JPS5849742B2 - 摩擦制振装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、支持体と被支持体との間に介設されこれら両
者の相対的な低加速度変位を許容するとともに高加速度
変位を抑制可能な、改良された摩擦制振装置に関する。

各種の化学プラントや発電所等における配管系などには
、温度変化等に起因する管の低加速度変位を許容すると
ともに、地震等に起因する高加速度変位を抑制するため
の制振装置２′ｌ＠けられている。

この種の装置については従来から多種多様な提案−ｌＪ
Ｋなされ、その一部は実用に供されている例、慣性質量
型のものにあっては高加速度領域で充分な制振力を発揮
するように構成しておくと、低加速度領域においてもか
なりの割振力を発揮して管等の緩慢な変位をも抑圧して
しまう。

一方、摩擦制動型のものにあっては制動力を解放するた
めに補助ばね等を必要とする。

また、摩擦制動型の一種として、例えば特開昭５３４４
７７２号公報に見られるように、管等と支柱等との相対
的変位に応動する回転軸と、この回転軸に回転自在に支
持されるとともに回転軸との相対的回動により傾斜面と
球体とを介して軸方向に変位される慣性体とを設け、慣
性体とこれの収納箱との摩擦によって制振作用をなすよ
うにしたものも知られている。

しかしながら、このものにあっては加速度検出手段であ
る慣性体ガ摩擦制動手段を兼ねているので、ばね力以上
の大きな外力７５二一方向のみに作用したとき慣性体が
ロック状態となって初期位置に復帰せず、このため作動
不能となる。

本発明は上述のような事情のもとになされたもので、そ
の目的とするところは、慣性体−７’ｌＫロック状態に
陥るようなこと７５汝＜、優れた制振作用をなし得る摩
擦制振装置を提供することにある。

以下、本発明を図示の一実施例について説明する。

第１図において制振装置の本体１は軸方向両端部に設け
られた蓋体２および節状体３を備えるとともに、筒状体
３に対し軸方向に摺動自在に、かつ実質的な相対的回動
をしないように嵌装された摺動体４を備えている。

つまり、上記本体１は伸縮自在に構成されている。

また、上記蓋体２および摺動体４にはほぼ同一軸線上に
位置して連結具５および６郁それぞれ設けられている。

また、摺動体４にはたとえばポールナットなどを有する
ナット体７カニ実質的な相対的変位を生じないように取
付けられている。

上記本体１には回転軸８ガ回転自在に、かつ軸方向には
実質的な相対的変位を生じないように支持されている。

この回転軸８は、上記摺動体４の中空部に延在する一端
剖に位置して上記ナット体７と螺合するねじ部９を備え
、上記筒状体３と摺動体４との相体的な軸方向変位、つ
まり制振装置の本体１の伸縮動作に応動して回転駆動さ
れるように構威されている。

慣性体１ｏは、上記本体１および回転軸８に対しそれぞ
れ低摩擦抵抗のもとに相対的回転自在に支持されている
。

図示例においては慣性体１０は回転軸８に回転自在に支
持されており、すなわち回転軸８を介して本体１に回転
自在に支持されているガ、回転軸８を介さずに本体１に
直接に、しかし相対的回転自在に支持されていてもよい
。

慣性体１０は、これの軸方向一端と本体１の軸方向内壁
との間に介設されたスラスト軸受１１により、図におい
て右方への相対的変位降阻止されている。

上記回転軸８の他端部には、これと同動回転可能に弾性
板１２力：取付けられている。

すなわち、弾性板１２の中心部は回転軸８の他端部にこ
れと相対的な変位を生じないように固定されている。

つまり、上記慣性体１０と本体の壁面２ａとの間に弾性
板１２カよ位置している。

上記弾性板１２はたとえば板状をなす適宜の弾性材料か
らプレス成形され、ダイヤフラム状をなすか、あるいは
本実施例のように放射状に配設された複数の腕を備えて
いる。

そしてその円板外周部１３・・・は先端部カニ本体１の
蓋体２と慣性体１ｏの軸方向他端との間に延在している
。

そして、円板外周部１３・・・の各先端部および慣性体
１０の他端縁辺部には互いに相対向する凹部１４・・・
および１５・・・ガそれぞれ形或されている。

これら凹部１４・・・，１５・・・は、回転軸線を含む
平面における断面形状カニ図示のようにＶ字状をなして
いても、あるいはＵ字状ないしはコ字状その他任意形状
であってもよい７５ヨ、これらのいずれの場合でも底部
に周方向に傾斜する傾斜部１４ａ・・・．１５ａ・・・
（第２図参照）を備えている。

すなわち、凹部１４・・・．１５・・・は、周方向には
中央部から両端部に至るほど浅くなるように舟形状に形
成されている。

そして、相対向する一対ごとの凹部１４，１５には球状
駆動部材１６ガそれぞれ嵌装され、駆動部材１６は傾斜
部１４ａ．１５ａの間に挾持されている。

また、上記弾性板１２に＋＞、円板外周部１３・・・の
凹部１４・・・と背向する各先端部に位置して、蓋体２
の壁面２ａと対向する摩擦部材１７・・・力：それぞれ
設けられている。

上述のように構威された装置を用いる場合には連結具５
および６のいずれか一方を支柱等の支持体（図示略）に
、他方を配管等の被支持体（図示略）にそれぞれ連結し
、本体１をこれら支持体および被支持体の間に介設する
。

説明を簡明にするために、以下においては一方の連結具
シが固定状態にあり、他方の連結具６カニ軸方向に変位
されるものとして説明する。

連結具６、した′ｌＪ；つて摺動体４およびナット体７
ガ軸方向に変位されると、それに応動して回転軸８およ
び弾性板１２力：回転駆動される。

弾性板１２と慣性体１０はそれぞれの傾斜部１４ａ・・
・と１５ａ・・・との間に駆動部材１６・・・亦介設さ
れているので、回転軸８に生じた回転力は弾性板１２お
よび駆動部材１６・・・を介して慣性体１０に伝達され
る。

慣性体１０は本体１および回転軸８に対しそれぞれ低摩
擦抵抗のもとに相対的回転自在に支持されているので、
連結具６に加えられる加速度カヨたとえば被支持体の熱
変形などによる充分小さいものである場合には、慣性体
１０は弾性板１２、したカニって回転軸８と実質的に同
動回転する（第２図Ａ参照）。

この場合には慣性体１０は摺動体４の軸方向変位に対し
これを制約するような作用をしないから、被支持体も自
由な変位カニ許容される。

また、連結具６、したがって摺動体４およびナット体７
に作用する加速度ｉＪＳたとえば地震等による充分大き
なものである場合には、弾性板１２および駆動部材１６
・・・を介し，て加えられる回転力に対し慣性体１０−
＆：追従回転すること亦できず、弾性板１２のみ−ａ＝
回転されることになる。

このように弾性板１２ガ慣性体１０と相対的に回動され
ると、第２図Ｂに示すように凹部１４と１５と−Ｉ）三
周方向にずれるので、それぞれの傾斜部１４ａ，１５ａ
と転接する駆動部材１６カ二周方向に転動する。

これにより弾性板１２の円板外周部１３・・・は第１図
において左向きに押圧され、摩擦部材１７・・・カ：蓋
体２の壁面２ａと摺接し、弾性板１２の回動に対して摩
擦抵抗を生ずる。

そして、上記加速度ガ大きいほど弾性板１２ガ太き《回
動されようとするめよ、各傾斜部１４ａ・コ １５ａ・
・・は周方向に傾斜しているので摩擦部材１７・・・カ
ヨより強く押圧され、より大きな抵抗力を生ずる。

したカニって、上述のように大きな加速度７５二作用し
た場合には摺動体４の軸方向変位−ｌ）二制約され、被
支持体の高加速度変位−７′ｌ：効果的に抑制される。

また、上記加速度ガ減少ないしは消滅すれば、大きな外
力亦一方向に作用していたとしても駆動部材１６・・・
を介して円板外周部１３に加えられる押圧力カ：減少し
、弾性板１２の復元力亦円板外周部１３・・・の傾斜部
１４ａ・・・から駆動部材１６・・・を介して慣性体１
０の傾斜剖１５ａ・・・に伝達され、慣性体１０に対し
第２図Ｂにおいて右向きの回動力を付与する。

この回動力により、回転自在な慣性体１０は凹部１５カ
：凹部１４と正対する方向に回動され、円板外周部１３
の初期位置方向への変位７５二許容されるので、摩擦部
材１７・・・は蓋体２の壁面２ａから離間する。

なお、各部の変位は一方向のみに限らず、振動に対して
も上述と同様な作用をなすことはいうまでもない。

上記構戒によれば、慣性体１０は摩擦音附として用いら
れることがないので摩耗するようなこと７５ヨなく、優
れた検出作用を維持すること作できる。

また、摩擦部材１７・・・は弾性板１２と本体１との間
に介設され、弾性板１２および慣性体１０の相互対向部
に位置して周方向に傾斜する傾斜部１４ａ・・・および
１５ａ・・・に挾持された駆動部材１６・・・を介して
駆動されるので、慣性体１０の慣性モーメント、傾斜部
１４ａ．１５ａの傾斜角、弾性板１２のばね定数等を適
宜に設定してお《ことにより、所定レベルを超える摺動
体４の高加速度変位を効果的にｍｌＪすることができる
。

さらに、加速度カ：減少ないし消滅すれば弾性板１２の
復元力によって慣性体１０ガ回動変位され、摩擦部材１
７・・噛：壁面２ａと離間するので、各部カニ作動不能
なロック状態となるようなことがない。

しかも、傾斜部１５ａ・・・を有する慣性体１０と、傾
斜部１４ａ・・・を有する弾性板１２と、傾斜部１４ａ
・・・．１５ａ・・・に挾持された駆動部材１６・・・
と、弾性板１２を介して駆動される摩擦部材１７・・・
とを具備したものであり、弾性板１２に摩擦部材１７・
・・を設けるようにしているので復帰用の補助ばねを別
途に設ける必要カニない。

従って従来装置に比し要部の構成７′ｌヨ簡単であり、
より安価に製造すること例できる。

なお、本発明は上記実施例のみに限定されるものではな
く、たとえば、支持体と被支持体との相対的直線変位を
回転軸８の回転変位に変換する手段は、上記ナット体７
およびねじ部９によるものに代えて他の任意の手段を用
いることガできる。

また、上記弾性板１２、駆動部材１６・・・および摩擦
部材１７・・・等は上記スラスト軸受１１と位置関係を
逆にしてもよいし、あるいは慣性体１０の軸方向両側に
配するようにしてもよい。

また、上記傾斜部１４ａ・コ １５ａ・・・の形状に応
じ駆動音附１６・・・はたとえば円錐台状などであって
もよい。

さらに以上のいずれの場合であっても、上記傾斜部１４
ａ・コ １５ａ・・・のいずれか一方および駆動部材１
６・・・に代えて、弾性板１２または慣性体１０に突設
された突状駆動部材を設けるようにしてもよく、また適
宜の駆動部材支持手段を設けることにより、傾斜部１４
ａ・・・，１５ａ・・・等は必ずしも凹部内に設ける必
要はない。

また、弾性板１２に放射状の腕を設ける代りに、例えば
全体邂円板状をなすものを用いるようにしてもよく、こ
の場合には直径方向断面が波形状をなすように形或する
など、円板外周部７′ｌ：軸方向に変位し易い形状にし
てお《の亦よい。

また、摩擦部材１７は図示のような単一型のものに代え
て軸方向に多重に配設するとともに、それらの間に本体
側に突設された部材を延在させるようにしてもよい。

その他、本発明の要旨とするところの範囲内で種種な変
更ないし応用カ：可能である。

本発明は上述したように、伸縮自在な本体と、この本体
の伸縮動作に応動して回転する回転軸と、この回転軸と
上記本体に対して相対回転自在に支持された慣性体と、
この慣性体と本体の壁面との間に配置されかつ中心部力
二上記回転軸に連結された弾性板と、この弾性板に上記
本体の壁面と対向して設けた摩擦部材と、上記慣性体お
よび弾性板の少なくともいずれか一方に形成され周方向
に傾斜する傾斜部と、この傾斜部に転接または摺接して
上記摩擦板を本体の壁面側に押圧する駆動部材とを設け
たものである。

従って慣性体は制動時に本体に摺接すること−！′）：
ない。

言換すると、慣性体は摩擦部材として用いられることは
なく、慣性体は常に回転可能であるから、いかなる場合
でも加速度−ＡＫ減少ないしは消滅すれば、大きな外力
７５：一方向に作用していたとしても、慣性体は元の位
置に円滑にかつ自動的に復帰でき、各部亦作動不能なロ
ック状態となるようなこと力：なく、常に優れた制振機
能を発揮できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面図、第２図Ａ．Ｂ
は要部の相異なる状態を示す動作説明図である。 １・・・本体、２ａ・・・壁面、４・・・摺動体、７・
・・ナット体、８・・・回転軸、９・・・ねじ音呪１ｏ
・・・慣性体、１２・・・弾性板、１４．１５・・・凹
部、１４ａ，１５ａ・・・傾斜部、１６・・・駆動部材
、１７・・・摩擦部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 支持体と被支持体との間に介設される伸縮自在な本
   体と、この本体の伸縮動作に応動して回転可能にかつ軸
   方向には相対変位不能に上記本体に支持された回転軸と
   、この回転軸および上記本体に対し相対的回転自在に支
   持された慣性体と、この慣性体と上記本体の壁面との間
   に配直されかつ中心部が上記回転軸にこれと同動回転可
   能に連結されるとともに先端部ガ上記本体と慣性体との
   間に弾性変形可能に延在する弾性板と、この弾性板に設
   けられかつ上記本体の壁面と対向位置してこの壁面と摺
   接可能な摩擦部材と、上記慣性体および弾性板の少なく
   ともいずれか一方に形戒され周方向に傾斜する傾斜部と
   、上記慣性体と弾性板との相対的回動に応動して上記傾
   斜部と転接または摺接し上記弾性板を介して上記摩擦部
   材を本体の壁面側に押圧する駆動部材とを具備したこと
   を特徴とする摩擦制振装置。