JPS5920460B2 - インクリボンへの張力付加機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、インクリボンヘの張力付加機構に関するもの
で、走査型のワイヤプリントヘッドを備えた印字装置に
応用されるものである。

従来のインクリボンヘの張力付加機構は、１対のリボン
スプールから引き出されてプリントヘッドの前面を通過
するように掛け回されているインクリボンが、印字装置
の両側部で揺動自在のレバー等に支持されたガイドロー
ラを介して掛け回され、上記レバー等をバネによつて弾
発し、上記ガイドローラを介して上記インクリボンが弛
まないようにされており、上記バネは常時ほぼ一定のバ
ネカを上記レバー等に作用するものであつた。

かかる構造において、上記バネは、上記リボンスプール
をモータ等で回してインクリボンを巻き取る場合の配慮
から或る程度の強いバネカを有するものを使用する必要
があり、このために印字中のプリントヘッドの印字ワイ
ヤが停電等の不慮の事故で突出したままの状態となつた
場合に、プリントヘッドは惰性によつて若干走行するた
めにこの突出した印字ワイヤが上記の如く強いバネカで
張設されたインクリボンに引つ掛かり、それによつてこ
の印字ワイヤが先端部で曲がつたりまたは折れたりする
事態を招く結果となつていた。本発明は、上記先行技術
の欠点を除去したものであつて、その特徴とするところ
は、プリントヘッドがホームポジションに位置するとき
にのみインクリボンに強い張力が働らくだけでプリント
ヘツドがホームポジシヨンから離れるとインクリボンの
弛みを取るに必要なだけの弱い張力が作用するようにし
たところにある。

以下本発明の一実施例を図面を参照して説明する。第１
図において、ワイヤプリントヘツド１はガイド軸２，２
に摺動自在に支持されている搬送台３土に塔載されて左
右に走査せしめられるように構成されている。

このプリントヘツド１は、有極型電磁駆動装置（図示せ
ず。）によつてへツド前端面４から突出退却する多数の
印字ワイヤ（図示せず。）を備え、この印字ワイヤはヘ
ツド前端面４で走査方向と直角方向に一定のピツチで整
列しているもので、当技術分野で慣用されている周知の
内部構造を有するものである。このプリントヘツドが装
置されている印字装置の両側部には、スプール支持板５
，６が配設されており、各スプール支持板の下面に支持
ピン７，８を介してアーム９，１０が揺動自在に設けら
れている。各アーム９，１０は、それぞれに垂設した掛
止ピン１１，１２と支持板５，６に垂設した固定ピン１
３，１４との間に掛け止められた弱いバネ１５，１６を
外して外側へ向けて付勢されている。またアーム９，１
０にぱ弧状のガイド溝１７，１８が形成してあり、支持
板５，６に垂設したガイドピン１９，２０が各ガイド溝
１７，１８に嵌挿することによつてアーム９，１０の揺
動角が規制されている。さらにアーム９，１０の先端部
には軸２１，２２が配設されて支持板５，６に穿設され
ている逃がし穴２３，２４（逃がし穴２３は第２図に示
されている。）を貫通して上方へ突出し、これらの軸２
１，２２にガイド部材としてのガイドローラ２５，２６
が回転自在に嵌合している。そしてプリントヘツド１の
ホームポジシヨン側（左側）の支持板９の下面部には、
第１図および第２図に示すように、張力可変板２７が相
対向的に配設さ ３れており、この張力可変板２７はプ
リントヘツド１の走査方向と同方向に形成されたガイド
溝２８を備え、このガイド溝２８に前述のガイドピン１
９およびこのピンと同様に支持板５に垂設されたガイド
ピン２９が嵌挿することによつて移動可 ４能になつて
いると共に、各ピン１９，１９に装着した止め輪３０，
３１を介して脱落不能に保持されている。さらにこの張
力可変板２７は透孔３２を有しており、この透孔内に軸
２１から下方へー′体に垂設したピン３３が嵌挿せしめ
られていると共にこのピン３３と張力可変板２７の立曲
げ部３４との間に強い補助バネ３５が張設されている。

また張力可変板２７の右端部には突出部３６が一体に形
成されており、プリントヘツド１がホームポジシヨンに
位置するとき、つまり搬送台３が第１図鎖線位置にある
ときにこの搬送台３の側面３７にて突出部３６が左側へ
押し出されて張力可変板２７は左側へ鎖線にて示すよう
に移動する。インクリボン３８は、プリントヘツド１の
前端面４を通つて搬送台上のガイドローラ３９，４０お
よびガイドピン４１，４２を経てさらにボビン２５，２
５を介してスプール支持板５，６上のリボンスプール４
３，４４に巻回されており、リボンスプール４３，４４
の一方は図示しないモータを介して従来と同様に巻き取
り駆動されるようになつている。上記の如く構成した本
実施例の動作についてつぎに説明する。まずプリントヘ
ツド１が第１図実線にて示す如くそのホームポジシヨン
から離れているときについて説明する。

このときは搬送台３の側面３７は張力可変板２７の突出
部３６の押圧移動を解除しており、張力可変板２７はそ
の透孔３２の左側面がピン３３（第２図参照）に対して
補助バネ３５のバネカによつて圧接せしめられる。すな
わち、張力可変板２７はアーム９に対してあたかも一体
の部品であるかの如く連結される。換言するならば、補
助バネ３５のバネカはアーム９の揺動付勢力としては全
く作用せず、アーム９に対してはバネ１５のバネカのみ
が作用する。したがつてインクリボン３８に対しては、
バネ１５，１６のバネだけがアーム９，１０およびガイ
ドローラ２５，２６を介して伝わつて、インクリボン３
８はそれに弛みが生じないように張設される。バネ１５
，１６のバネカはこの弛みを取るに必要なだけの弱いバ
ネカに設定されているものであつて、プリントヘツド１
は右方へ走査せしめられる間に所望の印字を行なう。仮
りにこの印字動作中に不慮に電源が切れたりして、印字
ワイヤがヘツド前面４から突出したままになつたとする
。この場合、搬送台３は惰性によつて右方へ移動するた
めに、ヘツド前面４から突出したままの印字ワイヤはイ
ンクリボン３８に突き刺さつてこれを引つ掛けてバネ１
５のバネカに抗して右方へ移動する。バネ１５のバネカ
は、前述の如くインクリボン３８の弛みを取るに必要な
だけの弱いバネカのものであるから、突出した印字ワイ
ヤはバネ１５のバネカに打ち勝つてインクリボン３８を
引きずつていつてガイドローラ２５が右方へ変位する。
したがつてこの突出した印字ワイヤがインクリボン３８
によつて曲げられたり折れたりするには至らないのであ
る。つぎにインクリボン３８がリボンスプール４３，４
４の一方、例えば４３に巻き取られる場合について説明
する。

この巻き取りは、従来と同様に１ラインの所望の印字動
作終了後にプリントヘツド１が右側から左側へ復帰する
際に上記モータによつてリボンスプール４３が時計方向
に回されることによつて行なわれる。この巻き取り動作
中にアーム９，１０にはインクリボン３８を介してそれ
ぞれを内側へ、すなわちアーム９は左回りの、アーム１
０は右回りの回転モーメントが加わり、したがつて各ア
ーム９，１０はバネ１５，１６のバネカに抗してそれぞ
れ内側へ若干回転変位して鈎り合う。プリントヘツド１
がホームポジシヨンに復帰するとリボンスプール４３用
のモータは駆動電流が絶たれるが、モータ軸はその惰性
により暫くの間惰性回転するからリボンスプール４３も
これに連動して時計方向に暫くの間惰性回転する。プリ
ントヘツド１が停止するとその前端面４とインクリボン
３８との間の摩擦抵抗が増大する。（プリントヘツド１
が復帰中は前端面４における抵抗はインクリボン３８の
巻き取り方向へ作用している。）から、アーム９，１０
ぱさらに内側へ回転変位し、最悪の場合はそれぞれのガ
イド溝１７，１８の各外端面がピン１９，２０に当接す
る位置まで回転変位する。しかしプリントヘツド１がホ
ームポジシヨンに復帰したとき搬送台３の側面３７は補
助板２７の突出部３６に当接し、これを左側へ押しやる
から張力可変板２７は第１図鎖線図示の如く左側へ強制
的に移動させられる。すると張力可変板２７の透孔３２
の左端面がピン３３から離反し、補助バネ３５のバネカ
（バネ１５のそれよりも強い。）はアーム９に対して時
計方向の回転力を付与するようになる。したがつてアー
ム９！ζ補助バネ３５とバネ１５の合力によつてこの合
力がインクリボン３８を介して、アーム９に与えられる
反時計方向の回転モーメントノに鈎り合う位置まで左側
へ引き戻される。

そしてプリントヘツド１が再び右方へ走査せしめられて
搬送台３の側面３７が突出部３６の押圧を解除すると（
この時リボンスプール４３の惰性回転は完全に停止して
いる。）、張力可変板２７は補助バネ３５のバネカによ
つてその透孔３２の左端面がピン３３に当接する位置ま
で復帰してアーム９と一体となり、補助バネ３５のバネ
カは最早アーム９の付勢力では無くなる。このためにア
ーム９，１０はそれぞれのバネ１５，１６によつて再び
第１図示の状態となる。上記説明から明らかなように張
力可変板２７は、プリントヘツド１がホームポジシヨン
に位置してこれによつて移動せしめられたときにだけイ
ンクリボン３８に強い張力を与え、かつプリントヘツド
１がホームポジシヨンから離れて張力可変板２７の押圧
移動を解除されるとインクリボン３８に弛みを取るに必
要なだけの弱い張力を与えるようにするものであつて、
ガイドローラの支持構造やそれに対するバネの掛止構造
等は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で自由に設計変
更できる。

例えば、補助バネ３５をアーム９に直接的に掛止しても
よい。また実施例ではピン３３はスプール２５の軸２１
と一体に形成してあるが、軸２１と異なる位置でアーム
９に植設したものであつてもよい。この場合透孔３２の
位置もそれに応じて開口位置が変更される。また、逆に
アーム９に透孔３２を形成し、それに嵌合するピン３３
を張力可変板２７に植設してもよい。さらにガイドロー
ラ２５，２６は単なるガイドピンであつてもよい。以上
のように本発明に係るインクリボンへの張力付加機構に
よれば、印字動作中にインクリボンに作用する必要最小
限まで弱くすることができるから、印字ワイヤが不慮の
事故でヘツド前端面から突出したままとなつても印字ワ
イヤに過大な負荷が加わらず、したがつて印字ワイヤが
先端部で曲がつたり折れたりすることがない。特に印字
ワイヤに極細線材（約０．２ｍ０のものが使用される漢
字用ワイヤプリントヘツドの安全装置として最適である
。また張力可変板によつて増減コントロールするバネカ
を二つのバネにて分担するようにすれば、バネカの強さ
を適確に設定できるから設計が容易で動作も確実である
。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例に関するものであつて、第１図
はその一部を切除して示す平面図、第２図は第１図−線
拡大断面図である。 １・・・・・・ワイヤプリンタヘツド、３・・・・・・
搬送台、１５，１６・・・・・・バネ、２５，２６・・
・・・・ガイド部材２７・・・・・・張力可変板、３５
・・・・・・補助バネ、３８・・・・・・インクリボン
、４３，４４・・・・・・リボンスプール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ガイド軸によつて摺動自在に支持してある搬送台に
   ワイヤプリントヘッドを配置し、１対のリボンスプール
   から引き出されたインクリボンが上記ヘッドの前面に通
   してある印字装置を設け、一端部が摺動自在に支承して
   あり上記インクリボンが掛け通されるガイド部材を有す
   るアームを、上記印字装置の両側部に配設し、上記両ア
   ームのそれぞれを外側に向けて付勢するバネを、固定部
   材と各アームとの間に張設し、上記ヘッドのホームポジ
   ション側にある一方の上記アームと対向する位置に、張
   力可変板を上記搬送台の移動方向とほぼ平行に移動自在
   に配設し、上記一方のアームと上記張力可変板との一方
   に透孔を、その他方に当該透孔に嵌合するピンを設け、
   補助バネを、そのバネ力が上記張力可変板と上記一方の
   アームとの間に作用するように張設し、上記搬送台がホ
   ームポジションから離れた位置にあるとき、上記張力可
   変板は上記補助バネのバネ力により上記透孔の一端部が
   上記ピンに当接する位置にあり、上記搬送台がホームポ
   ジションにあるとき、上記張力可変板が上記搬送台に当
   接して外方へ押し出されることによつて、上記バネのバ
   ネ力に加えて上記補助バネのバネ力が上記一方のアーム
   に作用することを特徴とするインクリボンへの張力付加
   機構。