JPS5912455Y2 - シ−ル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ４サイクル・レシプロエンジンのクランク室のように、
回転部材であるクランクシャフトの回転時には潤滑油が
飛散され、クランク室内は低圧のミスト状態で回転部材
の潤滑が行われ、回転部材の停止時には常圧に復帰して
クランク室内外に圧力差が生じないような回転機器にお
いて、回転部材と機器の固定部材の対向部から液体洩れ
のないように封止するシール装置として、フエルトを使
用したシール装置は最も廉価で簡易なシール装置として
広く使用されている。

フエルトあるいは繊維状多孔質の物質よりなるシール部
材はシール装置に用いて相手部材と摺接しても相手部材
を摩耗させることが少く、潤滑油等の液体を吸収保持し
て潤滑性も良好であるが、液体の吸収保持が飽和状態に
達すると、僅かの圧力変化によって吸収している液体を
機器の外部に漏洩させる欠点がある。

本考案はフエルトあるいはその類似多孔質材料をシール
部材として使用するシール装置において、該シール部材
を回転部材側に固着して回転部材ど共に回転させるとと
もに、回転部材の回転中心軸に関しシール部材の半径方
向外方に、液体を機器内部方向へ誘導する案内通路を形
或し、前記シール部材の回転中遠心力によってシール部
材に吸収されている液体を飛散させ、前記通路によって
機器内部に液体を戻すようにしたものである。

第１図はレシプロエンジンのクランク室壁１に構威され
た固定部材とクランク軸２に構或された回転部材との間
に形或され、クランク室３内の潤滑油が外気４側に洩れ
ないようにするシール装置に施した実施例を示すもので
、フエルトよりなる環状のシール部材５は、クランク軸
・２に螺着等により固定されたホルダ部材６の外周にク
ランク軸２の回転中心軸Ｏ−Ｏの半径方向に延在する周
壁７，７間にその内周縁を固定され、該シール部材５の
外周縁部はその一側面においてクランク室壁１の開口部
８に固着せしめたリング部材９の前記軸Ｏ−Ｏに垂直な
面に形或した保合面１０に摺接せしめるように構成され
ている。

前記リング部材９の保合面１０に連設され、がっシール
部材５に関し前記軸Ｏ−Ｏに関し半径方向外方に、シー
ル部材５と対向せしめて筒面状の案内壁１１を前記シー
ル部材５の周壁より僅かな間隙を存せしめて形威し、前
記案内壁１１および前記間隙をクランク室３内に潤滑油
を導く案内通路とする。

上記構或のシール装置において、クランク室３内におい
てクランク軸と軸受間の潤滑に使用される潤滑油は油滴
となってクランク室３内に浮遊し、シール部材５に吸収
され保有されるが、該潤滑油はクランク軸２の回転に伴
って遠心力により回転中心軸Ｏ−Ｏに関し半径方向外方
に飛散せしめられ、案内壁１１によりクランク室３内に
戻されるので、シール部材５は潤滑油によって飽和状態
となることなく、仮にクランク軸２の停止中に潤滑油を
吸収して飽和状態になったとしても、クランク軸２の回
転によって潤滑油を放出するから、クランク室壁１とク
ランク軸２との対向面から潤滑油を漏洩させることはな
い。

そして前記案内壁１１はシール部材５の周壁との間に僅
かの間隙を存せしめて形或したから、遠心力によりシー
ル部材５から分離飛散せしめられて案内壁１１に付着し
た油滴は、前記間隙の存在により直ちにシール部材され
ることなく案内壁１１に沿ってクランク室３内に戻され
る。

さらにシール部材５はリング部材５の回転中心軸Ｏ−Ｏ
に垂直な面に形威した保合面１０に摺接せしめられ、シ
ール効果を維持せしめている。

第２図は上記実施例の変形例を示すものであって、上記
実施例においては固定部材の開口部８に固着せしめたリ
ング部材９にはシール部材５が摺接せしめられるべき軸
Ｏ−Ｏに垂直な係合面１０と、該面に連設される筒面状
の案内壁１１とが形威されているが、本変形例において
はこれら係合面１０および案内壁１１に相当する要素と
して前記回転中心軸Ｏ−Ｏに垂直な面に形威した係合面
１４、および該軸Ｏ−０を中心とし、かつクランク室３
側に次第に半径を大とする截頭円錐面状の案内壁１２を
形或するとともに、フエルトよりなるシール部材１３に
は前記保合面１４に摺接する前記回転中心軸Ｏ−Ｏに垂
直な面と、前記案内壁１２と僅がの間隙を存せしめて該
壁と平行する面をその外周縁に形或したものである。

本変形例によるときは、クランク軸２の回転に伴う遠心
力によってシール部材１３から飛散せしめられる潤滑油
は截頭円錐面状の案内壁１２により、該壁１２とシール
部材１３との間に形或される間隙を通ってクランク室３
内に戻される。

またシール部材１３は前記保合面１４に摺接せしめられ
るので、回転部材と固定部材間の封止も充分に行われる
。

本考案においては、機器の回転部材と固定部材との間の
液体の洩れを封止する装置において、回転部材にその回
転中心軸に垂直方向の壁を有するホルダ部材を固着し、
該ホルダ部材の壁にフエルトまたは類似多孔質材料から
なる環状のシール部材の内外の周縁部の何．れか一方の
周縁部を固着するとともに、他方の周縁部を対向する固
定部材の前記回転中心軸に垂直な面に形威した保合面に
摺接せしめ、前記シール部材の前記回転中心軸より半径
方向に遠い側の周縁部には、該周縁部に対向せしめて液
体を機器内部へ移送する案内通路を形或する壁を前記シ
ール部材の周壁より僅かの間隙を存せしめて形或したも
のであるから、回転部材と固定部材との対向面に介装摺
接されるシール部材は液体を吸収して洩れを防止するこ
とは従来と異らないが、シール部材は回転部材と共に回
転され、シール部材に吸収される液体はシール部材の回
転に伴って遠心力によって回転部材の回転中心軸に関し
半径方向に飛散せしめられ、シール部材は液体によって
飽和状態にならないようにされるので、機器内部が若干
外部雰囲気より高圧になってもシール部材から容易に液
体が漏洩することなく、かつ遠心力によって飛散せしめ
られた液体は、シール部材の外周縁より回転中心軸に関
して半径方向外方の対向する位置に形或した案内通路に
より機器内部に戻されるので、回転部材と固定部材との
対向面間の液体洩れの封止効果はフエルトのような安価
なシール部材を用いていても極めて優れたものとするこ
とができる。

そして前記案内通路は、シール部材の周壁と僅かの間隙
を存せしめて形或した壁により構或されるので、シール
部材から遠心力により飛散せしめられた液体は直ちにシ
ール部材に吸収されることなく前記通路により機器内部
に戻され、またシール部材の周縁部は固定部材の前記回
転中心軸に垂直な面に形或した保合面に摺接せしめられ
るからシール効果は維持される。

その上シール部材の製造時に寸法誤差があったとしても
、回転部材への取付けにあたって、直径方向の誤差は案
内通路との間の間隙で吸収され、幅方向の誤差は固定部
材の保合面との摺接圧が若干変るのみでシール効果には
全く影響を与えることがない。

なお本考案においてフエルト類似する多孔質材料として
、繊維質材料を使って多孔質のシート状に形或したもの
のほか、ゴム、合戊ゴム等の通気性発泡体も繊維状多孔
質材料に類似する性質を有するから、これらもシール部
材として使用することが可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであって、第１図はそ
の一実施例の断面図、第２図はその変形例の断面図であ
る。 なお図中、１は固定部材、２は回転部材、５，１３はシ
ール部材、６はホルダ部材、１０， １４は係合面、１
１， １２は案内壁を夫々示すものである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 機器の回転部材との対向面にフエルト等のシール部材を
   配設して液体の洩れを封止する装置において、 回転部材にその回転中心軸に垂直方向の壁を有するホル
   ダ部材を固着し、 該ホルダ部材の壁にフエルトまたは類似繊維状多孔質材
   よりなる環状のシール部材の内外の周縁部の何れか一方
   の周縁部を固着するとともに、他方の周縁部を対向する
   固定部材の前記回転中心軸に垂直な面に形或した係合面
   に摺接せしめ、゛前記シール部材の前記回転中心軸より
   半径方向に遠い側の周縁部に対向する部材には、該周縁
   部と対向する位置に液体を機器内部へ移送する通路を形
   或する壁を前記シール部材の周壁より僅かの間隙を存せ
   しめ、形或し、前記シール部材の回転中に該シール部材
   に吸収されている液体を遠心力により飛散させ、前記通
   路を介して機器内部へ移？せしめるようにしたことを特
   徴とするシール装置。