JPS5853024Y2 - 扁平形電池 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、電池ケースとケースの開口をガスケットを介
して封目する封目板とにより発電要素を密封してなる扁
平形電池の改良に関するもので、その目的は、放電等に
より正極合剤が膨張等の物理的変化を生ずる場合におい
ても、セパレータに安定な隔離機能を保持させることに
ある。

第１図は従来の扁平形電池の縦断面図を示したものであ
る。

図において、１はステンレス鋼製電池ケース、２はチタ
ン製正極集電体、３はフッ化黒鉛を活物質とする正極合
剤、４は逆皿形状にて正極合剤３を覆うポリプロピレン
不織布製セパｌ／ −夕、５は円板形ポリプロピレン不
織布製含浸材、６は負極リチウム、７はニッケル製負極
集電体、８はステンレス鋼製封目板、９はポリプロピレ
ン樹脂製ガスケットである。

セパレータ４はその側周面端部４ａは固定されてはおら
ず、含浸材５の弾性反撥力により押されて電池ケース１
の内底面１ａに接触しているだけである。

電解液は例えば１，２−ジメトキシエタンとプロピレン
カーボネートの混合溶媒に溶質であるホウ弗化リチウム
を１モル／ｌ溶解させたもので、正極合剤３、セパレー
タ４、含浸材５に含浸保持されており、又電池容器内空
間部にもフリ・−に存在する。

さて上記従来電池の欠点は、正極合剤３を覆う逆皿形セ
パレータ４が電池内において固定されていないため、放
電等により正極合剤３に膨張等の物理変化が生じた際−
、セパレータ４も同時に変形移動し、正極及び負極の隔
離、か不安定になることである。

第２図は第１図に示した従来電池の放電中途における断
面図を示したものである。

図において、負極リチウム６は放電により極板厚みを減
少させているのに比べ、正極合剤３は放電反応生成物で
あるフッ化リチウムの合剤内部における蓄積や、放電反
応により生成したカーボンの強い電解液捕捉性により、
電解液が合剤内部へ抱き込まれることなどにより、見か
け上の体積膨張を生じ外径方向及び負極方向に膨張して
いる。

この時、正極合剤３と負極リチウム６との隔離は図の矢
印Ａにて示す如くガスケット９の電池容器内立上り片９
′の側周面９ｂに加わる正極合剤３の外径方向への膨張
圧力により、セパレータ４の側周面４ｂがガスケット立
上り片９′の側周面９ｂに押しつけられることのみによ
り確保されているだけであり、この膨張圧力Ａは正極合
剤３の負極方向への膨張圧力Ｂによりセパレータ４が負
極リチウム６方向へ移動することに対しては横向きの抗
力として働くだけではなはだ弱く、セパレータ４は放電
の進行とともに負極方向へすり移動してゆく。

このすり移動の際セパレータ４の側周面４ｂにゆがみや
ずれ、又は、たるみや重なりなどの部分的不均一個所が
出来ると、セパレータの側周面４ｂとガスケット立上り
片９′の側周面９ｂとの間に小間隙１０が生じ、正極合
剤粒子が小間隙より矢印にて示す如く漏出して封口板８
の内面又は負極リチウム６と接触し、内部短絡を引き起
こす危険性が高かった。

第３図は第１図に示した従来電池１０個を２０℃で５に
Ωにて放電させた際の放電特性を示したもので、電池サ
イズは外径２０ｍｍ総高２．５ｍｍである。

図かられかるように１０個中３個の電池に放電末期に電
池電圧の急激なドロップ現象が見られた。

次にこれらの電池を分解して内部を観察したところ、電
圧ドロップの見られた３個の電池にはセパレータ側周面
とガスケット立上り片の側周面間に小間隙が生じており
、正極合剤の漏出が認められたのに対し、正常に放電し
た他の７個の電池には小間隙も合剤の漏出も認められな
かった。

本考案はガスケットの電池容器内における立上り片の側
周面に電池内方向に突き出た突出片を形成し５．この突
出片と電池内底面に充填し７た正極活物質とによりセパ
レータを挾持することによって上記従来電池の欠点を改
善するもので、以下実施例により詳細に説明する。

第４図は本考案電池の実施例を示す縦断面図を示したも
のである。

この電池の第１図に示した電池と異なる点は、ポリプロ
ピレン樹脂製ガスケット９の電池ケース内における立上
り片９′の側周面９ｂ’上端部に突出片９″を形成し、
この突出片９“と正極合剤３とによりセパレータ４を挟
持していることである。

なお、放電に伴う正極合剤３の膨張圧力に押されてセパ
レータ４がガスケットの突出片９″に沿って折れ曲がる
角部９ａ″は、セパレータの切れを防止するため断面円
弧状に角取りしである。

第５図は第４図に示した電池の放電中途における断面図
を示したものである。

図で正極合剤３は外径方向及び負極方向に膨張しており
、セパレータ４を介してガスケットの立上り片９′およ
び突出片９″に各々矢印Ａ及びＢにて示す膨張圧力を及
ぼす。

この時、外径方向への膨張圧力Ａはセパレータ４の移動
方向りに対し従来電池と同じ＜９０°の角度で゛横向き
に作用するため、セパレータ４の負極方向への移動に対
しては比較的弱い抗力であるが、突出片９“に働く膨張
圧力Ｂがセパレータ４の移動方向りと同方向に作用する
ため、両者の合成力であるＣはガスケットの立上り片９
′と突出片９″との角部９ｃ’において強い抗力として
働き、このためセパレータ４は角部９Ｃ’においてほぼ
固定される。

第６図は第４図に示した電池を２０℃で５ＫＱにて放電
した際の放電特性を示したものである。

図から明らかなように、本考案の電池は従来電池に見ら
れた放電末期における電池電圧の急激なドロップ現象を
示すことなく、安定した放電特性を示すことがわかる。

又、放電終了後、電池を分解して内部を観察して見たが
、セパレータのガスケット立上り片及び突出片接触部分
における移動はほとんど認められず、正極合剤のセパレ
ータ外部への漏出も見られなかった。

以上述べた様に、本考案は、ガスケットの電池ケース内
における立上り片の側周面に電池内方向に突き出た突出
片を形成し、この突出片と電池ケース内底面に充填した
正極活物質とによりセパレータを挾持したので、放電に
伴い正極活物質がガスケットの立上り片と突出片に及ぼ
す膨張圧力と、正極活物質の膨張圧力に抗してガスケッ
トにより発生する対抗圧との相乗効果を利用して、セパ
レータを強固に保持固定することができ、従来電池に見
られた放電末期における電池電圧の急激なドロップ現象
を改善することができる。

本考案は電池ケース内に充填する正極活物質がフッ化黒
鉛の他、酸化銅、クロム酸銀なと放電に伴い見かけ上体
積膨張するすべての活物質に対し適用可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電池の縦断面図、第２図はその放電中途
における断面図、第３図は従来の電池の放電特性を示す
図、第４図は本考案電池の実施例における縦断面図、第
５図はその放電中途における断面図、第６図は本考案電
池の放電特性を示す図である。 １・・・・・・ケース、３・・・・・・正極合剤、４・
・・・・・セパレータ、６・・・・・・負極、８・・・
・・・封口板、９・・・・・・ガスケット、９″・・・
・・・突出片。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）正極端子を兼ねる電池ケースと、前記ケースの開
   口をガスケットを介して封目する封目板とにより、放電
   により見かけ上体績が膨張する正極を含む発電要素を密
   封した扁平形電池であって、前記ガスケットのケース内
   における立上り片の側周面に内方に突き出た突出片を設
   けるとともに、ケース内底面に充填した正極の上面に接
   し、かつその延長部で正極の外側周面を被うセパレータ
   を設け、前記ガスケットの突出片の下面と正極の周縁部
   とによりセパレータを挾持するとともに、前記セパレー
   タの延長部はガスケットの前記立上り片の内面と正極の
   外側周面との間に介在していることを特徴とする扁平形
   電池。
2. （２）前記突出片のセパレータと接する端面が曲面であ
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の扁平形電池。
3. （３）負極がリチウムであり、電解質が有機電解質であ
   る実用新案登録請求の範囲第１〜２項のいずれかに記載
   の扁平形電池。