JP2001004117A - 流動床焼却炉の燃焼制御方法及び装置 - Google Patents

流動床焼却炉の燃焼制御方法及び装置

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JP2001004117A
JP2001004117A JP11176407A JP17640799A JP2001004117A JP 2001004117 A JP2001004117 A JP 2001004117A JP 11176407 A JP11176407 A JP 11176407A JP 17640799 A JP17640799 A JP 17640799A JP 2001004117 A JP2001004117 A JP 2001004117A
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fluidized bed
secondary air
air
incinerator
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Kazuo Takahashi
和雄 高橋
Mamoru Suyari
護 須鎗
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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  • Gasification And Melting Of Waste (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 CO等の不完全燃焼ガスの排出量を効果的に
抑制することができる流動床焼却炉の燃焼制御方法及び
装置を提供する。 【解決手段】 本方法(装置)では、焼却炉本体の底部
に供給された被焼却物を燃焼してガス化する流動層2が
形成され、この上方空間にガスをさらに燃焼するフリー
ボード3が形成される流動床焼却炉の燃焼制御におい
て、焼却炉本体内の周方向に略等間隔で少なくとも6つ
設けられた二次空気ノズル17,17,…から、フリー
ボード3の中心方向に向けて、少なくとも300oCに
予熱された補助燃焼空気を少なくとも50m/sの噴射
速度で噴射するので、CO等の排出量を効果的に抑制す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみまたは汚
泥焼却プラント等に設置される流動床焼却炉の燃焼制御
方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、都市ごみまたは汚泥焼却プラン
ト等に設置される流動床焼却炉は重要機器の一つであ
り、投入されたごみまたは汚泥を完全に燃焼、焼却する
とともに、その燃焼中での有害物質の発生を抑える役割
が求められる。
【0003】図6は従来の流動床焼却炉の一構成例にお
ける縦断面図,図7はそのB−B断面図,図8はそのC
−C断面図,図9はそのD−D断面図である。
【0004】流動床焼却炉は、廃棄物の中でも特に下水
汚泥等の比較的発熱量が低い被焼却物を効率良く燃焼さ
せることのできる焼却炉であって、この流動床焼却炉で
は図6に示すように、被焼却物供給口1から炉内に投入
された被焼却物を解砕・ガス化させるための流動層2
と、このガスを燃焼させる燃焼室であるフリーボード3
を備えている。そして、例えば流動層2に風箱4からノ
ズル5を介して流動・燃焼用空気を吹き込んで、砂等の
流動媒体を流動させ、流動層2を形成しつつ被焼却物を
解砕・ガス化させ、発生したガスをフリーボード3で補
助燃焼空気と混合・燃焼させて排ガス出口6から排出す
るようになっている。
【0005】廃棄物の焼却処理を行う場合、良好な燃焼
が行われないと、有害物質であるCO等の不完全燃焼ガ
スやNOxが炉出口から排出され、大気汚染の原因とな
る。
【0006】従来の都市ごみ流動床焼却炉では、図7に
示すように、フリーボード3に対し水平断面上に旋回流
を形成する方向に補助燃焼空気を噴射する複数の第1噴
射部25,25,…を周方向に並設すると共に、その上
方位置の水平断面上で、図8に示すように、フリーボー
ド3に対しその中心部に向けて補助燃焼空気を噴射する
複数の第2噴射部26,26,…を周方向に並設し、さ
らにその上方位置に、フリーボード3に対し水平断面上
に第1噴射部25,25,…による旋回流と逆向きの旋
回流を形成する方向に補助燃焼空気を噴射する複数の第
3噴射部27,27,…を周方向に並設するというよう
に、フリーボード3に対し3段構成で補助燃焼空気を噴
射することが提案された(特開平7−180822)。
【0007】上記従来の流動床焼却炉は、第2噴射部2
6,26,…からの噴射流を、第1噴射部25,25,
…及び第3噴射部27,27,…による相反する旋回流
で上下から挟み込むようにしてせん断し、両旋回流の旋
回方向の成分を第2噴射部26,26,…による噴射領
域で相殺するとともに、この第2噴射部26,26,…
からの噴射流をフリーボード3の中央部で互いに衝突さ
せ、これによりフリーボード3の中央部の圧力を高め
て、この高圧部分で上昇ガスの一部を跳ね返して下方に
向かって逆流させることにより、中央部のガス吹き抜け
を効果的に抑制し、良好な混合性を得るようとするもの
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、発熱量の低
い(汚泥のような)廃棄物に対しては、炉内の温度を維
持するためには空燃比=1.3程度の低い空燃比で運転
しなければならず、二次空気として十分な空気を送るこ
とができなくなる。よって二次空気のノズル本数は極力
少なくする必要があり、少ない噴射ノズル本数で効果的
な燃焼を行おうとすれば、各噴射ノズルから噴射される
補助燃焼空気の直線性を高めるのが有効であることが分
かっている。
【0009】しかし、上記従来の流動床焼却炉では、第
1噴射部25,25,…及び第3噴射部27,27,…
による相反する旋回流によって第2噴射部26,26,
…からの噴射流にブレーキがかかってしまい、その噴射
流の直進力を弱めるという問題がある。
【0010】そこで、炉本体への被燃焼物の供給量が減
少した時には第1噴射部25,25,…及び第3噴射部
27,27,…からの噴射流量のみを減少させることと
しているが、上記ブレーキがなくなる訳ではない。
【0011】さらに、上記従来例では、噴射部を3段構
成しているため、その装置構成が複雑化し、炉本体の高
さを一定以上とすることが必要である。
【0012】本発明は、このような従来の技術における
課題を解決するために、補助燃焼空気供給において旋回
流をなくして、噴射ノズルからの噴射流の直線性を確保
することにより、簡単な構成で、しかも炉本体を特段に
高くすることなく少量の二次空気供給量でもCO等の不
完全燃焼ガスの排出量を効果的に抑制することができる
流動床焼却炉の燃焼制御方法及び装置を提供することを
目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の発明は、焼却炉本体の底部に被焼却物を燃焼し
てガス化する1次燃焼領域が形成され、この1次燃焼領
域よりも上方空間に上記ガスをさらに燃焼する2次燃焼
領域が形成される流動床焼却炉の燃焼制御方法におい
て、上記焼却炉本体内の周方向に略等間隔で少なくとも
6つ設けられた噴射ノズルから、上記2次燃焼領域の中
心方向に向けて、少なくとも300oCに予熱された補
助燃焼空気を少なくとも50m/sの噴射速度で噴射す
ることを特徴とする流動床焼却炉の燃焼制御方法として
構成されている。
【0014】このような方法によれば、上記従来例のよ
うに焼却炉本体内で旋回流を生じさせることなく、この
焼却炉本体内の周方向に所定間隔で少なくとも6つ設け
られた噴射ノズルから、上記2次燃焼領域の中心方向に
向けて、少なくとも300oCに予熱された補助燃焼空
気を少なくとも50m/sの噴射速度で噴射するという
複雑さを伴わない手法が採用されるので、上記噴射ノズ
ルからの噴射流の直進性が常に安定して確保される。こ
れにより噴射流がフリーボード中央部で互いに確実に衝
突させられ、フリーボード中央部の圧力が高められて、
この高圧部分で上昇ガスの一部が跳ね返されて下方に向
かって逆流させられることにより、中央部のガス吹き抜
けが効果的に抑制され、良好な混合性を得ることができ
る。したがって、フリーボード内の燃焼温度が適正範囲
に維持されて、CO等の不完全燃焼ガスの発生が効果的
に抑制される。このようにして、フリーボードへの適切
な補助燃焼空気供給により、CO等の排出量を効果的に
抑制することができる。
【0015】また、第2の発明は、焼却炉本体の底部に
被焼却物を燃焼してガス化する1次燃焼領域が形成さ
れ、この1次燃焼領域よりも上方空間に上記ガスをさら
に燃焼する2次燃焼領域が形成される流動床焼却炉の燃
焼制御装置において、2次燃焼用の補助燃焼空気を少な
くとも300oCに予熱する予熱手段と、この予熱され
た補助燃焼空気を上記焼却炉本体内の周方向に略等間隔
で少なくとも6つ設けられた噴射ノズルから上記2次燃
焼領域の中心方向に向けて噴射する噴射手段と、この噴
射する補助燃焼空気を少なくとも50m/sの噴射速度
となるように調整する調整手段とを具備してなることを
特徴とする流動床焼却炉の燃焼制御装置として構成され
ている。
【0016】このような装置により、上記第1の発明方
法を具現化することができる。また、このような装置で
は、従来例のように3段構成で補助燃焼空気を噴射しな
いので、噴射ノズルの構成が比較的簡単なものとなり、
炉本体の高さが低い焼却炉にも適用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の一実施形態につき説明し、本発明の理解に供する。
尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であっ
て、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではな
い。
【0018】図1は本発明の一実施形態に係る流動床焼
却炉の構成を示す縦断面図、図2はそのA−A断面図で
ある。なお、上記図6に示した従来の流動床焼却炉の一
例における縦断面図と共通する要素には同一符号を使用
した。
【0019】本実施形態に係る流動床焼却炉の燃焼制御
方法(以下、本方法という。)は、図1に示すようにし
て行われるが、以下の点は従来例と同様である。すなわ
ち、焼却炉本体の底部に被焼却物供給口1から供給され
た被焼却物を燃焼してガス化する流動層(1次燃焼領域
に相当)2が形成され、この流動層2よりも上方の焼却
炉本体内空間に上記ガスをさらに燃焼するフリーボード
3(2次燃焼領域に相当)が形成される流動床焼却炉の
燃焼制御方法である。これに対し、本方法の要点とする
ところは、上記焼却炉本体内の周方向に略等間隔で少な
くとも6つ設けられた単段の二次空気ノズル(噴射ノズ
ルに相当)17,17,…から、上記フリーボード3の
中心方向に向けて、少なくとも300oCに予熱された
二次空気(補助燃焼空気に相当)を少なくとも50m/
sの噴射速度で噴射する点である。本方法は、例えば以
下のような装置構成によって具現化される。
【0020】図1に示すように、本流動床焼却炉は、上
記したような被焼却物供給口1,流動層2,フリーボー
ド3,二次空気ノズル17,17,…等からなってお
り、例えば流動層2に風箱4からノズル5を介して流動
・燃焼用空気である一次空気を吹き込んで、流動層2を
構成する砂等の流動媒体を流動させ、流動媒体の流動と
その優れた伝熱特性とを利用して被焼却物を解砕・ガス
化するとともに、発生したガスをフリーボード3で二次
空気と混合・燃焼させて排ガス出口6から排出するよう
になっている。
【0021】このうち、風箱4には、一次空気を供給す
る一次空気供給管7が連通している。風箱4の上部に形
成された流動層2には、重油等の補助燃料供給管9が連
通され、該供給管9には補助燃料の供給量を制御する補
助燃料調節弁8が介装される。流動層2の上部に形成さ
れたフリーボード3には、二次空気供給管11が連通さ
れ、二次空気量を制御する二次空気流量調節弁10が介
装される。流動層2において解砕・ガス化された被焼却
物をここで燃焼させるようになっている。フリーボード
3の上部において開口された排ガス出口6には、排ガス
を炉外へ排出するための排ガスダクト12が連通してい
る。
【0022】排ガスダクト12から排出される排ガス
は、空気供給ダクト13に入り、風箱4とフリーボード
3に供給される燃焼用空気(一次空気および二次空気)
を加熱する空気余熱器(予熱手段に相当)14を経由
し、さらに図外の集塵装置等を経由して煙突から大気中
に放出させるようになっている。空気予熱器14は、例
えば排ガスダクト12に介装された二重管式の熱交換器
である。
【0023】また、風箱4に連通する一次空気供給管7
とフリーボード3に連通する二次空気供給管11には、
燃焼空気量調節弁15とブロワ16が介装された空気供
給ダクト13から燃焼用空気が供給されるようになって
いる。
【0024】本流動床焼却炉では、この二次空気とし
て、上記したような空気余熱器14等により少なくとも
300oCに予熱した空気を用いる。ここで、二次空気
の予熱温度を少なくとも300oCとしているのは、こ
れ以下の温度では、二次空気の温度が低いため、下水汚
泥等の被燃焼物では、流動層2にて発生するガスの発熱
量が低いことと相俟って、フリーボード3の温度低下を
引き起こすことがあるから、これを防止するためでもあ
る。より好ましくは300〜800oCである。
【0025】したがって、少なくとも300oCの高温
空気を用いることにより、フリーボード3の温度低下を
防止することが可能となる。さらに、このような高温空
気を用いることにより、空気の膨張によって吹き込み流
速を上昇させ、炉内ガスの混合能力を高めることも可能
となる。二次空気の上限温度は、上記空気予熱器14を
使用すれば排ガス温度よりも熱交換時の熱損失分だけ低
い温度まで予熱することができるが、ここでは二次空気
は一次空気とともに燃焼用空気として予熱されるため、
一次空気の温度制限に従う必要がある。すなわち、流動
層2内での被焼却物の燃焼率増加によるNOx発生防止
等の観点から、一次空気は800oC以下とするのが望
ましく、よって二次空気の温度もこれ以下とするのが望
ましい。なお、二次空気を一次空気と分離すれば、この
ような温度制限はなくなる。
【0026】ここで、本流動床焼却炉の制御装置は、図
1に示すように、フリーボード3に対し、本発明の特徴
となる1段構成で6本の二次空気ノズル(噴射手段の噴
射穴に相当)17,17,…を備えている。各二次空気
ノズル17,17,…は、空気調整弁(調整手段に相
当)18,18,…と空気供給量検出用の図示しないオ
リフィスを介して二次空気供給管11からの分岐管にそ
れぞれ連通されている。二次空気ノズル17,17,…
による二次空気の供給方向は、図2に示すように、いず
れも例えば円筒状であるフリーボード3の径方向と同一
の方向となるように設定されている。
【0027】本流動床焼却炉の制御装置の動作は以下の
通りである。
【0028】本流動床焼却炉において、流動層2上に被
焼却物の一例であるごみが投入されると、このごみが燃
焼、ガス化し、上方のフリーボード3へ上昇する。フリ
ーボード3内では、二次空気ノズル17,17,…から
それぞれ2次燃焼領域の中心方向に向かって少なくとも
50m/sの噴射速度で二次空気が噴射される。この噴
射速度の調整は、空気調整弁18,18,…と上記オリ
フィスとの組み合わせによる自動的なバランス調整によ
って行われる。
【0029】ただし、この空気調整弁18,18,…を
二次空気ノズル17,17,…に対応させて設けること
は必ずしも必要ではなく、例えば二次空気流量調節弁1
0で二次空気全体の量の調整を行うとともに、各分岐管
に流量調整用のオリフィスプレート等を挿入して比較的
ラフな流量バランスを行うこととしてもよい。そのよう
にして装置自体のコストダウンを図ることも可能であ
る。
【0030】図3は本流動床焼却炉(実炉)による実験
結果を示す。図の横軸は、運転条件であり、縦軸は、運
転条件が単段燃焼時の炉出口CO濃度を基準とした炉出
口無次元CO濃度であり、運転条件が2段燃焼時の炉出
口CO濃度に与える効果を示している。
【0031】ここで、2段燃焼とは、本流動床焼却炉に
おけるように、燃焼用空気を一次空気と二次空気に分け
て焼却炉に供給する燃焼方法であり、これに対し、単段
燃焼とは、燃焼用空気として一次空気のみを焼却炉に供
給する燃焼方法である。本流動床焼却炉の二次空気を完
全に遮断すれば上記単段燃焼を実現できる。そもそも本
流動床焼却炉で2段燃焼を行う理由は、流動床2に供給
する燃焼用空気を減少させることにより、流動床2での
燃焼割合を抑える一方、二次空気を吹き込むフリーボー
ド3での燃焼割合を増加させることにより補助燃料の供
給量を増加させることなくフリーボード3を高温化し、
CO等の燃焼を促進させるためである。また、フリーボ
ード3へ二次空気を吹き込むことによって、炉内のガス
の混合性を向上させることにより一層の燃焼促進を図る
ためでもある。ここで供給した燃焼用空気は、上述した
ような空気予熱器14により約300oCに予熱したも
のである。図より、2段燃焼時では、単段燃焼時に比べ
て炉出口CO濃度が約0.65倍となり大幅に低下して
おり、この炉出口CO濃度が二次空気供給方法の有効性
を判断する因子(有効因子)として利用できることが分
かる。
【0032】図4,図5には、上記実験結果に基づく流
動解析によって明らかになった二次空気供給方法の有効
因子となる炉出口CO濃度に与える影響を示している。
図4は、流動解析の結果に基づく、フリーボード5に1
段構成で6本の二次空気供給ノズル17,17,…を設
置した場合であって、二次空気流速を変化させたときの
炉出口のCO濃度の変化を示している。図の横軸には、
二次空気流速をとり、縦軸には、二次空気流速が30m
/sのときの炉出口CO濃度を基準として無次元化した
CO濃度をとっている。
【0033】このように二次空気流速が30m/sのと
きの炉出口CO濃度を基準としたのは、この程度以下の
二次空気流速では2段燃焼の効果が現れず、単段燃焼と
ほとんど同等の効果しか現れないことが分かっているか
らである。これは、二次空気流速が30m/s以下であ
れば、フリーボード3内での二次空気の直進性が確保さ
れず、上記二次空気ノズル17,17,…からの噴射流
が、フリーボード3の中央部で互いに衝突しないため、
中央部のガス吹き抜けが生じて混合性を低下させること
によるものと考えられる。この場合、フリーボード3内
の燃焼温度が適正範囲に維持されないため、CO等の不
完全燃焼ガスの発生が多くなる。
【0034】これに対し、図の横軸方向で右側に向かっ
て二次空気流速が30m/sよりも徐々に大きくなるよ
うにしていけば、フリーボード3内での二次空気の直進
性が増加する。これにより上記二次空気ノズル17,1
7,…からの噴射流が、フリーボード3の中央部で互い
に衝突するようになって、中央部の圧力が徐々に高めら
れ、この高圧部分で上昇ガスの一部が跳ね返されて下方
に向かって逆流させられることにより、ガス吹き抜けが
効果的に抑制され、良好な混合性が得られるようになる
と考えられる。この場合、フリーボード3内の燃焼温度
が適正範囲に維持されて、CO等の不完全燃焼ガスの発
生が少なくなる。
【0035】このような2段燃焼としての効果を発揮さ
せるためには、上記図3の実験結果に合わせて、図4中
において、二次空気流速が30m/sであるときの炉出
口CO濃度の約0.65倍となる流速をとり、二次空気
流速が少なくとも50m/sであることとすればよいこ
とが分かる。
【0036】なお、この二次空気流速は、図4中では、
約120m/sまでしか計算されていないが、図より明
らかなように、この程度の流速では炉出口CO濃度は、
0.15倍と非常に小さくなり、これ以上の流速を与え
てもその濃度降下がほとんど期待できない。よって、約
120m/sが二次空気流速の現実的な上限値であると
考えられる。
【0037】図5には、流動解析の結果に基づくもので
あって、フリーボード3に1段構成で二次空気流速が8
0m/s以上の二次空気ノズル17,17,…を設置し
た場合を示す。二次空気ノズル17,17,…の本数を
増加させたときの炉出口CO濃度の変化が示されてい
る。図の横軸には、二次空気ノズル本数をとり、縦軸に
は、二次空気ノズル本数が4本のときの炉出口CO濃度
を基準として無次元化したCO濃度をとっている。この
ように二次空気ノズル本数が4本のときの炉出口CO濃
度を基準としたのは、この程度の本数以下では2段燃焼
の効果が現れず、単段燃焼とほとんど同等の効果しか現
れないことが分かっているからである。
【0038】これは、二次空気ノズル本数が4本以下で
あれば、フリーボード3内の二次空気噴流の間の空間が
広く流動床2からの吹き抜けが生じるとともに、上記二
次空気ノズル17,17,…からの噴射流が、フリーボ
ード3の中央部で互いに衝突しないため、中央部のガス
吹き抜けが生じて混合性を低下させることによるものと
考えられる。この場合、フリーボード3内の未燃焼ガス
の吹き抜けによってCO等の不完全燃焼ガスの発生が多
くなる。
【0039】これに対し、図の横軸方向の右側に向かっ
て二次空気ノズル本数が4本より2本づつ増やしていけ
ば、フリーボード3内での二次空気の直進性が増加す
る。これにより上記二次空気ノズル17,17,…から
の噴射流が、フリーボード3の中央部で互いに衝突する
ようになって、中央部の圧力が徐々に高められ、この高
圧部分で上昇ガスの一部が跳ね返されて下方に向かって
逆流させられることにより、ガス吹き抜けが効果的に抑
制され、良好な混合性が得られるようになると考えられ
る。この場合にも、フリーボード3内の燃焼温度が適正
範囲に維持されて、CO等の不完全燃焼ガスの発生が少
なくなる。
【0040】したがって、2段燃焼としての効果を発揮
させるためには、二次空気ノズル本数が4本であるとき
の炉出口CO濃度の約0.65倍となる本数をとって、
二次空気ノズル本数が少なくとも5本であることとすれ
ばよいと考えられる。ただし、二次空気ノズル本数が奇
数の場合には、上記二次空気ノズル17,17,…から
の噴射流の方向が互いに食い違って、フリーボード3の
中央部で互いに衝突しにくくなるので、このことを考慮
すれば、二次空気ノズル本数は少なくとも6本であるこ
とが望ましい。ただし、二次空気ノズル本数が多くなれ
ば、上記二次空気ノズル17,17,…からの噴射流の
方向が多少食い違っても、その噴出流の拡散効果により
フリーボード3の中央部で互いに衝突しやすくなるの
で、そのような場合には二次空気ノズル本数は奇数であ
ってもよいと考えられる。
【0041】なお、この二次空気ノズル本数について
は、図5中では、10本までの場合しか実験されていな
いが、図より明らかなように、すでに8本の場合で炉出
口CO濃度は、0.3倍と非常に小さくなり、さらに1
0本としてもその濃度はほとんど降下していない。よっ
て、8本が二次空気ノズル本数の現実的な上限値である
と考えられる。
【0042】このように、図5,図6より、流動層2で
の燃焼状態が同一の場合であって、同一のフリーボード
3でのガス滞留時間を持つ形状である場合、二次空気ノ
ズル段数を1段とすると、二次空気ノズル流速を少なく
とも50m/s、二次空気ノズル本数を少なくとも6本
とすることが炉出口CO濃度の低減に有効であることが
分かった。
【0043】以上の通り、本実施形態によれば、従来例
のように旋回流を生じさせることなく、焼却炉本体内の
周方向に略等間隔で少なくとも6つ設けられた二次空気
ノズル17,17,…から、フリーボード3の中心方向
に向けて、少なくとも300 oCに予熱された二次空気
を少なくとも50m/sの噴射速度で噴射するという複
雑さを伴わない手法が採用されるので、上記二次空気ノ
ズル17,17,…からの噴射流の直進性が常に安定し
て確保される。これによりフリーボード3の中央部で互
いに衝突させられ、フリーボード3の中央部の圧力が高
められて、この高圧部分で上昇ガスの一部が跳ね返され
て下方に向かって逆流させられることにより、中央部の
ガス吹き抜けが効果的に抑制され、良好な混合性を得る
ことができる。したがって、フリーボード3内の燃焼温
度が適正範囲に維持されて、CO等の不完全燃焼ガスの
発生が効果的に抑制される。
【0044】このようにして、フリーボード3への適切
な二次空気供給により、CO等の排出量を効果的に抑制
することができる。すなわち、流動層2での不完全燃焼
ガス発生量分布の変動にかかわらず、フリーボード3で
の二次空気と不完全燃焼ガスとの混合が促進され、これ
により、CO等の発生を抑制することができる。また、
2段燃焼効果によりNOxの発生をも抑制することがで
きるものと考えられる。
【0045】さらに、このような装置構成では、従来例
のように3段構成で補助燃焼空気を噴射しないので、噴
射部の構成が比較的簡単なものとなり、炉本体の高さが
低いものにも適用できる。
【0046】その結果、簡単な構成で、しかも炉本体を
特段に高くすることなく少量の二次空気供給量でもCO
等の不完全燃焼ガスの排出量を効果的に抑制することが
できる流動床焼却炉の燃焼制御方法及び装置を得ること
ができた。
【0047】なお、上記実施形態では、フリーボード3
は円筒状のものを例示したが、筺体構造は何でもよく、
二次空気が2次燃焼領域の中心方向に向かうようにすれ
ば、例えば四角柱状のものであってもよい。また、上記
実施形態では、二次空気ノズルを1段構成であるとした
が、これは最低限1段で済むことを例示したものであっ
て、同一構成のノズルを複数段としてもよい。ただし、
その場合には、炉本体の高さは従来例と同程度必要とな
る。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明によれ
ば、従来例のように焼却炉本体内で旋回流を生じさせる
ことなく、この焼却炉本体内の周方向に略等間隔で少な
くとも6つ設けられた噴射ノズルから、上記2次燃焼領
域の中心方向に向けて、少なくとも300oCに予熱さ
れた補助燃焼空気を少なくとも50m/sの噴射速度で
噴射する、という複雑さを伴わない手法が採用されるの
で、上記噴射ノズルからの噴射流の直進性が常に安定し
て確保される。これにより噴射流がフリーボード中央部
で互いに確実に衝突させられ、フリーボード中央部の圧
力が高められて、この高圧部分で上昇ガスの一部が跳ね
返されて下方に向かって逆流させられることにより、中
央部のガス吹き抜けが効果的に抑制され、良好な混合性
を得ることができる。したがって、フリーボード内の燃
焼温度が適正範囲に維持されて、CO等の不完全燃焼ガ
スの発生が効果的に抑制される。このようにして、フリ
ーボードへの適切な補助燃焼空気供給により、CO等の
排出量を効果的に抑制することができる。
【0049】また、第2の発明装置により、上記第1の
発明方法を具現化することができる。また、このような
装置では、従来例のように3段構成で補助燃焼空気を噴
射しないので、噴射ノズルの構成が比較的簡単なものと
なり、炉本体の高さが低い焼却炉にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る流動床焼却炉の構成
を示す縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】実炉による実験結果の説明図である。
【図4】流動解析による二次空気供給方法の有効因子に
よる炉出口CO濃度に与える影響を示す説明図である。
【図5】流動解析による二次空気供給方法の有効因子に
よる炉出口CO濃度に与える影響を示す説明図である。
【図6】従来の流動床焼却炉の一構成例における縦断面
図である。
【図7】図6におけるB−B断面図である。
【図8】図6におけるC−C断面図である。
【図9】図6におけるD−D断面図である。
【符号の説明】
1 被焼却物供給口 2 流動層 3 フリーボード 4 風箱 5 ノズル 6 排ガス出口 14 空気予熱器(予熱手段に相当) 17,17,… 二次空気ノズル(噴射ノズル,噴射手
段に相当) 18,18,… 空気調整弁(調整手段に相当)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F23G 7/00 104 F23G 7/00 104A Fターム(参考) 3K061 AA11 AB01 AC01 AC02 BA02 BA07 BA08 DB15 3K062 AA11 AB01 AC01 AC02 BB01 BB02 DA01 DA40 DB08 DB12 DB30 3K078 AA02 AA07 AA08 BA03 CA03 CA12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼却炉本体の底部に被焼却物を燃焼して
    ガス化する1次燃焼領域が形成され、この1次燃焼領域
    よりも上方空間に上記ガスをさらに燃焼する2次燃焼領
    域が形成される流動床焼却炉の燃焼制御方法において、 上記焼却炉本体内の周方向に略等間隔で少なくとも6つ
    設けられた噴射ノズルから、上記2次燃焼領域の中心方
    向に向けて、少なくとも300oCに予熱された補助燃
    焼空気を少なくとも50m/sの噴射速度で噴射するこ
    とを特徴とする流動床焼却炉の燃焼制御方法。
  2. 【請求項2】 焼却炉本体の底部に被焼却物を燃焼して
    ガス化する1次燃焼領域が形成され、この1次燃焼領域
    よりも上方空間に上記ガスをさらに燃焼する2次燃焼領
    域が形成される流動床焼却炉の燃焼制御装置において、 2次燃焼用の補助燃焼空気を少なくとも300oCに予
    熱する予熱手段と、この予熱された補助燃焼空気を上記
    焼却炉本体内の周方向に略等間隔で少なくとも6つ設け
    られた噴射ノズルから上記2次燃焼領域の中心方向に向
    けて噴射する噴射手段と、この噴射する補助燃焼空気を
    少なくとも50m/sの噴射速度となるように調整する
    調整手段とを具備してなることを特徴とする流動床焼却
    炉の燃焼制御装置。
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