JPS5818860Y2 - ミシンにおける水平釜 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はミシンの水平釜における下糸張力装置に関する
もので、その目的とするところは水平釜における糸張力
装置における下糸の脱落を防止し且つ自動復元し常に良
好なる縫い調子を維持できるミシンを提供することにあ
る。

ミシンの水平式蓋機構ではその内釜のほぼ中央に設けら
れた収納部に直接的に下糸ボビンを収納することが出来
るので、他の垂直式蓋機構のように下糸ボビンを収納す
るためのボビンケースを必要としないから構造及び取り
扱いが簡単であるが、その反面外釜の回転と共に内釜の
外周を廻る上糸のために下糸が水平釜の内釜に設けられ
た下糸張力装置から外れ易い欠点を有し、ている。

即ち下糸Ｓ２は第４図の従来例に示す如くボビン７がら
下糸張力装置３′の調子台板３０′に設けられた下糸挿
入口３３′に１点鎖線で示す如く挿入され、調子台板３
０′と調子バネ４′との間を通り下糸引出口３４′から
実線の如く引出されて針板針穴１０に至るが、下糸Ｓ２
に外力が作用したり下糸自体の張力等に異常が生じると
、該下糸Ｓ２は前記調子台板３０’と調子バネ４′によ
り挟圧されているにもががわらず前記引出口３４′から
外れ逆戻りして挿入口３３′がら外れて同図の２点鎖線
の如くに下糸張力装置３′から脱落してしまう。

そのため下糸Ｓ２の張力がほとんど０になって上糸の張
力との釣り合いがとれず、縫い調子を不調とするもので
あった。

本考案は上記のような欠点を排除すべく検討の結果、下
記実施例に示す如く下糸が張力装置がら脱落することな
く、また僅かに外れても自動的に正常な状態に復元され
下糸張力が常に適切に保たれる如き下糸張力装置を開発
したものである。

以下本考案の実施例を図面により説明すれば、第１図は
実施例の水平釜機構であって、１は外釜、２は内釜、３
は下糸張力装置である。

外釜１はフッり部が水平面上を回転可能に支持されてお
り、内釜２は前記外釜１の内側に上方に嵌装され、該外
釜の外周下方に枢着され外釜１の回転に連れて揺動し２
つの規制子８１．８２を内釜の回転阻止溝２１゜２２に
交互に係脱させる回転子部材８によって定位置に常に停
止されるようになっており、内釜のほぼ中央部に設けた
ボビン収納室２０に下糸を巻いたボビン７が収納されて
いて、該ボン収納室２０の側面を凹ませた個所に下糸張
力装置３が取り付けられている。

前記下糸張力装置３は下糸調子台板３０と下糸調子バネ
４及び下糸調子ネジ５、下糸張力装置取付ネジ６等より
成り、第２図に示す如く前記内釜のボビン収納室２０の
側面適所を凹ませて形成された取付面２３と調子ネジ操
作空間２４を有する調子装置室２５内に取付けられ、下
糸張力装置３の主体を威す調子台板３０は一端を前記装
置室２５の端部の切込溝２６に位置せしめられ、他端側
外周面３２を内釜の前記取付面２３に下糸調子バネ４の
一部を介して重ねて取付ネジ６によって固定せしめられ
、該調子台板３０には深く切込まれた斜めのスリット３
７からなる下糸挿入口３３と浅く切込まれたスリットか
らなる下糸引出口３４が設けられ、該調子台板３０に重
ねられた調子バネ４の圧接度合を加減調整するための下
糸調子ネジ５と前記取付ネジ６とを夫々螺合せしめるネ
ジ穴（図示せず）が設けられている。

前記下糸調子バネ４には前記調子ネジ５及び取付ネジ６
を貫通させるための穴が夫々設けである。

又調子台板３０の下糸挿入口３３と下糸引出口３４の間
の挿入口３３寄りには凹部９１が設けられ、該凹部は調
子バネ４に設けられた凸部９２により塞がれている。

斯かる調子台板３０の凹部９１とバネの凸部９２により
下糸の脱落防止部９が構成されている。

前記調子ネジ５は全長の中はどにフランジ部が設けられ
、該フランジ部を内釜側面とバネ４の間の操作空間２４
内に位置せしめ該フランジにより調子バネ４を圧接し乍
ら調子台板３０に螺合し、調子バネを回動せしめること
により調子バネ４の圧力を調整することが出来る。

本考案は以上の如く構成されているので収納室２０に納
められたボビン７から下糸Ｓ２が引き出されて張力装置
における調子台板３０の下糸挿入口３３に挿入され、下
糸脱落防止部９の凹凸部間を強制通過させられ、調子バ
ネ４の側圧を受けながらスリット３７の末端から下糸引
出口３４を通り該引出口３４から出て針板針穴１０に導
かれる。

そして前記スリット３７末端から引出口３４、針板針穴
１０に至る下糸径路が最短距離となる如く構成されてい
て、前記引出口３４の溝の向きが糸道と同じ向きに形成
されている。

従って下糸張力装置３から針板針穴１０に至る下糸Ｓ２
は自然に最短距離の道筋にある前記引出口３４を通り第
５図に実線で示す如くなり、たとえ引出口３４から下糸
が外れて上糸に引張られて同図の２点鎖線で示す如き状
態になっても下糸には張力が作用して前記最短距離を辿
ろうとするから、自動的に引出口３４の位置に復元する
。

尚、下糸Ｓ２が前述の如く引出口３４から外れた際更に
挿入口３３までも逆戻りすることは、脱落防止部９が存
在するため従来の水平釜のように第４図の２点鎖線に示
す状態にはならない。

以上の如く本考案によれば下糸が下糸張力装置より完全
脱落することは防止され、たとえ下糸がゆるみ等により
引出口から外れても下糸引出口が最小量下糸径路の路線
上にあるから、ミシンの縫いサイクル巾における上糸Ｓ
１の下糸引出し作用と下糸調子バネにより与えられた下
糸張力により自動的に最短径路を辿れる如く下糸Ｓ２は
前記引出口に引き戻されて該引出口に納まり、下糸調子
ネジで調整された適正張力を保持して良好なる縫いを行
なうことができる。

そして作業者は作業にあたり下糸を張力装置の下糸挿入
口に入れ脱落防止部の凹凸部間を通過せしめさえすれば
、下糸引出口まで下糸を導くことは必ずしも必要でなく
、前記脱落防止部より引出口側に下糸を導いて置くだけ
で自動的に下糸は引出口に導かれることとなり、常に良
好なる縫いを行なうことが出来るもので、水平釜におけ
る理想的な下糸張力装置を提供し得たものであり、また
能率的にして実用効果の極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の水平釜機構の外観斜視図、第２図は本
考案の要部を示す一部断面斜視図、第３図は下糸張力装
置を内釜内に装着した斜視図、第４図は従来の下糸張力
装置における下糸脱落状態を示す斜視図、第５図は本考
案下糸張力装置による下糸脱落防止及び自動復帰状態説
明図である。 図中、１は外釜、２は内釜、３は下糸張力装置、７はボ
ビン、９は脱落防止装置、２０はボビン収納部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転する外釜の内部に回転を阻止せしめられるように内
   釜を装１着せしめ、該内釜に下糸用ボビンの収納部を形
   成し、該収納部に支持されたボビンの下糸に該下糸を引
   出す際に張力を付与せしめる下糸張力装置を設けたミシ
   ンにおける水平釜において、前記下糸張力装置を下糸用
   ボビンの外周より外側の内釜の内側壁の凹部に装着し、
   前記下糸張力装置の調子台板に下糸挿入口を有する斜め
   スノットと下糸引出口とを配設し、前記斜めスリットの
   末端から下糸引出口を経てベッド機枠部に取付けられ針
   板の針穴を結ぶ下糸経路が最短距離となる如く前記調子
   台板を内釜に配設し、前記下糸挿入口と前記下糸引出口
   との間の調子台板上縁部に下糸の脱落防止部を設け、外
   力等により一時的に前記下糸引出口から外れた下糸が前
   記脱落防止部に係止されて前記下糸挿入口からの脱落が
   防止されミシン回転中に前記下糸引出口に自動復帰され
   るようにしたことを特徴とするミシンにおける水平釜。