JPS5822127Y2 - 金属の耐磨耗性試験機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金属等表面の耐磨耗性を試験するための試験装
置に関するものである。

従来の耐磨耗性試験装置は、台上に着脱自在に固定載置
された試験片表面に、研磨材をまわりに張付けた磨耗輪
を上から一定圧力で押圧した状態で往復運動させ、ｌ往
復ごとに前記磨耗輪を０．９度ずつラチェットと１組の
歯車機構によって小刻み回転させるよう構成されている
。

従って、試験中研磨されて生ずる研磨材の粉末が試験片
表面に落下付着又は残留するため、試験結果の正確性と
再現性が悪いこと、磨耗輪のみが往復運動と小刻み回転
をする複雑な機構であるため試験片表面と研磨材の面と
を正確に平行に接触させることがむずかしく、そのため
各面共片べりを起しやすく、試験結果の正確性と再現性
が悪いこと、又磨耗輪をｌ定角（０，９）ずつ回転させ
るのにラチェットを用い且つ回転伝動に１組の歯車伝動
としたため、往復運動による往復摩擦荷重により歯車機
構に於ける宿命的なガタの影響を完全に受け、このガタ
の分だけ磨耗輪が往復動のたびに元に戻るので、常に新
しい研摩面で研磨することができないこと、等の欠点が
あった。

又磨耗輪と試験片を抑圧のまま小刻み回転させる構成も
技術上の矛盾である。

本考案はこれ等欠点を解消するために、第１に試験片を
、試験表面を下向きにして上方に配置し磨耗輪を下方に
配置し、第２に磨耗輪のみに集中された小刻み回転と往
復運動の複雑な運動をさけ小刻み回転運動のみとし、更
に新規に追加した磨耗軸と試験片の抑圧及び解放の機構
として、磨耗軸の軸を正確に水平軸受けした支持箱を正
確に垂直摺動自在に試験機構造に支持し、反対端に平衡
錘を取付けた天秤機構の平衡レバーの他端で前記支持箱
を押上げて磨耗軸を下から前記試験片表面に押圧し且つ
往復運動死点近くで連動カム機構で解放することとし、
一方試験片は、試験機構造に正確に水平に取付けられた
案内棒に摺動自在に支持された試験片台に、バネ押圧さ
れ、試験機構造に装着されたモーターとクランクとリン
クと連結棒とによって前記試験片台と共に前記案内棒に
沿って水平往復運動させ、第３に磨耗軸の小刻み回転に
ラチェットを使用せずにステップモーターを採用し、小
刻み回転の伝動に２組の歯車機構を用い１組の歯車係合
の一方の歯車と、他の組の歯車係合の一方の歯車とを相
対的に歯車係合のガタの量だけ偏角してステップモータ
ー軸又は磨耗軸に取付けるようにした。

上述のように、本考案は従来の耐磨耗性試験機の構造、
構成、機構を根本的に改変することによって、耐磨耗性
試験中の研磨によって生ずる研磨材の粉末が試験片の表
面に落下せず付着せず、試験片と磨耗軸との往復研磨運
動が常に平行で片ペリせず、磨耗軸のもどりのない小刻
み回転と、往と復の試験片表面の運動中の磨耗軸の静止
固定が得られる等の結果、試験結果の高い正確性と再現
性がえられた。

以下図面によって本考案の実施例を説明する。

第１図及び第２図に於て、試験片１は、表面を下向きに
コイルバネ２によって押え板３により試験片台４に着脱
可能に抑圧固定され前記試験片台４はその下面の前後端
の各左右端に４個のストロークベアリングを内蔵する水
平摺動案内金具５を有し、該金具５は、前記試験片台４
下で試験機構造の前側及び後側で左右方向に平行且つ水
平に配列されて両端を固定された２本の案内棒６に摺動
自在に案内され、試験機左方の台上に装着されたモータ
ー７とその軸に順次連結されたクランク板８、リンク９
、連結棒１０により、且つ試験機構造に水平に取付けら
れたストロークベアリング内蔵摺動案内金具１１を貫通
する前記連結棒１０の先端が前記試験片台４に連結され
ることにより前記試験片１が水平往復運動をする。

磨耗軸１２の外周円面には研磨材１３が張付けられ、磨
耗軸１２は支持箱１４０前後側壁に前記水平往復運動方
向に直角水平に軸受けされ、該箱１４の底部材の下面の
端縁近くに均等間隔配置の少な（も３個所に垂直な摺動
案内棒１５が取付げられ、該棒１５は、試験機構造に垂
直且つ平行配列の３組の２重ストロークベアリング内蔵
の摺動案内金具１６を摺動自在に貫通し、該棒１５の下
端は台板１７に取付げられ、該台板１７の中心部下面の
金具に左端部を枢動ピン連結され長さの中間部分を試験
機床の支点金具１８に枢動ピン支持された平衡レバー１
９の右端に平衡錘２０が支点距離調節可能に装着された
天秤機構によって前記左端部で規定圧力で前記支持箱を
介して前記磨耗軸１２を前記試験片１の下面に押圧させ
る。

前記試験片１の往復運動中の前記磨耗軸１２の抑圧研磨
長さく又は研磨時間）及び位置は規格によりストローク
中央で３０ｍであり、従って３０閣ストロ一ク区間を除
く前後のストローク区間では抑圧研磨は解放されなげれ
ばならない。

そのため、前記連結棒１０の好適には後半部に上端部の
縦長穴でピン連結されて下方に延在し、前記レバー１９
の下方で終るカムレバー２１が、その下端部に固定され
たカム軸２２で試験機床上の軸受金具に枢動軸受けされ
、従って、試験片１の水平往復運動に伴って前記カムレ
バー２１は前記軸２２を中心に揺動するが、前記３０ｍ
ｍ以外の何れか一方のストローク区間で前記磨耗軸１２
を下げるために、前記レバー１９の前記支点金具１８よ
り右側部分を往復運動１周期ごとに１回押上げるカム２
３が前記カムレバー２１又はカム軸２２に固定されてい
る。

前記磨耗軸１２は試験片１の１往復ごとに研磨材１３の
研磨面が新しく交替するために０．９度ずつ（１回転に
４００回）小刻み回転させられるが、その起動信号は前
記試験片１の往復運動の前記磨耗軸を下げた方のストロ
ーク区間の死点付近例えば第１図のカムレバー２１の鎖
線位置に於いて該レバー２１の後面が試験機構造に装着
されたリミットスイッチ等検出器２４に衝接することに
よって発信される。

この信号は第２図の平面図に最もよく見られるように前
記支持箱１４内のステップモーター２５に送られ、該モ
ーター２５が１ステツブ０．９度だけ回転して停止する
が、この小刻み回転運動は、該モーター２５の軸の両端
に固定された駆動歯車２６．２６’と、これ等と歯車係
合するように前記磨耗輪１２軸に固定された被駆動平歯
車２７．２７’とからなる２組の歯車２６．２７及び２
６’、２７’により前記磨耗輪１２に伝えられる。

さて、通常は１組の歯車伝動で充分であるが、本考案に
於ては２組の歯車を組合せて使用することによって如何
に高速度、高周期の首振り回転しようとも絶対にガタを
生じない回転伝動機構が得られた。

即ちピッチ円の接点又はこれに最も近い歯の空間で、例
えば歯車２６の歯の前面を歯車２７の前歯の後面に密接
させて両歯車を軸固定し、一方歯車２６′の歯の後面を
歯車２７′の後歯の前面に密接させて両歯車を軸固定す
る。

従って歯車２６と２６′の取付角度の相対的ずれが通常
の歯車係合のガタと等しくなって総合的にガタを絶無と
した。

かくして本考案は、試験片と磨耗輪の位置を上下反対に
することにより試験片への研磨機の粉末の悪影響を除き
、試験片の方を往復運動させることにより小刻み回転と
往復運動の作動が安定して摩擦面の片べりがなくなり２
組の歯車機構の組合せによる回転伝導とステップモータ
ーによる小刻み回転制御とにより回転ガタが除かれ、そ
の結果、正確さと再現性の高い試験結果が得られる耐磨
耗性試験機を提供することができた。

尚第３図は操作及び表示装置であり、図示していないが
該装置と電源、モーター７、検出器２４、ステップモー
ター２５間は配線されている。

３０は電源スィッチであり、磨耗回数設定ダイヤル３１
に所望の試験回数を設定し、スタートボタン３２を押す
と、試験作動を開始し、摩擦回数が表示器３３に表示さ
れ、停止ボタン３４により任意に停止しうる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の耐磨耗性試験機の正面図、第２図は第
１図の平面図、第３図は操作及び表示装置の正面図。 これ等図に於て、１・・・・・・試験片、３・・・・・
・押え板、４・・・・・・試験片台、５．１１．１６・
・・・・・摺動案内金具、６．１５・・・・・・案内棒
、７・・・・・・モーター、８・・・・・・クランク板
、９・・・・・・リンク、１０・・・・・・連結棒、１
２・・・・・・磨耗輪、１３・・・・・・研磨材、１４
・・・・・・支持箱、１Ｔ・・・・・・台板、１８・・
・・・・支点金具、１９・・・・・・平衡レバー、２０
・・・・・・平衡錘、２１・・・・・・カムレバー、２
２・・・・・・カム軸、２３・・・・・・カム、２４・
・・・・・検出器、２５・・・・・・ステップモーター
、２６．２６’・・・・・・駆動歯車、２７．２７’・
・・・・・被駆動歯車。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属等の硬質表面の耐磨耗性試験機に於て、試験片を上
   方に配置し、円周面に研磨材を脹り巻きされた磨耗輪を
   下方に配置したこと、該試験片の試験表面（以下試験片
   表面という）を下にして中抜き試験片台に着脱可能に弾
   圧し、且つ該試験片台にビン連結された水平摺動連結棒
   を介したリング運癲構により前記試験片を水平往復運動
   させること、試験機構造に垂直摺動自在に支持された支
   持箱に枢動軸受けされた細己磨耗輪を、遠い端部に支点
   間距離調節可能に平衡錘を取付けた天秤機構の平衡レバ
   ーの他端で前記支持箱を介して規定圧力で前記試験片表
   面に密接させ、且つ前記往復運動の中央部の規定の研磨
   ストローク区間以外のストローク死点までの両ストロー
   ク区間の何れか１方で前記密接を解放するために、前記
   連結棒に上端部の縦長穴でピン連結されて下方に延在す
   ルカムレバーの下端のカムによって前記平衡レバーの支
   点の前記平衡錘側寄りの下面を１往復運動につき１回押
   上げること、この押上げ解放中に前記磨耗輪の研磨材表
   面をｌ往復運動につき１回規定角度回転させるためにス
   テップモーターを使用したこと、該モーターの作動指令
   は前記カムレバーの往復揺動の前記解放側ストロークの
   死点近くで該カムレバーの外側側面が衝接するリミット
   スイッチ等検出器の電気信号によりなされること、及び
   前記ステップモーターから歯車機構によって規定角度小
   刻み回転した後の前記磨耗輪の摩擦作動のガタ戻り馴余
   ＜ために、２組の歯車伝動機構を用い、２組を歯車のガ
   タを協力して消去する歯車係合に設定することを特徴と
   する金属の耐磨耗性試験機。