JPS5838015Y2 - セクタ−ゲ−ト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、常時満水位（計画水位、制限水位など）のレ
ベルに設けた余水陸用放水路の中間に配設されるセクタ
ーゲートに関するものである。

第１図に示される洪水調節ダムでは、設計洪水時満水位
Ａに対しては、ダム本体１の上端クレス）ＩＡに対応し
て設けられた洪水吐ゲート２の操作で対処している。

このような洪水調節を目的の１つとしているダムでは、
季節的（梅雨期、台風期または融雪剤など）な洪水時期
には、予め水位を常時満水位Ｂ（計画水位、制限水位な
ど）に下げて洪水期の出水に対処している。

すなわち常時満水位Ｂに対しては、ダム本体１の下部に
設けた放水管３の主ゲート４を操作することで対処して
いる。

５は放水管３の予備ゲートを示す。

この場合、洪水吐機能を行なう放水管３や主ゲート４な
どは常時満水位Ｂ以下の位置に設けられており、したが
って該常時満水位Ｂのレベルに流木などの流昇物が貯留
し、その処理に困っているのが現状である。

他方、下流側に放流する水はダム貯水表面水を流下する
ことが強く要望されている。

近年このような要望を満すために常時満水位Ｂのレベル
に余水吐用放水路６を設けてダム貯水池の表面水を放流
し、同時にダム上流側に貯留している流昇物をも流下さ
せることが考えられてきた。

すなわち余水吐用放水路６の中間部にセクターゲート７
を設け、このセクターゲート７を上動させて余水吐用放
水路６を開放し流下させるものである。

８は余水陸用止水路の予備ゲートを示す。

ところで余水吐用放水路６を流出させる流昇物は該余水
吐用放水路６の上部を流れるため、セクターゲート７を
少し開動させた状態での放水時には該セクターゲート７
のスキンプレート下部に塵芥が引掛って流下できない状
態となる。

そのために重量大なセクターゲート７を完全に、すなわ
ち必要量以上引上げなければならぬことから消費電力は
大となり、さらにこのことは常時満水位Ｂを確保できな
いことになる。

またセクターゲート７の内面に引掛っている流昇物が、
該セクターゲート７を引上げる際に例えばスキンプレー
トと止水ゴムとの間などにかみ込まれることになり、セ
クターゲート７の昇降動に支障をきたすことになる。

このことから、常時満水位Ｂを制御しながらも塵芥の円
滑な流出を可能とする形式として、セクターゲート７を
引下げ（ドロップ）でオーバーフローによって余水吐を
行なう形式が考えられる。

しかしこの形式の問題点は、オーバーフロー水が塵芥と
共にセクターゲート７を支える脚やスキンプレート背面
に配置した主桁、補助桁などに衝突し、木理的にも構造
的にも不都合であることと、これらオーバーフロー水や
塵芥が開閉装置の一部（ロッド）に衝突することである
。

本考案は上記問題点を解決し得るセクターゲートを提案
するもので、以下その一実施例を第２図〜第７図に基づ
いて説明する。

１はダム本体、６は余水吐用放水路を示す。

前記余水吐用放水路６の中間以降は拡幅部６Ａに形式さ
れ、この拡幅部６Ａの始端に扉体９が設けられる。

すなわち１０はスキンプレートで、その両側には上方に
充分長い扇形の側部整流板１１が取付けられる。

そしてスキンプレート１０の上方には矩形状の通水口１
２を形成する枠板１３が一体に形成されている。

また周側部整流板１１の上縁には、該側部整流板１１よ
りも長い導流管１４が取付けである。

この導流管１４の内部は前記通水口１２に合致する余水
吐出流路１５が形成されている。

さらに導水管１４の両側面には夫々複数本の補強ガーダ
１６が取付けられている。

また最上流と最下流の補強ガーダ１６には横振れ防止装
置１７が取付けられている。

この横振れ防止装置１７は、前記補強ガーダ１６から連
設した一対のガイド板１８と、これらガイド板１８間に
配置される可動ブラケット１９と、この可動ブラケット
１９に取付けた遊転ローラ２０と、前記可動ブラケット
１９から連設され且つ補強ガーダ１６に形成した貫通孔
２１を挿通する一対のボルト状ロッド２２と、このボル
ト状ロッド２２に螺合するナツト２３と、可動ブラケッ
ト１９と補強ガーダ１６との間に設けたばね２４とから
なり、前記遊転ローラ２０は拡幅部６Ａに形式した戸当
り面に圧接転動可能となる。

上記のように構成された扉体９は、扇の要部がトラニオ
ンビン２５を介して拡幅部６Ａの下流底面６ａの近くに
取付けてあり、以って下流底面６ａ近くを支点として開
閉揺動可能となる。

そして余水吐用放水路６の底面に連通させて、前記スキ
ンプレート１０が出没可能な下部ゲート室２６が形式さ
れ、以って扉体９の下降によりスキンプレート１０を下
部ゲート室２６に退入させることにより開動し、上昇に
より該下部ゲート室２６から突出させることにより閉動
し得るように構成しである。

なおスキンプレート１０が下部ゲート室２６に完全に退
入したとき、余水吐用放水路６の上流底面６ｂと余水吐
出流路１５の底面とが面一になり、また余水吐出流路１
５の底面との間には段落ちＨが生じるように構成しであ
る。

２７は上部ゲート室２８に設けた開閉装置の一例である
ロック装置付きのシリンダ装置で、ダム本体１に横ピン
２９を介して取付けたシリンダ本体３０と、そのピスト
ンロッド３１等からなり、このピストンロッド３０の下
端を前記導流管１４に横軸３２を介して連結している。

３３Ａ、３３Ｂはスキンプレート１０に対応する４周連
続の水密ゴムのうちの側部水密ゴム、３３Ｃは同じく上
部水蜜ゴム、３３Ｄは同じく底部水蜜ゴムである。

前記上部ゲート室２８には、全閉時に生ずる上方への噴
流を防止するための噴流防止カバー３４が設けられ、さ
らに側部シール材３５が設けられる。

前記下部ゲート室２６には完全に倒伏した扉体９を受止
めるストッパ２６が設けられ、以って完全倒伏時におけ
る防振対策としている。

このような完全倒伏時において、余水吐出流路１５と下
流底面６ａとの間は段落ちＨの状態となり、そのために
生じる負圧化を防止するために該下流底面６ａの始端に
は空気箱３７が設けられる。

洪水途中の操作によって下部ゲート室２６に浸水はある
が、短時間かつ頻度も少ないので監査廊３８の底面両側
に形成した排水溝を利用して排水される３９は前記導流
管１４の下流端と下流底面６ａ側との間に設けられる可
撓性シール装置で、ダム本体１側に連設されたゴム取付
は板４０と、このゴム取付は板４０に一端が固定具（ボ
ルト・ナツト）４１を介して取付けられ且つ他端が導流
管１４の裏面に固定具４２を介して取付けられる逆流防
止用ゴム４３とから構成されている。

前記導流管１４は、空気箱３７に落下水が直接当らない
ようにその長さが決定されている。

前記導流管１４の下流両側には遮水板４４が取付けられ
、これら遮水板４４には、拡幅部６Ａの側面に摺接可能
な止水ゴム４５が取付けられている。

これら止水ゴム４５と前記可撓性シール装置３９とによ
って放水流の逆流を防止している。

４６は空気管を示す。第２図、第４図は洪水吐を行なっ
ている状態を示している。

すなわちシリンダ装置２７は伸展され、スキンプレート
１０は下部ゲート室１８に完全に退入して余水吐用放水
路６に余水吐出流路１５を連通させている。

このとき段落ちＨの部分は、空気箱３７からの給気によ
り負圧化が防止されている。

なおスキンプレート１０を少し引下げたときには、その
上端を介してのオーバーフロー態勢にでき、小流量の調
節ならびに塵芥の流出を可能にし得る。

このような放流時において、放流水は余水吐出流路１５
を流れることから、流出（オーバーフロー）する水や塵
芥が脚などに衝突するのを防ぐ。

第３図はダム湛水時を示している。

すなわちシリンダ装置２７は収縮されて扉体９は引上げ
られ、余水吐用放水路６はスキンプレート１０によって
完全閉塞されている。

第８図〜第１０図は別の実施例を示している。

この場合、前実施例と異なるところは、下流側水路巾を
上流側水路中と同じにし、扉体９の存在部分のみ拡幅部
６Ａに形成したものである。

そのため導流管１４の下流に、両側面と底面とからなる
Ｕ形の整流板４７を一体に取付けている。

この整流板４７の巾は下流側水路巾よりもわずかだけせ
まくしである。

その際に生じる隙間４８は微少とし、下流側水路側壁と
接触しない程度としている。

以上述べたように、本考案によるとスキンプレートが下
部ゲート室内に完全に退入するように扉体を下動させて
余水吐用放水路に余水吐出流路を連通させることにより
、流芥物を該扉体側に引っかけることなく円滑に流出で
きると共に、小流量の放流を可能にできる。

また扉体を完全に倒伏させることにより、洪水時の全開
放流態勢にできる。

一方、湛水時には扉体を引上げて、余水吐用放水路をス
キンプレートによって完全に閉塞すればよく、その水圧
は該扉体で充分に受止めることができる。

しかも余水吐流路は導水管に形成されることから、流出
（オーバーフロー）する水や流芥物が脚や開閉装置など
に衝突することを皆無にできる。

【図面の簡単な説明】

第１図はアーチダムの一般例を示す縦断側面図、第２図
〜第７図は本考案の一実施例を示し、第２図は放流状態
を示す要部の一部切欠側面図、第３図は完全閉塞状態を
示す要部の一部切欠側面図、第４図は第２図における一
部切欠平面図、第５図はスキンプレート部の正面図、第
６図は可撓性シール装置部の拡大図、第７図は横振れ防
止装置の断面図、第８図〜第１０図は別の実施例を示し
、第８図は放流状態を示す要部の一部切欠側面図、第９
図は完全閉塞状態を示す要部の一部切欠側面図、第１０
図は第８図における一部切欠平面図である。 １・・・・・・ダム本体、６・・・・・・余水吐用放水
路、６Ａ・・・・・・拡幅部、６ａ・・・・・・下流底
面、６ｂ・・・・・・上流底面、９・・・・・・扉体、
１０・・・・・・スキンプレート、１１・・・・・・側
部整流板、１２・・・・・・通水口、１３・・・・・・
枠板、１４・・・・・・導流管、１５・・・・・・余水
吐出流路、１６・・・・・・補強ガーダ、１７・・・・
・・横振れ防止装置、２５・・・・・・トラニオンピン
、２６・・・・・・下部ゲート室、２７・・・・・・シ
リンダ装置（開閉装置）、２８・・・・・・上部ゲート
室、３４・・・・・・噴流防止カバー、３７・・・・・
・空気箱、３９・・・・・・可撓性シール装置、４７・
・・・・・整流板、Ｈ・・・・・・段落ち、Ｂ・・・・
・・常時満水位。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 常時満水位のレベルに設けた余水陸用放水路の中間に配
   設されるセクターゲートであって、スキンプレートの上
   縁から上方に充分長い導流管を設けて、該導流管内に余
   氷吐流路を形成した扉体を構成し、前記余水陸用放水路
   に連通ずる下部ゲート室を設けて該下部ゲート室に対し
   て前記スキンプレート部を出没可能に構成し、前記扉体
   の開閉装置を設けたことを特徴とするセクターゲート。