JPH0665579B2 - 巻線機のテンション装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動巻線機において所定の張力をワイヤに与
えるためのテンション装置の構造に関するものである。

〔従来の技術〕

たとえば、第５図に示すような小型コイルがある。この
コイルは、ベース１に固定されたボビン２と複数の端子
３を備えており、ボビン２に巻回したワイヤ４の端末を
端子３に巻きつけた構成となっている。

このようなコイルの巻線作業、すなわち、ボビン２にワ
イヤ４を巻回し、さらにその端末を端子３に巻きつける
一連の工程を、自動巻線機によって処理することが行わ
れている。

自動巻線機は、巻枠から繰り出されるワイヤ４がガイド
ノズル等で保持した状態でボビン２を回転したり、端子
３の周りにガイドノズルを回転することによって巻線処
理を行う。この際、ワイヤ４をボビン２や端子３に正確
に巻きつけるためには、ワイヤ４に所定のテンションを
与えておくことが必要である。

第７図は従来の巻線機におけるテンション装置の構成例
である。軸５に回動自在に支持した回転板10にはアーム
６の一端を固定し、アーム６の他端にはガイドローラ７
を取付けてある。巻枠等から繰り出されたワイヤ４は、
ガイドローラ７を通して、図示しないガイドノズル等の
巻線部に供給される。回転板10には、スプリング12によ
って矢印Ａ方向の回転力が与えられている。この回転力
のために、アーム６にはガイドローラ７側の端部が上昇
しようとする力が作用する。したがって、ワイヤ４の両
端を保持したとき、このワイヤ４にはガイドローラ７の
上昇力に応じたテンションが付与されることになる。

〔発明が解決しようとする課題〕

第７図のようなテンション装置の構成では、常にほぼ一
定のテンションしか得られない。

ところが、線径がやや太めのワイヤ４を用いてコイルに
巻線を施すような場合には、ワイヤ４に与えるテンショ
ンの大きさを２段階に変えた方が具合がよい。

第５図のコイルの例で説明すると、まず、ボビン２への
巻線時はボビン２が高速で回転するので小さめのテンシ
ョンを与えるのが好ましい。しかし、ワイヤ４をベース
１の溝1aに通してベース１に巻きつける際や、端子３を
巻きつける時点では、大きめのテンションをワイヤ４に
与える必要がある。もし、ボビン２への巻きつけ時と同
じ小さなテンションでは、第６図のようにワイヤ４がベ
ース１に密着せず弛みを生じることがある。このよう
に、ワイヤ４がベース１から浮いた状態にあると、ワイ
ヤ４がベース１から簡単に外れてしまう問題がある。

そこで本発明は、ワイヤに対し２段階のテンションを容
易に付与できるテンション装置の構成を提供しようとす
るものである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、スプリングで回転力を付与した第２の回転板
を従来の回転板の同軸上に取付け、この第２の回転板の
回転力を必要に応じてアームに伝達できるようにしたも
のである。

〔実施例〕

第１図は本発明のテンション装置の一実施例を示す正面
図、第２図はその平面図である。前述の従来例と共通な
部分には、これらの図においても同一符号を付し重複す
る説明は省略する。

本実施例のテンション装置が第７図の従来例と主に異な
るのは、第２の回転板20を設けた点にある。この回転板
20は、回転板10と同じ軸５上に回転自在に取付けてあ
り、回転板10よりも小径の円板形をしている。回転板20
にも、スプリング22によって回転板10と同じく矢印Ａ方
向の回転力が与えられている。回転板20はその外周の一
部に扇形の切り欠きからなる係合部28を有しており、回
転板20が回動したときに係合部28と係合できる突出部16
が回転板10の側面に突出させて設けてある。この突出部
16は回転板10にピンを回転するなどの方法で形成すれば
よい。

回転板20の上には、図で左右方向に移動する駆動体８が
設けてあり、回転板20の外周面に固定したレバー26が駆
動体８と当接できるようにしてある。９は二つのスプリ
ング12、22の一端を固定したホルダーである。スプリン
グ12、22の他端はそれぞれ回転板10、20の外周面に設け
られた溝14、24の中で回転自在に係止した連結片15、25
に連結してある。

次に、このテンション装置を備えた巻線機で第５図のコ
イルを巻線する場合の動作を説明する。

まず、第１図のようにエアーシリンダ等で駆動体８を左
方向に移動してレバー26を押すことにより、回転板20を
スプリング22に抗して回動し、ピン16と係合部28との係
合を解除する。この状態でボビン２に巻線を施す。この
ときにワイヤ４に作用するテンションは、第７図の従来
例と同じく回転板10とアーム６を介して加えられるスプ
リング12の弾性によるテンションＦ_１だけである。

ボビン２への巻線を終了したら、第３図のように駆動体
８をレバー26に当接しない位置まで右方向に移動する。
すると、回転板20はスプリング22の力で矢印Ａ方向に回
動し、係合部28がピン16に係合して、ピン16を矢印Ａ方
向に押圧する。このときワイヤ４に作用するテンション
は、スプリング12によるテンションＦ_１に、回転板20及
びピン16を介して回転板10に伝えられたスプリング22に
よるテンションＦ_２を加えたものになる。

このように、Ｆ_１＋Ｆ_２の一段と大きなテンションが働
いた状態でワイヤ４を端子３やベース１に巻きつけるこ
とにより、ワイヤ４の浮きや弛みのない巻線処理が可能
となる。

なお、第４図に示すように、小径の回転板20に代えて、
回転板10と同一寸法の回転板30を用いてもよい。この場
合、スプリング12とスプリング22に同じ強さのものを用
いれば、スプリング12によるテンションＦ_１とスプリン
グ22によるテンションＦ_２とがほぼ等しくなる。すなわ
ち、強弱の比が1:2の２段階のテンションを発生するテ
ンション装置を得られることになる。

実施例では突出部16を回転板10側に設け、突出部16に係
合する係合部28を第２の回転板20、30側に形成したが、
これとは逆に、回転板10に係合部28を、回転板20、30に
突出部16を設けてもよいのは勿論である。

〔発明の効果〕

本発明によれば、強弱２段階のテンションをワイヤに与
えられるテンション装置をきわめて簡単に構成できる。
コイルの線径に応じたテンションＦ_１の大きさは、ポー
ト９を移動しスプリング12の張り具合を変えて調節でき
るが、その際スプリング22によるテンションＦ_２も同時
に変わるので、このようなときでもテンションの強弱の
比はほぼ一定に保たれる。

このテンション装置を備えた自動巻線機によれば、必要
に応じてテンションの強弱を切り換えながら巻線できる
ので、ワイヤの弛みのない確実な巻線処理を行うことが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のテンション装置の一実施例を示す正面
図、第２図はその平面図、第３図は異なる動作状態にお
ける同装置の正面図、第４図はテンション装置の他の実
施例を示す平面図、第５図はコイルの一例を示す斜視
図、第６図はその拡大正面図、第７図は従来のテンショ
ン装置の正面図である。 ４……ワイヤ ６……アーム ７……ガイドローラ ８……駆動体 10……第１の回転板 12……第１のスプリング 16……突出部 20・30……第２の回転板 22……第２のスプリング 26……レバー 28……係合部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転自在な第１の回転板に一端が固定され
   たアームと、アームの他端に取付けられたガイドローラ
   と、第１の回転板にＡ方向の回転力を与える第１のスプ
   リングを備え、第１の回転板及びアームを介して第１の
   スプリングによって、ガイドローラを通したワイヤにテ
   ンションを与える巻線機のテンション装置において、第
   １の回転板の同軸上に回転自在に取付けた第２の回転板
   と、第１の回転板と同じＡ方向の回転力を第２の回転板
   に与える第２のスプリングとを設け、第１の回転板又は
   第２の回転板のいずれか一方に突出部を、他方には該突
   出部に係合可能な係合部をそれぞれ形成するとともに、
   第２の回転板を第２のスプリングに抗して所定の範囲回
   動し該突出部と係合部との係合状態を解除する機構を設
   けたことを特徴とする巻線機のテンション装置。
2. 【請求項２】第１のスプリング及び第２のスプリングの
   一端を共通のホルダーに固定した請求項１の巻線機のテ
   ンション装置。