して、該ショートパイプ２２
ｂの他端を空気噴出口２３として開口する。

上記空気噴出口２３は、第３図に示すように、炉心に対
して複数の同心円状に配列し、その内側２列より外側の
列の空気噴出口２３は円周方向から炉心に向けて略４５
°偏倚させて、略螺旋状に配列する。

したがって、風箱２の燃焼用空気吹込口１からの空気は
、上記多数の散気管２２を通って、炉本体１内に略水平
方向に沿った旋回流を生じさせるようになっている。

ただし、内側２列の空気噴出口２３は炉心に指向させ、
つまり空気排出管４の軸心に直交させて、流動媒体等の
不燃物排出孔５への集中性を高めている。

また、上記多数の空気噴出口２３は、第２図に示すよう
に、その高さを炉心から外周部へ向けて段階的に高くな
るようにして、円錐面に沿わせる。

つまり、上記空気噴出口２３は整流板３よりも一定高さ
においてろうと状に配列する。

また、上記散気管２２の空気噴出口２３の若干下側には
、金網よりなる不燃物落下防止部材２５を設ける。

該不燃物落下防止部材２５は炉心側を下方に傾斜させて
、不燃物排出口５へ向けてろうと状に設ける。

なお、不燃物落下防止部材２５は、小板で形成してもよ
い。

また、第３図に示すように、上記廃棄物投入口１０の真
下から炉心に向って延在する略扇形の廃棄物投入域Ｘに
おける散気管２２０口径を、炉心から外周部へ向けて段
階的に小さくする。

すなわち廃棄物投入域Ｘにおける内側の小領域Ｘ１の散
気管２２０口径を２０Ａ（３／４”）、中央の小領域Ｘ
２ の散気管２２０口径を１５Ａ（１／２“）、外側の
領域Ｘ３の散気管２２０口径をｌ０Ａ（３／８“ ）と
する。

これにより、炉本体１内の単位面積を単位時間に通過す
る空気量で表わされる空塔速度は、領域Ｘ１、領域Ｘ２
、領域Ｘ３順に小さくなる。

また、廃棄物非投入域Ｙの散気管２２０口径は、上記廃
棄物投入域Ｘの中の小領域Ｘ２の散気管２２０口径１５
Ａ（１／２“）に等しくする。

しだがって、廃棄物非投入域Ｙの空塔速度は上記小領域
ｘ２の空塔速度に等しくなっている。

なお、上記空塔速度の段階的変化は、散気管２２０口径
の段階的な変化に代えて、散気管２２の風箱２内の長さ
を段階的に変化させたり、あるいは散気管２２に較りを
設けて行なってもよい。

しかし、空気量を確実に変化させることができ、かつ製
作が簡単、安価にできるという点で、散気管２２０口径
の変化により行なうものが有利である。

上記構成の流動床式焼却装置は下記の如く、不燃物排出
機能および可燃物焼却機能を発揮する。

いま、炉本体１の下部に珪砂２０で形成された流動床３
０の廃棄物投入域Ｘに、石、ガラス、カン等の不燃物３
１ａを含む廃棄物を投入し、かつ燃焼用空気吹込口１０
からの空気を、風箱２および散気管２２を介して炉本体
１内に供給し、かつバーナ１４で廃棄物の可燃物３１ｂ
に着火しているとする。

このとき、空気噴出口２３から炉本体１内へ要用される
空気は、該空気噴出口２３が略螺旋状に配列されている
ために、向心旋回流と々つて、珪砂２０および廃棄物３
１ａ、３１ｂに略水平面に沿った向心旋回流を炉本体１
の全体に渡って生じさせ、珪砂２０の中に廃棄物３１ａ
、３１ｂを巻き込んだりしながら、不燃物３１ａを不燃
物排出口５へ向けて移動させる。

そして、この状態で流動床３０の空気噴出口２３よりも
下側の部分３０ａは静止層となり、その上側の部分は流
動層３０ｂとなっている。

まだこのとき、廃棄物投入域Ｘにおいては、炉心側の小
領域Ｘ１の空塔速度が大きく、外周側の小領域Ｘ３の空
塔速度が小さいために、第５図に示すように、流動層３
０ｂの炉心側の上昇速度ｖ１が大きくなり、外周側の上
昇速度ｖ２が小さくなる。

これにより流動層３０ｂの下部に半径方向に疎密状態が
生じるということと、不燃物落下防止部材２５および空
気噴出口２３がろうと状の円錐面に沿うように設けられ
ているということとが相まって、流動層３０ｂに第５図
矢印Ｚで示す如き珪砂２０の炉心に向かう強い速度成分
が前記水平方向の旋回流に付加される。

したがって、流動層３０ｂの底部に沈んでいる不燃物３
１ａは、炉心に向かって螺旋状に旋回しながら、廃棄物
投入域Ｘで半径方向炉心側に強く移動させられる。

さらに、不燃物３１ａは不燃物排出孔５の近傍で、内側
２列の散気管２２の空気噴出口２３から噴出された炉心
を直接指向する空気および珪砂２０により、不燃物排出
口５へ強制的に搬送される。

不燃物排出口５に入った不燃物３１ａはスクリュコンベ
ア６で外部へ搬送される。

また、上記不燃物落下防止部材２５は、珪砂２０の矢印
２方向の流れを重力で強めると同時に、空気噴出口２３
の下側の静止層３０ａへの不燃物３１ａの落下を防止し
て、不燃物３１ａを常時流動層３０ｂ内に位置させ、不
燃物３１ａの不燃物排出口５へ集中性を高めている。

しだがって、第６図に示すような不燃物３１ａの静止層
３０ａにおける堆積は防止できる。

一方、廃棄物非投入域Ｙにおいては、その空塔速度は廃
棄物投入域Ｘの中央の小領域Ｘ２の空塔速度に等しい一
定値になっているために、燃焼空気、珪砂、不燃物３１
ａおよび可燃物３１ｂに通常の水平方向の螺旋状の旋回
流が生じる。

このため、可燃物３１ｂは炉本体１内に均一な状態で一
定時間滞留させられるので、可燃物３１ｂは完全燃焼さ
せられる。

つまり、可燃物３１ｂの未燃状態での排出は防止される
。

上記実施例では、不燃物落下防止部材２５と空気噴出口
２３を円錐面に沿わせたが、空塔速度の大小の変化のみ
で、炉心に向かう珪砂２０の流れを生じさせてもよい。

ただし、この場合は炉心に向かう珪砂の流動速度は遅く
なる。

以上の説明で明らかな如く、本発明によれば、炉本体内
の流動床の廃棄物投入域の空塔速度を、炉心から外周部
へ向かう方向に段階的に小さくして、廃棄物投入域にお
ける流動床の下部に疎密を生じさせ、流動媒体を不燃物
排出口へ向けて半径方向に強制的に移動させるようにし
ているので、不燃物を不燃物排出孔から極めて確実に排
出することができる。

また、流動床の廃棄物非投入域の空塔速度を、廃棄物投
入域の空塔速度の範囲内の略一定値にしているので、廃
棄物の炉本体内における滞留時間を一定に保って、可燃
物を確実に焼却できる。

また、多数の散気管の口径を炉心側から外周部へ向けて
段階的に小さくして、空塔速度を炉心側から外周部へ向
けて段階的に小さくしているので、空塔速度を確実に定
めることができる上に、装置の製作を簡単、安価にする
ことができる。

また、空気噴出口の下側に、円錐面に沿うように配置し
た不燃物落下防止部材を設ければ、不燃物の静止層にお
ける堆積を防止できる上に、不燃物を不燃物排出孔へ確
実、迅速に集中させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例に係る流動床式焼却装置の縦
断面図、第２図は第１図の要部拡大図、第３図は第２図
の■−■線断面図、第４図は散気管の上端部の拡大図、
第５図は廃棄物投入域の流動状態を示す模式図、第６図
は不燃物落下防止部材を備えていない装置を示す断面図
である。 １・・・炉本体、２・・・風箱、３・・・整流板、４・
・・中央排出管、５・・・不燃物排出孔、１０・・・廃
棄物投入口、２０・・・流動媒体、２２・・・散気管、
２３・・・空気噴出口、２５・・・不燃物落下防止部材
、３０・・・流動床、３０ａ・・・静止層、３０ｂ・・
・流動層、３１ａ・・・不燃物、３１ｂ・・・可燃物。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 流動床を形成する流動媒体を充填する炉本体の側壁
   に廃棄物投入口を設ける一方、上記炉本体の下端に風箱
   を連設し、該炉本体と風箱との間にろうと状に中心側を
   下方に傾斜させた整流板を取り付け、該整流板の中心に
   不燃物排出孔を設けると共に、該整流板に多数の散気管
   を突設し、該散気管の空気噴出口を円周方向から炉心に
   偏倚させて略螺旋状に配列して、風箱から炉本体へ導か
   れる燃焼用空気に、不燃物排出孔に向かう向心旋回流を
   生ぜしめるようにした流動床式焼却装置において、 上記廃棄物投入口の真下から炉心に向って延在する流動
   床の廃棄物投入域の多数の散気管の口径を炉心から外周
   部に向けて段階的に小さくして、廃棄物投入域の空塔速
   度を炉心から外周部に向けて段階的に小さくすると共に
   、上記流動床の廃棄物非投入域の空塔速度を、上記廃棄
   物投入域の空塔速度の範囲内の略一定値にしたことを特
   徴とする不燃物を含む廃棄物の流動床式焼却装置。 ２ 上記多数の散気管の空気噴出口を、外周部から炉心
   に向けて段階的に低く設けたことを特徴とする特許 焼却装置。 ３ 上記不燃物排出孔近傍の散気管の空気噴出口を、該
   不燃物排出孔の軸心線に略直交する向きに設けたことを
   特徴とする上記特許請求の範囲第１項乃至第２項のいず
   れかに記載の流動床式焼却装置。