JPS5920898B2 - トラクタ−等における走行動力伝達装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、油圧クラッチ式変速装置を設けである、ト
ラクター等における走行効力伝達装置１こ関し、この種
トラクター等においてエンジン・ストップが生じた場合
に対処する新規な方策を施した走行動力伝達装置を提供
するものである。

すなわち、この種トラクター等の走行中にエンジン・ス
トップを生じた場合ｔこは、該エンジンにより１駆動さ
れる油ポンプ１こて作動油を供給される、油圧クラッチ
式変速装置における油圧クラッチからの油抜けが生じる
から、該油圧クラッチ部分で走行動力の伝達径路が遮断
されるが、このような状態がトラクター等の登下坂時と
か或は農用トラクターにおいてよく行なわれるように圃
場間での移動時におけるトラクター等の傾斜路に沿って
のトラック等への積込み時に生じると、トラクター等の
傾斜下方向きの暴走が起り得て危険であるといった事実
ｔこ鑑み、この発明は、上記のようなエンジン・ストッ
プの場合にエンジンの引きかけ或は押しがけを容易に可
能ならしめる、トラクター等における新規な走行動力伝
達装置を提供しようとするものである。

図示の実施例１こついて、この発明１こ係るトラクター
等における走行動力伝達装置の構成を説明すると、第１
図に示すように、前後ｔこ左右１対宛の車輪１，２を配
し、機体上の座席３に操縦者が座乗して操縦バンドル４
により前輪１を回動操作しトラクターの操向を行なうと
共に、機体最前部のエンジン５により後輪２を回転駆動
させてトラクターの走行を行なわせ、またこのトラクタ
ーｌこ連結される作業機を、油圧リフト機構６により昇
降させると共ｌこＰＴＯ軸７１こより駆動するようにさ
れたトラクター１こおいて、その走行動力の伝達機構は
、第２図に示すように、エンジン５１こ主クラッチ８を
介して連動連結された駆動軸９とこの駆動軸９に平行さ
せて設けられた被動軸１０との間に配設された油圧クラ
ッチ式変速装置１１と、駆動軸９の延長部９ａ上の一連
の遊転歯車１２ａ−１２ｆであって被動軸１０より入力
される遊転歯車１２ａ−１２ｆ及び被動軸１０延長線上
の中間軸１３上にスプライン嵌合されたシフト歯車１４
ａ−１４ｃ並びに被動軸１０と中間軸１３間１こ配され
た噛合いクラッチ１５より構成された機械式変速装置１
６とを、含むものに構成されており、上記の油圧クラッ
チ式変速装置１１は、駆動軸９１こ嵌着されたＦ１歯車
１７と被動軸１０に遊嵌されこのＦ１歯車１７と噛合わ
されたＦ１歯車１８との組合せから成るＦ１変速歯車ユ
ニットと、駆動軸９に嵌着されたＦ２歯車１９と被動軸
１０１こ遊嵌されたこのＦ２歯車１９に噛合されたＦ２
歯車２０との組合せから成るＦ２変速歯車ユニットと、
駆動軸９に嵌着されたＦ３歯車２１と被動軸１０に遊嵌
されこのＦ３歯車２１１こ噛合されたＦ３歯車２２との
組合せから成るＦ３変速歯車ユニットと、駆動軸９に嵌
着されたＲ歯車２３と遊転自在に支持されこのＲ歯車２
３と噛合されたＲ中間歯車２４と被動軸１０に遊嵌され
このＲ中間歯車２４に噛合わされたＲ歯車２５との組合
せから成るＲ変速歯車ユニットとの４組の変速歯車ユニ
ットを備えたものに構成されており、被動軸１０に遊嵌
された上記のＦｌ、Ｆ２．Ｆ３及びＲ歯車１８．２０，
２２及び２５にはそれぞれ、Ｆｌ。

Ｆ２ 、Ｆ３及びＲ油圧クラッチ２６，２７，２８及び
２９を配設してあって、これらの油圧クラッチ２６−２
９の何れか−を選択的に嵌入させることにより、その油
圧クラッチ２６，２７，２８または２９が属する何れか
−の遊転歯車１ Ｂ、２０゜２２または２５を被動軸１
０に結合し、もって駆動軸９と被動軸１０間を倒れかの
変速歯車ユニットによる減速比でもって連動連結して、
変速を得るように構成されており、上記した各油圧クラ
ッチ２６−２９は、第３図にＦ３油圧クラッチ２８につ
いて示すように、被動軸１０に嵌着して設けられたクラ
ッチハウジング３０と、このクラッチハウジング３０内
に油密に嵌合されバネ３１によリフラッチ離脱方向に摺
動附勢されたピストン３２と、クラッチハウジング３０
に摺動のみ自在に支持させた一組の摩擦板３３と、被動
軸１０上の遊転歯車２２にそのハブ部分で摺動のみ自在
に支持させた他の一組の摩擦板３４等を備えた多板式の
ものに構成されていて、被動軸１０に形成せる油路（図
示せず）とクラッチハウジング３０に形成せる油路３５
を介しピストン３２背後の油室３６に圧油を供給すると
きは、ピストン３２の前進１こより摩擦板３３．３４が
圧接せしめられてクラッチが嵌入し、遊転歯車２２が被
動軸１０に結合されるものであるが、図示の走行動力伝
達機構中には、この発明に従って、上記したような油圧
クラッチ式変速装置１１を迂回する、次のような動力伝
達径路を設けである。

すなわち、この動力伝達経路は、図示の場合には、駆動
軸９と被動軸１０間に配設された油圧クラッチ式変速装
置１１を迂回して該駆動軸９と被動軸１０間１こ配され
ており、次のような構成のものとされているのである。

すなわち、第３図に示すようｌこ、被動軸１０には歯車
３７を嵌着して設けてあり、また駆動軸９上の前記Ｆ３
歯車２１は特１こ、該駆動軸９に相対回転不能ではある
が摺動自在であるようにスプライン嵌合されており、こ
のＦ３歯車２１には図示されていないシフトフォークの
嵌合溝３８を一体的に形成してあって、この嵌合溝３８
に嵌合されるシフトフォークの操作でＦ３歯車２１を図
示の位置から図上で右方に摺動変位させて歯車３７に噛
合わずときは、油圧クラッチ式変速装置１１を迂回して
駆動軸９と被動軸１０間が歯車２１．３７の噛合せ１こ
て連動連結されるように、なされているのである。

つまり駆動軸９とＦ３歯車２１と歯車３７と被動軸１０
との組合せから成る迂回動力伝達経路が形成されていて
、この動力伝達経路にはＦ３歯車２１と歯車３７とから
成るクラッチが挿入されているのである。

そして、第４図に示すように、油タンク３９から油ポン
プ４０と切換弁４１を経て油圧クラッチ式変速装置１１
の前記油圧クラッチ２６−２９に至る給油回路４２には
、アンローディングバルブ４３を挿入されたタンク回路
４４を接続してあって、該アンローディングバルブ４３
の操作レバー４３ａを、Ｆ３歯車２１シフト操作用の操
作レバ−と共通させ、Ｆ３歯車２１を歯車３７との噛合
い位置に変位操作すると、アンローディングバルブ４３
が、タンク回路４４をブロックする図示の中立位置■か
ら給油回路４２よりの作動油ドレーンが行なわれる作用
位置■へと切換えられ、これにより油圧クラッチ式変速
装置１１が如何なる作用状態下１こあっても、該油圧ク
ラッチ式変速装置１１の油圧クラッチ２６−２９がアン
ローディングされるようになされている。

なお、前記した機械式変速装置１６は、シフト歯車１４
ａ−１４ｃの中間軸１３上での変位操作ｌどより、シフ
ト歯車１４ｃと遊転歯車１２ｅとの噛合せてＩ速（超低
速）を、シフト歯車１４ｃと遊転歯車１２ａとの噛合せ
で２速を、シフト歯車１４ｂと遊転歯車１２ｃとの噛合
せで３速を、シフト歯車１４ａと遊転歯車１２ｂとの噛
合せで４速を、噛合いクラッチ１５の嵌入で５速を、そ
れぞれ選択的に得ることができるものに構成されており
、また第２図において、４５は左右後輪２用の差動装置
、・４６は左右後輪２用の１対のブレーキ、４７．４８
は前記駆動軸９の延長線上に位置し該駆動軸９に連動連
結された中間軸、４９は中間軸４８とＰＴＯ軸７間に配
したＰＴＯ変速装置であり、さらに第４図において、５
０は給油回路４２の作動油圧を設定する調圧弁、５１は
潤滑油圧設定用の調圧弁、５２は被動軸１０内の油通路
を経て油圧クラッチ２６−２９の摩擦板３３．３４部へ
と導かれる潤滑油供給回路である。

この発明に係る走行動力伝達装置は、上記のように構成
されているから、倒れかの油圧クラッチ２６．２７，２
８或は２９を嵌入させて油圧クラッチ式変速装置１１を
作動させ車輪を走行させている状態で、エンジン５が停
止したときは、操作レバー４３ａによりＦ３歯車２１を
変位操作して歯車３７と噛合せてやれば、エンジン５停
止１こよる油ポンプ４０の駆動停止で油圧クラッチ式変
速装置１１の油圧クラッチから油抜けが生じて該変速装
置１１が非作動状態をとり該変速装置１１を介しての走
行動力伝達経路が遮断されるのに対し、歯車３７．２１
の噛合せで被動軸１０と駆動軸９間が連動連結されて、
油圧クラッチ式変速装置１１を迂回した動力伝達経路が
接続され、これにより車輪の傾斜地走行中であってエン
ジン・ストップ時に後輪車軸２ａ側からの駆動が行なわ
れるときは、この車軸２ａ側からの駆動がエンジン５１
こ伝達されることとなり、該エンジン５を極く容易に引
きかけし得ることとなるものである。

そしてエンジン５の再始動後には、歯車２１．３７間の
噛合せ操作に連動して油圧クラッチ２６−２９のアンロ
ーディングが行なわれていることから、油ポンプ４０の
駆動再開ｔこよっても油圧クラッチ２６−２９への給油
は行なわれず、このため・駆動軸９と被動軸１０間が油
圧クラッチ式変速装置１１ないしその何れか−の変速歯
車ユニットと歯車２１．３７との両者を介して連動連結
されるといった支障を生じないものであり、エンジン５
の再始動後にＦ３歯車２１を再び原位置に戻すことで、
完全な原状復帰が行なわれることとなる。

なお上記の場合において傾斜地での車輪の自動的な回転
により車輪が惰行するときは、上記のように歯車３７．
２１により被動軸１０と駆動軸９間が連動連結されてい
ることから、エンジンブレーキ作用が生じることとなる
。

以上の実施例は、油圧クラッチ式変速装置１１を迂回す
る動力伝達経路を構成する１歯車２１をして、油圧クラ
ッチ式変速装置１１中の１歯車を利用し、しかも該動力
伝達経路を断続するクラッチの１構成部材として該歯車
２１をそのまま利用した例であるが、このような構成に
代えて、例えば第５図に示すように、駆動軸９上に別の
シフト歯車６０を相対回転不能に設けて、このシフト歯
車６０と歯車３Ｔとから迂回動力伝達経路と該経路を断
続するクラッチを構成する等も可能であり、またクラッ
チとしては、上記のようなりラッチの他に、例えば第６
図に示すように、駆動軸９に遊嵌されて被動軸１０上の
歯車３７に常時噛合わされた遊転歯車６１に配設された
噛合いクラッチ６２であって、遊転歯車６１に形成され
た噛合爪６２ｂに付設された噛合爪６２ａを有する摺動
子を駆動軸９上で変位操作して噛合爪６２ ａ 、 ６
２部間の噛合いにより遊転歯車６１を駆動軸９に結合す
る噛合いクラッチ６２等とも、できるものである。

さらに、以上の実施例では、油圧クラッチ式変速装置１
１を迂回する動力伝達経路の断続を司どるクラッチと油
圧クラッチ式変速装置１１間を、前記のようなアンロー
ディングバルブ４３を設けて、クラッチが係合せしめら
れると油圧クラッチ式変速装置の油圧クラッチがアンロ
ーディングされるよう１こ、連動連結したが、このよう
に構成しなくとも、第４図に示す切換弁４１を一旦中立
位置Ｎに戻す操作を行なえば、油圧クラッチ２６−２９
がアンローディングされた関係となるから、エンジン５
の引きがけ１こ先立ち上記のクラッチの係合操作と切換
弁４１の中立復帰操作とを行なうものとして、クラッチ
操作による油圧クラッチアンローディング機構を省略で
きるものである。

以上の説明から明らかなように、この発明のトラクター
等における走行動力伝達装置は、第１番目の発明にあっ
ては、油圧クラッチ式変速装置を設けである、トラクタ
ー等ｔこおける走行動力伝達装置であって、前記油圧ク
ラッチ式変速装置を迂回する動力伝達経路を設けて、こ
の動力伝達経路に該経路を断続するクラッチであって人
為操作される操作手段により入断されるクラッチを、挿
入しであることを特徴とする構成のものであって、エン
ジン停止時に油圧クラッチ式変速装置部で遮断される走
行動力伝達経路を、上記クラッチを入れることにより上
記迂回径路にて接続し得るようにされているから、トラ
クター等の不測のエンジン・ストップ時とか、或は特定
季節にのみ使用される農用トラクターにおいてよくみら
れるような、非使用時における自己放電によるバッテリ
ー容量の低下時にも、極く容易にエンジン始動を、引き
かけにより可能ならしめると共に、エンジン・ストップ
が傾斜地で起きた場合にも上記クラッチを介しエンジン
と車輪（或はこれに代わるクローラ）とを接続すること
で、エンジンにブレーキ作用を行なわせて車輌の暴走を
防ぎつるものとなっている。

また第２番目の発明は、第１番目の発明の構成に加えて
、前記した油圧クラッチ式変速装置とクラッチ間が、ク
ラッチが入れられると油圧クラッチ式変速装置の油圧ク
ラッチがアンローディングされるように、連動連結しで
ある構成を備えたものとされているから、第１番目の発
明について前述した長所に加えて、エンジンの停止時に
前記クラッチを入れ引さがけ等でエンジンを再始動させ
たときに、前記クラッチを含む迂回径路と油圧クラッチ
式変速装置部分との両者で走行動力伝達径路の原動側と
従動側が接続されるといった不具合が自動的に避けられ
、前記クラッチを入れると同時に油圧クラッチ式変速装
置を切換弁操作により中立状態とするといった別操作を
不要とするといった長所を、備えている。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を装備したトラクターの概
略側明図、第２図は同トラクターの動力伝導系統図、第
３図は同実施例の縦断側面図、第４図は同実施例の油圧
回路図、第５図及び第６図はそれぞれ、他の実施例の模
式的機構図である。 ２・・・・・・後輪（駆動車輪）、５・・・・・・エン
ジン、９・・・・・・駆動軸、１０・・・・・・被動軸
、１１・・・・・・油圧クラッチ式変速装置、２１・・
・・・・Ｆ３歯車、３７・・・・・・歯車、４３・・・
・・・アンローディングバルブ、６０・・・・・・シフ
ト車、６１・・・・・・遊転歯車、６２・・・・・・噛
合いクラッチ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 油圧クラッチ式変速装置を設けである、トラクター
   等における走行動力伝達装置であって、前記油圧クラッ
   チ式変速装置を迂回する動力伝達径路を設けて、この動
   力伝達路１こ該径路を断続するクラッチであって人為操
   作される操作手段により入断されるクラッチを、挿入し
   であることを特徴とする走行動力伝達装置。 ２ 油圧クラッチ式変速装置を設けである、トラクター
   等における走行動力伝達装置であって、前記油圧クラッ
   チ式変速装置を迂回する動力伝達径路を設置−ｉで、こ
   の動力伝達径路に該径路を断続するクラッチであって人
   為操作される操作手段により入断されるクラッチを、挿
   入しであると共に、前記油圧クラッチ式変速装置と上記
   クラッチ間が、上記クラッチが入れられると前記油圧ク
   ラッチ式変速装置の油圧クラッチがアロン−ディングさ
   れるように、連動連結しであることを、特徴とする走行
   動力伝達装置。