JPS5848101Y2 - 真空成形用金型 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、真空成形用金型に関するものである。

一般に、両側部に逆テーパが形成された成形品を真空成
形加工によって成形するには、成形品の収縮を見込んで
金型を設計しないと成形品の離型が不可能となる場合が
あった。

すなわち、真空成形に使用されている材料は塩化ビニー
ル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂シートで、この樹脂
の収縮率は塩化ビニールで０．３〜０．８％、ポリエチ
レン２〜４％と高く、このため第１図イで示すように両
側部に抜きテーパ１が形成された雄金型２の場合は、成
形品を容易に離型することができるとしても、第１図口
で示すように両側部に逆テーパ３が形成された雄金型４
の場合は、樹脂の収縮のために成形品を離型することは
不可能であった。

また、第１図へで示すように両側部に逆テーパ５が形成
された雌金型６の場合は、樹脂が収縮するので比較的容
易に離型することができるが、逆テーパ５の勾配の大小
、樹脂の収縮率等によって影響され、時には成形品の離
型が不可能となる場合があった。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的と
するところは、成形品の離型を容易に行い得ると共に、
両側部に逆テーパを形成したと同様な成形品を容易に成
形することができる真空成形用金型を提供することにあ
る。

以下、本考案を第２図乃至第４図に示く好適な実施例に
基づいて詳細に説明する。

図中１１は真空成形用雄金型で、この金型１１は自動車
タイヤＡの中空部Ｂの防水、防塵及びタイヤ製造工場、
販売店などでタイヤを積み上げたときにその重みでタイ
ヤの圧潰による変形を防止する目的で、タイヤＡのビー
ド部Ｃ９Ｃ相互間に嵌合する帯状のタイヤ保護部材りを
成形するものである。

この雄金型１１は所定長さの帯状に形成された金型基板
１２とこの基板１２上に多数個配設した一対一組の金型
突起体１３，１４，１３．１４・・・・・・とから構成
されている。

この突起体１３（なお突起体１４は突起体１３と同様に
構成されているので説明は省略する。

）は全体が長方体に形成されると共にこの長さ方向−側
部（基端部）に上面から下面に向かって漸次外側方向に
傾斜（立ち上がり角が鈍角となる傾斜）した抜き勾配面
１５が形成され、また他端部（自由端部）に上面から下
面に向って漸次内側方向に傾斜（立ち上がり角が鈍角と
なる傾斜）した逆勾配面１６が形成され、この抜き勾配
面１５と逆勾配面１６とは互いに平行するような勾配を
もってそれぞれ形成されている。

上記のようにして形成された突起体１３は基板１２にそ
れぞれの長さ方向を直交して設置されていると共に抜き
勾配面１５が形成された側（基端部側）の下面端部に丁
番等の開閉体１７を介して回動自在に取り付けられてい
る。

また同様に突起体１４にはこの長さ方向−側部に抜き勾
配面１８が、他側部に逆勾配面１９がそれぞれ形成され
ており、この突起体１４は基板１２の幅方向両側近傍に
上記突起体１３の逆勾配面１６と突起体１４の逆勾配面
１９とがそれぞれ反対側に位置するように上記突起体１
３に対して逆向きに設置されかつ突起体１３と突起体１
４とはそれらの幅方向−側部同志を面接させて隣り合わ
せ、しかも突起体１４は突起体１３に対して逆方向に回
動するように基板１２に開閉体２０を介して取り付けら
れている。

上記のように構成された一対一組の突起体１３゜１４を
複数個基板１２の長さ方向に所定間隔をあけて取り付け
られている。

この相隣る一対一組の突起体１３，１４，１３．１４相
互間における基板１２上に、この幅方向に平行して設け
た波形状突起部を形成し、これにより成形品に補強部を
成形することが可能である。

次に、上記の如く構成された真空成形金型を使用して自
動車タイヤ保護部材を成形、離型する場合について説明
する。

先ず、樹脂シートを上部からヒータで適当な軟化状態に
なるまで加熱し、その後雄金型１１に設けた真空孔（図
示せず）を通じて樹脂シートと金型１１との回りの空気
を吸引し、樹脂シートが金型１１の表面に密着した後、
冷却してタイヤ保護部材りを成形する。

このとき、タイヤ保護部材りは樹脂の収縮のため金型１
１の表面に密着しているが、これを強制的に上方に持ち
上げると、第４図鎖線で示すように突起体１３は反時計
方向に、突起体１４は時計方向にそれぞれ開閉体１７．
２０を支点として回動し持ち上がりながら開くようにな
る。

このためタイヤ保護部材りは第４図で示すように突起体
１３．１４の逆勾配面１６．１９に妨害されることなく
容易に離型することができる。

そして離型終了後は突起体１３．１４がその自重によっ
て開閉体１７．２０を支点として回動し、第４図実線位
置に復元するようになる。

このようにして成形、離型されたタイヤ保護部材りには
逆勾配面１６．１９に対応する傾斜面Ｇが形成されるの
で、タイヤ−ビード部Ｃ９Ｃ相互間にタイヤ保護部材り
を確実に嵌合し得る。

なお、上記実施例においては、突起体１３．１４の一側
部に抜き勾配面１５．１８を設けたが、本考案は成形品
を容易に離型できる形状であればこれに限定されない。

また本考案は自動車タイヤ保護部材以外の成形品を成形
するのにも使用でき、その他本考案を逸脱しない範囲に
おいて種々変形することは自由で゛ある。

本考案は以上のように、帯形状に形成してなる金型基板
上に基端部に設けた開閉体を介して回動自在に取り付け
られかつ自由端部に上記基板からの立ち上がり角が鋭角
となす勾配面が形成されてなる一対の突起体を互いに隣
り合わせると共に逆方向に回動するように逆向きに設置
し、かつ上記一対の突起体を複数個上記基板の長さ方向
に間隔をあけて配設して上記基板の幅方向両側近傍に上
記勾配面を位置させてなるものである。

従って本考案によれば、成形後成形品を持ち上げるだけ
で離型を容易かつ確実に行い得ると共に、この金型によ
って成形された成形品の両側には金型の逆勾配面に対応
する傾斜面をそれぞれ形成することができる。

また構成が簡単であるから製作コスＩ・が安価であると
いう実用的効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な真空成形用金型の概略断面図、第２図
乃至第４図は本考案の好適な実施例を示し、第２図は本
考案に係る金型によって成形された成形品の使用状態を
示した断面図、第３図は金型の一部省略斜視図、第４図
は作動状態を示した断面図である。 １１・・・・・・雄金型、１２・・・・・・金型基板、
１３．１４・・・・・・金型突起体、１６．１９・・・
・・・勾配面、１７．２０・・・・・・開閉体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 帯形状に形成してなる金型基板上に基端部に設けた開閉
   体を介して回動自在に取り付けられかつ自由端部に上記
   基板からの立ち上がり角が鋭角となす勾配面が形成され
   ている一対の突起体を互いに隣り合わせると共に逆方向
   に回動するように逆向きに設置し、かつ上記一対の突起
   体を複数個上記基板の長さ方向に間隔をあけて配設して
   上記基板の幅方向両側近傍に上記勾配面を位置させてな
   ることを特徴とする真空成形用金型。