JPS5915829B2 - インク噴射式記録装置に於ける偏向電極及びその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 １０本発明は、インク噴射式記録装置に於て、ノズルか
ら噴射されたインクの粒子を静電偏向せしめる偏向電極
、並びにその製造方法に関する。

インクを静電力、電磁力、超音波力、その他諸諸の力に
よつて細いノズルから噴射して文字或い１５は図形等を
記録紙に記録するインク噴射式記録装置は、高速記録が
可能でしかも運転騒音が少いなどの長所を持つことから
、電子計算機の出力装置等として利用されはじめている
。第１図は、インク噴射式記録装置の一方式によフｏ
る原理図を示すもので、図中１はインクカートリッジ等
のインク供給源であり、この供給源１からのインクはポ
ンプ２を介してノズル３へ送られるが、この際、ノズル
先端面でインクがメニスカス状になる様に微少な圧力が
ポンプ２によりインク、！５ に与えられる。

４は高電圧発生回路であり、ノズル３に高電圧が印加さ
れると、接地された加速電極５との間に強い静電界が発
生され、ノズル３の先端からインクが荷電されたインク
粒子ｄとなつて引き出される。

引き出されたインク粒子ｄは偏一 ■０ 向電極６内を
通過するが、この際、所望の文字、記号等の文字′ゞタ
ーンに相応した偏向信号が偏向信号発生回路Ｔから前記
偏向電極εに与えられる。／そしてインク粒子ｄは偏向
電極６により前記文字パターンに応じて偏向制御され、
記録紙８上に文こ ’５ 字等を記録する。

一方、文字記録に使用されない不要インクはターゲット
９に向けられる。前記記録紙８はプラテン１０によつて
送られるもので、■３一このプラテン１０はモータドラ
イブ回路１１からの信号で稼動するモータ（図示せず）
により回転駆動される。

前記モータドライブ回路１１は制御回路１２によつて制
御されるもので、この制御回路１２は更に、前記偏向信
号発生回路７及び前記ポンプ２の駆動を行うポンプドラ
イブ回路１３を夫々制御するものである。このようにし
て制御回路１２の各部制御により所望の文字、記号等を
記録紙上に記録するようになつている。この種のインク
噴射式記録装置に使用されている従来の偏向電極は第２
図に示される如く、例えば角柱形状の単体で形成され、
相対向する水平偏向電極対Ｘ，．Ｘｌと相対向する垂直
偏向電極対Ｙ，Ｙ′とがインク粒子の通過部領域を残し
て互いに直交するような位置関係で配置されており、各
電極の偏向先端面ｆは偏向電極を形成する単体素材の生
地で何ら表面処理が施されておらず単に平担に形成され
ているにすぎないものであつた。

従つて、ノズルからのインク噴射時に文字等の記録に供
されるインク粒子の他に発生される細かい分裂微粒子（
以後２次エミツシヨンと称する）、振動、或いはその他
の原因によつて、インク粒子の通路近辺に配置された部
品、特に偏向電極にインクの粒子が付着し、この付着し
たインク粒子により静電界が乱され、安定、均一な記録
動作を行うことが困難であつた。上記の問題を解決する
ためには上記２次エミツシヨンの発生等を防止して偏向
電極へのインク粒子の付着を無くせばよいが、これを完
全に防止することは技術的に極め゛Ｃ困難である。

従つて、安定した記録動作を維持するためには偏向電極
に付着した不要なインク粒子を迅速、且つ、確実に除去
することが必要となる。本発明は、上記の点に鑑みてな
されたもので、第一の目的は付着インクの導出排除機能
に優れた偏向電極を提供することにあり、又、第二の目
的は上記偏向電極を合理的、且つ、高精度に、しかも安
価に製造する製造方法を提供することである。

以下、本発明の実施例を第３図及至第８図を用いて説明
する。第３図及び第４図において、Ｙ１′は後述する偏
向電極部材から切断された状態の偏向電極の−部（例え
ば第２図において垂直偏向電極Ｙに相当する）である。

ｐはこの偏向電極Ｙ／の一部を構成する薄い金属板（厚
さ約０．２關）で、この金属薄板ｐはほぼ八角形状の幅
広部１と、この幅広部１の一辺から外方へ延出した矩形
状の舌片部２と、この舌片部２と相対向する辺から延出
し、図示しない連結部に結合する結合部３とから一体に
形成されている。幅広部１のほぼ中央部にはネジ止め用
の円孔４が形成され、又、前記舌片部２にはその延出方
向に舌片部２の長さにほぼ等しい長さの細いスリツト５
が形成されている。そしてこの舌片部２の長さの異なる
薄板が３種類用意され、前記舌片部２の長さの長い薄板
ａと短い薄板ｂとを複数枚交互に積設し、この両側に前
記舌片部の長さが薄板ａ（５ｂの中間の長さを有する薄
板ｃを並設して全体を積層することにより前記偏向電極
Ｙ／が形成されるものである。尚、相互に積層された複
数枚の薄板は特に意図しなくても薄板自体の歪み等によ
り微細な間隙が形成される。

上記偏向電極の主要部寸法は舌片部の長さｌ：約２ｍｍ
１同幅Ｗ：約１．２ｍｍ１同厚さｔ：約０．２７！Ｌ７
ｌＬであるがこれは一例にすぎない。

かような構造の偏向電極において、インク噴射時に前記
２次エミツシヨン、振動、或いはその他何らかの原因に
より上記偏向電極の偏向面にインク微粒子が到達され付
着すると、この不要インク粒子は積層薄板相互間に形成
された微細な間隙によつて生じる毛細管作用で偏向面よ
り確実に吸引排除される。

又、薄板に形成されたスリツトにより前記微細な間隙と
同様毛細管作用による付着インクの吸引が効果的に行わ
れる。更に、薄板の舌片部の長さが交互に異なつている
ので、偏向面に付着したインクの補捉、吸引が迅速且つ
連続的に行われるものである。従つて、偏向電極の偏向
面に付着したインク微粒子は、迅速、適確、且つ、連続
的に吸引排除され、記録動作上の静電界の乱れによる悪
影響等を完全に除去し得る偏向電極を提供できる。

次に、かような偏向電極の製造手順を説明する。

第５図において、ｑは上記偏向電極の一次加工素材であ
り、前記金属薄板ｐが水平及び垂直の各偏向電極対Ｘ，
Ｘ′，Ｙ，Ｙ′に対応して互いに９０゜の位置関係で結
合部３を介して連結部６により一体に連結されている。
この一次加工素材ｑはステンレス等の金属薄板からフオ
トエツチング加工処理により切り出される。そしてこの
一次加工素材ｑは前記金属薄板ｐの舌片部２の長さが異
なる金属薄板Ａ，ｂ，ｃに対応して３種類準備される。
フオトエツチング加工により金属の薄板から切り出され
たこれら３種類の一次加工素材は所定の順序で（第３図
及ひ第４図串照）所定枚数重ね合わされ、後述する偏向
電極部材を形成する。第６図において、Ａはインク噴射
式記録装置の録字ヘツド部本体、Ｂはこの録字ヘツド部
本体Ａ内に配置されたインク噴射用ノズル、Ｃはこのノ
ズルへ所定圧力下でインクを供給するインク供給管、Ｄ
は前記ノズルＢの前方に位置し、ノズルＢから噴射され
たインク粒子を加速するための加速電極、Ｅは前記一次
加工素材を所定枚数積層して形成された偏向電極部材、
Ｆはこの偏向電極部材Ｅを保護するための偏向電極保護
部材、Ｇは前記録字ヘツド部本体Ａに形成された溝によ
り前記偏向電極部材Ｅを装着するための偏向電極受け部
、Ｈはネジ止め用のネジである。まず、前記偏句電極部
材Ｅは前記幅広部１の円孔４で位置決めされた後、偏向
電極保護部材Ｆと共に録字ヘツド部本体Ａの偏向電極受
け部ＧにネジＨにより固定される。

次いで前記偏向電極部材Ｅを結合部３で切断し、水平及
び垂直の各偏向電極対を連結部６より切り離す。この際
、各偏向電極対は幅広部１の所定個所におけるスポツト
熔接或いは結合部３の切断面における半田付けで一体的
に結合される。以上の工程で上記実施例の偏向電極の製
造を完成するものである。

第７図及び第８図は夫々本発明偏向電極の他の実施例に
おける一次加工素材及びこれより形成された偏向電極部
材の組立外観図を示すもので、第７図における一次加工
素材ｑにおいては前記実施例における一次加工素材ｑの
如く幅広部１に円孔４が形成される代りに幅広部１の両
側端に切欠き部Ｋが形成される。

この一次加工素材ｑ′は前記一次加工素材ｑと同様フオ
トエツチング加工処理により金属の薄板より切り出され
る。かような一次加工素材ｑ′を前述の如く所定枚数、
所定順序で積層して偏向電極部材Ｅ／を形成する。一方
、録字ヘツド部本体Ａに形成される偏向電極受け部Ｇ′
には前記偏向電極部材Ｅ／の切欠き部Ｋが装着されるよ
うな突部Ｋ′が形成される。前記偏向電極部材Ｅ′の切
欠き部Ｋ及び前記偏向電極受け部Ｇ′の突部Ｋ′を利用
して前記偏向電極部材を位置決め後、ネジＨにより偏向
電極部材Ｅ′を偏向電極保護部材Ｆと前記偏向電極受け
部Ｇ′で挟持する。しかる後の手順は前記実施例と同様
に行い、本発明の他の実施例における偏向電極を得るも
のである。尚、偏向電極部材の位置決め手段及び取り付
け手段は上記２つの実施例に限られるものではなく、要
は正確な位置決め並びに確実な取り付けがなされる他の
手段を応用して良いことは言うまでもない。

本発明の偏句電極の製造方法によれば、幅広部１と舌片
部２と結合部３とからなる金属薄板Ｐ，ｐ２は連結聞６
により一体に連結されてフオトエツチングで切り出され
るので扱いやすく、積層並びに一体的結合操作が極めて
容易である。

又、水平、垂直の各偏向電極対の位置関係がフオトエツ
チング加工で決められるため極めて精度の高いものが得
られ、信頼性の高い均質で安価な偏向電極を製造できる
ものである。以上、説明したように、本発明によれば所
期の目的を達成した満足すべき偏向電極と、その製造方
法を市場に提供することができる。

尚、上記２つの実施例においては、スリツトをすべての
薄板に形成しているが、一枚おきに或いは外側の両薄板
のみにスリツトを形成しても良いものである。

又、薄板の舌片部の長さを交互に変えずに舌片部の長さ
を全て同じものを複数枚積層してもよい。更に、薄板の
積層枚数、薄板の舌片部並びに幅広部の形状、寸法、舌
片部におけるスリツトの位置並びにスリツトの本数等も
限定されるものではないことは勿論のことである。又、
本発明の偏向電極は静電界方式によるインク噴射式記録
装置の偏向電極のみならず、帯電量制御方式によるもの
、その他全てのこの種の記録装置の偏向電極に利用し得
ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図はインク噴射式記録装置の一方式による原理図、
第２図は従来の偏向電極の外観略図、第３図及び第４図
は夫々本偏向電極の一実施例における一部外観図及び一
部断面図、第５図は本偏向電極の−実施例における一次
加工素材の正面図、第６図は本偏向電極の一実施例にお
ける偏向電極部材の組立外観図、第７図は本偏向電極の
他の実施例における一次加工素材の正面図、第８図は本
偏向電極の他の実施例における偏向電極部材の組立外観
図。 １・・・・・・幅広部、２・・・・・・舌片部、３・・
・・・・結合部、４・・・・・・円孔、５・・・・・・
スリツト、６・・・・・・連結部、Ｐ，ｐ′・・・・・
・金属薄板、Ｑ，ｑ′・・・・・・一次加工素材、１・
・・・・・舌片部の長さ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 帯電されて飛翔するインク粒子を偏向する偏向電極
   が、インク粒子の飛翔経路近傍に備えられたインク噴射
   式記録装置に於いて、舌片部を有する略同一形状の金属
   薄板の面をインク飛翔経路に対して直交する向きに、多
   数枚積層して設けられ、この積層された金属薄板の毛細
   管作用により前記舌片部の先端に付着したインクを吸引
   排除するインク噴射式記録装置に於ける偏向電極装置。 ２ 次の各工程からなるインク噴射式記録装置に於ける
   偏向電極の製造方法。 イ、一枚の薄い金属板から、一対の対向する偏向電極の
   離間間隔に相当する分だけ先端が相互に離間した舌片部
   を有する少なくとも一対の金属薄板部を連結部により連
   結した状態で一体的に切り出す第１の工程。 ロ、前記第１の工程により切り出された部材を所定要枚
   数互いの金属薄板部が重なるように積層して結合し、前
   記インク噴射式記録装置の所要位置に固定する第２の工
   程。 ハ、前記第２の工程により固定された部材から前記積層
   された金属薄板部を偏向電極として残し前記連結部を切
   除する第３の工程。