JPS5815492Y2 - アルミニウム蒸発用ルツボ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はアルミニウムを蒸発用ルツボ内に滞留させる事
無く連続的に蒸発させる為の蒸発用ルツボに関するもの
である。

近年炭素繊維を強化材とした複合材料の開発が盛んであ
り、その中でも金属をマトリックスとした炭素繊維強化
金属、特に炭素繊維強化アルミニウム（ＣＦＲ−ＡＩ’
）は比強度、比弾性、高温物性に優れている。

この様なＣＦＲ−Ａｌ製造プロセスで最も重要な事は、
炭素繊維にアルミニウムを蒸発、被覆させるプロセスで
ある。

高性能ＣＦＲ−ＡＩを製造する為には、炭素繊維にアル
ミニウムを均一に一定量を一定組成で被覆しなければな
らない。

その為に定常的に一定量を一定組成で蒸発させる必要が
ある。

蒸発用ルツボは第４図ａに示す様な断面形状で、黒鉛で
出来ているものが一般的である。

アルミニウム合金を連続的に一定組成で大量に蒸発させ
る為には、ａの断面形状ではアルミニウム合金が濡れ拡
がらず、蒸発溶融面が小さい為、溶融金属が滞留し易く
、各合金成分の蒸気圧が異なる為、組成が変化する。

ｂの断面形状ではアルミニウム合金は、溶融し流下する
が、ルツボの肉厚が一定で無い為、ルツボに温度勾配が
出来、蒸発が不安定になる。

Ｃの断面形状では、ルツボ自体が不安定である。

本考案は以上の様な欠点を解決し、蒸発用ルツボ内にア
ルミニウム又はその合金に対し安定で、且つ濡れ性の優
れたもの例えば、窒化硼素硼化チタンを傾斜板として配
し、傾斜板上にアルミニウム又はその合金を連続的に供
給し、傾斜面を濡れ拡がりながら流下蒸発させ、定常的
に一定量を一定組成で炭素繊維に均一に被覆する為のア
ルミニウム蒸発用ルツボを提供するものである。

すなわち本考案は、炭素繊維にアルミニウム又はその合
金を連続的に蒸発被覆するために使用されるルツボであ
って、該ルツボの肉厚を一定にし、該ルツボ内にアルミ
ニウム又はその合金と濡れ性の良い傾斜板を配した事を
特徴とするアルミニウム蒸発用ルツボである。

蒸発用ルツボの加熱方法は第２図に示す抵抗加熱による
間接加熱、第３図に示す高周波誘導加熱等で行う。

本考案によるアルミニウム蒸発用ルツボの効果を図面に
従って詳細に説明する。

第１面は炭素繊維へのアルミニウムの連続被覆装置であ
る。

装置内を１０−２〜１Ｏ−５ｔｏｒｒに保ち、高周波誘
導加熱で肉厚一定の黒鉛ルツボ２を加熱し、黒鉛ルツボ
２からの輻射熱及び熱伝導により、窒化硼素傾斜板３を
加熱する。

傾斜板３は１枚でも或いはアルミニウム合金ワイヤー６
の供給部へ各々２枚を設置してもよい。

加熱された窒化硼素傾斜板３上へ、アルミニウム合金ワ
イヤー６を供給する。

アルミニウム合金ワイヤー６の先端が、窒化硼素傾斜板
３に触れた瞬間に溶融し、窒化硼素傾斜板３の斜面に沿
って濡れ拡がりつつ流下し、全供給量が速やかに蒸発す
る。

この過程が連続して行なわれる為、炭素繊維１に被覆さ
れたアルミニウム合金薄膜は常に一定量一定組成のもの
が得られ、時間と共に変化する事はない。

窒化硼素傾斜板３の傾斜角（θ）は５〜４５°である。

θ〈５°では濡れ拡がって流下し難く、又４５°〈θで
は付着効率（付着量／蒸発量）が著しく低下する。

窒化硼素はアルミニウムに対し安定で且つ窒化硼素傾斜
板３上で全量が蒸発するので、黒鉛ルツボ２は殆んどア
ルミニウムによる侵蝕を受けないので、寿命は大巾に延
長される。

本考案はアルミニウム以外の金属、例えば鉄、珪素゛、
銅、銀、亜鉛、鉛、錫、ニッケル、マンガン、黄銅等を
ワイヤー状、箔状、粒状で連続的に供給して蒸発させる
場合にも応用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は炭素繊維へのアルミニウム連続被覆装置概略図
で、１：炭素繊維、２：黒鉛ルツボ、３：窒化硼素傾斜
板、６：アルミニウム合金ワイヤー、７：真空排気口を
示す。 第２図は本考案の抵抗加熱による蒸発用ルツボの断面図
で、４：抵抗加熱ヒータコイルを示す。 第３図は本考案の高周波誘導加熱による蒸発用ルツボの
断面図で、５：高周波ワークコイルを示す。 第４図ａ、ｌ）、ｃは各種黒鉛ルツボの断面図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 炭素繊維にアルミニウム又はその合金を連続的に蒸発被
   覆するために使用されるルツボであって、該ルツボの肉
   厚を一定にし、該ルツボ内にアルミニウム又はその合金
   と濡れ性の良い傾斜板を配した事を特徴とするアルミニ
   ウム蒸発用ルツボ。