JPS5813594B2 - 感圧性熱溶融型粘着剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は感圧性熱溶融型粘着剤組成物に関するものであ
る。

現在粘着テープ、シート類に用いられる感圧性熱溶融型
粘着剤はエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エ
チルアクリレート共重合体、ポリスチレン・ポリイソプ
レン・ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン・
ポリブタジエン・ポリスチレンブロック共重合体など種
々のポリマーをベースとして粘着付与剤樹脂、展開油軟
化剤、老化防止剤などを混練し製造されている。

このような粘着剤を用いたテープ、シート類は実際には
室温以上の高温状態で使用されることがしばしばある。

例えば電気絶縁用に用いる場合は適用電線の通電による
発熱により７０℃以上になる。

電線の端末処理などに使用される場合必要不可欠な物理
的特性として高温時のクリープ特性が最も大きい点であ
る。

然るに上記ペースポリマーを用いても現在知られている
配合によると７０℃以上の高温クリープ特性は、上記電
気絶縁用やその他の耐熱クリープ特性を要求される用途
からすれば極めて不満足なものである。

従来から知られている組成物の耐熱クリープ特性を高め
る方法としては、高軟化点樹脂の添加や低軟化点あるい
は低粘度の粘着付与剤樹脂軟化剤の配合量を減量するこ
とにより、凝集力の低下を防ぐことであった。

しかし現実にはその様にして作成すると満足のいく耐熱
クリープ特性を得るためには塗布時粘度が著しく高くな
り、現在の商業的規模で塗布可能な粘度を大きく上回り
実用上は塗布不可能である。

またＡ−Ｂ−Ａ（式中のＡは分子量２０００〜１２５０
００のポリスチレンポリマーブロック、Ｂは分子量１０
００〜２５００００のポリブタジエンもしくはポリイン
プレンあるいはそれらの水素添加物からなるポリマーブ
ロックを示す）で表わされるブロック共重合体を用いて
感圧性熱溶融型粘着剤をつくることは既に良く知られて
いる（例えばＫｒａｔｏｎ■１１０１、１１０２、１１
０７・・・・・・シェルケミカル社製、商品名）。

また該粘着剤の耐熱クリープ特性を高めるために軟化点
の高い樹脂、例えばα−メチルスチレンホモポリマー（
軟化点１４７℃）の添加あるいはポリマーブロックＢと
相溶する粘着付与剤樹脂および展開油類は軟化点が低い
か、もしくは常温では流動性を有するためこれ等成分の
配合量を減少させることにより、その凝集力の低下を少
なくし、良好な耐熱クリープ特性を得る方法は簡単に理
解できる。

しかるに現実にはその様にして粘着剤をつ《ると著し《
粘度が高くなり、実用上は塗布できない粘着組成物とな
る。

このことは、従来用いられているラベル類、包装用テー
プ類に用いる粘着組成物は殆んど常温にて用いられるた
め根本的問題とはならないが、電気絶縁用など特殊用途
ではこの点が重要である。

これに対し驚《べきことには本発明者は上記Ａ一Ｂ−Ａ
で示されるブロック共重合体１００重量部に、該ブロッ
ク共重合体のうちポリマーブロックＢと優先的に相溶す
る粘着付与剤樹脂５０〜２００重量部と、該ブロック共
重合体のうちポリマーブロックＢと優先的に相溶する展
開油１０〜１００重量部と、平均分子量１０００〜５０
００の低分子量ポリエチレン５〜３５重量部と比重０．
９１５〜０．９３の低密度ポリエチレンもしくは中密度
ポリエチレン１〜２０重量部を配合することにより得ら
れる感圧性熱溶融型粘着剤組成物は耐熱特性が著し《優
れ且つ電気特性の良好な粘着層を形成することを見出し
、本発明を達成するに至った。

本発明の粘着剤は上記組成を有するものであるが、第１
成分のＡ−Ｂ−Ａで示されるブロック共重合体に配合す
る成分の配合理由は次の通りである。

第２成分の上記ポリマーブロックＢと優先的に相溶する
粘着付与剤樹脂とは、ロジン系、テルペン系の樹脂およ
び石油系の水素添加物等であり、芳香環を含まないか、
極少量含むものである。

またこの樹脂の軟化点は高い程耐熱クリープ特性は向上
するが、タック・接着力の要求特性を満足するため普通
は低軟化点のものとのブレンドにより用いられる。

この第２成分の樹脂の配合量は５０重量部未満では接着
力が乏しかったり、溶融粘度が高過ぎ実用は不可能であ
る。

特に電気絶縁性の良い、ポリオレフインフイルムに対し
ては接着性が乏しくテープ成型後粘着層が塗布面から剥
離する様になる。

また配合量が２００重量部より多くなると加熱時の凝集
力が著しく低く耐熱クリープ特性が劣るため実用できな
い。

第３成分の上記ポリマーブロックＢと優先的に相溶する
展開油とは石油留分であるパラフィン系、ナフテン系の
プロセス油で、その芳香族分はできるだけ少ない方が良
く、ナンテン分３０〜４０％、パラフィン分３０〜６０
％であるものである。

この展開油は凝集力も著し《低下させるためまた高温溶
融時の安定性を考慮すると配合部数はできる限り少ない
方が望ましいが、他の配合物との関係により塗布適正粘
度まで低下させるために用いる。

このためには１０〜１００重量部が適正範囲であり、望
ましくは５０重量部以下である。

また商業的には第２成分の粘着付与剤樹脂より安価であ
り軟化効果も犬である。

さらに芳香族系成分の多い展開油は上記Ａ−Ｂ−Ａブロ
ック共重合体のポリマーブロックＡと優先的に相溶し、
該粘着剤の凝集力を低下させるため、テープ成型後の粘
着層の背面への移行が起りやすくなる。

第４成分の平均分子量１０００〜５０００の低分子量ポ
リエチレンは通常のパラフィン・ワックスとは異なり、
特殊な製法でつくられる純度の高いポリエチレンから構
成されている。

従って一般的に熱溶融型接着剤に用いられるパラフィン
ワックスとは異なり融点は高い。

これを適当部数配合されたものは溶融状態にては粘度を
低下させ、塗布を容易ならしめ、塗布後は凝集力を著し
く高くし耐クリープ特性を向上させることが可能である
。

その配合量は第５成分の低密度ポリエチレンの配合量と
の関連において決定されるが、高い接着力が要求される
場合は５〜２０重量部が好まし《、低い接着力でより高
い凝集力の要求される場合は２０〜３５重量部が好まし
い。

最後に第５成分の比重０．９１５〜０． ９ ３ ０の
低密度ポリエチレンもしくは中密度ポリエチレンはいわ
ゆる高圧法により作られるポリエチレンであり、分子量
がいずれも数百万程度あるといわれ、結晶化度は５０〜
７０％のものである。

その配合量は第４成分の低分子量ポリエチレンの配合量
により決定される。

この第５成分の添加により組成物の耐熱クリープ特性は
著しく向上するが、接着力の低下、初期粘着力の低下も
激しく、配合量としては１〜２０重量部が適当である。

これは第５成分が１重量部より少くては配合する効果が
得られず、また２０重量部より多くなると上述の如く粘
着力が低下し感圧粘着性が殆んどなくなり粘度も高くな
るためで、望ましくは２〜１０重量部である。

次に本発明を実施例および比較例により更に説明する。

実施例１〜３および比較例１〜２ 下記の第１表に示す組成を有する各配合物を１４０〜１
９０℃において十分混練し、ポリエステルフイルムに約
１００μの厚さに塗布し、試験試料とした。

これ等試料につき測定した特性値を第１表に併記する。

上表中粘度はＢ型粘度計を用いて測定した。

また耐熱クリープ特性は種々考えられるが、定則はなく
、本発明者は一定温度の雰囲気中における接着力と凝集
力を統合して得られる耐熱クリープ特性の評価として次
の方法によった。

すなわちＪＩＳ ２１０７（１９６２年）６．１．３
．に規定される試験板を用い、接着面積は２０ｍｍ（幅
）×１２．５（長さ）とし圧着後７０℃雰囲気中に放置
し、これに１００２の荷重をテープと平行にかけテープ
が落下するまでの時間で評価した。

第１表の結果から実施例１０本発明の組成物は耐熱クリ
ープ特性、溶融粘度および接着力のバランスのとれた組
成物であり、実施例２の組成物は溶融粘度が低く比較的
耐熱クリープ特性は良いもので例えば高温使用における
再剥離形の粘着剤として有用であり、更に実施例３の組
成物は現在の塗布可能な約２０万センチポイズにおける
最もクリープ特性を重視した組成物であることがわかる
。

また比較例１の組成物は現在実用化されている感圧性の
ホットメルト粘着剤であり、その耐熱クリープ特性は０
．１時間と極めて悪く、高温時は全く使用不可能なもの
である。

これを改善するため一般的に知られている方法、即ち展
開油、粘着付与剤を減量してクリープ特性を実用できる
程度にまで向上させると比較例２の如くなり、粘度が８
０万センチポイズと著しく高くなり、塗布可能な２０万
センチポイズを大きく上回り実用できないものとなる。

即ち本発明の組成物の如＜Ａ−Ｂ−Ａブロック共重合体
に、第２成分の粘着付与剤樹脂および第３成分の展開油
の他に更に低密度ポリエチレンと低分子量ポリエチレン
の適当量を混入することにより、塗布時の高温にては低
粘度であり、塗布後は高温使用にも耐え得る高温クリー
プ特性の良好な感圧性ホットメルト組成物が得られるこ
とがわかる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. Ｉ Ａ−１３−Ａと表示されるブロック共重合体（式
   中のＡは分子量２０００〜１２５０００のポリスチレン
   ポリマーブロック、Ｂは分子量１０００〜２５００００
   のポリブタジエンもしくはポリイソプレンあるいはそれ
   等の水素添加物からなるポリマーブロックを示す）１０
   ０重量部と、上記ブロック共重合体のうちポリマーブロ
   ックＢと優先的に相溶する粘着付与剤樹脂５０〜２００
   重量部と、上記ブロック共重合体のうちポリマーブロッ
   クＢと優先的に相溶する展開油１０〜１００重量部と、
   平均分子量１０００〜５０００の低分子量ポリエチレン
   ５〜３５重量部と、比重０．９１５〜０．９３０の低密
   度ポリエチレンもしくは中密度ポリエチレン１〜２０重
   量を含むことを特徴とする感圧性熱溶融型粘着剤組成物
   。