JPS584210B2 - スプリングアクシヨンガタシンクロナイザリング - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、シンクロナイザリングのコーン面をシンクロ
ナイザコーンまたはギヤのコーン面に摩擦係合させて同
期作用を行なう同期噛合式歯車変速装置におけるシンク
ロナイザリングに関する。

このようなシンクロナイザリングを使用する同期噛合式
変速装置には、イナーシャロック型ピン式およびキ一式
（ワーナータイプ）があるが、第１図は、このうちのピ
ン式の装置を示す部分断面図である。

シンクロナイザハブ１の内周は、メーンシャフト２にス
プライン係合しており、その外周は、シフトフォーク３
により軸方向に移動させられるスリーブ４にスプライン
係合されている。

スリーブ４には両端にテーパー面を有する穴４ａが軸方
向に設けられ、この穴４ａにシンクロナイザピン５が挿
入されている。

シンクロナイザピン５には、その中央部に段部をテーパ
ー面５ａとした前記穴の長さより少し長い幅の凹段部が
形成されており、その両端部はそれぞれシンクロナイザ
リング６，７に、リベット８，９で結合されている。

シンクロナイザリング６，７の外周部には、多数の突条
を有するコーン面６ａ，７ａが形成されている。

一方、シンクロナイザハブ１の図面において左側には、
クラッチシャフトと連結しているドライブギヤ１０が、
メーンシャフト２に緩く嵌合しており、このギヤにシン
クロナイザコーン１１がスプライン係合している。

シンクロナイザコーン１１の外周部内側には、シンクロ
ナイザ６のコーン部６ａと対応するコーン面１１ａが形
成されている。

シンクロナイザハブ１の図面において右側には、セカン
ドギア１２が、メーンシャフト２に緩く嵌合されており
、このギヤに前記と同様なシンクロナイザコーン１３が
スプライン係合されている。

いま、シフトフォーク３によりスリーブ４をＡ方向に移
動させると、スリーブ４に挿入されたガイドピン（図示
されず）の作用で、シンクロナイザリング７が、シンク
ロナイザコーン１３に押しつけられ、この両者のコーン
面７ａと１３ａが接触して、シンクロナイザリング７に
シンクロナイザコーン１３の回転が伝えられる。

さらにスリーブ４をＡ方向に移動させると、スリーブ４
のテーパー面４ａとガイドピン５のテーパー面５ａが接
触して、シンクロナイザリング７をさらに強くシンクロ
ナイザコーン１３に押しつける。

これにより、シンクロナイザリング７とシンクロナイザ
コーン１３との回転速度が同じになると、テーパー面４
ａと５ａとの係合が外れて、スリーブ４はＡ方向に自由
に移動し、セカンドギヤ１２のスプラインと噛合い、同
期作用が終了する。

このような形式の装置において、シンクロナイザリング
のコーン面とシンクロナイザコーンのコーン面との接触
状態が悪いと、所定の摩擦係数を得ることができず、ま
たギヤー鳴りの原因ともなる。

この弊害を防止するためにはコーン面の工作精度を高め
ればよいが、このようにすると極めてコストが高くなる
。

したがって、本発明の目的は、コーン面の工作精度を高
めることなく、多少のばらつきがあっても、良好なコー
ン面の接触状態が得られるような同期装置を提供するこ
とにある。

以下、図面を参照して本発明を説明する。

第２図は、本発明の一実施例を示す部分断面図で、シン
クロナイザリング２１は、フリクションリング２２と、
これを支持するサポートリング２３とからなる。

フリクションリング２２の外周には、シンクロナイザコ
ーン２４のコーン面２４ａに対向するコーン面２２ａが
形成され、そのテーパーはシンクロナイザコーン２４の
コーン面２４ａのテーパーより極く僅か大きい。

したがって、フリクションリング２２のコーン面２２ａ
とシンクロナイザコーン２４のコーン面２４ａとは常態
において面接触をしていない。

フリクションリング２２の内周には、一部コーン面２２
ｂが、一部スプライン歯２２ｃが形成され、スプライン
歯２２ｃは、コーン面２２ｂより内側の段上に形成され
、そこに肩２２ｄが形成される。

一方、サポートリング２３の外周には、フリクションリ
ング２２の内周コーン面２２ｂに極く僅かの間隙をもっ
て対向するコーン面２３ａと、フリクションリング２２
のスプライン歯２２ｃに噛合うスプライン歯２３ｂが形
成され、そこに肩２３ｃが形成される。

サポートリング２３にはまた、通常のシンクロナイザリ
ングのようにシンクロナイザピン２５が、リベット２６
等により固着されている。

フリクションリング２２の材質は銅合金等の弾性を有す
る材料、ザポートリング２３は、通常の鉄系金属材料が
用いられる。

いま、サポートリング２３が、シンクロナイザピン２５
を介して、矢印Ｆ方向に力を受けると、サポートリング
２３の肩２３ｃがフリクションリング２２の肩２２ｄを
押し、フリクションリング２２は、そのコーン面２２ａ
とシンクロナイザコーン２４のコーン面２４ａとの端部
接触点（面）Ｐ１を中心に、図において、反時計方向の
曲げモーメントを受けながらＦ方向に進み、コーン面２
２ａはコーン面２４ａに全体的に面接触をしようとする
。

同時に、接触点Ｐ１点がＦ方向に移動し、フリクション
リング２２先端は、シンクロナイザコーン２４のコーン
面によって、図において下方の力を受けるので、フリク
ションリング２２は、その両端において逆方向の力を受
けて水平になろうとする。

フリクションリング２２は弾性体であり、フリクション
リング２２のコーン面２２ａとシンクロナイザコーン２
４のコーン面２４ａとの間、およびフリクションリング
２２の内周コーン面２２ｂとサポートリング２３の外周
コーン面２３ａとの間にそれぞれ間隙が設けてあるので
、ここにおいてフリクションリング２２は弾性変形を受
け、第３図に示すように、フリクションリング２２のコ
ーン面２２ａとシンクロナイザコーン２４のコーン面２
４ａとは全体的に面接触をし、同期作用に必要な安定し
た摩擦係数が得られる。

このとき、フリクションリング２２の内周コーン面２２
ｂとサポートリング２３のコーン面２３ａとの間の端部
Ｐ２点に間隙が残っていると、さらにシンクロナイザピ
ン２５からのＦ方向の力を受けた場合に、今度は、シン
クロナイザコーン２４のコーン面２４ａとフリクション
リング２２のコーン面２２ａとの別の端部接触Ｐ３を中
心とする、図において反時計方向の曲げモーメントはフ
リクションリング２２にかかるので、別の接触点Ｐ１が
離れてしまい完全な面接触が断たれる。

したがって、フリクションリング２２のコーン面２２ａ
とシンクロナイザコーン２４のコーン面２４ａが完全な
面接触をしたときに、フリクションリング２２の内周コ
ーン２２ｂとサポートリング２３の外周コーン面２３ａ
とがＰ２点またはそのコーン面全体において接触するか
、または、フリクションリング２２の外周コーン面２２
ａとシンクロナイザコーン２４のコーン面３４ａとが全
面接触したときに、シンクロナイザピン２５からのＦ方
向の力を、一旦その時点で維持するようにする。

上記の実施例は本発明をイナーシャロック型ピン式の同
期噛合装置に適用した例であるが、第４図に示すのは、
本発明をイナーシャロック型キ一式の同期噛合装置に適
用した例を示す。

第４図において、シンクロナイザリング３１は、前記と
同様にフリクションリング３２と、これを支持するサポ
ートリング３３とからなる。

フリクションリング３２の内周には、セカンドギヤ３４
のコーン面３４ａに対向するコーン面３２ａが形成され
、そのテーパーは、セカンドギャ３４のコーン面３４ａ
のテーパーより極く僅か大きい。

したがって、フリクションリング３２のコーン面３２ａ
とセカンドギヤ３４のコーン面３４ａとは常態において
面接触をしていない。

フリクションリング３２の外周には、一部コーン面３２
ｂが、一部スプライン歯３２ｃが形成され、スプライン
歯３２ｃは、コーン面３２ｂより外側の段上に形成され
、そこに肩３２ｄが形成される。

一方、サポートリング３３の内周には、フリクションリ
ング３２の外周コーン３２ｂに極く僅かの間隙をもって
対向するコーン面３３ａと、フリクションリング３２の
スプライン歯３２ｃに噛合うスプライン歯３３ｂが形成
され、そこに屑３３ｃが形成される。

サポートリング３３の外周には、スリーブ３５のスプラ
イン歯３５ａと噛合うスプライン歯３３ｄが設けられて
おり、これらが最初に当接する先端部はそれぞれドッグ
歯に形成されており、同期作用が不完全なときは、この
先端部がぶつかりあって、スプライン歯の噛合いを阻止
している。

したがって、いま、スリーブ３５がＦ方向の力を受ける
とスリーブ３５のスプライン歯３５ａの先端部がサポー
トリング３３のスプライン歯３３ｄの先端部を押し、同
時にサポートリング３３の肩３３ｃがフリクションリン
グ３２の肩３２ｄを押す。

すると、前記と同様に、フリクションリング３２は、そ
のコーン面３２ａとセカンドギヤ３４のコーン面３４ａ
との端部接触点（面）Ｐ１を中心に、図において、時計
方向の曲げモーメントを受けながらＦ方向に進み、コー
ン面３２ａはコーン面３４ａに全体的に面接触をしよう
とする。

同時に、接触点Ｐ１点がＦ方向に移動し、フリクション
リング３２の先端は、セカンドギヤ３４のコーン面によ
って、図において上方の力を受けるので、フリクション
リング３２は、その両端において、逆方向の力を受けて
水平になろうとする。

フリクション３２は弾性体であり、フリクションリング
３２のコーン面３２ａとセカンドギャ３４のコーン面３
４ａとの間、およびフリクションリング３２の外周コー
ン面３２ｂとサポートリング３３の内周コーン面３３ａ
との間にそれぞれ間隙が設けてあるので、ここにおいて
前記と同様に、フリクションリング３２は弾性変形を受
け、第５図に示すように、フリクションリング３２のコ
ーン面３２ａとセカンドギヤ３４のコーン面３４ａとは
全体的に面接触をし、同期作用に必要な安定した摩擦系
数が得られる。

このときも前記と同様に、フリクションリング３２の外
周コーン面３２ｂとサポートリング３３のコーン面３３
ａとの間の端部Ｐ２点に間隙が残っていると、さらにス
リーブ３５からのＦ方向の力を受けた場合に、今度は、
セカンドギヤ３４のコーン面３４ａとフリクションリン
グ３２のコーン面３２ａとの別の端部接点Ｐ３を中心と
する、図において時計方向の曲げモーメントがフリクシ
ョンリング３２にかかるので、別の接触点Ｐ１が離れて
しまい完全な面接触が断たれる。

したがって、フリクションリング３２のコーン面３２ａ
とセカンドギヤ３４のコーン面３４ａが完全な面接触を
したときにフリクションリング３２の外周コーン面３２
ｂとサポートリング３３の内周コーン面３３ａとがＰ２
点またはそのコーン面全体において接触するか、または
、フリクションリング３２の内周コーン面３２ａとセカ
ンドギヤ３４のコーン面３４ａとが全面接触したときに
、スリーブ３５からのＦ方向の力を、一旦その時点で維
持するようにする。

フリクションリング３２のコーン面３２ａとセカンドギ
ヤ３４のコーン面３４ａとが完全な面接触をし、同期作
用に必要な安定した適切な摩擦係数を得ると、カウント
シャフトから駆動トルクを受けてメーンシャフト上を空
転するセカンドギヤ３４の回転速度と、フリクションリ
ング３２およびこれに結合されたサポートリング３３の
回転速度が等しくなる。

すると、スリーブ３５のスプライン歯３５ａとサポート
リング３３のスプライン歯３３ｄとの噛合いを阻止して
いた低坑がなくなりスリーブ３５のスプライン歯３３ａ
は、自由に円滑にＦ方向に進み、サポートリング３３の
スプライン歯３３ｄおよびセカンドギャ３４のスプライ
ン歯３４ｂに噛合い、スリーブ３５に噛合うシンクロナ
イザハブを介して、メーンシャフトに駆動トルクが伝達
される。

以上、本発明によれば、イナーシャロック型ピン式また
はキ一式の同期噛合装置におけるシンクロナイザリング
を、フリクションリングとこれを支持するサポートリン
グとで構成し、フリクションリングを弾性体で形成する
とともに、フリクションリングのシンクロナイザコーン
またはセカンドギャのコーン面に対向するコーン面のテ
ーパーをこれらのコーン面のテーパーよりも僅かに大き
くし、フリクションリングとこれを支持するサポートリ
ングの間に僅かの間隙を設けたので、サポートリングが
シンクロナイザピンまたはスリーブからの力を受けたと
きに、フリクションリングのコーン面とシンクロナイザ
コーンのコーン面とが全面当りとなり安定した適切な摩
擦特性が得られ、ギヤ鳴り等の欠点をなくすことができ
る。

また、相互に接触するコーン面のテーパーを完全に同一
にすることをせず、僅かに相違させたので、多少の工作
精度のばらつきがあっても、本発明の効果を達成するこ
とができ、工作精度における角度管理が従来より容易に
なる。

さらにまた、シンクロナイザリングをフリクションリン
グとサポートリングとで構成したので、フリクションリ
ングだけを弾性を有し摩擦特性の有利な材質で作り、サ
ポートリングを安価な鉄系金属で作ることができるので
コストを低下させることができる。

なお、フリクションリングとこれを支持するサポートリ
ングとの結合はスプライン係合に限らず、フリクション
リングの弾性変形を可能にするものならばその他の係合
でもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明が適応される同期噛合式歯車変速装置
の一例を示す部分断面図、第２図は、本発明の一実施例
を示す部分断面図、第３図は、第２図に示す装置の作用
説明図、第４図は、本発明の別の実施例を示す部分断面
図、第５図は、第４図に示す装置の作用説明図である。 ２１．３１・・・・・・シンクロナイザリング、２２，
３２・・・・・・フリクションリング、２３，３３・・
・・・・サポートリング、２４・・・・・・シンクロナ
イザコーン、３４・・・・・・セカンドギヤ、２５・・
・・・・シンクロナイザピン、３５・・・・・・スリー
ブ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シンクロナイザリングのコーン面をシンクロナイザ
   コーンまたはギヤのコーン面に摩擦係合させて同期作用
   を行なう同期噛合式歯車変速装置において、シンクロナ
   イザリングを、弾性を有するフリクションリングとこの
   フリクションリングを支持するサポートリングとで構成
   し、前記シンクロナイザコーンまたはギヤのコーン面に
   対向する前記フリクションリングのコーン面のテーパー
   を、シンクロナイザコーンまたはギヤのコーン面のテー
   パーよりも僅かに大きく形成するとともに、フリクショ
   ンリングとサポートリングとの間に僅かの間隙を設けて
   フリクションリングの弾性変形を可能にしたことを特徴
   とするスプリングアクション型シンクロナイザリング。