JPS5915979B2 - 熱間圧延において圧延による疵発生の少ないステンレス合金 - Google Patents

熱間圧延において圧延による疵発生の少ないステンレス合金

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JPS5915979B2
JPS5915979B2 JP55090012A JP9001280A JPS5915979B2 JP S5915979 B2 JPS5915979 B2 JP S5915979B2 JP 55090012 A JP55090012 A JP 55090012A JP 9001280 A JP9001280 A JP 9001280A JP S5915979 B2 JPS5915979 B2 JP S5915979B2
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Description

【発明の詳細な説明】 ステンレス鋼のようなオーステナイト合金は従来より鋼
塊から分塊圧延する場合等で熱間加工性が悪く、割れを
起こし、特に高合金鋼になると大型鋼塊からの製造が困
難になることが知られ種種の研究がなされて来た。
こうして高合金鋼でも割れを防止する手段が講じられ、
製造不可というケースはまれになりつつあるが小さな割
れは発生することがある。一方連続鋳造が進むと共に厚
手鋳造材の熱間加工性にも共通の問題があり、小さな割
れ疵や後述するヘゲ疵を発生することがある。こうして
製造可否にかかわるような大きな割れの問題とは別に、
連鋳片や鋼塊のように凝固組織を熱間圧延する場合熱間
圧延後、酸洗すると板の表面に非常に浅いヘゲ疵が局部
的に散在し、局部手入や全面研削を必要とするケースが
厚板、薄板、パイプ等にみられる。これらのヘゲ疵は歩
留り低下はもちろん、精整再工程を必要とし、ひどい場
合には注文サイズに合わないで不合格となる。本発明者
はこの微少疵やヘゲ疵(以下ヘゲ疵という。)の原因を
追求していくうちにこれらは後述するような熱間加工性
が劣ることから生ずる一種の熱間加工割れであることを
見出した。これらのヘゲ疵は熱間加工性の点では製造可
否にかかわる程の問題ではないにしても、通常大量に生
産されるSUS3O4のような鋼種にも時時生ずること
から、大きな技術課題であると言わねばならない。例え
ばSUS3l6の連鋳片を全面2mm皮むきして、12
00℃以上に加熱後圧延した場合、ヘゲ疵発生のひどい
場合には酸洗後板の表裏面の主としてエッジサイド15
0mm程度に全面発生し、深さは最大2〜5mに達し、
数が多く密集している。従って製造するにはこの部分を
全面研削しなければならない。このようなヘゲ疵はホッ
トコイル等にも発生することがある。これらの現象につ
いて本発明者はヘゲ疵の実態、発生原因を鋼種、製造法
について詳細に検討した結果次の事項が明らかになった
1)ヘゲ疵は熱間加工中の変形能の低下にもとづく割れ
であり、凝固時のγ粒界に沿って発生する。
この点従来の割れと同じである。2)連鋳材、鋼塊材に
共通する現象である。
3)鋳造凝固時のγ粒界には主として硫化物が偏析し、
割れはこの硫化物に沿って起こっている。
すなわち、これらの割れは浅《、製造可否を決める程の
ものではなく、ある温度域で加工性が低下するための問
題であり、この観点から本発明者らは鋭意検討を重ねた
結果合金設計上の工夫や熱間加工中の工夫を厳密にする
ことで十分疵の発生を防止出来ることが判明した。即ち
、本発明は所望の目的を有する鋼を製造する際に、問題
となるヘゲ疵の発生を防止するため、Sと共にPや0に
着眼し、これらの元素にもとづ《合金成分の調整,を行
って、工業的に安価なステンレス鋼を製造することを目
的とするものであり、その要旨とするところは下記のと
おりである。(1)重量パーセントでCO.OOl〜0
.20係,Si’0.1〜6.0%,MnO.l〜10
.0%,Pく0.06%, S<0.01% , Cr
l5.O〜35.0係,NilO.O〜35.0係,N
O.OOl〜0.50%, O<0.01%に加えてM
O<6.0%,Cu4.O% , Nb<1.0%の何
れか1種又は2種以上を含み残呉実質的にFeからなる
ステンレス合金において、δAd= 3 ( Cr+M
O+1.5Si+0.5Nb) 2.8( Ni+”
/2Mn+’/2Cu)−84( C+N)−19.8
で決まるδdが4%以下で、かつ35×(チP)十25
0X(チS)+100x(チO)−0.IX(チδd)
く1.67を満たすことを特徴とする熱間圧延において
圧延による疵発生の少ないステンレス合金。
(2)重量パーセントでCO.OOl〜0.20チ,S
iO.l〜6.0%, MnO.l〜10.0% ,
P<0.06% , S<0.01%, Crl5.O
〜35.0係,NilO.O〜35.0係,NO.OO
l〜0.50% , O<0.01%に加えてMOく6
.0%,Cu<4.0% , Nb<1.0%及びSn
<0.1%の何れか1種又は2種以上を含み残部実質的
にFeかもなるステンレス合金において、δd=3 (
Cr+MO+1.5Si+0.5Nb)−2.8(N
i+”/2Mn+”/2Cu)−84( C+N)−1
9.8で決まるδdが4%以下で、かつ35X(%P)
+250X(チS)+100x(チ0)−0.1x(%
δd)−20X(チTi)−60×(%Zr)−600
x(%Ca)<1.67を満すようにTiO.OO5〜
0.i%,ZrO.OO5〜0.1% , CaO.O
OO5〜0.050%の1種以上を含有することを特徴
とする、熱間圧延において圧延による疵発生の少ないス
テンレス合金。
以下本発明を説明する。
上述したような割れに対する対策を検討するために本発
明者らは現場実験を重ねる一方で、研究手段として熱間
衝撃試験を実施して、割れ評点を現場実験結果と対応さ
せた。
その結果熱間衝撃試験の割れ評点を小さくするような諸
対策がヘゲ疵防止策になり得ることを確かめた。第1図
はこの対応を示している。
SUS3l6の厚板圧延でのヘゲ疵発生率(ヘゲ発生枚
数/圧延枚数)と熱間衝撃試験における平均評点(12
50℃加熱後空冷しつつ、1200℃,1150℃,1
100℃,1050℃でJISZ2242にもとづく熱
間衝撃を加えた試片の評点を合計した後試験本数で割っ
たもの)で1.5以下になるとヘゲ疵の発生はほとんど
生じない。
尚評点は、第2図に示すように割れなしをO、小さな割
れ発生を1、折れを5として、その間を2,3,4と区
分して評価している。このようにして熱間衝撃試験にお
ける評点と成分の関係を調べた結果第3図に示すように
割れを起こす主因はSであり、したがってS量が最も影
響することがわかると共に、Pも悪影響があることを見
出した。
更にOについても同様の傾向があることがわかった。し
たがってS,p,Oを極力低減することが効果的ではあ
るが限実的にはコストの大巾上昇をともなう。二方連鋳
片ならびに鋼塊のように凝固組織の特性を研究するうち
、オーステナイト合金の凝固時にS,p,O等が局部偏
析を起こしてγ粒界に偏析することから凝固時にδフエ
ライトが存在することが有効であることを確認した。
すなわちδd=3CCr十MO+ 1.5Si+0.5
Nb)−2.8(Ni+”/2Mn+’/2Cu)−9
8( C+N)−19.8で求まるδdが負から正に増
大するにつれてヘゲ疵が減少する(第4図)。しかしこ
のδdの効果もその値が4%を超えるとなくなり又Sや
P量で影響される。Sの悪影響を防止するには、Sその
ものを低減すると同時に安定な硫化物形元素であるZr
,Ca,Ti等の添加が効果的である(第5図)。ただ
これらの元素は極めて活性であり、ノズル詰りの原因に
もなりやすいので、なるべく微量添加が望まし《、かつ
複合添加が望ましい。もち論これらの添加の前にはSi
,Mn、や微量A7により十分脱酸しておくことが必要
である。このようにして高合金鋼の熱間加工温度での変
形能低下に原因するヘゲ疵や割れ疵の防止に対して有効
な手段を求めて研究しすでに述べた通りδD,S量、P
量、0量や硫化物安定化元素の添加等の影響を定量的に
把握した。
以上の要因を織り込んで要因分析を繰り返し、最も経済
的にヘゲ疵防止を達成する定量的対策を検討した結果、
以下の数式を満すように合金設計し、かつ微量元素を添
加することが極めて有効であることが判明した。
熱間衝撃平均評点をYとすると、 Y=a+35x(%P)+250X〔%s)−+−TO
Ox(%O〕−0.1x(%δCnll!)−20xC
%Ti〕−60x〔%Zr)−600X(%Ca)であ
らわされる。
ここに成分量は重量係であり、〔チδi)=3 ( C
r十MO+1.5Si+0.5Nb)−2.8CNi+
1/2Mn+’/2Cu) −84(C十N)−19.
8である。ここに定数aは合金量や脱酸元素と量によっ
て影響をうけるがその程度は小さく、a=−0.17で
表わし得る。この評点Yが1.5以下においてヘゲ疵の
発生がないことから結局1.67く35x(%P)+2
50x(o!)S)+XOOx(%0)−0.IX(%
δ!)−20(%Ti)−60(%Zr)−600X(
%Ca)を満すことが必要である。
以上の式から明らかなようにP,Sや0が極めて低い場
合でδ(0n1(イ)が正で大きい場合には硫化物安定
化元素は不要であったり、わずかな添加や脱酸度の調整
で上式を満すが、PやSを低減してもオーステナイトが
安定でδdが負の場合にはTi,Zr,Ca等の相当量
の添加や複合添加の必要なことを示している。
こうして割れ原因を根本的に追求した結果、合金成分か
ら直接判定し得るところまで定量化、数式化した点に特
徴があり、数式にしたがって、P,S量や0量及びδd
をもとに必要とされる微量添加成分量が判定し得ること
になり、熱間加工性の対策を確立した。
このようにして熱間加工性の良否を定量化したことで、
種種の用途に使用されるステンレス鋼例えば耐熱用なり
、耐食用なりの合金設計の場合にもそのベースとして活
用出来ることになる。
以下に本発明の構成要件の限定の根拠について除べる。
Cは耐食性には低い程よ<0.001%を下限とし耐熱
性については多い程よ<0.20%を上限とした。
Siは0.1%未満では脱酸が不十分であり、他方耐酸
化性の点では多い程望ましいが、6係をこえると脆化が
大きくなるので上限を6係とした。
Mnも0.1%未満では脱酸が不十分であり、他方オー
ステナイトの安定化には多い方が望ましいが、効果が飽
和するので上限を10%とした。Pは低ければ低い程望
ましくしたがってPOO6係以下とした。
これを超えると耐食性が劣化する。Sは凝固時γ粒界に
偏析してヘゲ疵の主因となるので、低ければ低い程望ま
しく、80.01%以下とした。
これを超えると他の手段を講じても熱間加工性が悪い。
0もSと同様にヘゲ疵を助長し、低い方が望ましく、精
錬法や脱酸法で低減する。
したがって0は0.01係以下とした。Crはステンレ
ス鋼としてその耐食性の点から15%以上は必要で35
係をこえると加工が困難となる。
Niは高合金オーステナイトステンレス鋼としての組成
安定化のために必要であるが、例えばSUS3l6等の
高合金鋼ではJIS規格にあるように10.0%以上が
必要であり、一方35係を超えると高価になるので、上
限は35.0%とした。
MOはステンレス鋼の耐酸性、耐孔食性を高める上で有
効で用途によって6係まで選択添加し得る。
Cuも耐酸性に有効で用途によって4係まで選択添加出
来る。
Nはオーステナイトフオーマ一として有効であるが0.
5係をこえると気泡を発生する。
下限は0.001%としたがこれ以下は技術的に困難で
ある。Nbは炭化物安定化元素として有効で用途によっ
て選択添加する。
1係以下としたのはこれを超えると脆化するためである
以上の成分はδd= 3 ( Cr+MO+ 1.5S
i+0.5Nb)−2.8(Ni+’/2Mn+’/2
Cu)−84(C十N)−19.8で示されるδdを通
してヘゲ疵に影響する。
δdが負である程粒界偏析成分を低減あるいは硫化物安
定化対策を強化しないとヘゲ疵発生が起こりやすく、δ
dが正になると、凝固時SやPやOの分布を均一化して
効果的であるが4を超えると逆に悪化する。Tiは硫化
物を安定化して効果があり、Pの高い場合にも、Sと結
合して、δdと相まってヘゲ発生を防止する。
下限0.005%未満では効果が小さく、0.1係をこ
えると効果が飽和する。Zrも同様の作用を何し、下限
0.005%未満では効果が小さく、0.1%をこえる
と効果が飽和する。Caも同様の作用を有し、下限0.
0005%未満では効果が小さく、0.050%をこえ
ると効果が飽和する。
耐食性の点でSnの選択添加が望まし<0.1%をこえ
ると効果が飽和する。
次に本発明の実施例について説明する。
表1に示す通り本発明鋼A−Gは電気炉一AOD、ある
いは電気炉一VACで溶製され、必要なTi,Zr,C
aは電気炉中、AODあるいはVAC内、あるいは取鍋
に塊状及び粉体(Arをキャリヤーにして)で添加され
た。
その後、連鋳片あるいは鋼塊とされて熱間加工にまわさ
れたが、連鋳片では厚板のヘゲ疵が対象になり分塊材で
は割れ、ヘゲを含めた研削率が対象にされた。比較鋼は
同一の製造ルートを経たものである。表中の指数Yは前
述した通り、Y=35X[%P)+250X〔係S)+
100X〔係0)−0.IX〔係δAyl〕−20x(
%Ti)−60x[%Zr]−600x[%Ca)−0
.17に相当するものである。本指数が1.5より小さ
い本発明鋼はヘゲ発生率や研削率がきわめて小さくなる
が、1.5よりも大きい比較鋼はヘゲの発生や研削率が
大きい。以上の実施例からも明らかな通り、高合金鋼の
熱間加工性を根本的に解決した技術である。本発明は熱
間加工性の基本にさかのぼるもので、鋼種としてはステ
ンレスをはじめ高合金鋼には基本的に成立し、かつ一つ
の数式で表わせるところに特徴がある。さらに本発明は
プロセスに関しても、溶製法.凝固法.加熱圧延法ある
いは加熱をしない連鋳一直接圧延にも適用されうる。
又製品の種類としては板、条、線、管の何れにも適用さ
れ5るものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は熱間衝撃テストの平均評点とSUS3l6厚板
でのヘゲ発生比率の関係を示す図、第2図は熱間衝撃試
験片の割れ評点を示す金属断面模式図、第3図は熱間衝
撃テストの平均評点に対するS@とP(イ)の影響を示
す図、第4図は熱間衝撃テづトの平均評点に対するδd
の影響を示す図、第5図は熱間衝撃テストの平均評点に
対する硫化物安定化元素添加の効果を示す図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量パーセントでC0.001〜0.20%、Si
    0.1〜6.0%、Mn0.1〜10.0%。 P≦0.06%、S≦0.01%、Cr15.0〜35
    .0%、Ni10.0〜35.0%、N0.001〜0
    .50%、0≦0.01%に加えてMo≦6.0%、C
    u≦4.0%、Nb≦1.0%及びSn≦0.1%の何
    れか1種又は2種以上を含み残部実質的にFeからなる
    ステンレス合金において、δcal=3(Cr+Mo+
    1.5Si+0.5Nb)−2.8(Ni+1/2Mn
    +1/2Cu)−84(C+N)−19.8で決まるδ
    calが4%以下で、かつ35×(%P)+250×(
    %S)+100×(%O)−0.1×(%δcal)≦
    1.67を満たすことを特徴とする熱間圧延におおいて
    圧延による疵発生の少ないステンレス合金。2 重量パ
    ーセントでC0.001〜0.20%、Si0.1〜6
    .0%、Mn0.1〜10.0%、P≦0.06%、S
    ≦0.01%、Cr15.0〜35.0%、Ni10.
    0〜35.0%、N0.001〜0.50%、0≦0.
    01%に加えてMo≦6.0%、Cu≦4.0%、Nb
    ≦1.0%及びSn≦0.1%の何れか1種又は2種以
    上を含み残部実質的にFeからなるステンレス合金にお
    いて、δcal=3(Cr+Mo+1.5Si+0.5
    Nb)−2.8(Ni+1/2Mn+1/2Cu)−8
    4(C+N)−19.8で決まるδcalが4%以下で
    、かつ35×(%P)+250×(%S)+100×(
    %O)−0.1×(%δcal)−20(%Ti)−6
    0×(%Zr)−600(%Ca)≦1.67を満すよ
    うにTi0.005〜0.1%、Zr0.005〜0.
    1%、Ca0.0005〜0.050%の1種以上を含
    有することを特徴とする、熱間圧延において圧延による
    疵発生の少ないステンレス合金。
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