JPS591778Y2 - 射出成形用金型 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金型閉合の際に確実に突出し板を押し戻すこと
のできる構造の簡単な機構を備えた射出成形用金型に関
するものである。

射出成形に於て金型から成形品を離型する方法としては
、金型開割の際に移動側金型の突出し板を移動させて突
出しピンやストリッパープレート等を突出して成形品を
押出す方法が多用されており、この場合成形品を離型後
突出し板を所定の位置に戻す方法としては雄型、雌型の
みからなる簡単な構造の金型の場合はリターンピンが用
いられ、一方スライドコア等を有しその為に金型閉合終
了前に突出し板を戻す必要のある場合は突出板と移動側
型板の間にスプリングを取付けて該スプノングの弾性力
を利用する方法や、カム、リンク或いは金型の開閉機構
とは別系統の油圧式突出し装置がリターンピンと併用さ
れ或いは単独で用いられていた。

然し乍ら、前記スプリングを用いる方法は機構が最も簡
単ではあるが耐久性に乏しく又多数のスプリングを使用
する場合は該スプリングの不均一な摩耗により作動が不
確実になる傾向があり、一方その他の方法では装置が複
雑になり又金型も大型にせざるを得ないという欠点を有
していた。

本考案は、スライドコア等を有しその為に金型閉合終了
前に突出し板を所定の位置に戻す必要のある場合に採用
される。

斜上の従来装置の欠点を解決せんが為になされたものに
してその要旨は、固定側金型には移動側金型に向って突
出し板戻しロッドが突設され、移動側金型の突出し板に
は突出し板戻しピンの一端が固定されその他端は移動側
型板に穿設された摺動孔に嵌挿され、該摺動孔は突出し
板戻しロッドと対向する位置に設けられ金型閉合時に突
出し板戻しロッドが嵌挿され得るものとなされており、
突出し板戻しロッド及び突出し板戻しピンの周壁は摺動
孔の孔壁に密接されており、摺動孔の奥部には金型外部
に連通ずる間隙が形成されている射出成形用金型に存す
る。

次に本考案金型の一実施例を図面により詳細に説明する
。

第１図乃至第３図は本考案金型の一例であり、又第４図
及び第５図は突出し板戻しロッド９及び突出し板戻しピ
ン１７を金型から取り出した状態の断面図であり、第１
図乃至第３図においてａは固定側金型、ｂは移動側金型
であって、第２図及び第３図に示す如く横方向に開割閉
合される。

射出成形機の射出ノズル（図示せず）からの溶融樹脂は
スプルー１、ゲート及びランナー（何れも図示せず）を
経て第１図に示す如く金型の閉合時に固定側型板２と移
動側型板３及びスライドコア４，４とにより形成された
形窩に流入し賦形されて成形品５となるようになされて
いる。

略筒状の成形品５の内面を成形する為の型面を有するス
ライドコア４，４は、それぞれに穿設された蟻溝及び移
動側型板３の外表面に突設された蟻柄（何れも図示せず
）により移動側金型すに取着されており、成形品５の内
面中央部で互に突き合わされている。

尚第１図乃至第３図では中心線を境にして上下異った断
面を示したので下方のスライドコアはその一部のみが現
われており、又、第２図及び第３図では便宜上１個のス
ライドコアのみが示されている。

一方固定側金型ａには移動側金型すに向がってフィンガ
ーピン６が外方に傾斜されて穿設されており、フィンガ
ーピン６は金型閉合の際スライドコア４に穿設されたピ
ン挿通孔７及び移動側金型すに穿設されたピン挿通孔８
に挿通されており、金型が開割して移動側金型すが移動
するとスライドコア４はフィンガーピン６により移動側
金型すに突設された蟻柄に摺動されて下方又は上方に移
動することになる。

９は固定側金型ａより移動側金型すに向い金型開割方向
に平行に突設された突出し板戻しロッドであり、扁平な
円柱状体１０と小径部１１とがらなり小径部１１の先端
には第４図に示す如くリング取付溝１２が全周に亘って
設けられ、該溝１２には溝深さより梢径の大きい弾性体
からなるリング１３が取付けられており、かくして突出
し板戻しロッド９は段部１４を有し固定側型板２に穿設
された嵌挿孔１５に嵌挿されて該段部１４により固定側
金型ａに固定されており、一方移動側型板３には突出し
板戻しロッド９と対向する位置に金型閉合時に突出し板
戻しロッド９が嵌挿摺動され得る摺動孔２１が穿設され
ている。

１７は突出し板戻しピンであり、１８は小径部で、該小
径部１８の一端には突出し板戻しロッド９の小径部１１
と同径にして扁平な円柱状体である摺動部１９が固定さ
れ、他端には摺動部１９と略同様な形状にして稍小型な
基体２０がボルト止めされており該基体２０は更に図示
しない押えボルトにより突出し板２２に螺着され、小型
部１８は前記摺動孔２１に連通された孔２３を介して摺
動孔２１に嵌挿され、金型開割閉合の作動時に摺動部１
９が摺動孔２１を摺動するが該摺動孔２１がらは離脱し
ない様になされている。

又摺動部１９には突出し板戻しロッド９の小径部１１と
同様に、第４図に示す如くその先端のリング取付溝に弾
性体からなるリング１３が取付けられている。

突出し板戻しロッド９及び突出し板戻しピン１７には実
施例の如く弾性体からなるリング１３を取付けるのが好
ましいが、前記ロッド９、ピン１７及び摺動孔２１が極
めて高い寸法精度で得られて気密性を保持する事ができ
ればリング１３を除力しても差支えない。

又これらロッド９、ピン１７及び摺動孔２１からなる突
出し板押し戻し機構は、例えばロッド９を固定側取付板
の上下左右対称的な位置に取り付ける等、複数組設けて
突出し板２２が円滑に押し戻されるようにするのが好ま
しい。

又、第３図において２４は摺動孔２１の奥部において、
摺動孔２１を外気に連通せしめる為移動側型板３に穿設
された環状間隙であす、２５は一端が突出し板２２に固
定された突出しピン、２６は移動側取付板、２７はエジ
ェクターロッドである。

上記構造の本考案金型の作動を説明すると、第１図の如
く固定側金型ａと移動側金型すとを閉合させ、射出ノズ
ル（図示せず）よりスプルー１を通して成形品形状の型
窩の内部に溶融樹脂を注入する。

次いで移動側金型すを横方向に移動させて開割すると、
スライドコア４，４が固定側金型ａから突設されたフィ
ンガーピン６に沿って且つ移動側金型すに突設された蟻
柄（図示せず）に沿って摺動して、成形品より離脱し、
次に第２図に示す如くエジェクターロッド２７の矢印方
向への移動により突出し板２２を介して突出しピン２５
で突出されて成型品５を離型する。

その後金型閉合作動に転じると、移動側金型すは次第に
固定側金型ａに近づきやがて第３図の如く突出し板戻し
ロッド９に摺動孔２１が嵌挿され、突出し板戻しロッド
９及び突出し板戻しピン１７夫々に取り付けられたリン
グ１３，１３により摺動孔２１内部は気密になされ、突
出し板戻しピン１７は摺動孔２１内の大気を介して突出
し板戻しロッド９によって相対的に押圧され、第２図、
第３図に於いて摺動孔２１内の摺動部１９より右方にあ
る大気の一部は環状間隙２４を経て金型外部に流出せし
められ、従って突出板戻しピン１７に固定された突出し
板２２は金型閉合の進むにつれて移動側取付板２６側に
押し戻され、同時に突出しピン２５も移動側型板３の型
面よりその頭部の引込めを開始するのである。

この時同時に、フィンガーピン６に挿通されたスライド
コア４，４もフィンガーピン６及び移動側金型すの蟻柄
に沿って閉合のため移動するが該コア４，４が互いに突
き合わされるのは固定側金型ａと移動側金型すとが閉合
されるのと同時であり、一方突出し板２２は金型閉合が
終了する以前に定位置迄押し戻されて移動側取付板２６
に当接され、従って突出しピン２５も金型閉合終了前に
移動側型板３の型面と面一になされ、スライドコア４゜
４か゛突出しピン２５に当接することの無い様に、フィ
ンガーピン６の角度、突出しピン２５の位置、長さ、並
びに突出し板戻しロッド９が突出し板戻しピン１７を作
動するタイミング等が設定されている。

しかして第３図の状態を経過後突出し板２２が移動側取
付板２６に当接したままの状態で、移動側型板３、突出
し板２１．移動側取付板２６が一体となって移動し金型
閉合が終了して第１図に示す如くなり、以下同様のサイ
クルを繰返す。

第１図の状態では摺動孔２１は環状間隙２４を介して金
型外部に連通されているので金型の開割はスムーズに行
われる。

本考案金型は斜上の構成になされているので、スライド
コア等が突出しピンやストリッパプレートに当る事のな
いよう、簡単な構造にして確実に金型閉合終了前に突出
し板を所定の位置に押し戻すことができるという効果を
奏する。

又、突出し板戻しロッド及び突出し板戻しピンに弾性体
からなるリングを使用した場合は、気密性が充分に保持
され、又耐久性も増して斜上の効果を一層顕著なものと
する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案金型の一実施例を示す縦断面
図にして、それぞれ中心線を境にして上下異った位置の
断面を示すものであり、第１図は金型閉合状態を示す図
、第２図は金型を開割し成型品を離型する状態を示す図
、第３図は金型を閉合しつつある状態を示す図、第４図
は突出し板戻しロッドのみを取り出して示す断面図、第
５図は突出し板戻しピンのみを取り出して示す断面図で
ある。 符号の説明、ａ・・・・・・固定側金型、ｂ・・・・・
・移動側金型、１・・・・・・スプルー、２・・・・・
・固定側型板、３・・・・・・移動側型板、４・・・・
・・スライドコア、５・・・・・・成形面、６・・・・
・・フィンガーピン、７・・・・・・４のピン挿通孔、
８・・・・・・ｂのピン挿通孔、９・・・・・・突出し
板戻しロッド、１０・・・・・・円柱状体、１１・・・
・・・９の小径部、１２・・・・・・リング取付溝、１
３・・・・・・リング、１４・・・・・・段部、１５・
・・・・・嵌通孔、１７・・・・・・突出し板戻しピン
、１Ｂ・・・・・・１７の小径部、１９・・・・・・摺
動部、２０・・・・・・基体、２１・・・・・・摺動孔
、２２・・・・・・突出し板、２３・・・・・・孔、２
４・・・・・・環状間隙、２５・・・・・・突出しピン
、２６・・・・・・移動側取付板、２７・・・・・・エ
ジェクターロッド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 固定側金型には移動側金型に向って突出し板戻しロ
   ッドが突設され、移動側金型の突出板には突出し板戻し
   ピンの一端が固定されその他端は移動側型板に穿設され
   た摺動孔に嵌挿され、該摺動孔は突出し板戻しロッドと
   対向する位置に設けられ金型閉合時に突出し板戻しロッ
   ドが嵌挿され得るものとされており、突出し板戻しロッ
   ド及び突出し板戻しピンの周壁は摺動孔の孔壁に密接さ
   れており、摺動孔の奥部には金型外部に連通ずる間隙が
   形成されている、射出成形用金型。 ２ 突出し板戻しロッドと突出し板戻しピンの先端部に
   弾性リングが取着されてなる実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の射出成形用金型。