JPS5837370B2 - 主管と分岐管との熔着部の熱処理方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は主管と分岐管との熔着部の残留応力を有効に改
善しうる主管と分岐管との熔着部の熱処理方法に関する
。

流体輸送を要するプラント例えば原子カプラント、火力
プラント、化学プラントに用いられる配管系はその各種
系統を継手等を用いる外、管を熔接して構威している。

このような配管系を構威する各管の加工時に管の残留応
力を除去すべく熱処理が施されるが、この熱処理を施し
た管を、配管系を構或すべく、熔接した場合、熔接人熱
によって加熱され、管の外面冷却速度と管の内面冷却速
度との相違から管内面に引張残留応力が生ずる。

この引張残留応力はプラントの稼動中に生ずる繰返し応
力（例えば、繰返し熱応力）と重畳し大きな応力となっ
て配管系に加わり、配管系の応力腐食割れ、疲労強度低
下、ひいては破損を生せしめる原因となっている。

従って、配管系に残留されている引張残留応力に上述の
如き繰返し応力が加わっている状態の下では、配管系の
強度は低下せしめられ、その稼動率と信頼性が脅かされ
ることになる。

又、配管系が腐食性流体を輸送するものである場合には
、その腐食疲労強度を低下せしめるから、引張残留応力
の改善に努めなければならない。

更に、高温、高圧を取扱うプラント、例えば原子カプラ
ントでの配管系は上述の各応力に加えて、高温、高圧に
よって惹起せしめられる応力も重畳して来るから、上述
の望ましくない点が更に助長される。

従って、引張残留応力の改善は、極めて重大な問題とな
っている。

このような引張残留応力を改善しうる技法が特公昭５３
−３８２４６号公報に開示されるに及び、配管の引張残
留応力を改善するのに高周波加熱コイルを用いる技法も
開示している。

しかしながらそこに開示される高周波加熱コイルのみを
用いて主管と分岐管との熔着部に対し引張残留応力改善
のための熱処理を施そうとしても、その熔着部の磁束分
商に強弱が生じる。

これがため上記公報の開示する技法が意図する圧縮残留
応力を熔着部内面に、そして引張残留応力を熔着部外面
に、首尾よく発生せしめ得ず、従って熔着部内面の引張
残留応力を有効に改善するのには不十分である。

本発明は上述の如き従来技法の有する欠点を除去すべく
創案されたものであり、その目的は主管と分岐管との熔
着部における主管用高周波加熱コイルによる磁場の弱ま
る部分での磁場を分岐管用高周波加熱コイルにより増磁
させ熔接部を一様に加熱し、以って熔着部の引張残留応
力の改善を首尾よく達成しうる主管と分岐管との熔着部
の熱処理方法を提供することにある。

以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施例を説明
する。

第１図は本発明の実施例の要部斜視図である。

１はその一部のみを示す主管で、２は主管１に熔着例え
ば熔接された分岐管を示す。

３は引張残留応力改善用高周波加熱コイルを示す。

コイル３は主管用高周波加熱コイル（以下、主管用コイ
ルという。

）３ａと分岐管用高周波加熱コイル（以下、分岐管用コ
イルという。

）３ｂとから或る。

これらのコイルは必要に応じて冷却媒体を通しうる管状
導電体で構威されるのがよい。

主管用コイル３ａは分岐管２の熔接部（分岐部）以外の
主管部分において主管１の外周上に適宜間隔毎に設けら
れた電気絶縁支持（固定）材（明示せず）にて支持され
て主管１上に所定のコイルピッチ例えば等間隔で巻装さ
れる一側の主管用コイル部分ａ１及び他側の主管用コイ
ル部分ａ２、並びに後述の１例として３本の開放リング
状分岐管用コイル部分ｂ１と熔接して接続され、主管用
コイル部分ａ１及びａ２と同様主管１の外周上で適宜間
隔毎に設けられた電気絶縁支持（固定）材（明示せず）
にて支持され熔接部（分岐部）の主管部分に巻装される
１例として６本の巻装端を有する主管用コイル部分ａ３
から成る。

この主管用コイル部分ａ３と開放リング状分岐管用コイ
ル部分ｂ１との接続関係が第２図に図式的にはっきりと
示されている。

これについては後述する。分岐管用コイル３ｂは開放リ
ング状分岐管用コイル部分ｂ１及び必要に応じて、分岐
管２に所定の巻装角で巻装される分岐管用コイル部分ｂ
２から成る。

コイル部分ｂ２は所定の巻装角で且つ分岐管とほぼ同一
曲率のコイル部分ｂ２１及び該コイル部分から所定の主
管用コイル部分ａ１ｓまで延びる接続用コイル部分ｂ２
２から或る。

接続用コイル部分ｂ２２の各端部ｅｏ ， ｅｏ’は上
記所定の主管用コイル部分ａｉｓに、相互の間を電気的
に絶縁して形成してある接続端部ｃｏ，ｃｏ’へ接続さ
れる。

上述した如く、主管用コイル部分ａ３と分岐管用コイル
部分ｂ１との接続関係は第２図に示す如く（但し、図面
を明瞭にするため、分岐管用コイル部分ｂ２は図示せず
。

）、巻装端を有する主管用コイル部分ａ３１の巻装始端
ｍｓ１が一側の主管用コイル部分ａ１の巻装終端ｍｅへ
接続される一方主管用コイル部分ａ３１の巻装終端ｍｅ
１は開放リング状分岐管用コイル部分ｂ１１の巻装始端
ｂｓ１へ接続され、分岐管用コイル部分ｂ１１の巻装終
端ｂｅ１は巻装端を有する主管用コイル部分ａ３６の巻
装始端ｍｓ６へ接続され、主管用コイル部分ａ３６の巻
装終端ｍｅ６は巻装端を有する主管用コイル部分ａ３２
の巻装始端ｍｓ２へ接続され、主管用コイル部分ａ３２
の巻装終端ｍｅ２は開放リング状分岐管用コイル部分ｂ
１２の巻装始端ｂｓ２へ接続され、分岐管用コイル部分
ｂ１２の巻装終端ｂｅ２は巻装端を有する主管用コイル
部分ａ３５の巻装始端ｍｓ５へ接続され、主管用コイル
部分ａ３５の巻装終端ｍｅ５は巻装端を有する主管用コ
イル部分ａ３３の巻装始端ｍｓ ３へ接続され主管用コ
イル部分ａ３３の巻装終端ｍｅ３は開放リング状分岐管
用コイル部分ｂｌ３の巻装始端ｂｓ３へ接続され、分岐
管用コイル部分ｂ１３の巻装終端ｂｅ３は巻装端を有す
る主管用コイル部分ａ３４の巻装始端ｍｓ ４へ接続さ
れ主管用コイル部分ａ３４の巻装終端ｒｌｅ４は他側の
主管用コイル部分ａ２の巻装始端ｍｓへ接続される如き
関係である。

上述したいずれのコイル部分も必要に応じて、２分割又
は３分割等され電気絶縁支持（固定）材にて支持されつ
つ巻装されるのがよい。

上述した如く接続構或される本発明の引張残留応力改善
用コイル３により熔接部分の引張残留応力がどのように
して改善されるかを以下に説明する。

このコイル３を図示しない例えば３ ｋＨｚの高周波電
源へ接続し、コイル３に高周波電流を通電すると、第３
図に図解する如き高周波磁場が主管１と分岐管２との熔
接部にかかり、その内部を高周波誘導加熱する。

又、熔接部の高周波誘導加熱に際して、主管１、熔接部
、及び分岐管２の内側はそれらに通される冷却媒体例え
ば水によって冷却される。

熔接部を加熱する高周波磁場は第３図に示されるように
、コイル部分ｂ１（ｂ２も含んでもよい。

）の発生する高周波磁場によりコイル部分ａ１及びａ２
の発生する磁場が望ましくないほどの乱れを生じさせら
れることもなく、然も主管用コイル部分ａ１及びａ２が
発生する磁場の弱まる熔着部部分の磁場が分岐管用コイ
ル部分ｂ１，ｂ２によって、他の熔着部部分の磁場と同
程度に増磁されるから、略一様な磁場が熔着部に作用す
る。

従って、この高周波磁場によって分岐熔着部は高周波磁
場を直管の熔接部に作用させたときと同程度の均一さで
分岐熔着部を加熱することが出来る。

従って、従来の加熱コイルのような、分岐熔接部管内面
の引張残留応力を首尾よく、改善し得ないという不具合
はなくなる。

このような管内面での引張残留応力の改善に当って、そ
の管内面に引張側降伏応力を超える応力を生じさせ、そ
の管外面に圧縮側降伏応力を超える応力を生じさせるに
十分な温度差を管内面と管外面との間に与えるように、
コイル３にそれに見合った高周波電流が通電されること
は従来技法と全く同じであり、又それによって生せしめ
られる作用効果の詳細は省略する。

上述の如くして、分岐熔接部管内面での引張残留応力が
可及的に改善され、管強度は増大し、腐食疲労強度も増
大する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例の要部斜視図、第２図は第１図
の各コイル部分の接続関係を明瞭に示す図、第３図は本
発明コイルの作用を説明するための図である。 図中、１は主管、２は分岐管、３は引張残留応力改善用
コイル、３ａは主管用コイル、３ｂは分岐管用コイル、
ａ１は一側の主管用コイル部分、ａ２は他側の主管用コ
イル部分、ａ３は巻装端を有する主管用コイル部分、ｂ
１は開放リング状分岐管用コイル部分、である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 主管と分岐管との熔着部内側に冷却媒体を流しつつ
   、高周波加熱コイルを用いて主管と分岐管との熔着部の
   熱処理方法において、主管用高周波加熱コイルにより磁
   場を発生させつつ前記熔着部の内の磁場が弱化してしま
   う部分の磁場を分岐管用高周波加熱コイルにより前記主
   管用高周波加熱コイルにより発生されている磁場程度に
   増磁させて前記熔着部の引張残留応力を改善させること
   を特徴とする主管と分岐管との熔着部の熱処理方法。