JPS5853162Y2 - 鋳込スリ−ブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はダイカストマシンに用いられる鋳込スリーブに
関するもので、特に鋳込スリーブ内における溶湯の温度
低下防止とスリーブとプランジャとの適正クリアランス
を保持するようにした鋳込スリーブに関するものである
。

ダイカストマシンは金型に付設された鋳込スリーブ内に
溶湯を貯溜し、射出プランジャを介して溶湯をキャビテ
ィに充填し、鋳造品を得る。

かかる鋳込スリーブは、内部に貯溜された溶湯の温度低
下を防止するためにスリーブ外周に誘導加熱装置等の加
熱装置を設けている。

このため鋳込スリーブの射出プランジャと摺合するライ
ナとしては膨張率の低い特殊な材料、例えばセラミック
等の焼結材料等を用いて精度維持を図っている。

かかる従来の鋳込スリーブライナ材は焼結材料等で製作
しているため、製作上長さに制約があり、このため長尺
な鋳込スリーブを製作する場合ライナは複数個に分割し
て組み合せる必要がある。

このためライナ材の分割部の夫々に熱膨張を吸収するた
めのクリアランスを予じめ設けなければならず、製作、
組付等の精度管理が面倒、煩雑であること、ライナ材が
割れ易く、製作、組付等で細心の注意を必要とし、総合
的には最良といえないこと、コスト的に高くなってしま
うこと等々の問題がある。

そこで鋳込スリーブのライナ材を耐熱鋼で用いることが
望ましいが、熱膨張率が高く、溶湯貯溜時にプランジャ
とライナ間に適正なりリアランスを確保することが困難
であること、クリアランスを確保すべくライナ材の温度
制御、即ち冷却等した場合には溶湯に凝固膜の発生が多
くなり、鋳造品の品質が低下する虞れがあること等の問
題がある。

本考案者等は鋳込スリーブにおける以上の如き問題点に
鑑み、これを有効に解決すべく本考案をなしたもので、
その目的とする処は、プランジャと摺合するライナとの
間のクリアランスを適正に保持し、且つ溶湯の温度低下
を防止する如くし、以上を焼結体等を用いることなく一
般の耐熱鋼を用いて鋳込スリーブ用ライナを得せしめる
如くしたダイカストマシン用の鋳込スリーブを提供する
にある。

次に本考案の好適一実施例を添付図面に従って詳述する
。

第１図はダイカストマシンの鋳込スリーブ部分の縦断面
図、第２図は第１図２−２線断面図である。

ダイカストマシン１は上型２及び下型３を備え、上・下
型２．３間には製品キャビティ４が形成され、ランナ５
を介して所間の偏した部位には溶湯移動用空所６が設け
られ、空所６の実施例では下型３に射出スリーブである
鋳込スリーブ７が縦設され、スリーブ７は外側の本体８
と内側のライナ９とからなり、ライナ９内には射出プラ
ンジャ１０が摺動自在に嵌合されている。

ライナ９は一般の耐熱鋼（ＳＫＤ）等で形成され、円周
方向は勿論、軸方向も一体に成形され、スリーブ本体８
内に嵌合されている。

ライナ９の上端部に半径方向外方へのフランジ部９ａを
備え、一方本体８の内径部８ａ上端部には段部８ｂを設
け、フランジ部９ａを段部８ｂに係着し、ライナ９をス
リーブ本体８に固定しつつ軸方向の一端、即ち下端９ｂ
を軸方向に自由とする。

そしてライナ９の外周９ｃには軸方向にフランジ部９ａ
下端からライナの下端９ｃに達し、下端に開放する凹溝
１１・・・を放射状に多数形成し、これを第２図に示し
た。

スリーブ本体８内には放射状に軸方向に冷却水通路１２
・・・を配設し、該通路１２・・・はスリーブ本体８の
下部に設けた給・排水管１３．１４に接続されている。

以上においてライナ９の内径部９ｄとプランジャ１０の
外径部１０ａとの間には常温状態でクリアランスａを設
けるとともに、ライナ９の外径部９ｃと本体８の内径部
８ａとの間には常温状態でクリアランスｂを設ける。

そしてこのクリアランスａとｂはａ ＜ ｂに設定する
。

又このクリアランスは、溶湯給湯時の昇温時に、ライナ
９とプランジャ１０との間のクリアランスがａ ＋ ｂ
となるように本体８を介してライナ９の外周を冷却する
ように構成する。

次にその作用を述べると、常温状態下では各々の間にク
リアランスａ、ｂが維持されている。

例えばクリアランスａを０．１ ｍｙｘとすればクリア
ランスｂを０．３１１ｍとし、溶湯のライナ９内への給
湯でライナ９は昇温し、このさいライナ９の質量（体積
）は凹部１１・・・等で小さく設定されているため伝熱
効率が良く、溶湯は積極的に凝固することがない。

ライナ９の昇温でこれが径方向に膨張し、クリアランス
ｂが零になった時点でスリーブ本体８の内径部にその外
径部が接し、本体８に設けられた冷却通路で本体８を介
してライナ９は間接的に冷却され、これによりライナ９
は昇温を抑制され、ライナとプランジャとの間には作動
に必要なりリアランスａ ＋ ｂ ｓ即ち上記に従えば
０．４ ｖｔｍのクリアランスが確保され、このクリア
ランスは変動しない。

そしてライナ９の径方向の歪は外周の凹溝１１・・・で
吸収され、又ライナ９の一端が自由であるためこの方向
への伸長動でも吸収され、更にライナ９は間接的に冷却
されるため溶湯の温度低下も少なく、溶湯貯溜時に発生
する殻を少くすることができる。

以上で明らかな如く本考案によれば、鋳込スリーブのラ
イナとして耐熱鋼等を用い、溶湯貯溜時のプランジャと
の間のクリアランスを正常に確保することができるよう
にしたため、従来の如く焼結体等を用いる必要がなく、
ライナの構造の複雑化、製作、組付の煩雑を招くことが
なく、耐久性に富み、堅牢で製作、組付容易であり、コ
スト的にも有利な鋳込スリーブを得ることができ、又溶
湯も良好な状態で貯溜でき、品質良好な鋳造品を得るこ
とができる等多大の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は鋳込ス
リーブの縦断面図、第２図は第１図２−２線断面図であ
る。 尚図面中７は鋳込スリーブ、８は本体、９はライナ、１
０はプランジャである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 スリーブ本体の内周面に耐熱鋼等からなるライナを配設
   し、該ライナは軸方向においては一端が自由となるよう
   に固定し、径方向については、常温時、 ライナとプランジャ間のクリアランスａ１ ライナ外
   周とスリーブ本体との間のクリアランスｂとして ａ ＜ ｂを満足させ、 昇温時、 前記プランジャとライナとの間のクリアランスを ａ 十す となるように、 内部に冷却通路を形成したスリーブ本体の内径部にライ
   ナ外径部が接し、該スリーブ本体を介してライナ外周を
   間接的に冷却するように構成したことを特徴とする鋳込
   スリーブ。