JPS582770B2 - 切刃交換装置付切削工具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、チップ取付体のチップ取付座に周縁部を切刃
となした平面角形状のチップ（スローアウエイチップ）
を回転自在に取り付け、該チップを所定角度回転させる
ことにより切刃交換を行なうようにした切刃交換装置付
切削工具に関する。

上述したような切削工具においては、所定の切刃交換作
業の終了後に、チップをチップ取付座に対して回転不可
能に固定する必要があるが、この場合従来は、偏心軸に
よりチップをチップ取付座の壁面で挾着して回転不可能
に固定したり、或いは軸・レバーなどのてこを利用して
チップを回転不可能に固定したりしている。

これらのものはいずれもレンチ・スパナ等の締付工具が
必要であると共に、その作業も人力に頼っており、また
切刃が摩耗した場合の切刃交換作業も人力に頼っており
、このことは近年の機械の自動化、生産コストの軽減及
び省力化を計る上で大きな障害となっていた。

期かる問題点を解決するため最近切刃交換作業が自動的
に行なえるようにした切刃交換装置付切削工具が種々提
案されている。

ところが今までに提案されたものは、チップを所定角度
回転させるための機構が刃物台以外の場所に取り付けら
れていたり或いはチップを所定角度回転させるのに大き
な作業空間を必要とするため、折刃交換時に切削工具を
取り付けた刃物台を一旦被加工物から大きく移動させて
離なす必要があり、そのために生産に関与しない時間す
なわちアイドルタイムが長くなる不都合を有している。

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、切刃交換作
業に大きな作業空間を必要としないようにした切刃交換
装置付切削工具を提供することを目的とするものである
。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。

第１図は旋盤の平面を示し、図中１はチャック、２はセ
ンター、３は被加工物、４は刃物台で、該刃物台４には
本発明の切刃交換装置付切削工具が取り付けられている
。

該切削工具５は第２図乃至第３図に示す如くチップ取付
部材６とチツプ７とチップ回転規制部材８とチップ回転
割り出し用部材９とよりなる。

チップ取付部材６は所定軸長の軸１０の先端に、上面に
チップ取付座１１を有するヘッド部材１２を固着すると
共に、前記チップ取付座１１の略中央部にチップ装着ピ
ン１３を突設して構成されている。

チツプ７は平面角形状（本実施例においては正三角形）
をなすと共に周縁部に切刃を有し且つ下面略中央部に装
着孔１４を穿設して構成されている。

チツプ７はその装着孔１４をチップ装着ピン１３に遊嵌
させてチップ取付座１１上に回転自在に且つ着脱自在に
装着されている。

チップ回転規制部材８は、平面略方形状をなすブロック
体で、その長さ方向に沿って軸挿通孔１５を穿設すると
共に長さ方向一端部に支承段部１６を設け、且つ該支承
段部１６の上方に傾斜面状の壁而１７を設けて構成され
ている。

この軸挿通孔１５内に、前記チップ取付部材６の軸１０
がその軸線方向及び周方向に移動自在に嵌挿されている
。

チップ取付部材６をチップ回転規制部材８に対して軸１
０の軸線方向に沿って一方向（第２図中右方向）移動限
界点に位置させて、チツプ７の一周縁を壁面１７に当接
させることにより、チップ取付座１１に対するチツプ７
の回転が阻止される。

また、チップ取付部材６をチップ回転規制部材８に対し
て軸１０の軸線方向に沿って他方向（第２図中左方向）
に移動させて、チツプ７の周縁を壁面１７より離間させ
ることにより、チップ取付座１１に対するチツプ７の回
転が許容される。

なお、前記チップ取付部材６のヘッド部材１２の下側面
がチップ回転規制部材８の支承段部１６の上側面に接触
した状態にある時、チップ回転規制部材８に対するチッ
プ取付部材６の軸１０を中心とする回転は阻止されてい
る。

チップ取付部材６をチップ回転規制部材８に対して軸１
０の軸線方向に泊って他方向（第２図中左方向）移動限
界点に位置させて、チップ取付部材６の下側面とチップ
回転規制部材８の支承段部１６の上側面と非接触状態に
した時、チップ回転規制部材８に対するチップ取付部材
６の軸１０を中心さする回転が許容される。

前記チップ回転規制部材８の一側面には、その長さ方向
に沿って支承段部１６位置から所定長さ延びた細巾の溝
１８と、この溝１８に連続してこれより巾広でかつ短尺
の溝１９とが穿設され、溝１９はチップ回転規制部材８
の上面に穿設した加圧流体用供給孔２０に連通されてい
る。

これら溝１８と１９とは、チップ回転規制部材８の一側
面にボルト２１で取外し自在に取り付けられた側板２２
で閉じられ、溝１８が軸挿通孔１８ａに、溝１９がシリ
ンダ１９ａに夫々形成されている。

チップ回転割り出し用部材９は、前記シリンダ１９ａ内
に前後動自在に嵌挿された摺動子２３の前端にそれより
も細径の軸杆２４を連設してなり、この軸杆２４は前記
軸挿通孔１８ａに前後動自在に嵌挿され、その先端に屈
曲して設けた当接部２５が該軸挿通孔１８ａの開口端よ
り突出されて支承段部１６の内端に位置している。

このチップ回転割り出し用部材９は、前記加圧流体供給
孔２０からシリンダ１９ａ内に油等の加圧流体が流入し
たとき該加圧流体の圧力によって摺動子２３が摺動子２
３とシリンダ１９ａとの間に介在したスプリング２６の
弾撥力に抗してシリンダ１９ａ内を前進し、これによっ
て当接部２５が支承段部１６の内端位置より前方（第２
図中左方向）に延出し、またシリンダ１９ａ内への油等
の加圧流体の流入が停止したとき、スプリング２６の弾
撥力によって摺動子２３がシリンダ１９ａ内を後退し、
これによって当接部２５が支承段部１６の内端位置に復
帰するように構成されている。

次に上記切削工具５の切刃交換動作につき第４図Ａ−Ｅ
を参照して説明する。

第４図Ａに示す状態からチツプ７を回転して摩耗した切
刃７ａを他の新しい切刃７ｂに交換するには、まずチッ
プ取付部材６をチップ回転規制部材８に対して軸１０の
軸線力向に沿ってチツプ７が壁面１７より離間する方向
（第４図Ｂ中左方向）に移動させる。

すると第４図Ｂに示すようにチツプ７が壁面１７より離
間して該チップ７がチップ取付座１１に対し装着ピン１
３を中心として回転可能な状態となる。

次にチップ回転規制部材８の加圧流体供給孔２０からシ
リンダ１９ａ内に油等の加圧流体を流入する。

すると第４図Ｃに示すように該加圧流体の圧力により当
接部２５が支承段部１６の内端位置より前方（第４図Ｃ
中左方向）に延出してチツプ７の周縁に当接し、該チツ
プ７を装着ピン１３を中心として時計方向に回転させる
。

この後シリンダ１９ａ内への油等の加圧流体の流入を停
止し、チップ取付部材６をチップ回転規制部材８に対し
て軸１０の軸線方向に沿ってチツプ７が壁面１７に当接
する方向（第４図Ｄ中右方向）に移動させる。

すると、第４図Ｄに示すように、当接部２５がスプリン
グ２６の弾撥力によって支承段部１６の内端位置に復帰
し、チツプ７の一角部が壁面１７に当接する。

この状態からさらにチップ取付部材６をチップ回転規制
部材８に対し同方向に移動させる。

すると、第４図Ｅに示すようにチツプ７が壁面１７によ
って装着ピン、１３を中心として時計方向に回転されて
チツプ７の一周縁が壁面１７に密着し、摩耗した切刃７
ａから新しい切刃７ｂに切換わる。

以上の如くして第１回目のチツプ７の切刃交換動作が終
了する。

本実施例における１回当りの切刃交換動作等のチツプ７
の回転割り出し角度は、チツプ７が平面三角形状である
関係上、１２０度である。

次に、本発明の切削工具５のチツプ７の取り外し動作に
つき、第５図乃至第６図を参照して説明する。

通常、チップ取付部材６のヘッド部材１１の下側面は、
チップ回転規制部材８の支承段部１６の上側面に接触し
た状態にあって、チップ取付部材６の軸１０を中心とす
る回転が阻止されている。

この状態よりチツプ７を取り外す場合は、チップ取付部
材６をチップ回転規制部材８に対して軸１０の軸線方向
に沿って移動限界点に移動させて第５図に示す如くヘッ
ド部材１２の下側面を支承段部１６の上側面と非接触状
態にした後、チップ取付部材６をチップ回転規制部材８
に対して軸１０を中心に１８０度回転させて第６図に示
す如くチツプ７を下側に向けると、該チツプ７は重力に
てチップ取付座１１より脱落する。

以上の如くしてチップ取付座１１よりチツプ７を自動的
に取り外すことができる。

このようにして取り外した後、チップ取付部材６をチッ
プ回転規制部材８に対し軸１０を中心に１８０度回動さ
せた後、チップ取付部材６を軸１０の軸線方向に沿って
他方向（第５図中右方向）移動限界点に移動させてヘッ
ド部材１２の下側面をチップ回転規制部材８の支承段部
１６の上側面に接触させて、チップ取付座１１の上にチ
ツプ７を装着すればよい。

なお上記した実施例ではチップを正三角形状にした場合
を示したが、チップを正四角形状にしてもよく、この場
合チップ回転規制部材８には互いに直交する二つの壁面
を設けて、この二つの壁面で正四角形状のチップの一隅
角部を挾んで該チップの回転を阻止するように構成する
。

また、この場合チップの切刃交換動作は、１回当りの切
刃交換時のチップの回転割り出し角度が９０°になる。

上述の如く本発明の切刃交換装置付切削工具は、チップ
取付座を有するチップ取付部材と、該チップ取付部材の
チップ取付座にその中心部を支点として回転自在に取り
付けられ且つ平面台形状をなすと共に周縁部に切刃を有
するチップと、前記チップ取付部材と互いに相対的に移
動自在に組み合わされその一方向への移動時前記チップ
の周縁と当接して該チップの回転を阻止し且つ他方向へ
の移動時前記チップの周縁部と離間して該チップの回転
を許容し得る如く前記チップの周縁部と接離する壁面を
有するチップ回転規制部材と、該チップ回転規制部材に
移動自在に取り付けられ前記チップ取付部材とチップ回
転規制部材とをチップの回転を許容する方向に相対的に
移動させたときチップ回転規制部材から前方に延出して
チップの周縁と当接し、該チップを所定割り出し角度回
転させるチップ回転割り出し用部材とを具備しているか
ら、チップの切刃交換作業及びチップ取付座に対するチ
ップの固定作業を簡単な構造により自動的に行なえしか
も、切刃交換作業時には、チップ取付部材とチップ回転
規制部材とをチップの回転を許容する方向に相対的に移
動させかつ、チップ回転割り出し用部材をチップ回転規
制部材から前方に延出してチップの周縁に当接させチッ
プを回転させるだけなので、切刃交換作業に大きな作業
空間を必要とせず、換言すれば、チップの回転を許容す
るためにチップ取付部材とチップ回転規制部材とを相対
的に移動させる空間が生ずるだけ切削工具を取り付けた
刃物台を被加工物より離なすだけですみ、切削加工にお
けるアイドルタイムを著しく短縮することができる等の
利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例の切刃交換装置付切削工具を取
り付けた旋盤の平面図、第２図は第１図の■円部分の拡
大平面図、第３図は第２図の■−■線断面図、第４図Ａ
−Ｅはチップの切換動作を示す要部の平面図、第５図及
び第６図はチップの取り外し動作を示す要部の縦断面図
である。 ５……切削工具、６……チップ取付部材、７……チップ
、８……チップ回転規制部材、９……チップ回転割り出
し用部材、１１……チップ取付座、１７……壁面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ チツプ取付座を有するチップ取付部材と、該チップ
   取付部材のチップ取付座にその中心部を支点として回転
   自在に取り付けられ且つ平面角形状をなすと共に周縁部
   に切刃を有するチップと、前記チップ取付部材と互いに
   相対的に移動自在に組み合わされその一方向への移動時
   前記チップの周縁と当接して該チップの回転を阻止し且
   つ他方向への移動時前記チップの周縁部と離間して該チ
   ップの回転を許容し得る如く前記チップの周縁部と接離
   する壁面を有するチップ回転規制部材と、該チップ回転
   規制部材に移動自在に取り付けられ前記チップ取付部材
   とチップ回転規制部材とをチップの回転を許容する方向
   に相対的に移動させたときチップ回転規制部材から前方
   に延出してチップの周縁と当接し該チップを所定割り出
   し角度回転させるチップ回転割り出し用部材とを具備し
   て成る切刃交換装置付切削工具。