JPS5835667Y2 - 複合紡糸用口金装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は新規な複合紡糸用口金装置に関し、さらに詳し
くは、複数の花弁状第１セグメントと該第１セグメント
で分割された第２セグメントからなる２成分系複金糸（
以下分割型複合糸と略称する）に関するものである。

分割型複合糸は二種類の非相溶性ポリマーからなる場合
は製糸後の加工工程において各セグメントに分割されて
極細糸とされる他、溶解性の異なる２成分のポリマーか
らなる場合は一成分のポリマーを溶解除去することによ
って異形糸や極細糸となしたり、染色性の異なる２成分
ポリマーの組合せからなる場合は多彩効果を発揮させる
等応用範囲が広い。

これら分割型複合糸を紡糸するための口金装置について
は種々の提案がなされているが、これらの口金装置はい
ずれも構造が複雑であって、２成分のポリマー流路間の
シールを完全に行なうことが困難であったり、あるいは
シールを完全に行なった場合は口金装置の解体、洗浄、
再組立が困難である等の欠点を有するものであった。

さらに分割型複合糸では第１図のＡ、Ｂ、Ｃ，Ｄに示さ
れるごとく、個々の複合フィラメントの単糸の断面は中
心からフィラメント表面に到達している放射状ないし花
弁状の第１セグメントと該第１セグメントによって分割
せられた残余の部分を占める第２セグメントによって構
成されることが不可欠である。

この断面は両ポリマーの粘性ならびに吐出方法により制
御されるが、いずれにしてもＢ成分はセグメント形状、
または数に応じたＢ成分吐出孔から規制された細流とし
て吐出された後、Ａ成分と合流されて複合流を形成し、
しがる後に紡糸孔から紡出される必要がある。

Ｂ成分の吐出孔を設ける方法として従来第２図に示すよ
゛うて二ロ金板１に上板２を重ね合わせ、上板２の底面
にＢ成分吐出孔３を設ける方法が提案されているが、か
かる場合は口金板１の紡糸孔５の誘導孔４の入口部でＡ
、Ｂ同成分の合流が起こるため、紡糸（Ｌ５から吐出さ
れる断面をＢ成分吐出孔３の配置で規制することが困難
となる。

一方Ｂ成分のための通路をＢ成分の吐出孔の形状と同一
とする場合合は、加工技術上Ｂ成分吐出孔長を大きくす
るこが困難であり、Ｂ成分吐出孔を口金板の紡糸孔の誘
導孔中に十分挿入することができず、このため複合断面
の規制が困難である。

本考案はこれらの問題を克服し、複合断面の規制が十分
行なえるとともに、口金装置の繰返し使用のための解体
、洗浄を容易にした複合紡糸用口金装置を提供するもの
である。

すなわち、本考案はＡ成分とＢ成分とを複合紡糸する口
金装置において、紡糸孔を有する口金板上に上板が重ね
合わされ、画板間にＡ成分均圧室が設けられ、有底筒状
体であって、底部にＢ成分吐出孔が穿設され、外壁面に
Ａ成分均圧室から底面に至るＡ成分流路溝を有する複合
管が紡糸孔の誘導孔に嵌合されるごとく上板に設けられ
、複合管の上端がＢ成分供給源に連通していることを特
徴とするものである。

以下図面に従って本考案の実施態様を説明する。

第３図は本考案の複合紡糸用口金装置の一例の縦断面図
であり、１は紡糸孔５を有する口金板、２は上板、６は
Ａ成分均圧室、７は複合管である。

複合管７は有底筒状体であって、底部にＢ成分吐出孔３
、外壁面にＡ成分均圧室６から底面に至るＡ成分流路溝
８を有しており、上部は上板２に固定され、下部は紡糸
孔５の誘導孔４に嵌合されており、複合管７の上端はＢ
成分均圧室９に開口している。

Ａ成分はＡ成分均圧室６に供給され、ここで複合管７の
周囲に分配されて均圧化され、複合管７の外壁面に設け
られたＡ成分流路溝８を通って流下する。

一方ＢＪ＆分はＢ成分均圧室９から複合管７の内部を流
下し、底部において内部に穿設されたＢ成分吐出孔３か
ら断面を規制されて吐出される。

そしてＡ、Ｂ同成分は紡糸孔上方の誘導孔４中で相互に
貼合されて複合流を形成し、縮流部で縮流されて紡糸孔
５から複合糸として紡出される。

第４図は第３図のｘ−ｘ’横断面図、第５図は第３図の
Ｙ−Ｙ’横断面図である。

Ａ成分流路溝８は複合管７の外周に回転対称の位置に設
けられており、Ｂ成分吐出孔３はＡ成分を補完するごと
く放射状に分岐したスリット状孔で形成されている。

この回転対称の条件が満足されないと紡糸孔から紡出さ
れた直後に糸間りを生じ、操業性よく紡糸することが困
難で゛ある。

Ｂ成分吐出孔３は第５図のような単一孔でなくてもよく
、第６図および第７図に例示したように複数の細孔とし
てもよい。

第８図〜第９図は本考案の口金装置における複合管の他
の例を示す図で、第８図は底面図、第９図は第８図のｚ
−ｚ’縦断面図である。

この場合複合管は底部外形が円錐形で、Ｂ成分吐出孔は
複数の細孔からなり、それらの孔軸が複合管の中心軸か
ら放射状となるごとく穿孔されている。

このようにするとＢＪｉ分をフィラメント表面に確実に
露出させることができるとともに、複合管底部中央での
ポリマー滞留域をなくし、フィラメント中心部における
Ａ、Ｂ同成分の接合を均一、安定に行なうことができる
。

本考案において有底筒状体とは該筒状体から吐出される
Ｂ成分の全吐出孔断面積が該筒状体内に設けられたＢ成
分通路の横断面積よりも小さい筒であることを意味する
。

これによって必然的に筒状体からのＢ成分吐出面には底
部が存在し、筒状体の底面に到ってＢ成分は新たな吐出
規制を受けつつ吐出されることになる。

筒状体をかかる構成にすることにより、Ｂ成分吐出孔の
孔長は筒状体の全長に比して著しく短縮することが可能
であり複雑なスリット加工が容易に行なえる他、Ｂ成分
吐出孔を多数の極細孔径の孔で構成させることが可能で
あり、同時に筒状体内におけるＢ成分吐出のための圧損
を低下せしめることができる。

有底筒状体（複合管）の断面外形は図示されたごとき円
形であってもよく、また多角柱形や非円形曲面体であっ
てもよい。

同じくＢ成分の通路の断面形状も円形に限る必要はない
。

有底筒状体の側壁外周に設けられるＡ成分流路溝は必ず
しも矩形路であることを要せず、円形溝、三角断面溝で
もよく、これら断面が混在していてもよい。

本考案の複合紡糸用口金装置によれば口金板から上板を
引き抜くことによって、流路溝、通路、吐出孔、紡糸孔
のすべてが直接外部から清掃可能となるから、第１図に
示すごとき分割型複合糸を長期にわたり、均一、安定に
紡糸することが可能であり、本考案は商業的価値が高い
。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ−Ｄは本考案の口金装置を用いて複合紡糸して
得られる複合糸の断面形態の具体例を示す模式図、第２
図は従来の口金装置の一例の縦断面図、第３図は本考案
の口金装置の一例の縦断面図、第４図は第３図のｘ−ｘ
’横断面図、第５図は第３図のＹ−Ｙ′横断面図、第６
図および゛第７図は第３図における複合管の他の例を示
す底面図、第８図〜第９図は本考案の口金装置における
複合管の他の例を示す図で第８図は底面図、第９図は第
８図のｚ−ｚ’縦断面図である。 １・・・・・心金板、２・・・・・・上板、３・・・・
・・Ｂ成分吐出孔、４・・・・・・誘導孔、５・・・・
・・紡糸孔、６・・・・・・Ａ成分均圧室、７・・・・
・・複合管、８・・・・・・Ａ成分流路溝、９・・・・
・・Ｂ成分均圧室。

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）Ａ成分とＢ成分とを複合紡糸する口金装置におい
   て、紡糸孔を有する口金板上に上板が重ね合わされ、両
   板間にＡ成分均圧室が設けられ、有底筒状体であって、
   底部にＢ成分吐出孔が穿設され、外壁面にＡ成分均圧室
   から底面に至るＡ成分流路溝を有する複合管が紡糸孔の
   誘導孔に嵌合されるごとく上板に設けられ、複合管の上
   端がＢ成分供給源に連通していることを特徴とする複合
   紡糸用口金装置。
2. （２）複数のＡ成分流路溝が複合管の外周に回転対称の
   位置に設けられ、Ｂ成分吐出孔がＡ成分を補完するごと
   くＢ成分を吐出するように設けられている実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の口金装置。
3. （３）Ｂ成分吐出孔が放射状に分岐したスリット状孔で
   ある実用新案登録請求の範囲第２項記載の口金装置。
4. （４）Ｂ成分吐出孔が放射状に穿孔された複数の細孔で
   ある実用新案登録請求の範囲第２項記載の口金装置。
5. （５）複合管の底部外形が円錐状である実用新案登録請
   求の範囲第４項記載の口金装置。