JP3611395B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重量の増加を招かずに、ベルト層エッジ部のセパレーションやタイヤ外周成長を抑制するようにした空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば、バスやトラック等に用いられる重荷重用空気入りラジアルタイヤでは、車両の積載量増大を低床化により達成するため、タイヤの偏平化が進んでいる。このように扁平化が進むと、ベルト層に対する負荷が増大し、高速走行時のベルト層エッジ部のせり上がり現象によるエッジセパレーションの発生や、タイヤの外周成長が起こりやすくなって、タイヤの耐久性が著しく低下する。
そこで、上記解決策として、例えば、従来よりもベルト層の層数を増加させ、周方向剛性を高める方法もあるが、それによって重量の増加を招くことになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重量の増大を招くことなく、ベルト層エッジ部のセパレーションやタイヤの外周成長の発生を抑制し、タイヤの高速耐久性を高めることができる空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明の他の目的は、ベルト層エッジ部の耐セパレーション性を一層高めることができる空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、トレッド部のカーカス層外側に補強コードを配列した複数のベルト層を設けた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカス層側に隣接する2層のベルト層の互いに交差する補強コードをベルト層の両エッジ部で折り返し、該補強コードを一方から他方のベルト層に延在する構成にし、前記2層のベルト層の外側に配置するベルト層の補強コードを引張弾性率300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントと熱収縮性有機繊維フィラメントとを引き揃えて加撚した下撚糸Aを複数本引き揃え、これら下撚糸Aの撚り方向と逆方向に上撚りを加えて形成した複合コードから構成すると共に、該複合コードをタイヤ周方向に対する配向角度を5°以下にして巻き付けた螺旋状構造にしたことを特徴とする。
【0005】
このように外側のベルト層の補強コードを上述のように構成した複合コードから構成し、それを上記の範囲でタイヤ周方向に配向することにより、該補強コードを加硫時のリフトに対して容易に追従させながら、加硫時のリフトによって形態的に引き伸ばされた後は伸びが小さくなるため、タイヤ周方向の剛性を大きくすることができ、それによって、高速走行時にタイヤ外周の成長を抑制することができると共に、ベルト層端部のせり上がり現象によるベルト層エッジ部のセパレーションの発生も抑えることができ、その結果、タイヤの高速耐久性の改善が可能になる。
【0006】
また、ベルト層の層数を増加することなく、従来配置されている外側のベルト層の構成を上記のようにするだけでよいため、タイヤ重量が増加することもない。
また更に、補強コードが交差する2層のベルト層において、その補強コードをベルト層エッジ部で折り返し、一方から他方のベルト層に延在する構成にして、補強コードの切断されたエッジがベルト層両端に存在しないようにしたため、そのエッジの存在に起因して発生するベルト層のエッジセパレーションを抑制することができ、ベルト層エッジ部の耐セパレーション性の一層の改善を図ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を示し、左右のビード部1には、それぞれ左右のサイドウォール部2が連なり、この左右のサイドウオール部2の外周部間に跨がるようにトレッド部3が形成されている。タイヤ内側には、カーカス層4が左右のビード部1間にタイヤ周方向に対する補強コードのコード角度が70°〜90°であるように1層装架され、その両端部4aが両ビード部1に配置されたビードコア5の周りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。また、トレッド部3におけるカーカス層4の外側には3層のベルト層6が配置されている。
【0008】
カーカス層4側に隣接する最内層の1番ベルト層6aとその外側の2番ベルト層6bの2層は、図2に示すように、補強コード7を互いに交差するように配置したクロスベルト層に構成され、補強コード7のタイヤ周方向に対して傾斜する配向角度が共に10〜30°の範囲になっている。
この1,2番ベルト層6a,6bは、交差する補強コード7がベルト層両エッジ部で折り返され、一方から他方及び他方から一方のベルト層に連続して延在するように構成され、図1に示すように、その左右のベルト層両端が互いに接続された一体構造に形成されている。そのため、補強コード7のエッジがベルト層両端に露出していないようになっている。
【0009】
この1,2番ベルト層6a,6bは、図3に示すように、複数本の補強コード7を引き揃えて未加硫ゴムに埋設したストリップ材aを螺旋状に連続して巻回した筒状体を形成し、これをその長手方向に沿って押しつぶして形成したベルト材Aを加硫前のグリーンタイヤ成形時にアセンブルして形成することができる。
図4は、上記ベルト材Aに芯材Bを挿入するようにしたものである。このように芯材Bを挿入し、1,2番ベルト層6a,6b間に芯材を介設する構成にすることにより、ベルト層の剛性を一層高めることができる。
【0010】
一方、2番ベルト層6bの外側に配置した最外側の3番ベルト層6cは、有機繊維フィラメントを複合した複合コードからなる補強コード8を有し、該補強コード8を図2に示すように、タイヤ周方向に対する傾斜を0°に近づけて巻き付けた、所謂0度ベルトの構造にしてある。この構造は、例えば、後述する構成からなる、1本の複合コードをベルト幅方向に任意の密度で連続周回して巻き付ける方法や、複数(2〜10)本の引き揃えられた複合コードに未加硫ゴムが含浸されたストリップ材をベルト幅方向に移動させながら連続周回して巻き付けることにより構成することができる。そのコード密度やベルト幅に応じて、複合コードは、タイヤ周方向に対する配向角度を5°以下にして巻き付けた螺旋状構造にすることができる。
【0011】
上記複合コード(補強コード8)は、図5及び図6(a),(b)に示すように、非熱収縮性の引張弾性率が300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントfhと熱収縮性有機繊維フィラメントfsとを引き揃えて加撚した下撚糸Aを複数本引き揃え、これら下撚糸Aの撚り方向と逆方向に上撚りを加えて形成した構成になっている。
【0012】
このように本発明は、外側のベルト層6cの補強コード8をタイヤ周方向に対して5°以下で配向するようにしたので、タイヤの周方向剛性を大幅に高めることができ、それによって、高速走行時におけるベルト層端部のせり上がり現象によるベルト層エッジ部のセパレーションの発生や、タイヤ外周の成長の抑制が可能になる。従って、タイヤの高速耐久性を向上することができる。
【0013】
しかも、補強コード8を上記のような複合コードから構成するため、加硫時のリフトに容易に追従させることができるので、それによってベルト層に乱れを発生させないため、タイヤのユニフォミティーが悪くなることもない。
上記複合コードは、予め、その複合コードに弛緩熱処理が施されるが、その処理により、高弾性率有機繊維フィラメントfhが熱収縮性有機繊維フィラメントfsの熱収縮と一体的に均一に縮むような挙動を行う。これに引張り荷重を負荷したときの伸びの挙動は、図7の「引張強さ−伸び曲線」に示す曲線のようになる。即ち、低荷重域では高い伸びを示し、高荷重域になると高弾性率繊維フィラメントの高い引張弾性率が作用して低い伸びを示すようになる。従って、上記複合コードは加硫時のリフトに容易に追従することができる一方、加硫時のリフトによって形態的に引き伸ばされた後は伸びが小さくなるため、これをタイヤ周方向に対して5°以下で配向することにより、タイヤ周方向の剛性を大きくすることができる。そのため、高速走行時のタイヤ外周成長やベルト層端部のせり上がりを抑制し、タイヤの高速耐久性の改善が可能になるのである。
【0014】
また、従来配置されている外側のベルト層6cを上記のように構成するだけでよく、ベルト層の層数を増加する必要がないため、タイヤ重量の増大を招くことがない。
また更に、補強コード7が交差するように積層して配された1,2番ベルト層6a,6bを、その補強コード7をベルト層エッジ部で折り返し他方のベルト層に延在するように構成し、補強コード7の切断エッジがベルト層両端に露出しない状態としたので、そのエッジの露出に起因して発生するベルト層のエッジセパレーションを抑制することができる。そのため、ベルト層エッジ部の耐セパレーション性を一層高めることができる。
【0015】
また、上記複合コードは、タイヤ加硫に設定されたリフト率に応じて個々に下撚り数や上撚り数を調整する必要がなく、弛緩熱処理調整でリフト率に容易に対応させることができるため、リフト率が異なるタイヤ毎に撚り構造を合わせなければならないという煩雑さがない。
上記複合コードに使用する高弾性率有機繊維フィラメントfhの引張弾性率が300g/d未満では、複合コードのタイヤ周方向の引張剛性が低下し、タイヤの高速耐久性の改善効果が不十分になる。300g/d以上の高弾性率繊維としては、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリーPーフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリ−p−フェニレンベンズビスチアゾール繊維、ポリイミド繊維等を好ましく使用することができる。
【0016】
上記1,2ベルト層6a,6bの補強コード7としては、引張弾性率3000kg/mm2以上、引張強度150kg/mm2以上の有機繊維から構成するのがタイヤ重量を軽減する上で好ましい。その有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリーPーフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維等を挙げることができ、それらから選ばれる繊維の1種または2種以上を撚り合わせた撚り糸を補強コードとして好ましく用いることができる。
【0017】
引張弾性率が3000kg/mm2未満では、ベルト剛性が不足し、ベルト部の成長性低下だけでなく、操縦性能も低下する。
引張強度が150kg/mm2未満であると、ベルト強度が不足し、タイヤ強度が低下する。
上記複合コードを構成する全熱収縮性有機繊維フィラメントの総デニール数としては、複合コードを構成する全高弾性率有機繊維フィラメントの総デニール数の50%以下にするのがよい。総デニール数が50%を越えると、弛緩熱処理した複合コードの加硫タイヤでの引張剛性が低下するため、タイヤの外周成長の抑制やベルト部耐久性の改善効果が低減する。好ましくは、35%以下、10%以上にするのがよい。10%未満では、弛緩熱処理による複合コードの収縮効果が少なく、加硫時のリフトに追従し難くなるため、加硫タイヤのベルト部のユニフォミティーが低下する。
【0018】
上記複合コードに加える上撚りは、下記式で表される撚り係数Kが500〜1900の範囲に設定するのがよい。
K=TD1/2
ただし、D:高弾性率繊維の総デニール数
T:複合コードの上撚り数(回/10cm)
撚り係数Kが500未満であると、コードの収束性が低下し、ゴムとの接着性が低下する。そのため、タイヤのベルト部の耐久性向上の効果も低減する。一方、1900を超えると、加硫タイヤでの複合コードの引張剛性が低下するため、ベルト部の耐久性向上の効果が低減する。
【0019】
高弾性率繊維フィラメントfhの総デニール数Dとしては、3000〜9000d、複合コードの上撚り数T(回/10cm)としては、上式に従うが、その範囲として5〜35にすることができる。
また、熱収縮性有機繊維フィラメントfsの150℃での乾熱収縮率としては、5%以上にするのがよい。熱収縮率が5%未満の場合は、弛緩熱処理を施しても複合コードを形態的に十分縮めることが困難で、加硫時のリフトが大きい場合にはリフトの追従性が低下する。好ましくは8%以上にするのがよい。8%以上であると広範囲なリフト率に容易に対応させることができる。
【0020】
上記熱収縮性有機繊維とは、熱によって収縮挙動を示す繊維であり、例えば、ポリエステル繊維、6ナイロン繊維、66ナイロン繊維、46ナイロン繊維等を好ましく使用することができる。これらのなかでも、熱収縮のし易さからポリエステル繊維が望ましい。なお、ここで「150℃での熱収縮率」は、JIS L1017に規定された測定方法に従って自由収縮させて測定したものである。
本発明では、図5に複合コードを構成する下撚糸Aを2本用いた例を示すが、それに限定されず、当然のことながらそれ以上用いることができる。好ましくは、生産性の観点からは図示のように2本がよい。上限値としては、3本以下が生産性や強力利用率の点からよい。
【0021】
上記下撚糸Aは、高弾性率有機繊維フィラメントfhと熱収縮性有機繊維フィラメントfsとが1本の糸束に引き揃えられ、その1本の糸束に撚(下撚)が加えられて形成されるが、その1本の下撚糸Aにおける高弾性率有機繊維フィラメントfhと熱収縮性有機繊維フィラメントfsとの配置状態は、図6(a)に示すように、それぞれのフィラメントfh,fsが束の単位で混ざっていてもよく、或いは、図6(b)に示すように、フィラメントfh,fsが互いにランダムに入り交じった混繊状態になったものでもよい。
【0022】
また、図6(c)に示すように、複合コードを構成する複数本の下撚糸のうち、1本を上述した下撚糸Aのように、高弾性率有機繊維フィラメントfhと熱収縮性有機繊維フィラメントfsとが混在するように構成し、残りの1本の下撚糸Bは、高弾性率有機繊維フィラメントfhだけの糸束が加撚されたものであってもよい。このように下撚糸A,Bを用いて複合コードを構成する場合、少なくとも1本の下撚糸Aと少なくとも1本の下撚糸Bとを1束に引き揃え、これに下撚糸A,Bの下撚り方向とは逆方向の上撚りを施して複合コードとすることができる。
【0023】
本発明では、上記実施形態において、各下撚糸A,Bに加える下撚りの撚り数は特に限定されるものではないが、好ましくは、上撚り数の50%〜150%の範囲内にすることが生産性の観点からよい。
また、上記実施形態では、ベルト層を3層設けた例を示したが、それに限定されず、それ以上配置したものであってもよく、少なくとも3層のベルト層を設けた空気入りタイヤであればよい。
【0024】
また、本発明では、上記のように複合コードを配列したベルト層6cを最外側に設けた場合、その外側に該ベルト層6cを保護するベルト保護層を配置するのが望ましい。このベルト保護層としては、スチールコードからなる補強コードをタイヤ周方向に対して18〜28°で傾斜させた構成のものを好ましく使用することができる。
【0025】
本発明は、ベルト層を3層以上設けた空気入りラジアルタイヤであれば、限定されるものではないが、特に、重荷重用空気入りラジアルタイヤ、更に、その内でも扁平率を70%以下にしたものに好適に用いることができる。
【0026】
【実施例】
タイヤサイズを285/60R22.5で共通にし、図1に示す構成の空気入りラジアルタイヤにおいて、3番ベルト層の外側にベルト保護層を設けた本発明タイヤと、図1において、ベルト層の構造を、補強コードをタイヤ周方向に対して傾斜させると共に2ー3番ベルト層間で交差するように積層した4層のベルト層から構成した従来タイヤ、及び本発明タイヤにおいて、3番ベルト層を従来タイヤに使用した補強コードをタイヤ周方向に対して傾斜させたベルト層に代えた比較タイヤとをそれぞれ作製した。
【0027】
本発明タイヤにおいて、3番ベルト層の複合コード(0°に近づけて配向)を構成する下撚糸における高弾性率有機繊維フィラメント(アラミド繊維を使用)の引張弾性率は550g/d 、熱収縮性有機繊維フィラメント(ポリエステルを使用)の150℃での乾熱収縮率は95%、全高弾性率有機繊維フィラメントの総デニール数に対する全熱収縮性有機繊維フィラメントの総デニール数は33%、下撚り及び上撚り共に20回/10cm であり、撚り係数Kは1550である。また、全高弾性率有機繊維フィラメントの総デニール数は6000dである。この複合コードをタイヤに埋設する前に弛緩熱処理を施した。1,2番ベルト層の補強コードには、引張弾性率4000kg/mm2、引張強度210kg/mm2のアラミド繊維を使用し、そのタイヤ周方向に対する配向角度は20°である。ベルト保護層の補強コードには、1×5×0.38のスチールコードを用い、そのタイヤ周方向に対する配向角度は20°である。
【0028】
従来タイヤのベルト層の補強コードは、3+6×0.35のスチールコードを使用し、そのタイヤ周方向に対する配向角度は20°である。
これら各試験タイヤを以下に示す測定条件により、高速耐久性、タイヤ外周成長、及び重量の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
高速耐久性
各試験タイヤをリムサイズ22.5×9.00のリムに装着し、空気圧を875kPa にして、ドラム試験機の径が1707mmの回転ドラムに取付け、負荷荷重30.89kNの条件下で、速度80km/hの高速耐久性試験に従って走行させ、タイヤ故障が発生するまでの距離を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が大きい程、高速耐久性が優れている。
タイヤ外周成長
各試験タイヤのインフレート(空気圧875kPa )前後のタイヤ外周の成長量をベルトエッジから30乃至40mmの位置で測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が小さい程、タイヤ外周成長が小さい。
重量
各試験タイヤの重量を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が小さい程、軽量であることを示す。
【0029】
【表1】
表1から明らかなように、本発明タイヤは、タイヤの外周成長が抑制されると共に、ベルト層エッジ部に発生するセパレーションが大幅に抑えられるため、高速耐久性が大きく改善されることが判る。また、ベルト層の補強コードに、全て、有機繊維を用いることにより、軽量化を図ることができるのが判る。
【0030】
【発明の効果】
上述したように本発明は、トレッド部のカーカス層外側に補強コードを配列した複数のベルト層を設けた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカス層側に隣接する2層のベルト層の互いに交差する補強コードをベルト層エッジ部で折り返し、該補強コードを一方から他方のベルト層に延在する構成にし、前記2層のベルト層の外側に配置するベルト層の補強コードを引張弾性率300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントと熱収縮性有機繊維フィラメントとを引き揃えて加撚した下撚糸Aを複数本引き揃え、これら下撚糸Aの撚り方向と逆方向に上撚りを加えて形成した複合コードから構成すると共に、該複合コードをタイヤ周方向に対する配向角度を5°以下にして巻き付けた螺旋状構造にしたので、重量の増大を招くことなく、タイヤ外周成長の発生を抑制すると共に、ベルト層エッジ部の耐セパレーション性を一層高め、タイヤの高速耐久性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図である。
【図2】図1のベルト層の要部を一部切欠いた説明図である。
【図3】1,2番ベルト層を構成する加硫前のベルト材の一例を示す要部拡大説明図である。
【図4】1,2番ベルト層を構成する加硫前のベルト材の他の例を示す要部拡大説明図である。
【図5】3番ベルト層の複合コードの一例を示す要部拡大側面図である。
【図6】(a),(b),(c)は、それぞれ図5の複合コードを構成する下撚糸における高弾性率有機繊維フィラメントと熱収縮性有機繊維フィラメントとの配置状態を示す拡大断面図である。
【図7】本発明に用いられる複合コードの荷重・伸び曲線を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 ビード部 2 サイドウォール部
3 トレッド部 4 カーカス層
6 ベルト層 6a 1番ベルト層
6b 2番ベルト層 6c 3番ベルト層
7,8 補強コード fh 高弾性率有機繊維フィラメント
fs 熱収縮性有機繊維フィラメント
【発明の属する技術分野】
本発明は、重量の増加を招かずに、ベルト層エッジ部のセパレーションやタイヤ外周成長を抑制するようにした空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば、バスやトラック等に用いられる重荷重用空気入りラジアルタイヤでは、車両の積載量増大を低床化により達成するため、タイヤの偏平化が進んでいる。このように扁平化が進むと、ベルト層に対する負荷が増大し、高速走行時のベルト層エッジ部のせり上がり現象によるエッジセパレーションの発生や、タイヤの外周成長が起こりやすくなって、タイヤの耐久性が著しく低下する。
そこで、上記解決策として、例えば、従来よりもベルト層の層数を増加させ、周方向剛性を高める方法もあるが、それによって重量の増加を招くことになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重量の増大を招くことなく、ベルト層エッジ部のセパレーションやタイヤの外周成長の発生を抑制し、タイヤの高速耐久性を高めることができる空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明の他の目的は、ベルト層エッジ部の耐セパレーション性を一層高めることができる空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、トレッド部のカーカス層外側に補強コードを配列した複数のベルト層を設けた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカス層側に隣接する2層のベルト層の互いに交差する補強コードをベルト層の両エッジ部で折り返し、該補強コードを一方から他方のベルト層に延在する構成にし、前記2層のベルト層の外側に配置するベルト層の補強コードを引張弾性率300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントと熱収縮性有機繊維フィラメントとを引き揃えて加撚した下撚糸Aを複数本引き揃え、これら下撚糸Aの撚り方向と逆方向に上撚りを加えて形成した複合コードから構成すると共に、該複合コードをタイヤ周方向に対する配向角度を5°以下にして巻き付けた螺旋状構造にしたことを特徴とする。
【0005】
このように外側のベルト層の補強コードを上述のように構成した複合コードから構成し、それを上記の範囲でタイヤ周方向に配向することにより、該補強コードを加硫時のリフトに対して容易に追従させながら、加硫時のリフトによって形態的に引き伸ばされた後は伸びが小さくなるため、タイヤ周方向の剛性を大きくすることができ、それによって、高速走行時にタイヤ外周の成長を抑制することができると共に、ベルト層端部のせり上がり現象によるベルト層エッジ部のセパレーションの発生も抑えることができ、その結果、タイヤの高速耐久性の改善が可能になる。
【0006】
また、ベルト層の層数を増加することなく、従来配置されている外側のベルト層の構成を上記のようにするだけでよいため、タイヤ重量が増加することもない。
また更に、補強コードが交差する2層のベルト層において、その補強コードをベルト層エッジ部で折り返し、一方から他方のベルト層に延在する構成にして、補強コードの切断されたエッジがベルト層両端に存在しないようにしたため、そのエッジの存在に起因して発生するベルト層のエッジセパレーションを抑制することができ、ベルト層エッジ部の耐セパレーション性の一層の改善を図ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を示し、左右のビード部1には、それぞれ左右のサイドウォール部2が連なり、この左右のサイドウオール部2の外周部間に跨がるようにトレッド部3が形成されている。タイヤ内側には、カーカス層4が左右のビード部1間にタイヤ周方向に対する補強コードのコード角度が70°〜90°であるように1層装架され、その両端部4aが両ビード部1に配置されたビードコア5の周りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。また、トレッド部3におけるカーカス層4の外側には3層のベルト層6が配置されている。
【0008】
カーカス層4側に隣接する最内層の1番ベルト層6aとその外側の2番ベルト層6bの2層は、図2に示すように、補強コード7を互いに交差するように配置したクロスベルト層に構成され、補強コード7のタイヤ周方向に対して傾斜する配向角度が共に10〜30°の範囲になっている。
この1,2番ベルト層6a,6bは、交差する補強コード7がベルト層両エッジ部で折り返され、一方から他方及び他方から一方のベルト層に連続して延在するように構成され、図1に示すように、その左右のベルト層両端が互いに接続された一体構造に形成されている。そのため、補強コード7のエッジがベルト層両端に露出していないようになっている。
【0009】
この1,2番ベルト層6a,6bは、図3に示すように、複数本の補強コード7を引き揃えて未加硫ゴムに埋設したストリップ材aを螺旋状に連続して巻回した筒状体を形成し、これをその長手方向に沿って押しつぶして形成したベルト材Aを加硫前のグリーンタイヤ成形時にアセンブルして形成することができる。
図4は、上記ベルト材Aに芯材Bを挿入するようにしたものである。このように芯材Bを挿入し、1,2番ベルト層6a,6b間に芯材を介設する構成にすることにより、ベルト層の剛性を一層高めることができる。
【0010】
一方、2番ベルト層6bの外側に配置した最外側の3番ベルト層6cは、有機繊維フィラメントを複合した複合コードからなる補強コード8を有し、該補強コード8を図2に示すように、タイヤ周方向に対する傾斜を0°に近づけて巻き付けた、所謂0度ベルトの構造にしてある。この構造は、例えば、後述する構成からなる、1本の複合コードをベルト幅方向に任意の密度で連続周回して巻き付ける方法や、複数(2〜10)本の引き揃えられた複合コードに未加硫ゴムが含浸されたストリップ材をベルト幅方向に移動させながら連続周回して巻き付けることにより構成することができる。そのコード密度やベルト幅に応じて、複合コードは、タイヤ周方向に対する配向角度を5°以下にして巻き付けた螺旋状構造にすることができる。
【0011】
上記複合コード(補強コード8)は、図5及び図6(a),(b)に示すように、非熱収縮性の引張弾性率が300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントfhと熱収縮性有機繊維フィラメントfsとを引き揃えて加撚した下撚糸Aを複数本引き揃え、これら下撚糸Aの撚り方向と逆方向に上撚りを加えて形成した構成になっている。
【0012】
このように本発明は、外側のベルト層6cの補強コード8をタイヤ周方向に対して5°以下で配向するようにしたので、タイヤの周方向剛性を大幅に高めることができ、それによって、高速走行時におけるベルト層端部のせり上がり現象によるベルト層エッジ部のセパレーションの発生や、タイヤ外周の成長の抑制が可能になる。従って、タイヤの高速耐久性を向上することができる。
【0013】
しかも、補強コード8を上記のような複合コードから構成するため、加硫時のリフトに容易に追従させることができるので、それによってベルト層に乱れを発生させないため、タイヤのユニフォミティーが悪くなることもない。
上記複合コードは、予め、その複合コードに弛緩熱処理が施されるが、その処理により、高弾性率有機繊維フィラメントfhが熱収縮性有機繊維フィラメントfsの熱収縮と一体的に均一に縮むような挙動を行う。これに引張り荷重を負荷したときの伸びの挙動は、図7の「引張強さ−伸び曲線」に示す曲線のようになる。即ち、低荷重域では高い伸びを示し、高荷重域になると高弾性率繊維フィラメントの高い引張弾性率が作用して低い伸びを示すようになる。従って、上記複合コードは加硫時のリフトに容易に追従することができる一方、加硫時のリフトによって形態的に引き伸ばされた後は伸びが小さくなるため、これをタイヤ周方向に対して5°以下で配向することにより、タイヤ周方向の剛性を大きくすることができる。そのため、高速走行時のタイヤ外周成長やベルト層端部のせり上がりを抑制し、タイヤの高速耐久性の改善が可能になるのである。
【0014】
また、従来配置されている外側のベルト層6cを上記のように構成するだけでよく、ベルト層の層数を増加する必要がないため、タイヤ重量の増大を招くことがない。
また更に、補強コード7が交差するように積層して配された1,2番ベルト層6a,6bを、その補強コード7をベルト層エッジ部で折り返し他方のベルト層に延在するように構成し、補強コード7の切断エッジがベルト層両端に露出しない状態としたので、そのエッジの露出に起因して発生するベルト層のエッジセパレーションを抑制することができる。そのため、ベルト層エッジ部の耐セパレーション性を一層高めることができる。
【0015】
また、上記複合コードは、タイヤ加硫に設定されたリフト率に応じて個々に下撚り数や上撚り数を調整する必要がなく、弛緩熱処理調整でリフト率に容易に対応させることができるため、リフト率が異なるタイヤ毎に撚り構造を合わせなければならないという煩雑さがない。
上記複合コードに使用する高弾性率有機繊維フィラメントfhの引張弾性率が300g/d未満では、複合コードのタイヤ周方向の引張剛性が低下し、タイヤの高速耐久性の改善効果が不十分になる。300g/d以上の高弾性率繊維としては、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリーPーフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリ−p−フェニレンベンズビスチアゾール繊維、ポリイミド繊維等を好ましく使用することができる。
【0016】
上記1,2ベルト層6a,6bの補強コード7としては、引張弾性率3000kg/mm2以上、引張強度150kg/mm2以上の有機繊維から構成するのがタイヤ重量を軽減する上で好ましい。その有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリーPーフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維等を挙げることができ、それらから選ばれる繊維の1種または2種以上を撚り合わせた撚り糸を補強コードとして好ましく用いることができる。
【0017】
引張弾性率が3000kg/mm2未満では、ベルト剛性が不足し、ベルト部の成長性低下だけでなく、操縦性能も低下する。
引張強度が150kg/mm2未満であると、ベルト強度が不足し、タイヤ強度が低下する。
上記複合コードを構成する全熱収縮性有機繊維フィラメントの総デニール数としては、複合コードを構成する全高弾性率有機繊維フィラメントの総デニール数の50%以下にするのがよい。総デニール数が50%を越えると、弛緩熱処理した複合コードの加硫タイヤでの引張剛性が低下するため、タイヤの外周成長の抑制やベルト部耐久性の改善効果が低減する。好ましくは、35%以下、10%以上にするのがよい。10%未満では、弛緩熱処理による複合コードの収縮効果が少なく、加硫時のリフトに追従し難くなるため、加硫タイヤのベルト部のユニフォミティーが低下する。
【0018】
上記複合コードに加える上撚りは、下記式で表される撚り係数Kが500〜1900の範囲に設定するのがよい。
K=TD1/2
ただし、D:高弾性率繊維の総デニール数
T:複合コードの上撚り数(回/10cm)
撚り係数Kが500未満であると、コードの収束性が低下し、ゴムとの接着性が低下する。そのため、タイヤのベルト部の耐久性向上の効果も低減する。一方、1900を超えると、加硫タイヤでの複合コードの引張剛性が低下するため、ベルト部の耐久性向上の効果が低減する。
【0019】
高弾性率繊維フィラメントfhの総デニール数Dとしては、3000〜9000d、複合コードの上撚り数T(回/10cm)としては、上式に従うが、その範囲として5〜35にすることができる。
また、熱収縮性有機繊維フィラメントfsの150℃での乾熱収縮率としては、5%以上にするのがよい。熱収縮率が5%未満の場合は、弛緩熱処理を施しても複合コードを形態的に十分縮めることが困難で、加硫時のリフトが大きい場合にはリフトの追従性が低下する。好ましくは8%以上にするのがよい。8%以上であると広範囲なリフト率に容易に対応させることができる。
【0020】
上記熱収縮性有機繊維とは、熱によって収縮挙動を示す繊維であり、例えば、ポリエステル繊維、6ナイロン繊維、66ナイロン繊維、46ナイロン繊維等を好ましく使用することができる。これらのなかでも、熱収縮のし易さからポリエステル繊維が望ましい。なお、ここで「150℃での熱収縮率」は、JIS L1017に規定された測定方法に従って自由収縮させて測定したものである。
本発明では、図5に複合コードを構成する下撚糸Aを2本用いた例を示すが、それに限定されず、当然のことながらそれ以上用いることができる。好ましくは、生産性の観点からは図示のように2本がよい。上限値としては、3本以下が生産性や強力利用率の点からよい。
【0021】
上記下撚糸Aは、高弾性率有機繊維フィラメントfhと熱収縮性有機繊維フィラメントfsとが1本の糸束に引き揃えられ、その1本の糸束に撚(下撚)が加えられて形成されるが、その1本の下撚糸Aにおける高弾性率有機繊維フィラメントfhと熱収縮性有機繊維フィラメントfsとの配置状態は、図6(a)に示すように、それぞれのフィラメントfh,fsが束の単位で混ざっていてもよく、或いは、図6(b)に示すように、フィラメントfh,fsが互いにランダムに入り交じった混繊状態になったものでもよい。
【0022】
また、図6(c)に示すように、複合コードを構成する複数本の下撚糸のうち、1本を上述した下撚糸Aのように、高弾性率有機繊維フィラメントfhと熱収縮性有機繊維フィラメントfsとが混在するように構成し、残りの1本の下撚糸Bは、高弾性率有機繊維フィラメントfhだけの糸束が加撚されたものであってもよい。このように下撚糸A,Bを用いて複合コードを構成する場合、少なくとも1本の下撚糸Aと少なくとも1本の下撚糸Bとを1束に引き揃え、これに下撚糸A,Bの下撚り方向とは逆方向の上撚りを施して複合コードとすることができる。
【0023】
本発明では、上記実施形態において、各下撚糸A,Bに加える下撚りの撚り数は特に限定されるものではないが、好ましくは、上撚り数の50%〜150%の範囲内にすることが生産性の観点からよい。
また、上記実施形態では、ベルト層を3層設けた例を示したが、それに限定されず、それ以上配置したものであってもよく、少なくとも3層のベルト層を設けた空気入りタイヤであればよい。
【0024】
また、本発明では、上記のように複合コードを配列したベルト層6cを最外側に設けた場合、その外側に該ベルト層6cを保護するベルト保護層を配置するのが望ましい。このベルト保護層としては、スチールコードからなる補強コードをタイヤ周方向に対して18〜28°で傾斜させた構成のものを好ましく使用することができる。
【0025】
本発明は、ベルト層を3層以上設けた空気入りラジアルタイヤであれば、限定されるものではないが、特に、重荷重用空気入りラジアルタイヤ、更に、その内でも扁平率を70%以下にしたものに好適に用いることができる。
【0026】
【実施例】
タイヤサイズを285/60R22.5で共通にし、図1に示す構成の空気入りラジアルタイヤにおいて、3番ベルト層の外側にベルト保護層を設けた本発明タイヤと、図1において、ベルト層の構造を、補強コードをタイヤ周方向に対して傾斜させると共に2ー3番ベルト層間で交差するように積層した4層のベルト層から構成した従来タイヤ、及び本発明タイヤにおいて、3番ベルト層を従来タイヤに使用した補強コードをタイヤ周方向に対して傾斜させたベルト層に代えた比較タイヤとをそれぞれ作製した。
【0027】
本発明タイヤにおいて、3番ベルト層の複合コード(0°に近づけて配向)を構成する下撚糸における高弾性率有機繊維フィラメント(アラミド繊維を使用)の引張弾性率は550g/d 、熱収縮性有機繊維フィラメント(ポリエステルを使用)の150℃での乾熱収縮率は95%、全高弾性率有機繊維フィラメントの総デニール数に対する全熱収縮性有機繊維フィラメントの総デニール数は33%、下撚り及び上撚り共に20回/10cm であり、撚り係数Kは1550である。また、全高弾性率有機繊維フィラメントの総デニール数は6000dである。この複合コードをタイヤに埋設する前に弛緩熱処理を施した。1,2番ベルト層の補強コードには、引張弾性率4000kg/mm2、引張強度210kg/mm2のアラミド繊維を使用し、そのタイヤ周方向に対する配向角度は20°である。ベルト保護層の補強コードには、1×5×0.38のスチールコードを用い、そのタイヤ周方向に対する配向角度は20°である。
【0028】
従来タイヤのベルト層の補強コードは、3+6×0.35のスチールコードを使用し、そのタイヤ周方向に対する配向角度は20°である。
これら各試験タイヤを以下に示す測定条件により、高速耐久性、タイヤ外周成長、及び重量の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
高速耐久性
各試験タイヤをリムサイズ22.5×9.00のリムに装着し、空気圧を875kPa にして、ドラム試験機の径が1707mmの回転ドラムに取付け、負荷荷重30.89kNの条件下で、速度80km/hの高速耐久性試験に従って走行させ、タイヤ故障が発生するまでの距離を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が大きい程、高速耐久性が優れている。
タイヤ外周成長
各試験タイヤのインフレート(空気圧875kPa )前後のタイヤ外周の成長量をベルトエッジから30乃至40mmの位置で測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が小さい程、タイヤ外周成長が小さい。
重量
各試験タイヤの重量を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が小さい程、軽量であることを示す。
【0029】
【表1】
表1から明らかなように、本発明タイヤは、タイヤの外周成長が抑制されると共に、ベルト層エッジ部に発生するセパレーションが大幅に抑えられるため、高速耐久性が大きく改善されることが判る。また、ベルト層の補強コードに、全て、有機繊維を用いることにより、軽量化を図ることができるのが判る。
【0030】
【発明の効果】
上述したように本発明は、トレッド部のカーカス層外側に補強コードを配列した複数のベルト層を設けた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカス層側に隣接する2層のベルト層の互いに交差する補強コードをベルト層エッジ部で折り返し、該補強コードを一方から他方のベルト層に延在する構成にし、前記2層のベルト層の外側に配置するベルト層の補強コードを引張弾性率300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントと熱収縮性有機繊維フィラメントとを引き揃えて加撚した下撚糸Aを複数本引き揃え、これら下撚糸Aの撚り方向と逆方向に上撚りを加えて形成した複合コードから構成すると共に、該複合コードをタイヤ周方向に対する配向角度を5°以下にして巻き付けた螺旋状構造にしたので、重量の増大を招くことなく、タイヤ外周成長の発生を抑制すると共に、ベルト層エッジ部の耐セパレーション性を一層高め、タイヤの高速耐久性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図である。
【図2】図1のベルト層の要部を一部切欠いた説明図である。
【図3】1,2番ベルト層を構成する加硫前のベルト材の一例を示す要部拡大説明図である。
【図4】1,2番ベルト層を構成する加硫前のベルト材の他の例を示す要部拡大説明図である。
【図5】3番ベルト層の複合コードの一例を示す要部拡大側面図である。
【図6】(a),(b),(c)は、それぞれ図5の複合コードを構成する下撚糸における高弾性率有機繊維フィラメントと熱収縮性有機繊維フィラメントとの配置状態を示す拡大断面図である。
【図7】本発明に用いられる複合コードの荷重・伸び曲線を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 ビード部 2 サイドウォール部
3 トレッド部 4 カーカス層
6 ベルト層 6a 1番ベルト層
6b 2番ベルト層 6c 3番ベルト層
7,8 補強コード fh 高弾性率有機繊維フィラメント
fs 熱収縮性有機繊維フィラメント
Claims (8)
- トレッド部のカーカス層外側に補強コードを配列した複数のベルト層を設けた空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記カーカス層側に隣接する2層のベルト層の互いに交差する補強コードをベルト層の両エッジ部で折り返し、該補強コードを一方から他方のベルト層に延在する構成にし、
前記2層のベルト層の外側に配置するベルト層の補強コードを引張弾性率300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントと熱収縮性有機繊維フィラメントとを引き揃えて加撚した下撚糸Aを複数本引き揃え、これら下撚糸Aの撚り方向と逆方向に上撚りを加えて形成した複合コードから構成すると共に、該複合コードをタイヤ周方向に対する配向角度を5°以下にして巻き付けた螺旋状構造にした空気入りラジアルタイヤ。 - 前記複合コードを、引張弾性率300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントと熱収縮性有機繊維フィラメントとを引き揃えて加撚した下撚糸Aを複数本引き揃え、これら下撚糸Aの撚り方向と逆方向に上撚りを加えて形成する構成に代えて、引張弾性率300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントと熱収縮性有機繊維フィラメントとを引き揃えて加撚した少なくとも1本の下撚糸Aと、引張弾性率300g/d 以上の高弾性率有機繊維フィラメントを引き揃えて下撚糸Aと同方向に加撚した少なくとも1本の下撚糸Bとを引き揃え、これら下撚糸A,Bの撚り方向と逆方向に上撚りを加えて形成する請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記2層のベルト層の補強コードを引張弾性率3000kg/mm2以上、引張強度150kg/mm2以上の有機繊維から構成した請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記複合コードを構成する全熱収縮性有機繊維フィラメントの総デニール数を、該複合コードを構成する全高弾性率有機繊維フィラメントの総デニール数の50%以下にした請求項1乃至3記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記複合コードの上撚りの下記式で表される撚り係数Kを500〜1900にした請求項1乃至4記載の空気入りラジアルタイヤ。
K=TD1/2
ただし、D:高弾性率有機繊維の総デニール数
T:複合コードの上撚り数(回/10cm) - 前記複合コードを構成する全高弾性率有機繊維フィラメントの総デニール数を3000〜9000dにした請求項1乃至5記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記熱収縮性有機繊維フィラメントの150℃での乾熱収縮率が5%以上である請求項1乃至6記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記複合コードを配列したベルト層の外側に、ベルト保護層を配置した請求項1乃至7記載の空気入りラジアルタイヤ。
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