JPS5852118Y2 - 包装材料用複合プラスチツクフイルム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は金属はくを中間に介在させて２枚の配向プラスチ
ックフィルムを貼り合せてなる包装用複合フィルムに関
する。

プラスチックフィルムを製造するに当り、成形されたフ
ィルムに張力を加えて延伸し、その延伸方向における引
張り強度を、他の方向における引張り強度よりも特に強
化することは既に周知である。

このようにして得られたプラスチックフィルム（これを
配向フィルムという）は、その延伸方向に直角に交叉す
る方向における引張り強度は、延伸方向の強度に比較す
れば著しく弱い。

そこで２枚の配向フィルムを、それぞれの延伸方向が交
叉するように貼り合せて互いに補償し合い何れの方向に
対しても強度の優れている複合フィルムを得ることも既
に周知である。

しかしながら、これら貼り合せた２枚のフィルムはもち
ろん微弱な力を加えることにより簡単に剥離するような
ものであってはならないが、一方においては、その貼り
合せによるフィルム相互間の接着力をある限度内に止め
て、複合フィルムに外力を加えたときに各フィルムが互
いに他のフィルムの遊動を拘束しない程度の接着でなけ
ればならない。

その理由は、複合フィルムの強度の問題である。

複合フィルムの各フィルムが強い接着力をもって強固に
接着されていて、各フィルムが受けた外力により遊動不
能な状態であると、却て複合フィルム全体の強度として
は劣化することも実証されている。

そこで複合フィルムに要求されることは、必要限度内の
低い接着力をもって各フィルムが互いに貼り合せられて
いるが、破壊を招く程の外力に対しては各フィルムが互
いに他から剥離して他の遊動を許容する程度の接着であ
ることである。

しかしながら実際問題としては、このような接着を２枚
の配向フィルム間に、全体均一に施すことは困難なこと
である。

以上は複合プラスチックフィルムの重要な問題であるが
、このほかになおさらに以下のような各問題がある。

すなわち、防湿性及びガス不透過性の不足、帯電防止、
折れ目を付与し難いことすなわち適宜な塑性の不足等で
ある。

もつともこれら各問題を解消するために金属はく特にア
ルミニウムのはくを複合フィルムの片面に貼り合せてな
る複合フィルムも既に提供されている。

しかしながら、このものについてもなお問題が残されて
いるのであって、アルミはくのように他に接触したとき
損傷を受は易い性質の金属はくは、包装の外表面に露出
する状態では使用し難いという欠点を有する。

また、この複合フィルムを製袋用に供する場合にもし金
属はくを袋内面にして使用するとすれば貼り合せ部分の
接着に便利な加熱溶融手段が利用できない。

そのため、金属はくを袋内面にしてこの複合フィルムを
使用するには貼り合せ部分の金属はくの面に加熱溶融接
着が可能なプラスチックフィルムの層をさらに付設しな
ければ、便利な加熱溶融接着手段を採用し得ない。

本案の提供する複合フィルムは、以上列挙した各欠点を
解消するものであって、第１図に示すように構成されて
いる。

同図において１はプラスチックフィルムであって、上方
のプラスチックフィルム１は下方のプラスチックフィル
ム１とその配向の方向が９０°異なるように交叉させで
ある。

２は金属はくを示す。

３は接着剤の層を示し金属はく２の両面に上下の各プラ
スチックフィルム１，１を接着する。

上記のように貼り合せ複合されたプラスチックフィルム
は、２枚のプラスチックフィルムがその配向の方向が９
０°異なるため、何れの方向から加えられる引張り荷重
に対しても同じ強度を示すほか、特に、加えられる外力
如何によっては中間層の金属はく自体が先行して破壊さ
れ、これが、両プラスチックフィルムの互いに他に対す
る拘束を弱めることとなって、他の遊動を許容し前述の
ように、却って複合フィルム全体の強度を増す。

この効果は本案複合フィルムの著しい特徴であって、も
しこの金属はくの層によらずに単なる接着剤の層を介し
て両プラスチックフィルムを接着するものであるとすれ
ば、その接着方向、接着剤の選択等、容易でない手段の
開発に頼らなければ目的を達し得ないこととなり、製造
価額の低廉化は望み得ない。

上述の利点のほか本案の複合フィルムは、金属はくの介
在により、防湿性、ガス不透過性、塑性が得られるほか
、金属はくの介在により複合フィルムの両表面の静電容
量が大きくなって、結果として帯電し難くなる等、従来
からの各種の欠点を同時に解消し得る利点をも有する。

さらにまた、製袋用に本案複合フィルムを供する場合に
も、金属はくが表面に露出していないため、容易にいわ
ゆるヒートシールが便利に採用し得て、金属はく使用の
複合フィルムによる製袋の問題を解決し得るものである
。

実施例： 写真感光材料の包装材料を提供することを目的として実
施した。

（Ａ）高密度ポリエチレンにカーボンブラックを配合し
てフィルムに成形し、その後−軸延伸によって一方向に
分子配向した４５ミクロンの厚さを有するフィルムを得
た。

得られたフィルムの２枚の間に７ミクロンの厚さのアル
ミニウムのはくを介在させてこれらの３者を低密度のポ
リエチレンをもって互いに接着した。

この２枚のポリエチレンフィルムはそれぞれの延伸方向
を９０°交叉させてアルミニウムはくの両面に各貼り付
けた。

（Ｂ）一方、アルミニウムはくを用いずに、上記と全く
同じポリエチレンフィルム２枚を同じくそれぞれの延伸
方向を９０’交叉させて同じく低密度のポリエチレンを
接着剤として互に貼り合せた。

上記のようにして得られた２種類の複合フィルムの性質
を比較試験するため各フィルムを１０ｍｍ幅の長さｌＱ
Ｑｍｍの試片とし引張り試験機により以下のような結果
を得た。

（１）試料に加えた張力とその結果試料に表われた歪と
の関係を示すグラフの曲線、いわゆるＳ−Ｓカーブ； Ｂの方法により得られた試料（Ｂ試料と呼ぶ）のＳ−Ｓ
カーブは第３図の通りであるのに対しＡの方法により得
られた本案の試料（Ａ試料と呼ぶ）のＳ−Ｓカーブは第
２図の通りであった。

本案のＡ試料のフィルムは最初６．７ｋｇの荷重から伸
びを示し図のような曲線を示しながら４７０％の伸びを
示す口点においてもなお切断されなかった。

これに対しＢ試料のフィルムは５ｋｇの荷重から伸びを
示し始め、イ点において２６０％の伸びを示したところ
で試料は切断された。

この比較試験により、本案のフィルムはその強度の特性
が従来のもの即ちＢ試料より優れていることが明瞭であ
る。

（２）帯電性； Ｂ試料の表面を毛織物をもって４〜５回摩擦し、これを
、たばこの新しい灰に近づけたところ、この灰を強く吸
着したのに対し本案のＡ試料は毛織物をもって５０回摩
擦したにも拘らず、このたばこの灰を吸着しなかった。

（３）塑性； Ａ、Ｂ両試料を二つ折りにしてその折りに加えた力を、
解放した時、折り返し部分が復元し静止したところで復
元角度を測定した。

Ｂ試料は９０°復元して静止したのに対し本案のＡ試料
は３０°復元したところで静止した。

（４）透湿度； ＪＩＳ規格の透湿度ＪＩＳＺ−０２０８により透湿度を
測定した結果、Ｂ試料は３．４ ｇ／ｍ２／２４ Ｈで
あるのに対してＡ試料は、わずかに０．８ ｇ／ｍ２／
２４Ｈであった。

もちろんアルミはくの厚さを増すと、Ａ試料の透湿度は
、さらに向上できることが判った。

以上の実施例としては金属はくとしてアルミニウムはく
を用いたが、もちろんすす鉛等のはくを用いることもあ
り得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案複合フィルムの一部断面斜視図、第２図は
その特性を示すグラフ、第３図は従来の複合フィルムの
同グラフである。 １・・・・・・プラスチックフィルム、２・・・・・・
金属はく、３・・・・・・接着剤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一方方向に延伸を加えて成形して得られるプラスチック
   フィルム２枚をその延伸方向を交叉させ、かつ両フィル
   ムの中間に、金属はくを介在させて重ね、接着剤をもっ
   てこれら３者を互いに接着してなる包装材料用複合プラ
   スチックフィルム。