JPS5920482B2 - 重荷重用コンビラジアルタイヤ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は重荷重用コンビラジアルタイヤに関するもの
である。

一般に重車両たとえば大型トラックやバスなど、高い輪
重負荷のもとに供用される重荷重用タイヤのうち、タイ
ヤの回転軸を含む平面すなわちラジアル面内またはこれ
に対して極く浅い角度のコード配列のプライからなるカ
ーカスをボディ補強とするいわゆるラジアルタイヤは、
該カーカスのクラウンのまわりに金属コードなかでもス
チールコードを、タイヤの周線に対して比較的浅い角度
に配列した複数層よりなるベルトを配置して、トレッド
部を剛強に補強するを通例とするが、上記のカーカスに
ついてもベルトと同じく金属コードとくにスチールコー
ドのｌプライを充当したいわゆるオールスチールラジア
ルタイヤ（以下Ａタイヤと略す）が在来の主流であり、
これに対して最近カーカスについてのみ有機繊維コード
の複数プライに置きかえた、いわゆるコンビラジアルタ
イヤ（以下Ｃタイヤと略す）も既知である。

上記のＡ、Ｃ両型式タイヤはそれぞれに長短相半ばし、
たとえばＣタイヤはＡタイヤに比し、重量、コストで有
利な反面、ビード部耐久性、すなわちカーカスの折返し
端部、とくにその折返し部のタイヤ軸方向の外方に配置
されるビード部補強層が、しばしば金属コード、実際上
はスチールコードを好んで用いるところからそのタイヤ
半径方向上方端部に、ゴムとのはく離、いわゆるセパレ
ーションがＡタイヤにおけるよりもはるかに発生し易く
、該端部に有機繊維コードの当布を施す従来の対策によ
ってはさほどの効果はなく、何れにしても上記ビード部
分におけるセパレーションは、修理不可能なので、この
種タイヤにとっては致命的な欠陥を呈し、それ故その普
及が阻まれて来たのである。

発明者らは、Ｃタイヤにおける上記のような弱点の有利
な解決を１指して検討を加え実験を重ねてこの発明に到
達した。

上記の検討は、Ａタイヤとの比較においてＣタイヤにつ
き、インフレート時および負荷時におけるピード部挙動
を、カーカスプライに生じる伸長型に関して調査して、
その結果に関し第１ａ図に示したカーカスの内面各位置
に対応させて第１ｂ図に歪分布を整頓したところから容
易に理解されるように、カーカスプライのコード伸びが
、Ａタイヤに対しＣタイヤでは、インフレート時にはも
ちろん、負荷時に極端に大きくなることの知見がとくに
重要であった。

図において１はビード部、２はビードコアー、３はカー
カス、３′はその折返し、４．４’はビードフィラーと
してのゴムストックであり、５はスチールコードを用い
たビード部補強層である。

ここにカーカス３のプライはＣタイヤについて図のごと
き３ａ 、３ｂの２プライともポリエステル繊維のコー
ドからなり、Ａタイヤは一般の慣用どおりスチールコー
ドの１プライとし、何れのタイヤともインナライナを除
去してカーカスの内面に直接抵抗線歪計を貼付して試験
に供した。

第１ｂ図において伸長型εの分布は内圧９Ｋｇ／ｃｒＡ
でのインフレート時ならびＫＪＩＳ荷重２００％負荷時
のそれぞれを、実線と破線とで区別してタイヤＡＫタイ
ヤＣを対比しである。

カーカスプライの内面各部における上記のようなコード
伸びの較差が、ビード部に及ぼす影響は、とくにＣタイ
ヤにおいて著大であり、これが上記したＣタイヤの弱点
たるビード部上バレージョンの一つの大きな原因をなす
ものと考えられたのであり、それというのは、ビード上
部において殊に著しいコード伸びが、ビード部補強層の
スチールコード上方端に隣接するゴムストック４，４′
の伸長を随伴すると予想されたからである。

この発想に基いてこの発明では、カーカスの下半域につ
いて次の強化策を講じることにした。

すなわちカーカス３の下半域で少くとも該カーカスの本
体のプライ間またはこれとゴムストックとの間に、該プ
ライのコードの弾性率に対し同等以上の弾性率を有する
コードを該プライのコードと実質上平行に配列した少く
とも一層のコード層からなり、カーカスの本体に沿う上
端がビードベースから測ったタイヤ高さの１５〜４５チ
に和尚する領域に延びる追加補強層を配置することであ
り、この追加補強層のコードによりカーカスに働く内圧
および荷重の負荷に対する応力を分担させるのである。

なおここにカーカスの本体とは、カーカスの折返しに対
し、ビードコアーを挾んで内側のカーカス部分を指すも
のとする。

第２ａ図に、第１ａ図に示したと同じくポリエステル繊
維コードよりなる二枚のプライ８ａ。

３ｂからなるカーカス３のビードコアー２のまわりに巻
返えした折返し３′に、スチールコードによるビード部
補強層５を添え、これら折返し３′とビード部補強層５
によりカーカス３０本体との間にゴムストック４，４′
を挾むビード部１につき、カーカス３の下半域でその本
体のプライ３ａ 、 ３ｂ間と、ゴムストック４，４′
との間に、カーカス３のプライ３ａ 、３ｂのコードと
平行に、芳香族ポリアミド繊維コードを配置Ｉルだ追加
補強層６ ａ ｙ６ｂを配置し、さらにゴムストック４
′と隣接する方の追加補強層６ｂのタイヤ半径方向上端
部には、クッションゴム７を当ててカーカス３の本体か
られずかに離隔させたＣタイヤにつき第１ｂ図につきの
べたところと同様なカーカス３の本体内面のカーカスプ
ライに生じる伸長型の分布を第２ｂ図に示した。

第２ｂ図の結果は、第１ｂ図により説明をしたＡタイヤ
の歪分布とほぼ同様ということができる程に酷似してカ
ーカスが有機繊維コードよりなるにも拘らず、そのカー
カスのコード伸びはタイヤのインフレート時にはもとよ
り、荷重の負荷の際にも目ざましく著滅する。

事実においてこのようにして有機繊維コードのプライか
らなる２層構造カーカスの下半域を、上記追加補強層６
ａ 、６ｂにより強化したＣタイヤでは、ゴムストック
４，４′がカーカス３の伸長型に随伴してタイヤの半径
方向に引きのばされることがなく、こうしてビード部補
強層５のタイヤ半径方向上端部に従来多発したビード部
セパレーシヨンが殆ど皆無になった。

ここにカーカスの下半域でプライコードの伸長型の抑制
に寄与すべき追加補強層のコードは、その弾性率がカー
カスプライに用いる有機繊維コードのそれに対して同等
以上とすることが必要で、ここに例えばポリエステル繊
維に対しては、ケブラーすなわち芳香族ポリアミド繊維
が最も有利に適合する。

この追加補強層のカーカスの本体に沿う配置はあまり高
すぎるとカーカス３の曲げ抵抗を増すほか、インフレー
トの際におけるカーカス３の各部での張力負担率に問題
を生じるので、ビードベースすなわちビード部１の断面
上で内周面輪郭を延長した直線と、同じくビード部１の
外側面輪郭を延長した直線との交点を通るタイヤの回転
軸と平行な直線から測った該補強層のビード部内側にお
ける上端の垂直高さｈが、同様にトレッド部のトップま
でを測ったタイヤ高さＨに対して４５係に相当するまで
とし、一方、高さｈの下限は同じくＨに対し１５チとし
、これより低いとき、追加補強層とし役立たない。

なお追加補強層６ａ、６ｂの下端は、カーカスの折返し
に沿ってビードコアー２のまわりに巻きつけ、あるいは
ビードコアー２の下部で固定する。

この発明のＣタイヤは、重荷重用に限られ、それ故にト
レッド部が金属コードとくにスチールコードによる二層
以上のベルトをカーカスクラウンのまわりに配置するこ
とが前提をなし、このカーカスとくに有機繊維コードの
プライを少くとも二層適用する、ベルト−カーカスの組
合わせになる。

この有機繊維コードは、上側のようにポリエステル繊維
よりなるものを代表例とするが、もちろん同効資材の適
用を妨げるわけではない。

カーカスの折返しに添えて配置することにより、ビード
部の強化に寄与すべきビード部補強層は、在来の慣用に
従い金属コードとくにスチールコードを、カーカスのコ
ード配列と交差する向きで、該折返し高さをやや越える
高さにわたらせるが、その内方端はビードコアー２のほ
ぼ中心に固定す、ればよく、ときにはとのビード部補強
層を外側から包囲するような有機繊維コードからなる当
て布の配置を加えてもよい。

実施例 １ サイズ１０．０ＯＲ２０であられされる供試タイヤのビ
ード部構造として第２ａ図に示す構成を適用した。

カーカス３のプライ３ａ 、３ｂは一般的なポリエステ
ルコードの１５００ｄ／２／３としたものを実質上ラジ
アル面内に配置し同時折り返し構造とした。

この折り返しのタイヤ軸方向外側には慣例に従い金属コ
ードよりなるビード部補強層５を一層配置し、そのコー
ド角度は前記折り返しにおけるプライコードと６０°で
交差する配列とし、またカーカス３の本体とその折り返
し３′との間にはゴムストック４，４′を配置した。

次に芳香族ポリアミドのコードとして１５００ ｄ／３
のものを追加補強層６ａ 、６ｂに用いカーカス３０本
体のプライ３ａ 、３ｂ間に一層、さらにゴムストック
４゜４′との間に一層を配置した。

追加補強層６ａ 、 ６ｂのコードはカーカスのプライ
コードと平行にし、その半径方向外方端はタイヤ高さＨ
に対し６ａは３０チ、６ｂは２５チに相当する高さｈと
し、半径方向内方端は実質上ビードコアー２のまわりに
巻きつけた。

ここに追加補強層６ａ 、６ｂの半径方向外方端のセパ
レーション防止のために、該追加補強層６ａ、６ｂをな
すコードの空隙率は０．３〜０．６カ好ましい。

またこのセパレーション防止を一層効果的にするように
該補強層のうち片側がプライに接して片側がステイフナ
−に接する６ｂについては、該追加補強層をプライから
離隔することが望ましい。

このためこの実施例では該追加補強層とプライの間に軟
ゴムをクッションゴム７として介在させた。

実施例 ２ タイヤサイズは実施例１と同じ供試タイヤにこの発明を
適用したビード部構造の別個を第３図に示した。

この例はビード部補強層５に加えて有機繊維コード布か
らなる２枚の当て布８ａ 、ｓｂを付加した構造であり
、その他の構成は追加補強層を含めて実施例１と同じで
ある。

従来技術に従う第１ａ図のＣタイヤを、この発明による
実施例１，２の各Ｃタイヤとサイズおよび基本構成を揃
えて室内ドラムテストによりビード部耐久試、験（速度
８０Ｋｍ／Ｈ，タイヤ内圧７ 、２５ Ｋｇ／ｃｒｙｓ
荷重２７００に９）にてビード部破壊迄の走行キロを調
査した結果、従来のＣタイヤを指数１００であられすと
実施例１および２はともに１３５まで大巾にビード部耐
久性が向上した。

以上述べたようにこの発明はビード部の適正な追加補強
層の配置により重荷重用コンビラジアルタイヤのビード
部耐久力を著しく向上したものである。

【図面の簡単な説明】

第１ａ図はＣタイヤの断面図、第１ｂ図はＣタイヤをＡ
タイヤと比較したカーカス内面の歪分布図、第２ａ図は
この発明によるＣタイヤの断面図、第２ｂ図はそのタイ
ヤのカーカス内面における歪分布図、第３図は別の実施
例の断面図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ タイヤの回転軸を含む平面内またはこれに対して極
   く浅い角度のコード配列で、ビードコアーのまわりに内
   から外へ該ビードコアー上のゴムストックを挾んで折返
   した少くとも二層の有機繊維コードのプライからなるカ
   ーカスをそなえ、このカーカスの折返しに沿ってそのコ
   ードと交差するコード配列とした少くとも一層のコード
   層からなるビード部補強層を有するラジアルタイヤにお
   いテ、上記ゴムストックに沿うカーカスの下半域で少く
   ともカーカスの本体のプライ間またはこれとゴムストッ
   クとの間に、該プライのコードの弾性率に対し同等以上
   の弾性率を有するコードを該プライのコードと実質上平
   行に配列した少くとも一層のコード層からなり、カーカ
   スの本体に沿う上端がビードベースから測ったタイヤ高
   さの１５〜４５％に相当する領域に延びる追加補強層を
   配置したことを特徴とする重荷重用コンビラジアルタイ
   ヤ。 ２ 追加補強層のコードが、有機繊維コード、就中芳香
   族ポリアミド繊維コードである１記載のタイヤ。 ３ カーカスの本体とゴムストックとの間に配置した追
   加補強層がその半径方向上端部でカーカスの本体との間
   を離隔するクッションゴムの保護をもつ１または２記載
   のタイヤ。